ポルシェは2027年までには「911」以外は全モデルをBEV(電気自動車)にする方向か

1971年から豊富なビジネス情報を速報してきた、ドイツの「Manger Magazin」誌が2018年9月20日に伝えたところによると、ポルシェ社は2027年までには、伝統の「911」を除く全てのモデルをBEV(ピュアEV)化する方針を持っているようです。

ポルシェは2027年までには「911」以外は全モデルをBEV(電気自動車)にする方向か

ドイツ・シュトゥットガルトに本部を構える世界的スポーツカ・メーカーのポルシェ社、これを率いる現CEOのOliver Blume氏は、Macan、Cayenne、Boxter、Panameraといった同社のラインナップを次々にBEV化する考えを持っているようです。このため、2027年を過ぎると、PHEVの「911」だけが内燃機関(ICE:Inner Combustion Engine)を持つ唯一のモデルとなりそうです。

同誌の伝えるところによると、早ければ2025年までに、ポルシェ社は全車輌の75%以上を純粋な電気自動車(Elektrofahrzeug[独]:  pure electric vehicle[英]、つまりBEVのこと)に変換する計画を持っているそうです。現時点(2018年9月)では、新型スポーツEVである「Taycan」が唯一、2019年にBEVとして生産を開始することが監査役会(Aufsichtsrat[独]:  Supervisory Board[英])で承認されているだけですが、この秋(2018年)にもさらに2つのモデルが承認されるのではないかと伝えています。それらは、「Taycan」の派生モデルと、スポーツ・オフロード・セダン「Macan」の派生モデルです。

2027年以降、唯一エンジンを残すことになる「911」シリーズだが、ICE(内燃機関車輌)ではなくPHEV(プラグイン・ハイブリッド電気自動車)の形をとると見られている。
2027年以降、唯一エンジンを残すことになる「911」シリーズだが、ICE(内燃機関車輌)ではなくPHEV(プラグイン・ハイブリッド電気自動車)の形をとると見られている。

そのあと2022年から2025年の間には、Macan、Cayenne、Boxter、Panameraが次々に電動化され、ポルシェ社はあのテスラ社に比肩するようなBEVマニュファクチャラーに変貌するとしています。どうやら、CEOのOliver Blume氏をはじめとしたポルシェ社の首脳陣は、「BEVとICEの双方を抱えてゆくと、資金がかかりすぎる」と考え、BEV生産へと軸足を移す決断をしたようです。その結果が、「2027年以降は唯一『911』だけが内燃エンジンを持つ」というショッキングな方向になったのでしょう。ポルシェ社は現在、BEV用のアーキテクチャーをAudi社と協同で開発しているので、Audi社の動きにも少なからず影響を及ぼすものと思われます。

(文・箱守知己)

この記事のコメント(新着順)7件

  1. ヒラタツ様、Yasukawa様へ

    ヒラタツ様、
    国道19号の中津川以北には道の駅 賤母
    、大桑、日義木曽駒高原 などがあり、以降塩尻までもう3ヶ所以上はあるので経路充電には困らないと思いますよ。Mモデルですとちょっと心配かもしれませんが、ふんわり加速で減速時は回生を目一杯使って20キロ以下になるまでブレーキを踏まないような運転を心がければ結構伸びるのではと思います。
    わたしのはXモデルですが平均でだいたい80キロくらいは走ってくれます(通勤だけなら100キロを少し超えます)。
    ヒラタツ様のブログもですが、このHP
    でも情報共有できるとありがたいですね。

    yasukawa様、
    「ライター」いい響きですね。
    憧れます。
    わたしのような者でもよろしければご協力いたします。

  2. 初めましてアイミーブのオーナーです。
    はじめて投稿いたします。
    yasukawa様が引用された飯田市の回答は私が市に問い合わせた内容です。
    この後に、わたしも川路地区に設置された充電器の件を確認していましたが、今現在も使える状態ではありません。
    実は、この充電器が設置されているお隣の商業施設は、現在、東京地裁へ自己破産申請しており事実上の倒産となっています。
    憶測からですが、そんな状況で未だに使えないのだと思われます。
    飯田市とその近隣町村では、民間の急速充電器でも50kwのものは二台ほどしか確認できていません(ニッサンの44kw急速は2機ありますが)。
    大容量バッテリーを満足に充電させられる施設は乏しい限りです。

    話題は変わりますが、貴HPではテスラを中心とした話題が多く、我々アイミーブオーナーはちょっと寂しい思いもあります。
    と言いますのも、BEVは車専門誌でもいまだに認識不足の記事が多く、また関連する最新情報もほとんどないというのが現実で、このHPが唯一と言っていいほどの情報源だからです。
    これからもいろいろな情報を提供していただけることを楽しみにしていますが、アイミーブのことも少しかまって(笑)いただけたらと思います。
    よろしくお願いします。

    1. アイミーブ様、ご連絡ありがとうございます!飯田市にご連絡いただいていたのですね。自治体の急速充電器設置は、まずビジョンを策定しないといけないし、毎年基準が変わるしで、なかなか専門家のいないところでは難しいのだと思います。別に擁護するわけじゃないのですが。あまり、自治体は当てにされないほうがよろしいかとも思います。神奈川県や横浜市は結構ご自身で費用をかけて調査などを行っていると聞いていますので、自治体内での優先度もあるのでしょう。

      今後、アイミーブを含み、すべての新車EVやPHEVについては、試乗記やリリース情報を出していきたいと思います。それ以外の使用レポート的なものは、今後弊社としても、ライターさんを募集していかないといけないですね。
      いかがですか?(笑)

