電気自動車での旅行の計画

電気自動車で航続距離を超える旅行をするときは簡単な計画が必要です。どうすれば最もラクに旅行できるか、私のやっている方法をご紹介します。

ガソリン車と電気自動車の最大の違いは、満タン時の航続距離(=走行可能距離)にあります。電気自動車では、おおよそ66kmから470kmくらい、一回の充電で走行することができます。それでも充電が一瞬で完了すればよいのですが、充電にはある程度の時間がかかりますので、計画をせず充電が必要になってしまうと、その場所で長時間待たなければならなくなってしまいます。
電気自動車の旅行の計画とは、この長時間の充電時間と何かをうまく「組み合わせる」ことです。日帰り旅行の場合はトイレ休憩や食事、宿泊する旅行の場合はそれらに加え、寝ている間です。トイレ行きながら運転はできませんからね。

目次

  1. トイレ休憩と食事時間の充電
  2. 宿泊する旅行のときの計画

トイレ休憩と食事時間の充電

Cute couple of tourists man and woman consulting a smartphone gps in the street searching locations they need旅行の際に高速道路のSAPAや道の駅、ロードサイドのレストランなどでトイレ休憩や食事をすることは多いと思います。今は北は北海道(輪厚PA上下線、岩見沢SA上下線、砂川ハイウェイオアシスの3か所)から九州まで、かなり多くのSAPAに急速充電器が設置されていますし、砂川ハイウェイオアシス以外はすべて24時間営業です。
トイレ休憩や食事を計画的にとる場合には、あらかじめEVsmartの「高速道路上のスポット検索」機能を使って、ルート上の急速充電器のあるSAPAをチェックしておき、急速充電器が空いていれば、5分でも15分でも利用します。50kW充電器では5分間の充電あたり3.75kWhの電力量が充電でき、これでざっくり15kmくらいは走行することができます。食事時間が30分を超える場合には、30分以内に車両を充電スポットから移動するか、充電待ちが出ていないか確認した上で追加充電を行います。バッテリーの充電量が80%を超えると充電が遅くなりますので、土日などはできる限り80%以上の充電は避けるようにしたほうがよいでしょう。

15分充電なんて、、と馬鹿にするなかれ。充電スポットは他の車と離れているのでドアをぶつけられるリスクも少なくなるし、充電もできて一石二鳥だと考えましょう。5分休憩を、往路と復路それぞれ1回ずつとるだけで、30km分も走行距離が伸びてしまいます。

案外穴場なのは道の駅です。今後全国すべての道の駅に急速充電器が設置される予定になっていますので(計画は記事の時点より遅れています)、休憩や買い物の際には道の駅を利用すれば充電もついでにできるわけです。注意しなければならないのは、道の駅は高速SAPAと違って低出力の充電器が多いということ。その多くが20kWタイプなのですね。20kWタイプは電力会社との契約が家庭用の電灯契約でも設置することができ、電気の基本料金を数分の一に抑えることができます。
先ほどの例で、20kWタイプで15分間充電すると4.5kWh充電でき、その電力量で18kmくらい走行できます。道の駅では15分くらいではあまり充電できませんが、30-60分充電すると36-72kmと、ついで充電の割には結構な走行距離を稼ぐことができます。

宿泊する旅行のときの計画

旅館併設の普通充電器(四万温泉つるや様)
旅館併設の普通充電器(四万温泉つるや様)
宿泊を伴う旅行で一番車を使わない時間、それは睡眠時間です。
自宅で寝ている間に充電するのと同様、旅行中も寝ている間は充電しておけば、朝までに満充電にすることもできます。宿泊するホテルや旅館に充電器があると便利ですね!ここ数年、JTB様が主導で宿泊施設への充電器設置が進みました。一部はNCS化されていますので、NCSカードで支払いが可能。場所によっては、宿泊者は無料で充電器を利用できるところもあります。太っ腹ですね。
宿泊するホテルや旅館に充電器がない場合はどうすればよいのでしょうか。実は、NCSのぞうさんマークがついている普通充電器は、宿泊者以外も利用できます。歩いて行ける距離に充電器があれば、そこに一晩車を置かせていただければよいだけなのですが、充電器を利用する宿泊施設に一言断っておいたほうがよいでしょう。
自動車メーカーでは、テスラが唯一、宿泊施設への充電設備設置に充電器を無償提供しています。テスラ車専用の設備で数は少ないですが、一般の普通充電器よりハイパワーでかつ無料で利用できるため、検索してみてもよいかも知れません。

