アウディがフランクフルトモーターショーでQ6コンセプトを出展、バッテリーはLG ChemとサムスンSDIがEU工場で生産

本日フォルクスワーゲン社より謎(?)のプレスリリースが出ました。
Powerful battery in Audi electric car with cell modules from LG and Samsung
ポイントは以下です。

アウディがフランクフルトモーターショーでQ6コンセプトを出展、バッテリーはLG ChemとサムスンSDIがEU工場で生産

  • 韓国のハイテク企業LG ChemとサムスンSDIは、欧州にあるバッテリー工場に投資し、アウディに納品する
  • アウディの計画している電気自動車SUVは、航続距離500kmを達成(注、NEDCサイクル)

いくつかの既報により、アウディが2015年9月にドイツで開催されるフランクフルトモーターショーに、クロスオーバーSUVであるQ6のコンセプトモデルを出展することが判明しているようですが、今回のリリースでは、そのQ6のバッテリーについてのアナウンスが行われました。NEDCで500kmというのは、だいたい実電費において日本国内では400km前後と思われ、十分な実用性があると考えられます。このQ6はアウディCEOのルパート・スタッドラー氏の2015年5月22日付けスピーチにより、2018年のリリースが確認されています。先の話ではありますね。
※画像は「auto motor und sport」より。

Purple Car Front以下、プレスリリースのかんたん翻訳になります。翻訳に間違いがあれば私の責任です。
Audi will develop the battery for a purely electrically powered sport utility vehicle on the basis of powerful cell modules from the South Korean suppliers LG Chem and Samsung SDI. The two Audi partners plan to invest in the cell technology in Europe and will supply the Ingolstadt-based car producer from their European plants. The new technology will give drivers of the Audi sport utility vehicle a range of more than 500 kilometers.

アウディは、韓国のバッテリー供給会社であるLG ChemとサムスンSDIよりバッテリーモジュールの供給を受け、純電気自動車のSUV用のバッテリーを開発する。

“Together with our South Korean development partners, we are bringing production of the latest battery-cell technology to the EU and strengthening European industry with this key technology,” stated Dr. Bernd Martens, Member of the Board of Management of AUDI AG for Procurement. The cell modules are to offer particularly high performance. “This will allow us to supply a technological solution that makes electric cars even more attractive for our customers.”

Audi AGの調達担当役員であるDr. Bernd Martens氏「韓国のパートナーと共に、我々は最新のバッテリーセル技術をEUに持ち込み、この基幹技術でEUの産業を強化していく。このモジュールは非常に高性能なものであり、これにより、我々の顧客に今までよりさらに魅力的な電気自動車を提供するための技術を手に入れることができる。」

“With our first battery-electric Audi-SUV, we are combining an emission-free drive system with driving pleasure,” said Prof. Dr. Ulrich Hackenberg, Member of the Board of Management of AUDI AG for Development. “We will optimally integrate the innovative cell modules developed with LG Chem and Samsung SDI into our vehicle architecture, thus achieving an attractive overall package of sportiness and range.”

Audi AGの開発担当役員であるProf. Dr. Ulrich Hackenberg氏「我々の初めての純電気自動車であるAudi SUVで、運転する喜びと(注、窒素酸化物・CO2・PM2.5などの)排出ゼロの駆動システムを両立させることができる。LG ChemとサムスンSDIが開発した革新的なセルモジュールを車両のアーキテクチャに最適な形で統合することで、スポーツ性と航続距離を両立させた全体として魅力的なパッケージングに成功した。」

AUDI-Q6-concept-02_1440x655c【訳者コメント】
Q7 e-tronがPHEVなのですが、Q6はQ7のSUVをもうちょっと低くして、ラグジュアリーSUVだけどスポーツ性をもう少し意識した、ラグジュアリークロスオーバーSUV(LCSUV??)的なところを狙ってくるのでしょうね。そしてQ6もいろいろとパワートレインは選べるようになるのだと思われますが、その一つにBEV(純電気自動車)が含まれるということです。
このQ6 e-tron(なのかな?)は90kWhバッテリーで実航続距離400kmを実現するということで、おおよそ、2015年9月にデリバリー開始予定のテスラモデルXと同等の性能ということになります。

このニュースで新しいのは、私見ですがLG ChemとサムスンSDIのEU工場です。サムスンSDIは小規模なので置いておいて、LG Chemは韓国内、米国ミシガン州と中国南京市に工場を持っていたと思うのですが、フォルクスワーゲングループのためにEU工場の契約にサインしたよ、ということなのではないかなと想定されます。あのテスラも今年着工したギガファクトリーが2017年より一部稼働開始ということで、立ち上げにおおよそ2年かかる見込み。このLG Chem(とサムスンSDI??)の工場もこれから2年かけて生産を立ち上げるのかも知れません。それほど純電気自動車が必要とするバッテリーの量は多いということなのでしょうね。

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					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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