テスラモデルXで冬の長距離:東京-水上(みなかみ)

2019/2/8出発、翌日戻りの一泊で、テスラモデルXに乗って水上(みなかみ)まで行ってきます。いつものようにレポートしますが今回は割と弾丸ツアー的な?

テスラモデルXで冬の長距離:東京-水上(みなかみ)

水上温泉は東京から見ると谷川岳の手前。関越自動車道で群馬県から関越トンネルを超えると新潟県に入るわけですが、トンネル手前の群馬県側にある温泉地です。もちろん山なのでスキーやスノボもできます。案外東京から近いのですが皆さん結構、トンネル超えて湯沢に行っちゃってる方が多いような?やっぱり最近は電車でウィンタースポーツされる方が多いのかも知れないですね。

さて水上は山、そして厳寒期ということで、電気自動車でふらっと行ってしまうのはちょっとだけ危険です。東京から水上は180kmですから往復すると360km。モデルX P100Dの航続距離は標準値(メーター読み)で本日時点で414km。納車時は435kmだったので劣化は4.8%です。楽勝?と思いきや今は冬。今週末の水上の気温は氷点下を予測していますので、やはり航続距離は30%余裕を見ないといけません。すなわち、360kmを走行するのに468km分の航続距離が必要ということ。テスラモデルXでの無充電往復はかなり難しいです。いやもちろんエアコン使わなければ大丈夫ですが、そういう特殊な使い方はしないということで。

今回のルートは関越自動車道になりますが、途中にテスラの高崎スーパーチャージャーがありますのでここを休憩場所に。ちょうどここは高速の高崎玉村スマートICから1分道の駅 玉村宿の駐車場内となり、トイレやレストランがあります。出発は8日金曜日の午後の予定にしており、そうなると水上着は3時くらいでしょうか?少しでも明るいうちに外で遊べることを考えて、往路はここで10-15分だけ休憩することにします。東京から高崎までは100km、残り水上までは80km。そう考えると高崎到着時点で


(100 x 1.3) / 414 = 32%

くらいバッテリーを使うということになります。出発時に90%と仮定すると高崎では58%。10分充電すると仮に充電器出力80kW※出たとして13.3kWhなので13%くらい充電できると考えて良さそうです。これで58+13=71%。往路残りの80kmは


(80 x 1.3) / 414 = 26%

くらいですから、高崎→水上で宿泊→高崎(翌日)の計160kmで52%消費。翌日に高崎に戻ってきた時点では71-52=19%残る計算です。余裕のはずですね。
※この計算では58%から71%まで急速充電する予定ですが、気温が低いことと50%を超えているため、充電速度はフルの120kWは出ないことを予測して少な目に見積もります。

高崎からの帰りはどうするかって?家に帰れるためには100kmを走行できる必要がありますから、行きと同じく32%分の電力が必要。家に帰った時点で20%は残しておきたいと考えるなら52%まで充電すればよいはず。19%から52%までの充電時間は、仮に充電器出力を100kWとすると、(52 – 19) / (100 / 60) = 20分くらいでしょうか。合わせると、往路は高崎で10分の経路充電、復路も高崎で20分の経路充電。

しかし!!今回は水上で一泊するのです。宿泊施設で充電する「目的地充電」はないのかって?
残念ながら水上温泉郷は目的地充電を備えている宿が非常に少ないです。伊香保温泉とかはすごく多いのですけどね。そういうわけで今回の宿も充電器はなし。しかしオーナーのご厚意で100Vコンセントを使わせていただけることに。さっきの計算では19%の余裕がありましたが、雪国をなめてはいけません。可能であるならば100Vコンセントでも活用させていただきたいと思います。ちなみに100Vコンセントでは充電電流は12Aまでですから充電電力は1.2kW。チェックイン午後5時、翌日10時チェックアウトなら17時間充電でき、17 x 1.2 = 20.4kWh(実際には100Vでは効率が落ちるので16-18kWhくらい)も充電できてしまうのです。普通の高速の充電器で22-28分間、急速充電に相当するくらい充電できますね。手間賃も含め1000円くらいお礼を包めば問題ないでしょう。これで積雪があっても、朝は全部溶かしてから出発できますのでプライスレス(笑)

出発前の晩の電池の状態をアップしておきます。
バッテリー温度は低いほうで27.5℃。グラフは左からモジュール1のクーラント入口、出口、モジュール2のクーラント入口、出口、の順番です。入口の温度が低いので、バッテリーは冷却されていることがわかります。
96個の各グループ間の電圧の差は4mV。モデルX 100kWhタイプのバッテリーは86本の電池を並列に接続したもので1グループを構成し、96個のグループ単位で電圧のバラツキがBMSにより調整されています。93%を超えた時点で、グループ間の電圧を調整するソフトウェアが作動し、何日もかけて均一な電圧になるよう自動的に調整されます。
2/8 12:31 出発!
出発時点のバッテリー温度は15.7℃。
14:18 高崎スーパーチャージャーに到着。予定より少しだけ多めの消費で56%でした。
今日は平日ということもあって一台だけ。105kWスタートで充電です。
14:40 ちょっと長居し過ぎました。充電は84%に。水上に向けて出発します。
15:55 水上に47%で到着!でもここは宿泊予定の旅館から350mも上ったところにある宝台樹スキー場です。ここで少しだけ遊んでから旅館にチェックインします。気温はマイナス7℃!
その後、、旅館に着いて100Vを確認してみるとアース無し。電気自動車は安全のため100Vであってもアース無しでは充電できないのです。実はトヨタさんのケーブルでは充電できちゃうんですが今日持ってきているのはテスラの純正モバイルコネクターというケーブル。あっさり赤ランプで充電不可です。別にそれで足りなくなる計算じゃないのでせっかくご厚意でお貸しいただきましたがお礼を申し上げて諦めます。それではおやすみなさい。

