電気自動車でエコドライブ

今回はいつもと趣向を変えて、電気自動車やPHEVでエコドライブをする方法を考えてみたいと思います。ガソリン車とは違うんです。周りの車に迷惑をかけない範囲で、電気を節約してみましょう♪

電気自動車は電気で動きます。PHEVは普段は電気だけで動き、必要に応じてエンジンの力を借りることができます。そしてもちろん、電気自動車/PHEVで電気を節約してエコドライブすれば、電気代が節約できるのです。実は、ガソリン車のガソリンを節約する方法と、電気自動車/PHEVでの電気を節約する方法はちょっと違います。

目次

  1. おさらい:ガソリン車でエコドライブするには?
  2. 電気自動車/PHEVでのエコドライブ
  3. まとめ

おさらい:ガソリン車でエコドライブするには?

Woman saves money for fuel with electrically power outdoorsガソリン車は、ガソリンを細かい粒にして、空気と混ぜてエンジン内で爆発させ、爆発時の膨張する力と熱のうち、力だけを使ってタイヤを回転させます。ガソリンの持つエネルギーのうち60%以上は熱に変換されるので、暖房するとき以外はこの熱はすべて車外に捨てる必要があります。

それでは普段の走行をシミュレーションしてみましょう。まずエンジンをかけ、車を低速から走らせます。アクセルを踏むと加速し、ブレーキを踏むと減速。赤信号では車は止まりますがエンジンは(車によってはアイドリングストップ)アイドリングのまま、ガソリンを燃やし続けます。高速道路に入るときはある程度しっかり加速して流れに乗って走行します。
速度によって燃費はどのように変化するのでしょうか?下図は資源エネルギー庁による平成24年度、自動車実走行燃料消費情報等提供事業の報告書からの引用です。時速60kmから80kmあたりをピークに、速度が落ちると極端に燃費が悪化し、また速度が時速100kmに上がると逆に悪化していっていることもお分かりいただけると思います。

省資源エネルギー庁 平成24年度省エネルギー設備導入等促進事業 (自動車実走行燃料消費情報等提供事業)報告書
省資源エネルギー庁 平成24年度省エネルギー設備導入等促進事業 (自動車実走行燃料消費情報等提供事業)報告書

それでは表にしてみましょう。

行動ガソリン車の燃費
低速走行(10km/h-20km/h)×(ハイブリッド車は△)
中速走行(40km/h-60km/h)
高速走行(80km/h-100km/h)
加速
急加速×
減速×
急減速×
アイドリング×
高速連続走行
冷房
暖房-(関係なし)

つまり燃費を向上させるためには、一般道では制限速度付近、高速道路では時速80kmで、なるべく加速・減速を避けて走行すればよく、アイドリングはできる限りしなければよいわけなんですね。減速そのものではガソリンは消費しませんが(運動エネルギーがブレーキで熱に変わるだけ)、減速の後は必ず加速しなければならないので、やはり燃費には影響するファクターになります。

それでは、仮に前車後続車なし、時速30kmで走行中に、前方遠くに長そうな赤信号が見えてきたとします。①アクセルを離し、惰性で走行しながらなんとか信号までたどり着く、②そのまま時速30kmで一定速度走行する、③一端制限速度もしくは時速50kmまで速度をゆっくり上げ、信号が近づいたらゆっくり減速するのとどちらが燃費がよいでしょうか?
答えは①。アクセルを踏むと、燃費は悪化するのです。50km/hまで加速するときに使ったガソリンは熱と車の運動エネルギーに変換されますが、減速するときにブレーキで熱になって捨てられてしまいます。ハイブリッド車では、このブレーキ時にエネルギーをバッテリーに回収して再利用する仕組みがあることにより、市街地での低速走行時の燃費を向上させることができます。

坂道ではどうでしょうか。登り坂では、アクセルを踏まないとどんどん速度が落ちてしまいます。ですから、交通の流れを乱さない程度にアクセルを軽く踏みつつ、少しずつ「減速」しながら坂を登ると燃費を向上させることができます。混雑している高速道路でこれをやると、確実に渋滞の原因となりますので、気を付けましょう。
下り坂は逆です。アクセルを踏まないで、できるだけ高いギア(オートマチック車ではDレンジでOK)に入れ、そのまま惰性で走行しますが、速度がどんどん上がっていってしまうので制限速度を超えないように注意しましょう。制限速度を超える場合には、低いギアに変更してエンジンブレーキを使うか、わずかな調整であればブレーキを踏んでも構いません。坂を下るということは、地球が車を下向きに引っ張ってくれていますので、車はどんどん運動エネルギーをタダでもらえる形になります。制限速度に達していないのにブレーキを踏んでしまうと、せっかくの無料エネルギーを熱に変換して捨ててしまうという、もったいないことになりますので、少しスピードを出して使ってしまいましょう。スピードを上げたことで車には運動エネルギーが貯まり、その分空気抵抗も増えますが、下り坂が終了したときに速度が早ければ加速するためにガソリンを使う必要がなくなります。

