電気自動車のバッテリーを取り外し式にしたらいいんじゃない?

あちこちで最近よく見かけるのですが、電気自動車の走行可能距離を伸ばすために、バッテリーを交換式(取り外し式)にしたらいいのではないか?というお話。これは結論から言うと、おそらくあり得ないと思います。以下解説♪

電気自動車のバッテリーを取り外し式にしたらいいんじゃない?
ベタープレイスのバッテリー交換ステーション
ベタープレイスのバッテリー交換ステーション

この方法はバッテリー交換式と呼ばれ、実際に製品化しようとして試した会社が現在までに二社あります。一つはベタープレイス社で、ルノー日産グループとも戦略的提携をして、実際に一車種、対応車両を販売し、世界中でテストを行いました。日本でも2010年に虎の門で実験を行っていたのです。当時はバッテリーが小さく航続距離が短かったため、ちょっと走ってすぐ交換しなければならず、さらにある理由によって全く競合が出てこなかったため、ベタープレイスは倒産してしまいました。この事実は自動車会社のエグゼクティブなら誰でも知っているくらい、重要な失敗と言われています。(画像引用元記事
もう一社はテスラです。米国の電気自動車専門メーカーで2016年度の販売台数は8万台弱。日本にも1000台以上入ってきています。このモデルSとモデルXという車両はバッテリー交換式に対応していますが、現在はロサンゼルス郊外の一か所にしかバッテリー交換場所が設置されていませんし、その一か所も昨年末に閉鎖されました。テスラも、この方法は失敗だったと考えているようです。ただしテスラの車両は普通に充電式で利用できるので、バッテリー交換に依存するわけではなく、自宅で充電できるほか、普通にサンフランシスコからロサンゼルスまでの600kmを電気自動車で移動できるための、超急速充電設備スーパーチャージャーも完備しています。日本にもスーパーチャージャーのステーションは14か所(盛岡、仙台、長野、高崎、東京三か所、横浜、浜松、岐阜、大阪、神戸、倉敷、福岡)あります。

テスラのバッテリー交換ステーション
テスラのバッテリー交換ステーション

さて、ではなぜバッテリー交換式は失敗したのでしょうか。(画像引用元記事
一つは当時、バッテリーの密度が低かったという点があります。例えばテスラモデルSの場合、バッテリー重量は500kgを超えます。50kgではありません。50kgだったらガソリンと同じくらいのエネルギー密度があることになってしまいます。簡単に言うと、ガソリンの10分の1しか密度がないのです。日産リーフ30kWhモデルのバッテリーは315kgとされています。
もう一点は、電気自動車においては、ガソリン車での心臓部であるエンジンに当たる部品は、モーターではなくバッテリーだということです。バッテリーがエンジンなのです。モーターはコストが安く効率も高く、現時点でほぼ最高の性能のものが得られ、改良の余地がほとんどありません。入れた電気を余すことなく走行する力に変えることができるということですね。逆にバッテリーは、ガソリンタンクのように改良の余地がない(タンクを改良しても車は速くなりませんよね?)ものではなく、改良することにより航続距離を伸ばしたり、加速性能を向上させたりできるのです。世界中の自動車メーカーはエンジンを自社で作ることによって(もちろんOEMもたくさんありますが)、車の差別化をしているのです。電気自動車メーカーは、優れたバッテリーを搭載することで、車の差別化をしなければなりません。例えば、バッテリーの容量を二倍にすると、車の性能も二倍近くになります。
バッテリー交換式になるということは、すべての車が同じ性能になるということです。それを、どの企業も望まなかったということなのです。

おまけ① 家に帰って充電するときは、電気自動車からバッテリーを外して家に持って帰って充電できるようにすればいいのでは?

面白い考えではあるのですが、電動アシスト自転車のバッテリーを取り外されたことはありますか?結構重たいですよね?先ほどお伝えしたように、現行のほとんどの電気自動車のバッテリーは300kg以上。取り外すにはフォークリフトが必要です。

おまけ② じゃ、バッテリーを小さくして、その代わりこまめに急速に充電できるようにしてはどう?

これも良いアイディアのように思えます。しかし!こまめに「急速に」充電するということはできないのです。電気自動車のバッテリーの充電速度は、ざっくりいうと容量に比例し、温度に大きく影響を受けます。例えばバッテリー容量を半分にすると、充電速度も半分になってしまいます。温度は低くても高くても充電速度は著しく遅くなります。

この記事のコメント(新着順)84件

  1. EV車全部のバッテリーではなく、10分の1位にして軽量化して家庭で夜間充電し昼間の50kmくらい走行出来る様に改良すればEV車の普及につながるのでは

  2. バッテリーを同じ形状で分割すればよいと思う。
    規格も統一すれば交換もしやすくなるだろうし、家での充電などもできるのでは?

  3. 電池が協調分野では無く、各社の車の性能=差別化の中心で、電池メーカーだけでなく自動車メーカーにとっても競争分野との指摘は目から鱗でした。競争分野だから研究にも力が入るのでしょう。 
    しかし、電池の技術革新は極めて難しく、電池メーカーも淘汰が進み、電池での差別化の余地は小さくなるのでは?むしろ電池を協調分野、あたかも公共財のようにすることが記事に指摘された数々のメリットを活かし、ユーザーの利便性を高め、電力使用の効率化に繋がるのでは? N I Oに期待しますが、多種多様でメーカーも多く、使用時間の短い乗用車よりも商用車にこそ交換式の可能性があると思いますが?

    1. 前田様、記事をお読みいただきありがとうございます。おっしゃる通り、NIOの活躍は注目に値すると思います。
      https://blog.evsmart.net/ev-news/nio-completed-2m-battery-swaps-in-china/
      延べ200万回のバッテリー交換を達成したとのこと。

      現状では電池のテクノロジーだけでなく、生産のキャパシティすらも競争領域に入ってきているようです。RAV4 PHVの納車遅延は記憶に新しいところです。これを考えると、新車を作るより多くのバッテリーの必要なバッテリー交換式は、逆に電池生産が安定し、電気自動車の普及がもっと進んでからになるのかもしれません。それとも、電池交換のテクノロジーが先に消費者に受け入れられ、今の充電式が駆逐されることになるか、、将来が楽しみです。

  4. いっそのこと、車まるごと交換(レンタカー)したらどうでしょう。電池がなくなったらカースタンドに行き充電済の車に乗り換える。荷物の載せ替えだけでOK!
    車を所有したい人はだめですが、購入、維持費がかからず良いのではないかと。
    というかこれevスタンドでカーシェアリングしてるようなものか…

  5. 記事と趣旨が異なりますが、バッテリー交換式は総合的にはマイナス面が大きいですが、電気自動車への切り替えという意味ではメリットがあるかもしれない。

    電気自動車の問題点は車体価格と走行距離ですが、交換式にして購入者はバッテリーを除く車両本体価格だけの負担にすれば価格はガソリン車を下回るのでは?
    ガソリン車同様に導入を楽にしてやることで相対的に普及を図る、というのもアリな気がしてきますね。
    問題は交換式にするとバッテリー規格の共通化と、交換設備が必要なこと、交換費が思いのほか高くつくだろうことですかね?自宅充電を可能にする場合は交換施設の利益を上げにくく、施設の建設もままならないでしょうし。

    いっそ、半交換式にしてバッテリーはリースという形にしても良いかもしれませんね。
    たとえば常に良いバッテリーで乗りたいという人は、毎年新品か新品に近い物に交換して、長距離乗らないって人はリユース品を使ってもらう。そして毎月それに応じたバッテリーのリース代を払うと。充電は従来のEVのように自宅や充電スタンドでする形にして。
    交換式のメリットである長距離走行しやすいというメリットはなくなりますが、EVの普及という点ではメリットになるのではと思います。この方式ならバッテリーの共通化はある程度回避でき、交換法の共通化だけで済みます。また多くても年1回の交換なのでバッテリーの在庫を大量に持つ必要がないのもメリットになります。交換施設自体も大量に必要なくなりますし。

  6. EVの電池を2つに分けて、片方充電、片方使用。減ってきたらスイッチ。てな方法で走行距離を伸ばすことはできないですかね?

    イメージですけど、バッテリーって充電しながら使用って充電まともにできていかないかんじがするんですよね。それをバッテリー2つに分けることによって解消される、ということはないですか?