朝起きて朝食を食べてゆっくりチェックアウト。駐車場はこんな感じ。パウダースノーであまり積もっていません。
10:56 出発します。バッテリーの残は気温が下がったことで39%。放電しちゃったわけではなく、バッテリーが暖まると戻ってきます。
(もともとの予定は71-26=45%だったんじゃないか)と思っている方、そのとおりなのですが心配いりません。旅館は高崎スーパーチャージャーから480m上の標高差にあります。この位置エネルギーは3.4kWhにもなりますから3-4%くらいは余分に必要になるのです。
これからまっすぐ帰る予定でしたが、群馬サファリパークに行きたいとのこと。サファリパークは富岡ですから往復60kmの追加。これだとギリギリになりそうですから、途中数分だけスーパーチャージャーでチョイ足しして行くことにします。
画像は出発時のバッテリー温度。マイナス0.9℃まで下がっています。ここまで冷えてしまうと回生ブレーキは効かなくなります。テスラの運転モードにはレンジモードというのがあり、これをONにするとモーターなどの熱をできる限りバッテリーに運び、バッテリーヒーターは本当に必要になるまでオフにします。東京からここまでずっとレンジモードで来ましたが、ここでレンジモードはOFF。これから坂を下るので早くバッテリーを暖めて回生をできるようにし、70km先のスーパーチャージャーで早く充電開始できるようにするための対応です。
1205 残19%で高崎スーパーチャージャーに到着。写真右の方にある出力計で、kWと書かれているところの下の線が実線になっています。ここが実線=回生がフルに利用可能、ということです!回生が制限される場合には点線になります。
検証のためにバッテリー温度を見ましたが20.3℃。
8分間だけスーパーチャージャーで充電。充電器出力は102kWでスタートして徐々に下がっています。表の一番右がTrueになっていますがバッテリーヒーターONということ。ここまで走って暖めてもまだ超急速充電するには不充分ということですね。31%まで充電できたので出発します。
15:06 サファリパークから高崎スーパーチャージャーに戻ってきました。ここで買い物して東京に帰ります。
15:42 72%まで充電できました。あと100kmちょい。
18:40 いろいろ寄り道しましたが自宅に35%で到着。

全体を通して総走行距離475.3km、総消費電力量136.3kWh、平均電費は287Wh/km(3.84km/kWh)でした。この車の標準値は229Wh/kmなので、夏季の25.3%増しくらい。ほぼ計画通りだったことが分かります。参考までに、EPA航続距離は465kmなのですがその時の想定電費が213Wh/km。すなわち287Wh/kmは、213からだと約35%増になります。
(更新完了)

この記事のコメント(新着順)3件

  1. いつも 興味深く 実用性のある情報ありがとうございます。
    厳冬時は最低気温マイナス2桁の地域だけにEVとうまく付き合う情報助かります。冬の回生ブレーキの効きもメーカーによって違い、今まで 知らなかったレンジモードの件 試してみたいと思います。

  2. 春夏秋冬という環境による電費変動が内燃乗りにはハードルが高いですね~。
    技術で解決できないものなのでしょうかね?

    1. aopon様、これから性能の高いヒートポンプも開発されると思いますし、バッテリーやモーターの熱マネジメントも改善されていくと思います。
      https://jalopnik.com/the-tesla-model-3s-superbottle-easter-egg-is-a-fascin-1830992728
      例えばモデル3ではスーパーボトルにより効率よく熱交換ができる仕組みが備えられています。

      そうは言ってもこれは、コスト的・信頼性的には大きなメリットがある一方、熱エネルギー的には節約に節約を重ねるようなイメージで、ヒートポンプほどには劇的な改善ができません。コストとスペースに大きな問題がなければ冬に、バッテリーを冷やすヒートポンプと室内を暖めるヒートポンプの二系統を搭載する手もあると思いますが、今のところはそういう車はないようです。
      日本のメーカーが一基で両方向(片方を冷やし片方を暖める)のヒートポンプを一昨年より販売していますが、米国やカナダの極端に気温の低い地域でも充分な性能を発揮するほどには至っていません。

      逆に冬は航続距離が減るのはそんなに大変でもありません。適切な場所にスーパーチャージャーが配置されていますので、ざっくりと計画しておけば比較的余裕を持って移動できます。

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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