    2. アイミーブ様、Yasukawa様へ
      店舗が破産してQCが稼動できていない件は初めて見ました…人口減少時代の昨今、そういうことも考えていかないといけないんですね。
      自治体のQC設置は地域により温度差がありますよね。積極導入している地域もあれば民間任せの消極的なところもまだまだありますし。
      自分が住んでいる岐阜県は道の駅へのQC設置が進んでいて30kW前後の中速なら困りませんが、40kWクラスの急速は日産以外あまりありません。
      国道41号線で高山に向かっても途中にあるのは可児の湯の華アイランド・美濃加茂の日産・下呂合掌村・道の駅飛騨街道なぎさに44kWがあるだけで、それ以外は中速ばかり。
      長野県南部に出かけようにも、岐阜県中津川以北の国道19号線はQCが少ないので慎重にならざるを得ません。
      あとカード認証のないQCも店舗営業時間を気にしないといけないので使いづらいです…夜間に使えず歯がゆい思いをするEVオーナーの声を店舗に伝えるべきかもしれません。
      店舗だけならいざ知らず、電力会社や電気設備保守の現業に勤めている人間でさえEV乗りが少ないです…電気屋に専門家がいないのは痛すぎますね!!
      自分はEV相談のできる電気技術者を目指し、このブログでできる限りの知恵を借りつつ専門家としてアドバイスをしていく所存です。

      このブログはテスラオーナーの執筆機会が多いのでアイミーブの話題が少ないです。
      とはいえ多くのアイミーブオーナーは各自のブログで情報提供しており、当方も自ブログに愛車アイミーブMの話題を書き綴っております。よろしければ参考までにご覧ください。
      検索すればいくらでも出てきます。情報収集は検索が基本ということをお忘れなく!

  3. ごふさたしてます。記事の内容とはとは関係ないのですが、飯田市川路地区にチャデモが設置してあるのですが全く稼働しておらずに困っております。確か設置には助成金制度も有ったはずで、全額個人負担の場合は稼働の自由というのが認められているのでしょうか。それにしてももし助成金制度を利用していたとしたらやや趣旨違うのではないかと困惑しております。飯田市はスーパーチャージも大幅に遅れ、オーナーとしては閉口せざるを得ないと嘆いている状態です。ご意見おきかさください。

    1. 9月にオーナー様、
      まず飯田市につきましては、こちらの回答が参考になりました。
      https://www.city.iida.lg.jp/soshiki/34/teigen17-05-02-01.html
      これによれば昨年5月時点では市内1か所のみが市での管理になっているとのことです。それ以外に増設になっているかどうかについては、お電話で確認されてみてはいかがでしょうか?特にプライベート施設ではない場所に設置する場合、県が提出し国が承認するインフラビジョンというものに含まれていないと補助金の額が多くなりません。もしその場所が公共の施設や道路などの場所であれば、市役所が把握している可能性は大だと思います。また補助金を受けていても、工事・設置・国の承認・その後NCSへの接続など実際に急速充電器が稼働するまでには大変時間がかかるようです。補助金を使わないほうが早く設置できます。
      急速充電器には様々な方面から許認可を遅らせる力が働くと言われています。地元の議員さんなどを通じて確認されるのが、最もパワフルな方法かと思います(汗

  4. おおっ!ポルシェといえば911モデルに代表される、世界でも珍しい水平対向エンジンつき乗用車(主にスポーツカー)のメーカーじゃないですかっ!!
    日本のスバルもポルシェと似ていて、同じ水平対向エンジンを売り物にしたスポーツ車メーカーとして名高いですが。
    元スバリストとしても注目に値する動向だと思います。

    もちろんポルシェ911は世界中で大人気のクルマでファンも多いことから、絶版にはできないはずです…同様にスバルもインプレッサがWRC(世界ラリー選手権大会)で大活躍した名車だから残さざるを得ないでしょう。
    そうはいってもEVへ舵を切るのは時代の趨勢。エンジンに投資するには膨大な時間とお金がかかるからEV化との並行は難しいはず、ゆえに人気・売れ筋・イメージリーダーを残して全てEVにする選択は理にかなっていますね。

    ポルシェのこの決断はアウディだけでなく、同じ水平対向エンジンのスポーツカーを作るスバルにも大きな影を落とすと思います。
    そのスバルも水平対向エンジン+シンメトリカル4WDだけでは食っていけないと、アイサイトなど安全性向上へ舵を切っていますから、そのうち変化はあるでしょう。

    そのスバルも富士重工時代にプラグインステラというEVを実験的に作っていましたから素地はあるはずです。ただ電池の問題でアイミーブに先を越されたのと(ステラやR1はニッケル水素電池仕様だった)軽自動車自社生産撤退でそれ以降手付かずであるのが痛いですが…。
    今後レガシィ・インプレッサ・フォレスター等のEVが出たら試乗してみたいですよ(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					箱守 知己

箱守 知己

1961年生まれ。青山学院大学、東京学芸大学大学院教育学研究科、アメリカ・ワシントン大学(文科省派遣)。職歴は、団体職員(日本放送協会、独立行政法人国立大学)、地方公務員(東京都)、国家公務員(文部教官)、大学非常勤講師、私学常勤・非常勤講師、一般社団法人「電動車輌推進サポート協会(EVSA:Electric Vehicle Support Association)」理事。EVOC(EVオーナーズクラブ)副代表。一般社団法人「CHAdeMO協議会」広報ディレクター。 電気自動車以外の分野では、高等学校検定教科書執筆、大修館書店「英語教育ハンドブック(高校編)」、旺文社「傾向と対策〜国立大学リスニング」・「国立大学二次試験&私立大学リスニング」ほか。

執筆した記事