    当初は永久機関を作りたいってところから考えはスタートしたので、まだ思考の途中のアイデアの段階ですが。いかがでしょう?

    1. とよだつよし 様、コメントありがとうございます。
      電池は走行しながらも充電できます!坂を登って下るときは、登るのに使った電気を発電しながら回収し、電池に充電します。すべての電気自動車にこの機能は付いています。
      電池を2つに分けて、というかもともと電池は1つじゃないんです。リーフは3×96=288個。テスラモデルSやXに至っては86×96=8256個の電池からなっているんですよ。

  7. 電気自動車バッテリー交換システムの機構(アイデア)、
    私は20年以上前から考えており知的所有権協会と称する団体を通じて公証役場の確定日付入り書面にて知的所有権登録をした事があります。
    当時(学生時代)は国内自動車メーカーに郵送売込みなどをしましたが相手にして貰えませんでした、、
    今でしたら何か日本の自動車業界に役に立たないかと、、海外メーカーより以前よりアイデアがあった証明にはなります。
    どう思われますか?

  8. 電池を交換式にして利用者が得られる利点は大きく3つ。
    (1)車両の非稼働時間を短縮して連続で使いやすいこと、
    (2)技術の進歩に合わせて電池を改良して載せ替えやすいこと、
    (3)1個の電池を多用途に使い回せるため、車両の価格を下げやすいことである。
    と言われています。

  9. 今はダメかもしれないけど
    金持ちトヨタ辺りが
    全固体電池の普及したあたり
    あと10年後を目安に
    インフラとして整備して欲しい
    まず、ガソリンスタンド(SS)で
    交換して、この交換時間に五分以内にする事
    そして回収したバッテリーパックは問題無ければ充電して
    別なユーザーへ
    もしヘタって来たら
    セルを交換するリサイクルセンターへ送ります
    このインフラのために
    ユーザーとメーカーと国が
    負担をする。
    比率はユーザーの負担を少なくする

    1. 鍛代様、コメントありがとうございます!またFacebookのほうからいらしていただき、お手数をおかけいたしました。
      確かにそれで競争がちゃんと発生すれば、バッテリーをリースして(法改正も含む→日本では車両の一部だけをリースすることはまだできません)バッテリー交換ステーションが成り立つかも知れませんね。中国ではNIOが実際にやっています。
      https://www.topgear.com/car-news/big-reads/power-shift-battery-swapping-our-way-across-china
      これによると一回の交換で180RMB=約2750円くらいかかっているようです。ただ上海の電気代はおおよそ10円/kWhと仮定すると、180RMBは275kWhにも相当します。
      仮にNIO ES8で電池が100kWh、交換前後で90kWhを購入したと考えると、180RMBでは三回充電できる、、すなわち、バッテリー交換は充電の三倍のコストとなります。
      三倍のお金を払って電池を交換して10分でスタンドを出るか、15-30分間休憩しながら必要な分だけ充電して出発するか、という比較になります。

  10. 2020年7月23日にネットに載った記事ですが
    中国の北汽新能源では法人向けに販売していた
    電池交換式自動車を一般個人向けにも
    販売を開始したそうです。

  11. 125ccクラスの電動バイクに向けた交換型バッテリーを用いる策を探しています。

    台湾Gogoroや、ホンダ+日本郵便の構想による、交換バッテリーの共通化という取り組みは、これまでご説明頂いているように「エンジンの共通化」と均しいことから他のメーカーが極めて飲みにくい提案です。

    一方でクルマほどバッテリーの積載スペースのない125㏄スクーターの場合、交換型バッテリー以外に希望がなく、早急に共有化に向けた活動を進めないと2035年~2040年に欧州各国で実施される化石燃料車両販売禁止に間に合いません

    そこで一度に走行する距離に少ない125スクーターに限っての話として、交換型バッテリーの役割を固定バッテリーへの充電に用いる(=ダブルバッテリー)という考えは、非現実的な話でしょうか?

    例えばPCXエレクトリックは48Vのバッテリーを2個直列につないで使っていますが、このバッテリーサイズを半分にし、同サイズの交換型バッテリー2個がモーターを停止するたびに少しずつ充電を行うなんてことはありえませんか?

    全メーカーが共通規格の交換型バッテリーを使うことや、バッテリーのエネルギー密度が飛躍的に進むことに比べると 望みがあるように思うのですが、、

  12. 具体的な数字でデータが出ていて凄いですね。

    書き込んだコメントについて、文章力が足りなかったので、
    すみません、もう少し教えてください。

    >また電力網への負担を考えられていますが、実際に消費電力ベースで考えたとき・・・

    末端側の電気設備を検討する場合、発電設備の負荷よりも
    電線に実際に掛かる負荷容量で設計します。
    近隣に、マンションが建ったり、ちょっとした工場が出来るだけで
    柱上のトランスが増えたり、引き込み線の張替えが発生します。
    以前、東電に申請に行った際の話では
    深夜電力による電気温水器や、エコキュートが増えすぎて
    深夜帯に合わせて、設備改修が起こった地区も有ったそうです。
    想像ですが、電気自動車が大量に増えた場合、
    ピーク時(この場合、多分夜間)の瞬間的な使用量に合わせて
    電柱の上がトランスだらけになるか、
    そうでなければ、地区ごとに、何らかの受電設備が必要になる気がします。

    >>受電設備の設置、引込配線・2次側配線の方法、運用メンテナンス
    >急速充電のことをおっしゃっているのですよね?

    急速充電器に限らず、
    受電設備には、1建物に原則1引込(実際は低圧の場合、電灯2動力1迄)、
    低圧の場合、負荷容量も1引込49kvaまでの制限が有ります。
    戸建て一般住宅の場合、多少の問題は有りますが、比較的対応しやすと思いますが、
    20世帯以下程度の集合住宅の場合、普通の充電設備を駐車場に設けた場合でも、
    上記の負荷容量の制限に引っ掛かる可能性が高いです。
    共有の物を設置するなら、恐らく急速充電器に成ると思いますが。
    電気自動車が普及して、皆が充電するようになると、
    常時夜間充電できる設備を、スペース分確保すると、
    かなりの電気容量に成ると思います。
    もちろん、この場合、最終的に必要だった電気の総量ではなく、
    瞬間的にかかる設計上の最大値です。
    戸建てばかりの地域ではあまり問題ないと思いますが、
    比較的小さい集合住宅の多い地域では、色々問題です。
    以前、充電設備設置の話が有った建物も、上記の条件を満たすための工事が
    膨大に成る為、断念しました。
    もうすぐ、完全に送発分離に成るので、この辺の制限が緩和されるとか、
    そんな話は無い物でしょうか?
    この制限が有る限り、車1台ずつに充電設備を用意するのも、
    かなりハードルが高い気がします。

    1. osabe様、コメントありがとうございます。

      >>想像ですが、電気自動車が大量に増えた場合、
      >>ピーク時(この場合、多分夜間)の瞬間的な使用量に合わせて
      >>電柱の上がトランスだらけになるか

      ピークをシフトさえできれば、何とかなると電力会社は考えているようです。こういう実証実験は二年前から行われています。
      https://sgforum.impress.co.jp/news/4278
      またコネクテッドカーになると、例えばテスラなどでは、サーバーから今でも充電の開始、停止などを支持することができます。これにより、電力網へのデマンドをある程度に制限しつつ、継続的に充電する仕組みが作れると言われています。
      とはいえ当面はトランスは増やしていくしかないでしょうし、集合住宅ではある程度高圧受電の容量を増やしたりなどの、投資は必要になると思います。こればかりはニーズによってドライブされてくので、電気自動車の人気がそこまでない現在ではなかなか投資が進まないでしょうし、数年後電気自動車のほうが安く手に入るようになったら、急に充電できないマンションは価格が下落するかもしれません。

  13. 初めまして、トイレのコセントから工場の特別高圧迄、
    どこにでも行く電気工事屋です。
    たまたま、拝見して興味深かったので参加させていただきました。
    内容的にちょっと違うかもしれませんが。