ポイントをまとめてみましょう。

  • 後続車に迷惑をかけない範囲で、アクセルは踏まず、時速40-60km程度を一定に維持します
  • 速度を落とさなければならない事象が発生した場合には(信号、自車より遅い前車、渋滞など)、発生した時点ですぐに、後続車に迷惑をかけない範囲でアクセルを離し、わずかに調整しながら信号/前車/渋滞まで走行します。最後はブレーキで止まります
  • 登り坂は、後続車に迷惑をかけない範囲で少しずつ減速しながら走行します
  • 下り坂は、制限速度を超えない範囲で、アクセルを完全に離し惰性で走行します。制限速度を超えそうになったらまずはエンジンブレーキ、それでも不足ならフットブレーキで速度を押さえます

おまけ:窓はすべて閉めておくと燃費が向上します。速度が速い場合、窓を閉めてエアコンをかけたほうが窓を開けてエアコンOFFより燃費が良いこともありますよ。窓を開けると車の空力が悪化し、空気抵抗が増してしまうのです。

電気自動車/PHEVでのエコドライブ

Electric car charging at electric petrol station - E-Mobility電気自動車やPHEVでのモーター走行では、車に搭載されている電池から電気が流れ、インバーターという素子を通して電気の量をアクセルの踏み具合に合わせて変化させ、モーターを回し、タイヤを回しています。インバーターでは、電池の直流からモーターを回すのに必要な交流に変換するためのロスが発生しますが、一般的に10%以下に抑えることができることと、モーターのロスは非常に少ないことから、電池に貯めた電気をかなり無駄なく走行に使うことができるのです。
ただし、電気自動車には逆に無駄な熱というものが非常に少なく、インバーターやモーターの熱だけでは暖房には不十分となり、家庭の暖房と同様にPTCヒーターやヒートポンプエアコンを用いて暖房しなければいけません。このため、冬はどうしても電費が悪化してしまいます。

行動電気自動車の電費(参考)ガソリン車
低速走行(10km/h-20km/h)×(ハイブリッド車は△)
中速走行(40km/h-60km/h)
高速走行(80km/h-100km/h)
加速
急加速×
減速×
急減速×
アイドリング-(関係なし)×
高速連続走行
冷房
暖房×-(関係なし)

あれ?電気自動車で×が付いているのは暖房だけ?
そうです。電気自動車ではガソリン車と異なり、運転方法による電費の変化は少なくなるのです。スポーツ走行(汗 をする方とエコドライブをする方で、ガソリン車では倍くらい燃費が違ったりするものですが、電気自動車の場合はせいぜい30%くらいしか違わないことも多いです。それでも△のところがありますので、解説してみましょう。

電気自動車の電費が悪化するポイントはズバリ3つ。減速、高速連続走行、暖房です!ちなみに電気自動車のモーターは完全に停止した状態からすぐフルパワーで走行を開始できますので、信号待ちなどではモーターは停止。アイドリングは行いません。
ガソリン車では、減速時、運動エネルギーが捨てられてしまうので燃費に影響が大きかったのですが、電気自動車には回生ブレーキというものがあります。これはアクセルを離したりレバーなどの操作をすることにより、走行用モーターを発電機として使い、車の運動エネルギーで発電してバッテリーに充電する仕組みなのですが、加速するために使った電気を100%取り戻せるわけではなく、最大でも50%くらいしか回収することができません(ガソリン車では回収は0)。ですから、やはり減速しないほうがよいのはガソリン車と同じなのです。ただ電気自動車はアクセル操作だけでニュートラルに入れるような操作ができ、運動エネルギーを無駄にせず消費することができます。パワーメーターが付いている車では、電気の流れがプラス(加速)でもマイナス(回生)でもない、ちょうどゼロの位置になるようアクセル開度を調整すると、電力消費ゼロで走行できます。この状態をコースティングと言いますが、回生ブレーキをかけるよりコースティングでわずかずつ減速するほうが電費がよくなるのです。

Eco Car Vehicle Transportation 3D Illustration Concept高速連続走行を行うと、加減速の必要性が少なくなり、ガソリン車はエンジンの効率が良くなるためガソリン消費が減少し、高い速度により多少の空気抵抗は増加するのですが、結果として燃費は良くなっています。電気自動車も基本は同じはずなのですが、中低速での効率がそもそも良いため、電費における空気抵抗の割合は、無駄が少ない分非常に大きく見えてしまいます。時速90km走行と100km走行では、電費の違いを体感することができます。また前方正面から時速30kmの向かい風(風速8.3m・強風)が吹いているときに時速80kmで走行すると、実際に車が受ける空気抵抗は時速110kmで走行しているのと同じ量になるため、目に見えて電費が悪化します。