実際に東京から200km先の場所に、冬、1泊で旅行するケースを考えてみましょう。一般的に電気自動車は冬は30%くらい多く電気を消費しますので、実質距離は片道200kmの30%増しで260km分、往復では520km分となり、テスラモデルSでも満タン1回で途中充電なしに帰ってくることはできません。
私のモデルXの場合、標準値というテスラ独自の航続距離計(EPAより少しだけ厳しめ=距離が少な目に表示)で満タン437km。片道は問題なく走行が可能なので、宿泊施設で充電できれば途中の充電(経路充電と呼ばれています)は必要なさそうです。宿泊施設では520-437=83km分を充電する必要があるということになります。
旅館を利用すると考えて、チェックイン午後4時、チェックアウト午前10時で途中に車を使わないと仮定すると、充電可能時間は18時間になります。普通充電器の出力は通常3kWですが、普通充電では効率が80%くらいしかない(無駄が結構出てしまうのです)ので、充電できる電力量は3kW x 0.8 x 18h = 43.2kWh。日産リーフやBMW i3は満タンになりますが、モデルXでは満タンにはなりませんね。日産リーフの平均電費を7km/kWh、モデルXの平均電費を4.4km/kWhと仮定して、寝ている間に稼ぐことのできる航続距離は:

日産リーフ:満タンなので30kWh、EPA基準171km
テスラモデルX:43.2kWh x 4.4 = 標準値基準190km

ここからはリーフとモデルXの場合に分けて、計算方法を示してみましょう。

モデルXの場合:
往復520km分 – 満タン437km = 83km不足
夜間充電で190km補充可能
到着時には-83 + 190 = 107km走行可能
※経路充電なしでも比較的余裕あり

リーフ30kWhの場合:
片道260km分 – 満タン171km = 89km分不足→経路充電必要
40kWの急速充電器は0.6kWh/分、電費7km/kWhなら0.6 x 7 = 4.2km/分なので、1分間で4.2km分の充電が可能
89km分不足 / 4.2km/分 = 22分間以上、一回充電が必要→余裕をみて30分
夜間充電で171km満タンまで回復
帰りも同様だが、経路充電を40kWで30分したとすると
到着時には-89 + 30 x 4.2 = 37km走行可能
※往復1回ずつの経路充電と宿泊時の充電でちょうどよいくらい

Couple ready to go on electric vehicleいかがでしたか?結構面倒なように見えますが、慣れてくればこのくらいの距離なら行き当たりばったりでも充分旅行できちゃいます。おさらいとして、ポイントを整理しておきましょう。

  • リーフでは車の表示する航続距離計はバッテリー残量を示さないので、計画時には使わない。米国環境保護庁EPA基準の走行可能距離171kmで考える。テスラの場合は標準値をそのまま走行可能距離と考える。走行可能距離を単位にして、目的地に行けるかどうかを計算する。
  • 実際に走行する距離をGoogleマップで計算する。冬はその距離を1.3倍する。
  • 途中充電する場合、1分あたり走行可能距離がどのくらい延びるかをイメージする。下の表を参照。
  • 充電器がある宿に宿泊する場合、充電時間は18時間。小型バッテリー搭載の電気自動車では満タンになるが、大型の電気自動車の場合は半分以下になることもあるので注意。
  • 車の走行可能距離 + 充電で増える距離 – 30のほうが、実際に走行する距離(冬は1.3倍)より大きくなるように計画する。
  • 例:リーフ30kWhで経路充電30分@40kWなら、171km + 126km – 30 = 267km。夏は片道267km、冬は片道205kmまでが充電1回30分での走行可能距離となる。

スムースに走る電気自動車でスムースなご旅行を!