    電気屋の界隈では、リーフの電源を住宅で使えるように成った頃に、
    住宅にも30A200Vの充電のコネクターが必須になりますよって、
    話が出てましたが、昨今そんな話も出なくなりました。

    当時、ガソリンスタンドで店主のおやじに聞かれたとき
    高圧受電設備を作って、充電器1台に50kvaのトランス1本
    回転率は、1時間で4台、但し80%。
    受電設備作ったりして、設備投資考えたら単価が高すぎて、多分採算合わないし、
    もし、全国でやったら、電柱の電線とかも多分持たないし、ガソリンの代わりの
    インフラとしては、現実的じゃ無いと思うよ。国策にでも成らないと。
    って、話をしました。
    実際、充電に関しては、国のサービスにでも成らない限り
    集金方法やコスト面に、まだ問題が有ると思います。

    工事を担当する側から見て、ガソリンを電気に置き換えるには、
    充電にしろ、交換式にしろ、車そのものよりも、
    電線、変電所等の送電経路の整備を、大掛かりに改修する必要が有ると思います。

    バッテリー交換式の場合、仕組みや設備の件も有りますが
    台数に対応する為の、バッテリー保存場所の確保等
    技術的な面以外の問題も、かなり有ると思います。
    仮に送電の問題で、地方にバッテリー充電センターを作っても、
    トラックでバッテリーを配送とか、本末転倒な感じに成りそうな気も・・・

    乗用車クラスで3分から5分位で受電完了なら別ですが、
    現在ガソリンスタンドで給油して、すぐ移動する感覚に近い物が無いと
    心情的に充電器の普及は難しい気がするので、感覚的に作業時間が短そうな
    バッテリー交換式が望ましいと思います。(実際に短いかは別として)

    きっと、各駐車場に非接触充電器が設置されて、
    駐車するたびに少しづつ充電するのが理想だと思いますが、
    工事をする側の人間としては、
    受電設備の設置、引込配線・2次側配線の方法、運用メンテナンスを考えると、
    現実的とは思えないのが現状です。

    こういう物は、それぞれを繋ぐ部分の話は、どこに行っても、あまり出てこないので、
    そういう所が変わってこないと、EVとかも急速には浸透しないと思います。

    1. osabe様、コメントありがとうございます!

      >実際、充電に関しては、国のサービスにでも成らない限り
      >集金方法やコスト面に、まだ問題が有ると思います。

      今までずっと経産省と自動車メーカーが主導で進めてきた補助金を使った充電網の整備に関しては、ある程度の段落を経て、まだ問題がある状況かと思います。ただこれを国のサービスにできるのかというと、設置場所というものがある以上賃借料が発生し、なかなか税金でそこまで負担するのかというのは私は私見ですが疑問に思います。
      自動車を電動化させるのはあくまで自動車メーカーであり、それを選択するのは消費者です。消費者が希望すれば自動車メーカーは電動化を進めざるを得なくなり、そのためのコストである充電ネットワークを整備していくモチベーションがあるのだと思います。実際、ポルシェ、テスラと日産は充電網に日本国内で投資していますし、米国内や欧州でもフォルクスワーゲングループとテスラを筆頭に、そこそこ充電網は整備されつつあります。

      >工事を担当する側から見て、ガソリンを電気に置き換えるには、
      >充電にしろ、交換式にしろ、車そのものよりも、
      >電線、変電所等の送電経路の整備を、大掛かりに改修する必要が有ると思います。

      ほとんどの充電は家庭で行われます。私のように年2万5千キロを超えるような人でも、自宅充電率は80%。恐らく通常は90%とかになるのではないでしょうか。また電力網への負担を考えられていますが、実際に消費電力ベースで考えたとき、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-and-fossil-fuel-power-station/#title03
      全乗用車(軽自動車含む)をすべて電気自動車にしたと仮定した場合、日本全体で10%の消費電力増のシミュレーションがあります。まあこの程度なものですから、ケーブル接続で充電する限りは大きな問題にならないと思います。

      バッテリー交換式の場合、おっしゃるように充電センターは大電力を使いますし、場所も大変ですし、なんといっても記事にございますように車の差別化ができなくなりますので、まずこの方式はあり得ないと思います。

      >現在ガソリンスタンドで給油して、すぐ移動する感覚に近い物が無いと
      >心情的に充電器の普及は難しい気がするので、感覚的に作業時間が短そうな

      消費者としてはそれは望ましいかもしれませんが、実際にテスラがサンフランシスコ-ロサンゼルス間で実際にテストを行い、ユーザーからの評価は「交換でお金払うならいらない」だったのです。100kW級の急速充電があれば、わざわざお金を払って交換してもらい、かつ後で自分の電池を返してもらうようなサービスは不要、ということなのではないでしょうか?

      >受電設備の設置、引込配線・2次側配線の方法、運用メンテナンス

      急速充電のことをおっしゃっているのですよね?
      一つ例を挙げますと、日本には、SAPAは上下線合計で880か所あります。この880か所に、集中的に設備を設置すればそれで終わりではないでしょうか。それ以外は、既存のチャデモの急速充電器で充分だと思います。現状の7000か所は多すぎますし、使われていないところは閉鎖になるでしょう。しかしあと880か所にしっかりと投資して充電網さえ作れば、あとは自宅でちょろちょろ充電できればOKなのではないでしょうか。電気自動車をお乗りになっていない場合、どうしても「どこかのスタンドで、電池が無くなったら充電」という発想をしてしまうと思うのですが、実際に電気自動車でそういう運用になることはほとんどありません。毎朝自宅で80%なり90%なり、その日にどこかに出かけるなら100%満タンで出発するので、月に1回も急速充電を使わない(=外で充電しない)月だってあるのです。

  14. ありがとうございます。
    技術の進歩、素晴らしいです。

    時間のある時に拝見させていただきます。
    今は団地で車も買って数年なのです。
    ごめんなさい。

    ランニングコストの比較期待しています。

    1. 団地でも電気自動車専用駐車場は作れると思います。

      車も買って数年だからこそ高く売れるかもしれません。

      後はお財布との相談と環境への配慮の度合い、
      ランニングコストが上回るかだと思います。

      現時点での私には未来の話ですが、それはすぐに来るかもしれません。
      電気自動車は欲しいのです。

  15. ありがとうございます。
    利用用途にもよりけりという事ですね。

    レベル2の段階で
    買い物ぐらいしかしない街乗りで充電する余裕があれば
    でしょうか。

    あとはランニングコストなどの比較によりますね。
    すぐには対応できませんが電気自動車も検討したいと思います。

    1. 日々これ疑問 様、
      レベル1の車と充電ネットワークで、「たまの遠出で多少の不便を感じつつも、月に1回程度で、それ以外は毎日車を使う用途」(というのがほとんどである気がしますが)には充分だと思います!おっしゃる買い物中心ならまさにこれで充分。レベル2は月2回以上遠出をして、充電の不便はできる限り感じたくない、というニースに合っていると思います。

      ランニングコストの比較はまだあまり当サイトではしていないのですが、そろそろ作れるくらいのノウハウが溜まりましたので、そのうち公開したいと思います。
      簡単に申し上げると、燃料費的なところはハイブリッド車比で最低3-4割、燃費の悪い大型セダンやSUVでは5-6倍程度安くなります。そして、オイル交換、ブレーキパッド交換がありません。そのため、電気自動車の維持費は基本的にかなり安いとお考えください。当サイトにも、1年点検の記録など残してありますので、上にある虫眼鏡の検索アイコンから、検索してみてください。

  16. >全体的に考えて家で充電するのが充分楽
    つまりはほとんど今の電気自動車で完成されてるという事でしょうか?