冬の暖房についてはこちらの記事に詳しく解説していますが、暖房を使用しない場合と比較して、電費は20%-40%ほど悪化します。しかし、暖房は使わないわけにはいかないのでどうしようもないですね。寒い思いをしても仕方がないのですが、シートヒーターやステアリングヒーターは電費への影響が少ないので、最大限活用するとエコドライブが可能です。また、降雪地などで湿度が高い場合は、内気循環でエアコンも入れて除湿暖房にしたほうが、単に暖房を強くする・外気導入より消費電力が少なくて済みます。科学的には、湿度を下げて露点を下げたほうが、温度を上げて露点を超えるよりエネルギーが少なくて済む、ということなんですね。

それではまとめてみましょう。

  • 速度を落とさなければならない事象が発生した場合には(信号、自車より遅い前車、渋滞など)、発生した時点ですぐに、後続車に迷惑をかけない範囲でアクセルを微調整し、電力消費がゼロのポイントにキープしながら、回生ブレーキで安全に停まれる距離を残して信号/前車/渋滞の手前まで走行します(コースティング)。その後回生ブレーキをフルにかけ、最後はフットブレーキで止まります。フットブレーキを踏む量を最小限に抑えます
  • 下り坂は、制限速度を超えない範囲で、コースティングで走行します。制限速度を超えそうになったらまずは回生ブレーキ、それでも不足ならフットブレーキで速度を押さえます
  • 高速道路では、無理に速度を出さないようにしましょう
  • 冬は出発前に暖房を入れておけるなら、あらかじめ車を暖めておきます。出発後は暖房のパワーを少し控えめに、シートヒーターやステアリングヒーターを最大限活用します。結露時は暖房にエアコンも入れて除湿暖房します

おまけ:電気自動車はバックギアがありません。バック走行でも、空気抵抗の悪化の問題はありますが、前進走行と同じような電費で高速走行が可能です。公道では試してはいけません(汗

まとめ

icon electrogas stationいかがでしたか?イメージしていたものと合っていましたか?

電気自動車でのエコドライブのテクニックは、ガソリン車のそれとは違うものです。なるべく回生の開始を遅らせる、回生ブレーキ・フットブレーキを使わないために、前後を良く見ながら最適な走行速度を予測しつつ走行するのが、なかなかゲーム感覚で面白く感じられる方もいらっしゃると思います。
ちなみに、詳しくは別の記事を後日書きたいと思いますが、電気自動車で走行する場合、バッテリーの温度も気にするとさらにエコドライブできます。具体的には、夏は充電前はゆっくり目に走行してバッテリーを冷やしてから充電、冬は車を停めたらすぐ充電し、充電完了後はすぐ出発すると、エネルギーを節約できます。


「電気自動車でエコドライブ」への8件のフィードバック

  1. Yasukawaさん:

     いつもお世話になっております。本当に感謝いたします。

     ジミーです、阪大で留学中の中国人学生です。よろしくお願いいたします。

     今回の記事がエコドライブについての話ですよね、非常に趣味深いです。

     さて、実はさ、私は少しEVにおける環境効果の内容を研究しました。研究不足なんですので、お笑わせないでくださいね。

     EVは走行中に確かにガソリン自動車のように有害排気などを直接排出しないが、仮にEV普及率が急に上がったら、大量電気エネルギーを利用するわけ、発電所に圧力を与えるに違いないでしょうか。換言すれば、中国の例を挙げさせていただきたいと思います。もっと電気エネルギーが必要ならば、火力発電が主導としての中国はもっと発電用の化石燃料を燃えなければならなくて、電気自動車に満足する。そうすると、環境に逆効果を与えるおそれがあると考えられますよね。

     そして、EVの環境性を探求したら、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)という評価方法があります。これは、研究対象に関する資源の採取から製造、使用、廃棄、輸送など全ての段階を通して環境影響を定量的、客観的に評価する手法です。その中には、Well-to-Wheel分析方法が非常に注目されました。分析は二つの部分を分けて、Well-to-TankとTank-to-Wheelですけど。
     Well-to-Tank(WTW)とは資源を採掘し、出産国から消費国まで運送し、精錬させ、タンクまでの過程中に排出した物質をデータ化にする方法であり、Tank-to-Wheel(Vehicle Operation)とは燃料を使用する(自動車運転)過程の中で排出物質を分析することです。つまり、全過程は油井から車輪までの排出エネルギー物質を分析するということです。
     そして、一つの先行研究によって、よくわかったのは電気自動車が運転中に何ものを排出しなく、これが明確ですが、WTWトータル(発電などのプロセス)を見ると、CO・CO2など排出量が伝統車と比べて、減少したのに、SO2・PM物質が少し増加してしまったということである。この論文の研究対象はアイルランドだから、中国の状況はもっと複雑だと考えます。