充電器タイプ時間当たりの充電電力量時間当たりの走行可能距離
リーフ電費7km/kWh
時間当たりの走行可能距離
モデルX電費4.4km/kWh
20kW急速0.3kWh/分2.1km/分
63km/30分
1.3km/分
39.6km/30分
40kW急速0.6kWh/分4.2km/分
126km/30分
2.6km/分
79.2km/30分
50kW急速0.75kWh/分5.2km/分
157.5km/30分
3.3km/分
99km/30分
3kW普通 2.4kWh/時16.8km/時
302km/一晩
10.5km/時
190km/一晩

おまけ:各社充電カードで宿泊施設の普通充電器を一晩使うといくらになるか?
カードの種別プラン月額12時間充電18時間充電
(16時チェックイン10時チェックアウト)
日産ZESP2
リーフ30kWh想定
使いホーダイ2000円/毎分1.5円11時間で満充電
990円
11時間で満充電
990円
つど課金1000円/毎分1.5円11時間で満充電
990円
11時間で満充電
990円
三菱電動車両サポート
アウトランダーPHEV想定
ベーシック500円/毎分1.4円4時間で満充電
336円
4時間で満充電
336円
プレミアム1500円/普通充電無料0円0円
トヨタPHV充電サポート
新型プリウスPHV想定
定額1000円/普通充電無料0円0円
従量0円/毎分2.5円2時間20分で満充電
350円
2時間20分で満充電
350円
BMW ChargeNow
新車のみ
急速普通併用0円0円0円
普通専用0円0円0円
テスラチャージングカード急速普通併用3250円/毎分2.5円1800円2700円
JTBおでかけカードプレミア(急速普通併用)5000円/普通充電無料0円0円
レギュラー(普通専用)2500円/普通充電無料0円0円
NCSゲスト料金
充電し続けた想定
0円/毎分8円5760円8640円


「電気自動車での旅行の計画」への7件のフィードバック

  1. 参考になりました!
    僕は家の近くにスーパーチャージャーがあるため、ほとんど無料で充電が出来ます。
    6ヶ月無償のテスラチャージングカードを頂きましたが、更新するか悩みます。
    2ヶ月に1度の割合で県外へ行くとして、月額料金を支払った方がいいのか、その都度の時間支払いがいいのかです。
    アドバイスお願い致します。

    1. スウィーツ様、お世話になっております。確かにそれは悩みどころですね。無料ならもらっておくのが良いと思いますが、有料だと、特に2か月に1回だけの遠出だとちょっと無駄な気もします。シミュレーションしてみましょう。
      まずは前提として2か月に1回の遠出で宿泊をしないか、または宿泊時には急速充電を使うか、無料の普通充電しか使わない場合:
      3250 x 2 + 450 x n = 1500 x n
      n = 6.2
      ですから、往復で6回まで30分間の急速充電をしても、カードなしのほうが安いということになります。
      今度は宿泊時に18時間普通充電するシナリオを想定:
      3250 x 2 + 450 x n + 2700 = 1500 x n + 8640
      n = 0.5
      普通充電料金のゲスト料金が異常に高いため、これだと1回でも急速充電してしまうとカードを持っていたほうが安かったということになりますね。

      結論としては、宿泊を伴い、かつ普通充電を使うほど遠くに行くような場合(例:片道300km以上)であれば、カードはあったほうがよいでしょう。逆に宿泊旅行はあまりしないか、それほど遠くに行かない場合、もしくは宿で普通充電を使わないという前提なら、カードは不要ということになります。とはいえどちらにしろものすごい金額になるわけじゃないので、利便性を取ってカードを契約されてもよいかも知れませんね。ちなみに、充電カードの経済性は、普通充電単価と月会費で測ることができます。今後ファブスコ様がこれらを改善したカードも出されるということですので、詳細が判明次第、ブログにも記事にしたいと思います。

  2. ミニキャブミーブ10.5kWタイプに乗っている者です。
    ここではテスラのことですので関係ないことかもしれませんが・・・。

     記事上で「充電待ちが出ていないか確認した上で追加充電を行います。」
    とのことですが、30分だけでも充分な距離を走れるだけの充電が出来ていると思います。
    追加充電しているときに次の方が来ていることをどのように確認されるのでしょうか?
    次に利用する方でも「充電してるからここはやめておこう。」となるかもしれません。