    >100kWhの電池(400-500km走行できます)を充電するのに、どんなにかかっても3000円で済む
    知りませんでした。ガソリンより安いですね。

    あとは、充電時間や容量の技術の向上でよりよくなる。
    充電ステーションも増えてきているという事ですね。

    1. 日々これ疑問 様、コメントありがとうございます。

      >>ほとんど今の電気自動車で完成されてる

      まだそこまでは行っていないと思います。現時点で日本国内を含め、自宅充電を前提にし、独自充電網で短時間15-30分間の充電である程度の旅行が自由にできるのはテスラだけです。44-70kW程度の急速充電器を日本中に配備している日産では、もう少し充電時間が伸び、30-60分の充電が必要です。またテスラでも充電時間は30分以上必要になることがあり、とにかく15分で次に行きたい!というヘビーな使われ方をするには、現在の超急速充電器よりも速い充電器が必要になります。これを簡単に整理しますと、

      電気自動車レベル1(日産): 充電30-60分で日本全国旅行が可能
      レベル2(テスラ): 充電15-30分で主要な地域のみではあるが日本全国旅行が可能
      レベル3(テスラが検討中): 充電15分で日本全国旅行が可能

      となります。レベル1は70kW程度まで、レベル2を実現するには100kW以上の出力の充電器を、一か所に複数基設置することが必要です。レベル3では200kW以上の出力の充電器を一か所に複数基設置する必要があります。レベル3が完成すれば、移動時間は実質ガソリン車より短くできるようになります。レベル2では、数%程度、ガソリン車より長距離旅行の際には時間がかかります。急速充電器のインフラが全くなくても、街乗りや航続距離範囲内の往復300-400km程度の旅行では途中充電は不要なため、利便性はガソリン車より上になります。

  17. ご返信ありがとうございます。

    電池は並列でそれぞれの残量がわかるようにして20個でもいいと思います。
    技術が刻々と進歩する中で電池の規格を決めること自体が難しいのかもしれませんが、

    >この時、カートリッジ1個を充電するのと、10個を充電するのでは、充電に必要な電流は10倍異なります。つまり、1個ずつ充電すると10倍の時間がかかるんです。
    これを電池スタンドでまとめて行って、
    各自動車メーカーが共同で規格を決めるのは今の時代にはあわないでしょうか?

    1. 日々これ疑問様、確かに技術的にはできると思います。
      二点課題がありそうに思います。
      (1) 記事にもありますように、電池はそれがエンジンみたいなもの。エンジンを共通化したい、と思う自動車メーカーがどれくらいいるでしょうか?性能が良いものを作り、他社と差別化したい、というのがメーカーの思いだと思います。これが電池交換が失敗した真の理由だと、私は考えています。
      (2) 仮に20個パックを作って25kgの電池を交換できるようにしたとして、車を自動で高い位置にリフトで上げ、下回りから電池を取り出して交換し、そこでケーブルとクーラントパイプを接続、動作確認してからリフトを降ろして出発、だとどんなに早くても10分は掛かるように思います。一個を自動交換するのに30秒でも、です。やはり液体燃料を交換するようには行かないですし、この充電スタンドの運営コストが非常に高く、割に合わないと思います。家で充電すれば、100kWhの電池(400-500km走行できます)を充電するのに、どんなにかかっても3000円で済むわけですから、電池交換ステーションでそれ以下で交換できないと意味がないですし、それは全部交換した場合。また交換するために必要なロボットも開発する必要があります。全体的に考えて家で充電するのが充分楽ですから、そもそもほとんどの人は交換ステーションに行きすらせず、、経営が成り立たないと思います。

  18. あらかじめ充電した小型の充電池を10個ぐらい取り換える。というのはおかしいでしょうか?
    乾電池の発想はできませんか?
    屋根にソーラーもプラスして。。。

    1. 日々これ疑問 様、コメントありがとうございます。

      まず全部の小型充電池を一気に交換するというシナリオを考えてみます。
      小さく分割した充電池を交換する場合、仮にバッテリーが500kgあった場合は10個だと1個50kgになり、ちょっと女性とかだと無理ですよね。
      やはりその半分、25kgくらいにならないといけません。またバッテリーにはクーラントが接続されていますので、それらの規格が統一されていない場合、バッテリー交換スタンドの従業員さんは、車ごとにバッテリーの交換方法として、電池の配線とクーラントの配管を覚えていないといけなくなります。またクーラントは切り離す場合、多少漏れて量が減ってしまいますので、気泡が入らないようにしつつ不足している場合には補充もしないといけないかもしれません。

      次に全部交換するのではなく、一部だけ交換するシナリオですが、実は同じ質問をされた方がいらっしゃいますので、こちらに回答しています。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/battery-swap/#comment-78951

  19. 電池交換式のEVパッカー車(ごみ収集車)というものが
    川崎市と所沢市で既に運用が開始されております。
    集めたごみで発電を行い電池を充電し、再びパッカー車に電力を
    供給(電池交換)するというアイデアに感心しました。
    今後の普及に期待します。

  20. 返信ありがとうございます。
    自分が交換式にこだわるのは、
    「固定型バッテリーだと新品への交換費用が高い」
    「その形状のバッテリーセルが無くなったら、おしまい」
    という理由が有ります。
    急速充電を繰り返すバッテリーセルが車体寿命より長いとは考えられません。
    業務用トラックは、最初の耐用年数を過ぎても中古車市場や後進国へ流れて、長いと半世紀以上乗り継がれます。
    それを考えると、現状のシャーシと一体化したバッテリーセルの自動車は、恐ろしく無駄の塊に見えるんです。
    私は今、亡父から受け継いだ1969年式ランクルに乗ってます。
    内燃機関自動車が違法な存在にならない限り、息子へ継承する予定です。
    妙なことで食い下がってすみませんが、「叩けば直った」世代からすると、今のEVは格好良いこと言ってるようで、実は昔の車よりライフサイクルが短い(つまり買い換え無駄が多い)ように見えるんで、どうせなら電池さえ交換すれば孫の代まで乗れるEVが欲しいなぁ……なんて思ってます。
    長文、失礼しました。

    1. tosaka様、コメントありがとうございます。
      時代が進み、モノが進化するにつれ、陳腐化は激しく、かつ長く使うことは「おざなり」にされていっていますよね。そういう意味では私が今使っている携帯電話やPCも、10年使えることもないでしょうし、故障しても修理もできないと思います。もちろんクルマはそれじゃいけないと思いますが、今の勢いを見るとそうなりかねないですよね。時代の流れ、と言ってしまえばそれまでですし、個人一人の力で止めることはできないのですが、モノを大事に使うという考え方は賛同できます。という自分は車や仕事道具のPCとスマホはどっちかというと新しいもの(=無駄)、それ以外のものは比較的古いものを使い続けるようにしています。

      >今のEVは格好良いこと言ってるようで、実は昔の車よりライフサイクルが短い
      そういう点は、現実にあり得ると思います。もちろんしっかり乗り続ければ10年30万キロくらいは大丈夫だと思いますが、次の10年は行けるのか?と言われると微妙。メーカーがなくなっていたり(汗、部品がなくなっていたりということはあり得るでしょうね。その点、機械だけで動いていてインジェクションでないような車は、メンテナンスし続ければ(コストはともかく)長く乗ることも可能ですね。

  21. 返信ありがとうございます。
    サンダーバード2号のコンテナ交換みたいな全自動化のイメージ持ってました。
    交換ポイントで停車すると、地面からアームが出て車体下のバッテリーセルを丸ごと取り外して充電施設へ、入れ替わりに地下から充電済みバッテリーセルがせり上がって車体へ装填。
    トラックなら、荷物の積み込みヤードの地下にあれば、荷揚げ・荷下ろし作業の合間に交換も出来ます。

    1. とさか 様、おっしゃるような感じ、実際に記事内でも同じ方法で交換していたBetter Placeやテスラ、またこの記事を出して以降に中国でやっているNIO
      https://www.nio.com/nio-power
      なんかもあります。NIOは現時点ではタクシー用に限っていますね。

      こういう考えはどうでしょうか?
      電気をそのまま配送センターで充電すれば、電気代は電力会社に払うその金額のままで充電できます。
      交換する場合、電池交換する装置の設備の減価償却と、在庫になる予備電池の購入費用および減価償却、また電池の配置がアンバランスになった場合、電池の輸送を行うための費用が追加となります。
      こうなった場合、それでも30分、急速充電しない、と言えるかどうか。それが、トラックやバスにおける電池交換システムの課題と言えそうです。同じことは、水素燃料電池自動車にも言えるのです。

