日産リーフ新型2016年モデルが米国で発表!

日産リーフ新型2016年モデルはバッテリーを30kWhに強化、EPA基準で171km(日本基準でおおよそ290km)の航続距離を実現。30kWhモデルは日本円で約62万円高となっています。

日産リーフ新型2016年モデルが米国で発表!

テスラモデルX(米国)、フォルクスワーゲンゴルフGTE(日本導入)、BMW 225xeとBMW 330e(欧州)、BMW X5 xDrive 40e(日本導入)とさんざん発表が続いた最後(!?)に、満を持して日産からリーフ新型2016年モデルの発表が、日本より先に米国でありました。
※10/5/2015追記:本日日産自動車株式会社よりも日本での投入について発表がありました。2015年11月に日本で発表、同12月に発売予定です。

米国と日本ではモデル構成が違うので単純比較はできないのですが、ベースモデルとしての24kWhバッテリーは残すようです。電気自動車の航続距離についてはこちらの記事で概略をご説明していますが、メーカーの公表値からおおよその航続距離を知る方法として、米国EPAの値は比較的現実的な値より少しだけ多めになっていることが多いです。例えば今回の新型リーフの場合、EPA 171kmとのことですから、一般道と高速道の組み合わせで夏に160kmくらいは楽に走行できると考えてよさそうです。また80km/h以上速度を出さずに、非常に気を付けて運転すれば210kmくらいも可能になりそうです(推測値)
今までのリーフではEPA 134kmでしたから、夏は125kmくらい、非常に気を付けて運転した場合に170kmくらいの走行が可能でした。新型になって、バッテリー容量は25%増、電費は27%改善しているようです。

Nissan Battery Plantこの30kWhのバッテリーは24kWhバッテリーとサイズが同じで21kgだけ重いとのこと。もしかすると既存のリーフに載せ換えもできるのかな!?と期待したくなりますが、メーカーとしては新型を買ってほしいはず。そのようなオファーがあるかどうかは分かりませんね。また現時点では、この新型バッテリー、バッテリークーラー・バッテリーヒーターが装備されているかどうか不明です。電池の寿命だけでなく、長い上り坂や高い気温のときの急速充電には、バッテリークーラーが必須と言われています。私の知る限り市販車では初めて、2008年にテスラ・ロードスターが水冷バッテリーを搭載していると思うのですが、それから7年。そろそろ業界トップの日産リーフにも安心長寿命のバッテリークーラーを搭載して欲しいと思うのは私だけでしょうか。

米国バージョンのリーフのバッテリーは米国テネシー州スマーナ町のバッテリー工場で製造されるとのこと。日本向けは現状の通り国内で生産するのでしょうかね?昨年、日産はバッテリーを現在のAESCではなく韓国LG Chemから調達か?というニュースが流れましたが、電気自動車にとってバッテリーは、ガソリン車にとってのエンジンと同じ。心臓部なのです。それを、他社から購入していたのでは、少なくとも主力車種での成功は望めないのではないでしょうか。

新30kWhバッテリーはアノード(負極)に窒素添加カーボンやマグネシウムの添加で性能を向上したとのことです。個人的に気になるのは二点。

  • バッテリークーラーやヒーターは搭載されるのか?
  • 日産ディーラーでの44kW急速充電器では、30分で80%まで充電できるのか?

まず一点目ですが、これは日本の日産からもう少しテクニカルな詳しい情報が出てくるまで分からないと思います。米国では「リザードバッテリー」と呼ばれる熱に強いバッテリーが最近採用になったのですが、いくらバッテリーが熱に強いからと言って50℃や60℃を超える環境で稼働させては寿命の点でまずそうです。ここは、様子見ではないかと思います。
二点目、ちょっとややこしいのですが、現状、多くの日産ディーラーでは日産製の44kW急速充電器が設置されています。この充電器は44kW=1時間で44kWhの電力を送り込むことができる性能があるのですが、電流が107Aに制限されており、実際には電圧が変動したりしますので、充電に使えるのは10%減の39.6kWと仮定して、以下の計算をしてみました。

実効容量(90%)80%容量44kW30分充電
24kWhバッテリー21.617.2819.8
30kWhバッテリー2721.619.8

2016_nissan_leaf_05_small上の表から分かるように、24kWhバッテリーを30分で80%まで充電する場合、おおよそ17.3kWh程度の電力量が必要で、44kWの急速充電器はそれを少し余裕を持って充電できるパワーがあるのですね。しかし30kWhバッテリーの場合はどうでしょう。充電器の送り込む電力量より、バッテリーの必要とする電力量のほうが少し多いですね。この計算から、30kWhバッテリーをほぼ空にしてしまうと、数分お代わりが必要ということになります。
最近、高速道路で設置が進んでいる40kW急速充電器では、30分でおおよそ18kWhの充電が可能と考えられ、30分間では18/27=67%の充電量ということになります。

