ドイツ連邦最高裁判所が、ディーゼル車の走行を市ごとに禁止可能に

ドイツ連邦最高裁判所は、ドイツの環境団体DUHの訴えを認め、市が独自に現行の排ガス規制に合致していないディーゼル車を走行禁止にすることは合法である、との判断を示しました。ドイツ第二の都市であるハンブルク市は2018年4月から2つの主要道路で、一部のディーゼル車を走行禁止にすると発表しました。

この件に関しては複数のニュースが出ていますが、ロイターがよくまとまっています。
経緯はこんな感じです。環境団体ClientEarthとDUHがシュトゥットガルト市やデュッセルドルフ市などを相手取り、EUの大気汚染の基準に違反しているとして、ディーゼル車の走行を禁止するように訴訟を起こしていました。その訴訟は最高裁まで行くことになり、この度ClientEarth/DUHの訴えが認められたということになります。ドイツ最高裁は個別のケースは吟味せず、法令違反かどうかだけを判断するので、市はこの「違法」状態を解消する打ち手を出す必要性が出てきます。

すでにシュトゥットガルト市の地方裁判所では、2018年1月より(おそらく一部の)ディーゼル車の走行を禁止するよう判断が出ており、市側は上告していたので、今回の最高裁の判断はこれを確定するものとなります。この一審のときに、市側はEURO 5以下の車両の排気ガス浄化装置を改善して、現行規制のEURO 6レベルにする提案を出していますが、それでは不十分だとして走行禁止は合法との判決が出ています。ということは、理論的にはEURO 5以下の車は禁止になるリスクが、少なくともシュトゥットガルト市ではあるということになります。

今回の影響範囲ですが、EURO 5の車両は2015年8月まで販売されていました。もしEURO 6はOKでEURO 5以下はNGということになると、ドイツの1500万台のディーゼル車のうち、270万台がEURO 6すなわち2015年9月以降に販売された車だそうなので、約1200万台(80%)が走行禁止の影響を何らか受ける可能性があります。

これを受けてドイツ第二の都市であるハンブルク市は、2018年4月から2つの主要道路で、走行禁止を実施すると発表しました。どの規制(EURO 6, EURO 5等)レベルのディーゼル車が対象になるのか、貨物車も対象になるのかなどはまだ分かっていませんが、シュトゥットガルト、デュッセルドルフ、ハンブルクでは何らかの規制を今年から早々と実施できる法的な裏付けが整っていることになります。

しかしこれで規制が実際に実施されるのか、いつからどのような車両を対象に実施されるのかについては不透明な状態です。最高裁は各市が独自の判断でディーゼル車を走行禁止にできるのは適法、という判断を示しただけで、禁止しろ、というオーダーは出していないからです。メルケル首相やBarbara Hendricks連邦環境・自然保護・原子炉安全相は以下のように発言して、国民の不安を取り除こうとしています。

メルケル首相:「今回の判断は、それぞれの市が規制を強化すべきだ、ということだ。ドイツ全体やすべての車オーナーについての話ではない。」

Barbara Hendricks連邦環境・自然保護・原子炉安全相「各市は大気汚染の規制値を大きく上回ってるわけではない。最高裁は、走行禁止を決めたわけではなく、法律を明確にしただけだ。走行禁止は回避できる。それが私が継続的に目指しているゴールだ。」

当然のことながら連邦政府側は、急激なガソリン車やプラグインハイブリッド、電気自動車へのシフトは雇用問題にも影響することから、できる限り歩み寄る案を出す方向で、2017年の9月4日には10億ユーロ(約1,300億円)を各市の電動バスや電気自動車の充電インフラその他に投資することを発表するなどしていました。

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