  22. 初めまして。
    10トン20トン積みの長距離EVトラックやEVトレーラーなら、交換式も有りじゃ無いかと愚考します。
    配送拠点でドラム缶か電信柱サイズのバッテリーセルを、乾電池感覚で入れ替える。
    理想はウルトラ秘密基地みたいに、自動交換する設備でやることですね。
    充電で何時間もトラックを遊ばせておくことは、運送会社にとっては苦痛です。
    日通やヤマトのような全国に配送拠点を持つ会社なら、車両と箱物(交換設備)をセットで規格化することも可能だと思うんです。

    1. とさか 様、コメントありがとうございます!ドラム缶だと200kg-300kgくらいを想定されていますでしょうか。
      バッテリーは、残念ながら、全セルを同時に交換しないといけません。トラックやバス用の電池であれば、その程度のサイズで済まないように思います。ちなみに今の電気自動車の電池の重さは400-600kg程度に及んでいます。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/battery-swap/#comment-79021
      こちらのコメントに、同じような質問をされた方への回答を載せておりますので、よろしければご覧ください。なので、拠点でフォークリフトで数tの電池を交換する、ということでしたらもちろん可能だと思います。
      ただそこまでやるなら、自社で変電所を用意し、超急速充電30分程度で済ませるほうが圧倒的に安上がりの気もします。電池を交換する場合、荷物を積んだままというのも現実的でないような気が。

  23. バッテリーは交換式にしてほしいや。
    別にどの電気自動車メーカーが優れているかの差別化は、共通規格にしなければいいだけなのでは?
    結論から言うと、私は交換拠点を多く所有物する特定のメーカーだけがやってくれればそれでいい(共通規格でどこでもできるともっと助かるが)。例えば、日産のディーラーに行けば満充電バッテリーと即時交換してくれるというサービスがありさえすれば、他の充電式電気自動車ではなく日産の交換式電気自動車を買う。
    それより拠点が多く、優れたサービスが提供される電気自動車があればそっちを買うかも。
    今日における、外でバッテリー低下に見舞われ、バッテリー充電のために30分、或いは1時間充電のために待つというのは時代的にナンセンスでは?そういうのが解決はれたら、それこそ他の電気自動車メーカーと差別化されてて良いと思いますけど。

    1. コメントありがとうございます。メーカーごとに勝手にやれば、ということですよね。技術的には可能だと思います。しかしテスラの米国での実験についてはお読みになったとおりで、無料で30-60分間で充電するか、何千円も払ってすぐ移動するか、という選択したある際、ほとんどの方はタイミングを調整して、食事や長めの休憩を組み合わせて充電する方を選択したのです。

      電気自動車に普段乗られていないとピンとこないかも知れませんが、実はSAPAに入ってトイレ行くだけで普通は15分はかかります。コーヒー買ったら20分。少し休んだら30分、軽く食べたら45分もかかるのです。この間に充電は終わってしまいます。私も浜松とかでちょっと食事する間に、予定以上に充電しちゃうことが結構あります。

      あとはコストですよね。電池を満充電して保管することは劣化が激しくなるのでできませんから、90%充電で空調入れて保管。交換予約入ったら自動で追加充電して91-100%で電池交換。電池はリースにしておかないといけないですし、リース料は借りたバッテリーの劣化度合いによって変更しないといけないです。そしてこれにもし依存させる=自宅充電させないなら、それこそ数万か所のバッテリー交換スタンドを整備する必要があります。もし自宅充電させるなら、、誰が高価なお金払ってバッテリー交換するでしょうか?つまり、バッテリー交換所のコストは自動車メーカーが負担せざるを得ず、充電設備のコストを遥かに上回ってしまいます。

      昨今の車両では、バッテリーは電気的接続だけでなく、クーラントの配管もあります。これを外すとクーラントがこぼれて液が不足した場合には、誰かが補充しないといけないかも?

      もっと面倒なのは、同一メーカーでも小さい車と大きい車では電池のサイズが異なります。違う電池を付けたら性能が変わるだけじゃなく、衝突安全性も変わってしまいますね。。電池は、エンジンに相当するものなので、そもそも交換自体があまり現実的じゃないんです。

  24. www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_0501.html

    上記、NHK WEB NEWS で
    2分で電池交換が可能なEVシステムの記事をアップしています。
    是非ご覧ください。

    1. 山田の霞様、情報ありがとうございます。拝見しました。2分になっていますが動画の途中でいったん編集が入っておりまして、充電済みバッテリーをピックアップするところの直前が抜け落ちていますね。NIOという会社がすでに完全自動の電池交換ステーションを実現していて、それが3分くらいなので、このケースのように手動でも同じくらいの時間がかかるのだと思います。
      じゃこれが解決策なのか、というとそういうわけでもないんです。すでにリンクいただいた記事でも記載ありましたように、この手のスタンドは儲からない、これに尽きるのです。例えばこのバッテリー(ちなみにかなり小型です)は20kWhとすると自宅で充電した場合日本でも600円くらい。1200円にすると儲けは1台あたり600円になりますが自宅の二倍のコストを払う人がいると思われますか?テスラの実験も、コストが一つの原因になったのです。
      https://www.skio.cn/blueRoad
      こちらを見る限りタクシー専用の料金プランのようですね。
      もう一点は電池温度管理システムです。NIOのバッテリー交換もSKIOも、どちらもバッテリーを交換する際にクーラントパイプを接続していません。どういうことかというと、このバッテリーは上面と下面を(していれば、ですが)強制空冷することはできますが、電池内部の熱を取り除くことが難しく、バッテリーの寿命が短くなるリスクがあります。今後の技術でクーラントも足りなくなっていれば補充したりするロボットができれば、電池交換はモダンなEVでも技術的には可能になると思われます。

  25. 2018年になってトヨタが電池交換式のEVに舵を切りました。
    富士通もベンチャーと組んで此の方式の普及に乗り出すそうです。

    1. 山田の霰様、コメントありがとうございます。私もニュースで拝見しました。しかし舵を切るのではなく、検討するという表現になっていましたよ。
      確かに中国では電池交換式をトライしている、NIOというベンチャーがあります。しかし、この会社はまだ充電網を作っていませんし、車両も作っていません。
      過去の歴史の中で、ブレイクスルーが難しいと分かっている技術を、どう乗り越えようとしているのか興味がありますね。個人的推測ではありますが、これは、トヨタ車専用、ディーラー専用みたいな仕組みにして、「ディーラーの生存策の一つ」として設計されているのではないでしょうか。マンション住民など、充電が難しかったり、面倒だったりする人々に、高額ではあるけどディーラーに行くことで、1台当たり数千円の利益をディーラーに落とすことのできる仕組み、です。

  26. 大変面白い話題を読ませていただきました。私は今地方公共交通活性化協議会の公募委員として、大都市近郊の公共交通維持に関する検討をしています。
    可能であれば環境保護の観点からバッテリー駆動バスを導入したいと考えています。
    (エコバス導入には1/3補助が出ます。)
    私の関係するバス路線は片道8.3kmで往復16.6km 往復54分 折り返しの片方で約6分の待ち時間ができます。4台程度で運行します。この間に充電・交換可能ならば航続距離25kmの電池でいいのではないかと思います。急速充電では電池寿命も短くなるでしょう。複数個のバッテリーを使って交換することで初期費用を安くバス重量を軽く、メンテナンス費用も安くならないものでしょうか。過渡的な対応ではありますが、待ったなしの状況では可能性の一つとして検討したいと思います。バス折り返し地点に十分な土地もあります。問題は自動交換機構と接点構造と材料でしょうか。
    それと新規性に乏しいので話題性に欠けますね。中国で実用化しているのをもう少し詳しく知りたいです。こんなサイトがありました。
    http://www.aleees.com/ja/application-jp/apebuses-jp.html

    1. 土屋様、コメントありがとうございます。
      バッテリー駆動バスの先駆者は中国BYD社です。いろいろ海外製ということもあって二の足を踏むと思いますが、電動バスのトヨタはBYDなんです。
      日本メーカーがないところが残念ですが、ロサンゼルスや日本では京都でもBYDのバスは走行しています。一度、BYDに問い合わせてみられてはいかがでしょうか?

