欧州向けテスラ モデル3はCCSを装備、既設スーパーチャージャーにはCCSを追加の予定

ここ数年いろいろと憶測されてきましたが、テスラ社は欧州向けモデル3にはCCS 充電ポートを装備すると正式に発表しました。従来のモデルSとXにはCCS充電器が使えるアダプターを用意し、既設のスーパーチャージャーにはCCS用のケーブルを追加する方向です。

Fred Lambert氏が編集長を務めるEV関連のニュースサイト 「Electrek」 の2018年11月14日の記事によると、テスラ社は欧州向けモデル3にはCCS Combo2充電ポートを採用すると決めました。また、従来のモデルSとXも、CCS Combo2ケーブルを備えた「サードパーティー充電ネットワーク(テスラ・スーパーチャージャー以外)の充電器」が使えるよう、「『テスラSC⇔CCS Combo2』用のアダプター」を供給するとしています。さらに、既存のスーパーチャージャーに関しては、モデル3も今後これを使えるように、CCS Combo2のプラグ付きケーブルを「追加設置」する改善方針も明らかにしました。

欧州では「Ionity」などのサードパーティーの急速充電インフラが増えていることから、EV所有者は以前より多くの選択肢を持てるようになってきました。既存のテスラオーナーは、テスラ独自のスーパーチャージャー・ネットワークは当然使えますが、それ以外の充電器を使うには、「独自の制限があるうえに、今後リリースされる『欧州向けモデル3』とは互換性のない『CHAdeMO充電器』に接続するための専用アダプター」を使わなければなりませんでした。さらに、CHAdeMo(50kW)は、現在欧州で設置が進んでいる「超急速充電器(150〜350kW)」だけでなく、既存のテスラの「スーパーチャージャー(120kW)」に比べても、充電速度が遅いことが足かせになってきています。

案外シンプルなモデル3の運転席まわり。実際に乗った人によると、空調ルーバーも見えず、とても未来的な印象とか。テスラ社の公式サイトより転載。
案外シンプルなモデル3の運転席まわり。実際に乗った人によると、空調ルーバーも見えず、とても未来的な印象とか。テスラ社の公式サイトより転載。

今後テスラを買う人が欧州のさまざまな急速充電ネットワークを幅広く利用できるよう、「欧州向けモデル3」には、欧州のほとんどの急速充電器で使われているCCS Combo2ポートを「追加」するのではないかと、これまでずっと噂されてきました。そして先週、 新しいテスラ「モデル3」が公開されると、そこには「これまでとは別のポート」が装備されていました。CCS Combo2ポートです。今日(11月14日)、欧州市場向けに販売される「モデル3」には「CCS Combo 2充電ポート」を装備するとテスラ社は発表し、その完成予想画像を公開しました。

さらにテスラ社は、既存のコネクターとCCS規格コネクターの両方をサポートするために、既設の欧州のスーパーチャージャー・ステーションに「デュアル充電ケーブル」を導入する予定であるとも述べました。

テスラ社の広報は「Electrek」に次のような声明を送ってきました。
「テスラのオーナーはすでに、最も便利で信頼性の高い『自宅充電』・『スーパーチャージャーによる充電』・『目的地充電』を享受できていますが、『サードパーティー』の設置する急速充電器も利用できるようにして『テスラの充電能力』をさらに拡大したいと私たちは考えています。欧州でのモデル3の発売に先立ち、既存のスーパーチャージャーを『デュアル充電ケーブル』付きに改良して、CCS Combo2充電ポートを備えたモデル3も、テスラ・スーパーチャージャー・ネットワークが利用できるようにします。モデルSとXのユーザーは引き続き充電ネットワークへの完全なアクセス権を持ち、必要とあればすぐに『CCS Combo 2アダプタ』を購入することもできます。」

今のところテスラ社は、モデルSとXが使える「『テスラSC⇔CCS Combo2』用のアダプター」がいつから入手可能かは明らかにしていません。

Electrekで編集長のFred Lambert氏は、次のようにも述べています。「テスラ社にこれまで『モデル3にはどんな充電ポートを採用するのか』と尋ね続けてきたが、ここにきてやっと正式発表にこぎつけた形になった。」また、「今回の発表の中でもう一つ面白かったのは、テスラのコネクターは『Type2 Mennekes Connector』だが、じつはこれは『CCS Combo2コネクター』の上半分とは互換性があるとの情報があった」とのこと。氏はまた、「モデル3が、欧州のCCSで150kWキャパシティーの急速充電器に繋いだときに、どこまでの充電レートを発揮するか興味深い」としたうえで、「テスラ社のスーパーチャージャーと同様の120kWで合わせるのではないか」とも予測しています。「北米のテスラモデルS・X・3オーナーに向けて、『アメリカ版のアダプター』もテスラ社には供給して欲しい」とも付け加えています。

欧州の充電ネットワークは急速に成長していますが、北米でも標準規格に基づいた急速充電ステーションの配備が始まっています。しかしいずれにせよ、今回のテスラ社の発表は良いニュースです。欧州のモデル3オーナーは、これでBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲンなどから資金提供を受けている「Ionity」のような成長中のネットワークを活用することができることになりました。

また、ある時点で「充電」の基準に関する議論も終わらせるべきだと氏は述べています。モデル3が世界で最も人気のあるBEVに急成長している現在、「モデル3が採用した充電コネクタ−」はこうした議論に大きな影響を及ぼすことでしょう。

 