電気自動車は、システムとしては非常に効率の高い自動車です。航続距離が少な目なのは、バッテリーに少ししか電気が貯められないというのが主たる理由なのです。したがって、もともと非常にエネルギー効率のあまりよくないガソリン車などと比べると、電気自動車の電費は改善の余地が比較的少ないので、今後、航続距離の長い電気自動車やプラグインハイブリッドでは、バッテリー容量の高容量化は必然の流れです。
インフラ側も、今までの、取りあえず急速充電器を設置すればよい、という考え方から、2-3年先を見据えて計画的に設置していく必要があるようですね。

この記事のコメント(新着順)9件

  1. リーフに乗って1年2か月です、飛騨に住んで居ますが充電場所がまだまだ少ないと言うに、11月から4月はエアコン(暖房)、8月冷房を入れて岐阜から夜は家まで帰れないので、特に真冬はズボン下や背中にはホカロン、マフラー、ダウンコート等たくさん着て運転をしていましたが、国道41号の白川の道の駅と関金山線の平成の道の駅に24時充電できるよう冬までに設置して欲しい、人に進めるのにズボン下をはいてなんて、恥ずかしくて言えない

    1. 直井様、お世話になっております。コメントありがとうございます。確かに私も下呂温泉に行ったことがありますが、あの辺りは24時間充電器が少ないですね。
      下呂温泉あたりで入れるのが安全でしょうかね。私は下呂温泉合掌村の24時間営業急速充電器(44kW)を使いましたが、駐車場も広く使いやすかったです。
      道の駅美濃白川ピアチェーレは課金機がありませんので、充電器の入れ替えが必要になりますね。道の駅にご要望をお伝えされてはどうでしょうか。
      http://www.minoshirakawa-piacere.com/toiawase.html
      問題は帰りですよね?下呂までは厳しいですか?

    2. 直井様、Yasukawa様。
      最近、岐阜県各地の道の駅に急速充電器が付いてますよね!
      可児・美濃加茂付近は44kW急速充電器が結構あるので、そこで充電すれば下呂まで70km、安心して移動できますよ…アイミーブMでこれですから間違いないかと。
      たしかに課金制でない充電器は正直使いづらいですよね。加茂郡白川町の充電器は30kW中速でそこそこ便利なはずですが、課金機がないばかりに使う人は少ないですね。実にもったいない。
      今では七宗・飛騨金山の道の駅にもあり、下呂も合掌村以外に2箇所(ポイントバケーション・水明館)にあるので万一使用中・故障中のものがあっても不安は少ないと思います。
      あとは下呂~高山の急速充電器不足も頭が痛いですよね…道の駅なぎさは課金機がなく夜間使えないし、道の駅飛騨小坂は国道から大きくそれているし、飛騨萩原にないのも問題。せめて上呂か小坂のローソンにあると助かるのですが。
      EVが増えつつある時代だから、もう少し増えてほしいと思います。
      ただ今後、CHAdeMO2規格が出るとなると従来の充電器が無駄になりかねないので様子見かもしれませんが。

  2. 私のリーフは初代で電気容量は20KWHです。25%-85%のレンジで考えると、新型の30KWHは、走行距離の倍になるので、充電のストレスはほぼ解消かなと思います。+62万円の妥当性は??

    1. 石原様、お世話になっております。+62万円についてですが、米国では、一番下のグレードが24kWhバッテリーで、その上の二つのグレードが30kWhバッテリーになりました。そのため、62万円にはバッテリーの追加分だけでなく、付加されるオプション等の金額も含まれるとお考えください。日本ではどのような提供方法になるのでしょうね?

  3. EVの普及にはバッテリー容量と充電時間・充電スタンドの充実と家庭用充電機の設置推進につながる機器の開発が必須ではないかと思います。(ソーラー充電も視野に入れた機器)

  4. テスラの新型を含め ポルシェの発売される車両も 大容量の電池が積まれて居る事を考えれば 急速充電のインフラとして大容量対応タイプにして行かないとダメですね。15分で充電終了するみたいですし(笑)  日産さんについては量産BEVメーカーとして NV200で採用したバッテリークーラーをつけて欲しいですね、5年で乗り換えさせるでなく 長く同じ車両を使ってもらう エコを考えて欲しいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

執筆した記事