      あとバッテリーを小さくする件ですが、例えばメンテナンス工場などへも走行する必要があると思いますので、50-80kmくらいの航続距離は必要ではないでしょうか?今は急速充電でもバッテリーの痛みは少なく、また大きなバッテリーほど急速充電の速度を上げることができ、電池の痛みも少なくなります。

  27. 現在 電気自動車等のバッテリーは毎日12時間使用していて何年もちますか!
    私の経験で バッテリーの種類が違うかも知れませんがニッケル水素のバッテリー
    等はいいところ2年間ぐらいで使用できなくなりました。
    負荷としては 照明用またはビデオカメラ・モニター等に使用していました。
    実際に電気自動車用のバッテリーが現時点で何年使用できるのか 疑問です!
    車には 車検が有ると思いますが この様な事を考えると車検のたびにバッテリー
    交換をするようで 車検の金額が高くつくのではないのでしょうか!

    1. 三代田様、コメントありがとうございます!また多忙のためコメントを拝見するのが遅くなり申し訳ございませんでした。
      http://www.tesloop.com/blog/2017/8/30/tesla-model-s-hits-300k-miles-with-less-than-11k-maintenance-costs
      一つの例ですが、テスラモデルSをフリート(人の運送の業務)で使っているケースの報告です。毎月2万7千キロ走行し、トータルで48万キロを走行したそうです。
      サービスの記録も公開されています。まあこれは短い期間で超長距離を走行するケースなのでお問い合わせの件とは異なると思いますが、ちゃんと水冷式のバッテリーを装備したクルマなら通常の使用では問題ないと思います。購入を検討される前に、車両のバッテリーが強制空冷か強制水冷であることを確認されてはいかがかと思います。

  28. 初めてコメントいたします。
    私は、2013年に日経夕刊の記事で『カセットガスボンベで走る電気自動車が福島で発売された』を見て軽トラックを電気自動車にコンバートしました。
    その際、私の車にカセットガスボンベの発電機をビルトインすることが、
    仙台の陸運局で通らず(初号機は通ったのに?)仕方なく、
    助手席に発電機を置くという形になってしまった経緯があります。
    https://www.youtube.com/watch?v=_xliiMwpLLg
    ところで、
    今回の電気自動車をバッテリー交換方式にしたら良いのでは?
    という議論ですが、
    日本の法律(道交法)の観点からは、OK、かNG、どうなのでしょうか?
    前に、水に浮く超小型EVの開発で現在はタイで活動をしているFOMMの鶴巻さんが、インタビューで”日本では自動車のバッテリーのリースはできないのです。なぜなら「走れる状態で車を売らなければならない」という規則があるため、車体とバッテリーを別にして売ることが許されていないからです。”と言っていました。
    http://www.mugendai-web.jp/archives/6170
    それは、どの法律でどのあたりなのか調べてみましたが、正確には分かりませんでした。(解釈の問題なのか?)
    私は台湾のGOGOROのように、街中にステーションが沢山ありバッテリーが無くなればいつでも交換できるシステムを東京でも実現して欲しいと思っています。

    1. 佐藤様、コメントありがとうございます!カセットボンベでも車が走るのですね。スゴいです。ある意味、Nikola Motorのお手本みたいです。
      https://nikolamotor.com

      さておっしゃる法律ですが私も分かりません。でも車全体をリースにしてしまえばOKのハズですよね。日本ではメーカー直販がほとんど一般的ではないのでビジネスの仕組みづくりが大変そうですが、メーカーとリース会社が協力すれば、車体とバッテリーを合わせてリースして、必要に応じてバッテリーだけ交換すればいいのだと思います。
      欧州ではルノーがバッテリーのみのリースをやってますね。これはもちろん航続距離を延長するためではなく、アップフロントでの支払額を減らして購入しやすくするのが目的です。

    2. やはり、前例がない(少ない)ものは、難しいですね。
      台湾のGOGOROは車体は個人の所有で、バッテリーはシェアシステムなのでやはり画期的ですね。
      車体とバッテリーをそれぞれリース形だと、タイムズカーシェアのように車そのものをシェアした方が良さそうと考えてしまい、車体とバッテリーを別々にする意味が無くなってしまいます。
      昔、興和さんが扱っていたイタリア製のEV『BIRO』を大阪の代理店さんが扱っていますが、バッテリーが脱着式になっていてキャリアバックのように運べるようです。
      これをバッテリーだけ増やして交換できるようになれば面白いのに。

    3. 佐藤順様、コメントありがとうございます!電池をセルに分けて、パラパラと交換するわけですね。仮にセルが50個必要だった場合(手で持てるサイズにするとそのくらいになるかも)、全部変えるなら問題ないです。しかしそれは面倒だから、、ということで一つだけ交換すると、バッテリーパックの容量は、その中で一番充電の少ないセルの分しか発揮できません。例えば他のセルが全部80%充電でも、一つでも10%のセルがあったらバッテリー総容量は10%になってしまうのです。なぜなら、その10%は放電するにつれて他のセルと同時に電気が使われていってしまい、そのセルだけ先に0%になってしまうからです。
      なかなか難しいですよね。電池は液体のようにはいかないんです。

  29. バッテリーを交換式(取り外し式)にしたらいいのではないか?というお話。これは結論から言うと、おそらくあり得ないと思います。
    →間違いです。一企業がやるのならそうでしょう。しかし、国家がそう命じればどうでしょうか?
    よく考えてください。

    1. ありこ様、コメントありがとうございます。
      国家が命じるということは民主主義の場合、どの国においても、法律を作るということであり、法律を作るということは国民が選んだ国会議員が法案を議決することを意味すると思います。交換式にするにしろサイズも規定しないといけないし中身も規定しないといけないし、電池パックの内部のBMSというソフトウェアやセンサー、コンタクターというスイッチが故障した場合の責任も明確にしなければなりません。技術的にいってかなりハードルが高そうに感じました。例えばコンタクターが壊れたら走れなくなるわけですが、それは誰のせいにするのか、法律で決めないといけないですね。交換した電池パックは誰かが充電して価値を算定、価値が低減(例えば傷んでいたら)していた場合、受け取った電池パックの価値査定額との差額をカードに請求しなければなりません。法律にすればなんでも決められるか、、というとそうでもないと思います。
      それをやるくらいなら、日本国内のすべてのSA/PAに超急速充電器を8基ずつ、将来16基化できるような設備で設置してはどうでしょう。それでも多分500-600億くらいしかかからないと思います。

  30. どうしても現行の大衆車の形を維持しなければならない必然性があるのであれば、同じタイプの自動車200万台を100万人でシェアして伝馬制として駅で馬を乗りかえればいいだけなんだけど、いまだに車の所有欲は根強いから難しいだろね。
    自分だけの車を維持するなら、メインバッテリーを内蔵して、例えば簡単にトレーラ型とかで後部脱着式の交換バッテリーからチャージすればいいのでは?
    「現在のガソリン自家用車を電気に変えるだけで使い勝手はそのまま」の要求を満たすのが明らかに難しいんだから、自家用車に本当に必要なものは何か?から考え直して、新しい燃料で満たせる形を描くべきじゃないかな?
    それが出来ないなら、電気から合成油等の燃料を作り、自動車の内燃機関はそのまま据え置いた方が効率がいいモデルができそう。水素はダメだろうけど・・・

    1. anony様、コメントありがとうございます。車をシェアするのはカーシェアリングを始めとしてどんどん広がっていますね。あのカーシェア大手タイムズさんも、需要増のためにすでに自社管理地だけでは足りなくなって、土地を借りてまで営業していると聞きます。時間はかかると思いますが、特に東京の若い世代や子供のいない世代には受け入れられていくと思います。