テスラ2018年第3四半期は黒字:モデル3が牽引

モデル3のイメージ。テスラ社の公式サイトより転載。
モデル3のイメージ。テスラ社の公式サイトより転載。

さて、モデル3については先ごろもう一つ大きなニュースがありました。ロイターなどの多くのニュースサイトが伝えているので、ここでお伝えしておきます。アメリカでEV関連情報を幅広く伝えるサイト「INSIDEEVs」の2018年10月24日の記事などによると、テスラは「2018年の第3四半期(2018年7・8・9月)」に損益とフリーキャッシュフロー(FCF)で黒字を計上し、利益率も予想を上回りました。同社4台目のBEV「モデル3」の生産が拡大し、販売が好調だったことが要因です。創業から15年の同社ですが、四半期で黒字を計上したのはこれが3回目。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は第3・4四半期(Q3・Q4)とも黒字化すると約束してきましたが、まず第3四半期(Q3)で黒字を達成したことで、投資家にとっては安心材料が増えました。テスラ業務報告書が何を報告しているか、見てみましょう。

今回の注目点には、「モデル3」の生産に関する情報や、テスラの構築するエネルギーネットワークに関する最新情報、また、世界での販売実績など、いろいろと見所があります。
そして2018年のQ3の財務実績は:
68億2千万ドルの収益
1株当たり2.90ドルの利益
でした。

これに対して、Refinitivの調査に基づいて複数のアナリストが推定した情報からウォールストリートが予測していたのは:
損出:1株当たり15〜19セント
収益:63億3千万ドル
でした。

テスラ社の2018年第3四半期(Q3)の業績。テスラ社の公式サイトより転載。
テスラ社の2018年第3四半期(Q3)の業績。テスラ社の公式サイトより転載。

ウォールストリートの予測を見事に覆していますね。さて、テスラのレポートに記された内容に関して、「財務は自分達の専門外」だとしながらも、INSIDEEVsは注目点を以下のようにまとめています:
「『モデル3』の販売台数が急速に増えていることから、2018年はテスラにとって出荷記録年になると思われます。事実、その販売は新たに史上最高の記録を打ち立てました。」

最近のTeslaレポートのホットな話題は、何と言っても「モデル3」です。これに関してテスラ社は次のように述べています:
「『モデル3』の生産システムは、第3四半期に安定しました。私たちは、急な『Sカーブ(技術の発展・進歩のペースに関する理論)』から、より緩やかな月ごとの改善(=技術の発展・進歩が上に上がり、発展・進歩の速度が緩やかになった)に進みました。とりわけ私たちは、『モデル3』の『全輪駆動(AWD)バージョン』の生産を可能にするために必要な変更を行い、生産率を崩すことなく、これを行いました。私たちは、第1四半期には『後輪駆動、リアホイール・ドライブ(RWD)』のモデル3のみを生産することから始め、第4四半期にはほぼ完全にAWD車の生産に移行しました。実際、AWD車の組み立てはRWD車に比べてかなり複雑なのですが、「第3四半期(Q3)」の最後の週に5,300台のモデル3を生産するまでに達しました。『モデル3』の1車輌あたりの労働時間はQ2からQ3にかけて30%以上減り、『モデルS』および『モデルX』のレベルを初めて下回りました。」

これだけではありません。テスラ社は『モデルS・X・3』の全てに対しソフトウェアの全面的アップデートを施し、こう話しています:
「Q3に我々は27,710台のモデルSとXを顧客のもとに届けました。中国での需要は、モデルSとXに対する40%もの輸入関税のために厳しい状況ではありますが、中国からの出荷は依然として『第3四半期(Q3)の出荷』のうちの重要な部分を占めており、北米と欧州での成長分を使って中国での減少分をなんとか埋め合わせすることができました。」

それでは、テスラ社の発表した「Tesla Third Quarter 2018 Update」をかいつまんでみると…

・GAAP net incomeが3億1200万ドル、non-GAAP net incomeが5億1600万ドル。(”GAAP”は「米国会計基準」の意味。アメリカの企業は基本的にこの基準に沿って決算書を作成することになっていおり、これで「純利益」が判ります。ただし、これとは別の基準で発表される”non-GAAP”も公表されることが多いです。こちらの方がGAAPより利益額が大きく見え、株価にも有利なことが主な理由です。non-GAAPは日本語では「調整済みの利益」などと表記されます。)
● 営業利益は4億1700万ドル、営業利益率は6.1%であった。
● フリーキャッシュフロー(FCF: Free Cash Flow)は8億8100万ドルで、営業活動によるキャッシュフロー(Operating Cash Flow)は14億ドル。
● 現金および現金等価物はQ3終了時点で30億ドルで、Q3の中で7億3100万ドル増加。
● 「モデル3」のQ3におけるGAAPおよびnon-GAAPの売上総利益(粗利益)は20%に及ぶ。
● Q4においても、GAAP net incomeの増益とFCFの黒字の見通しが立った。

といったところです。

この夏に、モデル3に乗るためにアメリカまで出向かれた日本のテスラオーナーの方たちがいらっしゃいますが、その方たちが受けた印象は、「7・8・9月製造のモデル3を乗り比べる機会に恵まれたが、どんどん熟成が進んでいる感触で、9月モデルに行くほどドライブフィールも質感も格段に上がってきている。今後出荷されるモデルにも大いに期待できそうだ」とのことでした。

ここにきて、欧州向けモデル3へのCCSポート採用や、欧州既存SCへのCCS用ケーブルの追加などのプラス材料も加わってきました。各種返済が予定されている2019年のQ1にはテスラは赤字を見込んでいるものの、現在の2018年Q4も、その後も、「モデル3の牽引する好調」はしばらく続きそうです。

(翻訳と文・箱守知己)

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