     多少一つ視点から、EV環境性の研究ですので、どうぞ、ご参考をお願い申し上げます。

     お休みなさいね。

     

  2. お世話になっております。いつも楽しく読ませていただいております。

    BMW 330eを乗っていますが、回生ブレーキ(回生レベルセレクター?)という機能をマニュアルで起動できないため、なるべくコースティングで電費・燃費を向上させようと努めております。
    フットブレーキしかない場合は、Yasukawaさんならどのように工夫しますか?

    他のPHEV車は乗ったことがありませんので詳しくありませんが、BMWも回生ブレーキを操作できるとより楽しくなりそうな気がします。

  3. もう一点ご意見聞かせて頂けますでしょうか。
    BMW 330eの場合、Auto eDriveモードにすると基本エンジンは停止状態です。
    この状態で、長い下り坂をはしる場合を考えると、Auto eDriveのときはエンジンブレーキを使うことができませんので、M/Sモードに切り替える必要があります。
    ただ、M/Sモードにしてしまうと、エンジンがかかり、わずかではありますがガソリンを使ってしまいます。

    Auto eDriveを使って下り坂を長距離はしると、回生ブレーキにより充電しやすいですが、ブレーキパッドにはあまりよろしくないと考えております。
    とはいえ、M/Sモードにすると、燃料を使ってします・・・。

    どの方法が正しいのか、いつも悩まされます。
    Yasukawaさんならどのように使い分けするかアドバイス頂けますでしょうか。

    1. みんみん様、コメントありがとうございます。お読みいただき感謝いたしております。
      BMW 330e、バリバリの新車ですね!私も一度は試乗してみたいと思っています。回生ブレーキについてですが、私はまだ試乗したことがないので聞きかじった知識でしかないのですが、アクセルオフではあまり回生しないように設定されているようですね。そして、回生ブレーキはフットブレーキと連動しているようです。回生量はインパネ下部のグラフで確認できるようですね。ということは、コースティングするのは、アクセルオフだけでよい、ということになります。モデルSやi3のように、アクセルを少し抜き気味にしつつ0kWのラインで調整する、なんてことをしなくてもアクセルオフ=0kWなのではないかと想像します。
      問題はご質問にあるように、下り坂で速度が上がり過ぎてしまうことですよね。その場合、M/Sにしてしまうとガソリンを消費しますし、下り坂で加速してしまうくらい地球が引っ張ってくれるわけですから、ガソリンはほぼ100%無駄になってしまうと考えてよいと思います。この場合は、わずかにフットブレーキを踏んで、回生量を見ながら踏み増してみてはいかがでしょうか?あるところで回生量が上がらなくなると思いますが、その点からブレーキパッドがディスクに接触するのではないかと想像します。ぜひ試してみて、結果を教えていただけますと幸いです。

  4. Yasukawaさん

    ご返答ありがとうございます。
    3ヶ月くらい運転して身についた運転の仕方と、
    アドバイスいただいた内容が一致しておりますので
    おそらくPHEVの正しい運転をしているような気がします。

    逆に、下り道でM/Sモードにしエンジンブレーキを併用したときと
    Auto edrive時の回生エネルギーを比較してみたいと思います。

    また、投稿させて頂きます。
    いつもありがとうございます。

  5. いつもお世話になっております。毎度新しい投稿を楽しみにしております。
    モデルX(90D)を乗っているのですが、一点気になったのでご存知でしたら教えて頂けますでしょうか。

    燃費を向上させる仕組みでコースティング運転の記載がありましたが、加速させた後、ギア(そもそもありませんが、、)をニュートラルに入れて惰性走行させることは問題ないのでしょうか?スピードを落とす時には、エンジンブレーキをかける要領で”D”ドライブに戻します。少し試したところ電費が向上することを確認しました。

    そもそも安全上の懸念もありますが、このような運転で車両に問題は無いのかが気になっております。ちなみに、マニュアルを参照すると”ニュートラルではModel Xが惰性走行します。”との記載だけがありました。

    1. 90D様、コメントありがとうございます!
      その方法で、電費は向上すると思います。私も何度かやったことがあるのですが、やはり安全という意味ではほんの僅かな割合ではありますが、加速して危険回避しなければならなくなった場合に、Nに入っていると一旦Dに入れるというステップが入って時間がかかってしまうという点、またDに戻すときにある程度アクセルを踏んでいないと急減速になる可能性を考えると、私はアクセルで0kW近辺を維持するのが楽かなぁと考えております。
      あくまで私見ですが。

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