      後部脱着式などの異形のものは今までいろいろ個人レベルでは試されてきていると思います。発電機をトレーラーで引いたりも、ですね。しかしこれには多くの問題があると思うのです。まずは衝突安全性。後方から衝突された場合に、非常に硬くて重いものが後ろにあると、車がどこかに飛び出してしまうリスクがあります。空力もかなり落ちますので、おそらく高速道路での電費はかなり悪化すると思います。例えばテスラモデルXでは2.2tまで牽引が可能なのですが、
      https://electrek.co/2016/04/08/tesla-model-x-tow-test/
      この記事によれば約1tのトレーラーの牽引で70%くらいまで電費が悪化したとのことです(3割減)。このトレーラーは空力をある程度考慮したものですので、こういう形にしないとまずいってことなのですよね。

      新しい燃料は研究が進んでいると思います。バイオエタノール(パワー出ないから売れなさそうだけど)、バイオディーゼル(NOxの問題が=大気汚染の原因となる)、そして最後に残されたのはアンモニア燃料電池とか(劇物だがEVになるのでパワーは充分、低エネルギー効率)。私見ですが、合成油はEVよりさらに道が遠そうに思います。

  31. エンジンのみ
    エンジン+バッテリー
    バッテリーのみ
    第四の選択
    バッテリー+バッテリー
    ツインバッテリー
    メイン大は交換不可能
    サブ小は交換可能
    サブは各メーカー共通規格に
    別回路の充電別プラグ
    メイン後輪駆動用
    サブ前輪駆動用
    制御シンクロコントロール
    両方で4WD
    サブ off、残量低下、取外しでFR
    メイン低下時サブにてアシストでFF
    サブ→メイン充電選択FR
    など、できませかね?

    1. typeSE様、アイディアありがとうございます。ダブル電池ということですね。サブを交換するときにどのくらいの容量のものにするのかが問題になりそうです。例えば10kWhだとほんの50kmくらいしか走れませんよね?次のSAにたどり着けるくらい?緊急用となりそうな気がします。また10kWhですら人が持ち上げて交換することは不可能かと。

  32. 私は充電器製造メーカーに勤務しており、いつも目からウロコが落ちる文面等感心しております。
    さて、今回のテーマでありますバッテリー交換方式ですが、実は中国でEVバスが商用運用されており、上海ではトローリー方式で走行中充電している場所もありますが、大多数はバッテリー交換式を採用しているようです。実際に山東沂星電動汽車でも交換式EVバスを販売しております。青島市他でも実際に交換式を多く採用されているようですが、バッテリー毎に劣化施行具合や残容量のばらつき他の要因で交換用充電器に装填した段階でバッテリーが破壊する回数が多いと聞いております(年間で全EVバスの数10%相当にあたるバッテリーを新規購入しているようです)充電時間が長いので(すみません充電器の要因ではありませんので)交換式の方がメリットを感じる方が多いと思いますが、重量の問題や故障率、そして劣化したバッテリーのレンタル等々の問題の方が多いと思っておりますので、30分は休憩時間としてリラックスタイムと考えた方が宜しいかと(実際にEVフィットを運航してますが、貴重な30分休憩としてます)

    1. kent様、コメントありがとうございます。また充電器メーカーに勤務されていらっしゃるとのこと、貴重な情報ありがとうございます。今後もプロのご意見をお聞かせいただければ幸いです。
      さて中国でのEVバスは毎年どんどん増え続けていますね。ワイヤレス充電を採用しているEVバスはいくつか調べておりましたが、バッテリー交換式をやっているところがあるとは知りませんでした。ワイヤレス充電では100kW以上の大電力で充電しているところもあるようですね。バスは特定の駐車場所がありますし、そこに必ずいつかは戻ってきますので、交換式も充分選択肢に入りそうですね。今度もっと調査して記事にまとめたいと思います。

  33. ふーん。そういう歴史があったんですねえ。私も交換式ダメなん?と思っていた口でしたが、まさか電気自動車において「バッテリーを交換する」は「ガソリンではなくエンジンを入れ換えることに等しい」なんてね。

    ついさっきイスラエルの企業がテスラを5分で瞬間充電できる技術を開発したってニュースを見て来ましたが、交換式はとっくの昔に失敗してたんですね。まあプロなら誰でも試してみる手法か

    1. アポ無しですが何か?様、コメントありがとうございます。バッテリーというのは寿命短い、小さい、というイメージがあるものですが、自動車に使われているものは寿命が非常に長く、ヒーターが付いていたり、クーラントの配管が入っていたりしてものすごく重いので、交換するにしてもフォークリフトくらいじゃどうにもならなかったりするのですよね。それでも、倉庫内などでは、電動フォークリフトがバッテリー交換で動いている、というコメントを以前いただきました。今後、急速充電の速度は少しずつ上がっていくと思います。長距離EVの電費は5km/kWh程度に落ち着くことが多いので、これをベースに考えると3時間運転して15分休憩、すなわち300km/(5km/kWh)=60kWh、60kWh/(15/60)=240kWということで、15分休憩なら240kW、30分休憩なら120kWが必要ということになります。ちょうどこの後者(30分休憩)を実現しているのが現在のテスラとスーパーチャージャーネットワークですね。240kW平均(いま、マーケットでは350kWの開発が進んでいます)の急速充電器が出てくれば、ガソリン車と全くそん色なくなることになります。

  34. 営業所の近傍を1日中走り回る配送車とか、構内走行専用車とかならコストメリットが出るんじゃないですか?

    1. itoshinさま、コメントありがとうございます!
      そうですね、Facebookのほうでも同様のご意見をいただいています。ただ近隣の配送車なら一日300km走れれば充分なので今の技術では交換不要ですね。

    1. 自動車の出力と太陽光の面積当たりのエネルギーを計算すればあまり意味がないことだと気が付くよ

    2. YasukawaHiroshiさん
      冷たい感じになってしまいましたが僕だって電気自動車に太陽光パネル載せたら最強じゃんと思ってた事がありました。

      でも実際は自転車から原付を動かすくらいのパワーしか出ない。
      屋根付き3輪自転車の屋根に太陽光パネルを載せて電動アシスト自転車にするとかそういうことくらいが限界なんですよね。

    3. あああ 様、はい、まあ一週間車を走らせず太陽光で充電すれば、コンビニくらいには行けるかもしれないですw

  35. リーフに乗っています、
    バッテリー交換式いいなと思ったことも有りました、しかし現在劣化したバッテリーと戦っております(笑)
    バッテリー同じ100%でも劣化していれば走れる距離が全然変わると思います、このバッテリーはどれぐらい走れるバッテリーなのか気にしながら交換も嫌ですね。
    すべて平均以上のバッテリーを準備するのもコスト掛かると思いますし普及は難しいですよねー
    高速など電磁誘導専用レーンなどで走りながら充電したり、スロットルカーの様に受けた電気を使いながら走れたら面白いと思います!

    1. famix様、コメントありがとうございます!
      確かにバッテリーには劣化の課題もありますし、借りたバッテリーだからといって乱暴に扱い、酷使されたようなバッテリーと交換されたら困る、というのはありますね。テスラではそのため、バッテリーは交換はするけど、そのバッテリーは貸しバッテリーとなっていて、帰路に再度自分のバッテリーを返してもらわないといけないようになっていました。

  36. 最初の発電機搭載というのはレンジエクステンダーですね
    市販車だとBMW i3 レンジエクステンダーやノートe-POWERがそちらに近い考え方です

    1. atlan様、レンジエクステンダーはバッテリー容量の増加に伴い、だんだんと減少する方向にあると考えています。今年以降に発売されてくる電気自動車は300kmを走行できる(冬でも230km程度?)車であり、わざわざ重いエンジンやガソリンタンクを追加して、オイル交換の手間などを増やしてまではエンジンを追加する必要がない、というのが理由です。現行車種の中では、(厳密にはパラレルハイブリッドに分類されるべき車ですが)GMのVOLTがレンジエクステンダーでは最も売れています。日本には導入されていませんね。300万円未満というのは重要だと思います。あとこのブログ的にはe-POWERはレンジエクステンダーではなく、通常のハイブリッドまたはシリーズハイブリッドに分類し、電気自動車の仲間には入れません。充電できない車は化石燃料車、という考え方です。