     高速道路の充電スポットでは特に「1回で切り上げて移動する。」必要があるのではないかと思います。

    「おかわり充電」は原則行わない方向のほうが利用者全体に対していいと思いますがいかかでしょうか?(急速充電できるプラグインハイブリッド車も多くなるなか、容認してしまうのは正直不安です。)

    1. すぎたか様、コメントありがとうございます。
      そうですね、この点についてはなかなか難しいポイントだと思います。私の考え方を書いておきますね。いろんな考え方の方がいらっしゃると思います。
      仮に1回30分間の充電で100km走行できる車がEV-AとEV-Bの二台あったとします。EV-Aの航続距離は100km、EV-Bの航続距離は400kmとします。この状態でEV-AとEV-Bを自宅充電で満充電状態にして出発し、別々に充電しながら長距離を走行していくものとしましょう。長い目で見て、仮に800km走行するものとします。
      EV-A: 800kmのうち700kmは経路充電が必要なので、7回充電、計3時間30分充電器を占有します
      EV-B: 800kmのうち400kmは経路充電が必要。そこで、まとめて1時間ずつ2回充電、計2時間充電器を占有します。30分経過後、待ちが出ていないかチェックします。

      もし自宅充電をせずバッテリーが空の状態で開始した場合、EV-AとEV-Bの充電時間の合計値は、走行距離に比例するだけで、充電時間を分割しても変わりません。仮にEV-Bが30分で充電を止めて次のスポットで充電しても、結局別の場所で充電することになるだけです。またどちらのパターンでも、EV-A/EV-Bが充電開始後、別のEV-Cが到着した場合、最大の待ち時間は30分で変わりません。

      このような考察から、私は30分になった時点で待ちが出ておらず、かつ次に充電を終了する時点で充電器がフルパワー稼働できる状態であるならば、追加充電は許容すべきだと考えています。もう一つの理由として、SCiB以外の電池を搭載していて、テスラ以外のほとんどの完全電気自動車は冬場、30分充電では次の充電スポットにたどり着けないリスクもありますね。
      ※30分経過するごとに次の方に譲るくらいは、トータルの待ち時間を管理する観点から必要なことだと思います。
      ※例えばテスラの場合、75-85%くらいまで充電器出力は125Aを維持します。

      >利用する方でも「充電してるからここはやめておこう。」となるかもしれません

      もし、その車が次のスポットに移動できるのであれば、それは充電設備の効率的な利用になっていると言えると思います。

      来年以降、日本でも実走300km以上の電気自動車が市場に投入されます。バッテリー容量は一気に60kWh程度になると見込まれています。おそらく経路充電での1回の平均充電時間は60分くらいが最適なものになるのではないでしょうか?60分であれば、電費の悪い車でも200km=2時間半程度は走行できますし、食事を含む充分な休憩時間を取ることができます。

  3. リーフに乗っています。
    冬は暖房を付けるので航空可能距離がとても短くなり1時間以上の通勤距離の私にとって充電設備はとても助かっています。
    勤務先の近くにローソンがありそこの駐車場で充電させて頂いて帰るのですが、
    時々黒リーフで充電中の方に困っています。プレートナンバーは差し控えておきますが
    2度目なのでとても困っています。
    もう充電終了なのにどこかに行ってしまって戻ってきてくれません
    これはマナー違反だと思います。
    充電時間30分です
    充電済み次第速やかに移動すべきです。
    お願いします。

    1. momohama様、コメントありがとうございます。充電後放置は旅行の際はともかく、通勤の際にはとても困りますね。
      ただ私の感覚的に、放置している方はそれが迷惑なことと知らない方が多いような気がします。丁寧な内容の手紙を書いて、フロントガラスに置いておいてはいかがでしょうか?おそらく、困っている方がいらっしゃるということが分かれば、さすがにそれをおしてまで放置はしないのではないかと思います。

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