  37. 交換式バッテリーについてのシロウト的疑問ですが、バッテリーを1つで考えると300kgなので交換式は難しいというお話ですが、複数カートリッジのような方式では難しいのでしょうか?
    20~30kg程度のバッテリーカートリッジを複数搭載して順次使用し、残量がなくなったカートリッジを交換所で交換して積載するという方式です
    もちろんコストの面や、搭載レイアウトや効率いう点ではあまり現実的ではないのかもしれませんが、バッテリー性能や小型化の技術が進めば、複数カートリッジバッテリー交換式というのは夢ではないような気がするのですが・・・

    1. Dee様、コメントありがとうございます。はい、そのようなことも技術的には可能ですね。
      ただ電池は必ず、直列か並列に接続しなければなりません。
      直列に接続しているカートリッジの一つが交換され充電100%、他のカートリッジは放電して空に近い10%の状態であるとしましょう。この状態で走行して10%を使用すると、交換されたカートリッジはざっくり90%、しかし他のカートリッジが0%になってしまうのでこれ以上の放電ができなくなります。このカートリッジをバイパスして走行する方法もあります。この場合例えば5個のカートリッジが直列接続されていると仮定するなら、1個を切り離すごとに20%電圧が下がりますので20%出力が下がり、パワーが出なくなってしまいます。最後の1個になると、最初は100馬力で充分なパワーのある車が、20馬力になり、坂を登れなくなってしまいます。精密に制御を行い、カートリッジを少し多めに搭載するなど、工夫が必要になることが分かります。
      並列も検証しましょう。並列接続しているカートリッジの一つが交換され充電100%、他のカートリッジは放電して空に近い10%の状態であるとします。この状態で放電していくと、交換されたカートリッジのほうが電圧が高いため、交換されたカートリッジから空のカートリッジに対して電流が流れ、交換されたカートリッジに大きな負荷がかかってしまいます。これも空のカートリッジを切り離したりする方法で何とかなるかも。

      最後の課題は充電時で、電圧がバラバラになってしまったカートリッジをバラバラに充電する必要があるわけなんですが、この時、カートリッジ1個を充電するのと、10個を充電するのでは、充電に必要な電流は10倍異なります。つまり、1個ずつ充電すると10倍の時間がかかるんです。ただでさえ遅い充電速度がさらに遅くなってしまいます。

      二次電池は液体燃料と大きく違い、一つ一つが化学反応を内蔵したシステムみたいなものになっています。しかも一つだけでは充分な出力が得られないので、複数個組み合わせて作る必要があり、それらの組み合わせたカートリッジ(通常はモジュールと呼ばれています)は特性を揃えておかないといけないのです。

  38. 普及しなかったもうひとつの理由に、電気自動車の普及密度が低かったのもあると思います。極端な考え方をすると分かりやすいのですが、もし 電気自動車1台しかなかったら、使っているのと交換用で2つ要りますので電池コストが2倍になります。

    1. ためぞう様、確かにおっしゃる通りですね。どのくらい在庫を持たないといけないのか想像もつきませんが、普及したら膨大な量になることは間違いないですね。

  39. BMWi3もレトロフィットできるので、バッテリー交換出来ると聞いているので、3社ではないのですか?

    1. 中瀬様、コメントありがとうございます!
      そうですね、レトロフィット(納車後の交換)ができる車はあると思います。今回の記事は、工場で交換するのではなく、バッテリーを充電する代わりに満充電のバッテリーと交換する、という前提の内容でした。後ほど記事をもう少し分かりやすくしてみます。

    1. Kumai様、コメントありがとうございます!
      はい、二次電池、すなわち充電式電池に一般的に言える現象なのですが、二次電池を充電する際にはCという単位が使われます。これはその電池の容量をmAh(ミリアンペアアワー)またはAh(アンペアアワー)で表すのですが、その容量を1時間で充電できる電流を表す電流の単位です。
      例えば3400mAhの電池に3400mA(ミリアンペア)流して充電すると1Cです。

      ではこれと電池の容量の関係はというと、電池には電流の他に電圧というのがあります。これはリチウムイオン電池の場合3.2V(空)くらいから4.2V(満充電)くらいまで変化し、充電中はだんだんと電圧が上がっていきます。
      電圧V x 電流A = 電力W
      電圧V x 電池容量Ah = 電力量Wh(ワットアワー)
      です。つまりCは電流ですから、Vをかけると比例でWhつまり電池が貯められる電力量になります。

      電池のタイプにより何Cで充電できるかは異なります。新型リーフが使っているNMCというタイプのリチウムイオン電池は、Cが大きく安全性が高く、その代わりに同じ重量比較で電気を少ししか貯めることができません。テスラが使っているNCAというリチウムイオン電池は、充電時のCは控えめ、安全性もNMCよりは低い代わりに、電気を貯められる量、すなわち密度(Specific Energy)が非常に高いのです。

      ただ同じ電池なら、容量kWhが倍になれば、先ほどの式で右辺が倍になりますので、C値も倍になることがわかると思います。すなわち倍の速度で充電できるわけです。テスラは、C値のあまり高くないNCAを使っているため本来は充電速度はあまり上げられないはずなのですが、バッテリーを多く搭載することにより、充電速度の問題を解決しています。

  40. 予備発電として性能の良いポータブル発電機をトランクに設置すればいいと思います。ポータブル発電機と電気自動車のハイブリッドです。

    1. 本郷様、コメントありがとうございます!
      確かにそういう方法もありますね。この場合、発電機からは排気ガスが出るので、それが車外に排出されるようにしなければならない点、および追突された際に発電機のガソリンに引火して車内が火事にならないようにしなければなりません。結果として、今の厳しい安全基準をクリアするとなると、プラグインハイブリッド車になるのだと思います。アウトランダーPHEVはプリウスPHVをはじめとするプラグインハイブリッド車は、発電用のエンジンとガソリンタンク、そして法規に準拠した排ガスの浄化装置を標準で搭載しています。

    2. 発電機は乗せ降ろしで燃料はカセットガスで良いかもですね。
      コンビニで買えるってのも良いと思います。
      それなら排ガスの問題も軽くなりますが問題は発電容量ですね。
      ポータブルである以上はそれ程容量は稼げないでしょうね。

    3. おおきいクマ様、コメントありがとうございます。横から失礼いたします。カセットガスは考えたことがありませんでした。
      https://www.mhi-eng.com/products/portablepower/mgc900.html
      # 証明書エラーが出ますのでご注意を(三菱重工さんしっかりして!)

      850VA = だいたい0.85kWとして1時間発電ができるわけですね。
      日産リーフの電費を7km/kWhとすると、カセット2本で約6km走行できます。1本100円くらいですから2本で200円。ガソリン1lを120円とするとリッター3.75km。なかなかガスは高額であることが分かりますね(初めて計算しました)。ちなみにこのリーフを普通に昼間の電気で走らせると30円/1kWh。ガソリン換算では120円で4倍走っちゃうわけですからリッター28km相当ということになります。電気の7倍の燃料価格と、コンビニでの入手性・交換の容易性をどうバランス付けるかになりますね。

    4. 本郷様、コメントありがとうございます!面白いですね。電気自動車が発売された初期のころ、実際にそういうアイディアは見たことがあります。ちょっと計算してみましょう。例えばホンダの発電機の最上位モデル
      http://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu55is/
      これは5.5kVAですから出力は5.5kW位と考えましょう。新型日産リーフが走行する際、EPA航続距離240kmを時速100kmで走行すると2.4時間。40kWhを2.4時間で使うわけですから16.7kWの入力が必要です。つまり、この最上位モデルの発電機の出力では、新型日産リーフで、時速100kmを出すことができません。半分の速度だと航続距離もぐんと伸びるでしょうから何とも言えませんが、ギリギリでしょうかね。公道を走行するには危険なレベルかと思います。
      また逆に充電すると考えてみます。40kWhのリーフのバッテリーに5.5kWで充電すると、空から80%まで、40 x 0.8 / 5.5 = 5.8時間かかります。仮に30分間充電してから走らせると、電費を7km/kWhとして、5.5 x 30 / 60 x 7 = 19.25km走行できます。
      なかなかハードですよね?

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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