電気自動車テスラモデルXで東京名古屋往復

6/1から6/2にかけて、現地一泊で東京名古屋をモデルXで往復します。片道350km、モデルXの100kWhモデル(P100D)の航続距離は437kmくらいなので、途中の充電は基本的に不要。4時間オートパイロット(レベル2自動運転)です。

電気自動車テスラモデルXで東京名古屋往復

2017年1月に納車になったモデルX。今朝時点でオドメーターは4950kmです。テスラは電池残量の表示を「%表示」「標準値」「定格値」の3種類に切り替えて表示させることができ、%表示はそのまんまなのですが、日本版の車両では標準値が米国EPA基準より若干程度悪い(=航続距離が短い)数値に設定されており、また数値が%に比例するようになっています。簡単に言えば、時速100kmで夏エアコンを入れた状態で走行し続けるような場合、標準値で示される距離は充分走行可能だということになります。私の車は納車後初めて100%充電したのが2月14日で、この時の標準値が437kmでした。
ちなみに米国版のモデルX P100Dの標準値の基準電費は342Wh/mile x 289マイル(462km)航続距離=98.8kWh。日本版P100Dは229Wh/kmが基準なのだと思います。

目次

  1. 東京←→名古屋の充電計画
  2. 往路
  3. 復路
  4. まとめ

東京←→名古屋の充電計画

平均229Wh/kmの線が標準値の点線と重なっていることに注目
平均229Wh/kmの線が標準値の点線と重なっていることに注目

前回東京名古屋のレポートをしたのは2015年4月。途中での充電は東京から310km、上郷SA下りでした。この時はお昼ごはんを食べるために45分間休憩しましたが、今回は軽めの夕食を食べてから出発するというスケジュール。トイレ以外の休憩時間は必要ありません、また東京から240km、テスラ浜松スーパーチャージャーが稼働していますので、もし休憩するとしても新東名浜松サービスエリアかなというところですね。

宿泊はウェスティンナゴヤキャッスルを予定。前回はヒルトン名古屋を使いましたが、今回は無充電で行く予定なので、寝ている間に無料で満タンにできる目的地充電が設置されているホテルにしました。このホテルはテスラのデスティネーションチャージングプログラムという制度に参加しており、無料で比較的ハイパワーな充電ができます。このホテルは14kW(70A)対応なので、単純計算で100kWhのバッテリーを空から満充電にするには100 / 14 / 90%(効率)= 約8時間かかることになり、寝てる間に無料で満タン!というわけです。もちろんこの電力を使って東京まで帰ることができますので、帰りの充電も不要ということになります。

しかし!現実にはそれほど甘くない。噂によればこのテスラ専用充電器は調子が悪いとのこと(近日中に交換予定だそうです)。その場合併設の普通充電器を使うことになりますが、10時間では10 x 3kW x 90% = 27kWh前後しか充電できません。27kWhで229Wh/kmとすれば、帰りの航続距離は118kmほどしかなく、ホテル→浜松スーパーチャージャーの110kmがギリギリに。もちろん実際には名古屋市内で仕事もしますので、その分も考慮すると追加が必要な可能性はあります。

名古屋にはもう一つ、バックアップとしてJPタワー名古屋の50kW、時間無制限の急速充電器(注、100A)があります。30分500円駐車料金込みは安い!例えばテスラモデルXなら1時間で36kWhくらい充電できちゃうわけですが、1kWhの電気料金を30円とすると36kWhでは1080円。駐車場はタダってことになります。今回は使わなくて済むことを期待していますが、往路ホテル到着時点であまりバッテリーが余らなければ、午前中のミーティング場所近辺にある日産レンタカー44kW(おそらく出力制限中)を充電兼駐車場代わりにするか(もちろん駐車料金もかかります)、翌日のランチをJPタワー地下で食べることにすれば大丈夫そうですね。

復路、名古屋を出るときに110km以上標準値が残っていること。これが条件になります。

往路

6/1 1640 出発前に充電の上限を90%→100%にアプリで調整。出発時刻前後にちょうど100%になるようにすることで、バッテリーも充分暖まるし、劣化につながりやすい満充電での放置時間を減らすことができます。
6/1 1810 435km 東京を満充電で出発。
エネルギー残量予測は楽勝の、名古屋到着時点で17%(笑)

(後部座席からスタッフが撮影しています)今回はほぼ全線オートパイロット(自動運転レベル2)を使用します。東名高速道路本線料金所からずっとオートパイロットはエンゲージしたまま。1-2分おきに、ハンドルにわずかに力を加えればあとは車が自動的にアクセル、ブレーキ、ハンドル操作をやってくれます。動画の中ではウィンカーを操作していますが、ウィンカー操作だけで車線変更は自動的に行われます。
2038 浜松SAをおおむね予定通り通過。車両側のバッテリー残量予測は18%と、当初の予測から大きく外れてはいません。今のところ東京から浜松まで、まだオートパイロットは解除していません。
2145 77km トータル3時間35分で目的地のウェスティンナゴヤキャッスルに到着!約350kmの行程で、標準値は435-77=358km分を消費。電費は218Wh/km(4.59km/kWh)と、モデルSの一割減な感じです。ちなみにこれをガソリン燃費に換算すると、30円/kWh、リッター120円として18.3km/lということになります。
ウェスティンのエントランスで記念?撮影。オートパイロットは残念ながら新城付近で70km/h制限になったため泣く泣く解除。その後豊田東で復活したのでそこからは再度オートパイロットを使用しました。結果として、全350kmのうち300kmはオートパイロットで走行できました。

復路

6/2 0917 136km おはようございます!これからお仕事。昨日、到着後充電器を確認したら、やはりテスラのウォールコネクターは故障。ブレーカーを落としてみていただいてもダメ。隣にあったNCSの普通充電器も2時間制限がかかっています。もちろんこれは設置時の設定間違い。ホテル等に設置する普通充電器は夜間寝ている間に充電するものなので、時間は無制限にする必要があります。まあ仕方ないので停めたときと寝る前、朝起きてからの3回充電して136kmまで充電できました。ウォールコネクターは来週には修理予定だそうです。
1055 打ち合わせ前に、日産レンタカーの急速充電器をチェック、、と思ったら移転していて、しかもすでに充電器がないとのこと。慌てず近隣の駐車場に停めて打ち合わせ。終了後、JPタワーへ。結局やっぱりここが便利。
1231 376km スタバでちょっと仕事して次の打ち合わせへ。JPタワーの急速充電器でかなり充電できました。
1828 一日の最後にテスラ名古屋ショールームの真向かい、吹上中央帯駐車場に到着。すでにそれっぽい車がたくさん。。
最後はこちら。本日オープン、日本中からテスラオーナーが集まっています。
2350 351km さて帰りますよ~
6/3 0110 222km 浜松スーパーチャージャーに到着。トイレ休憩。
0130 333km 出発します。
0341 67km 自宅に到着!お疲れさまでした。まとめは月曜日に掲載します。帰りは右車線を低速で走行するトラックが多く、行きより多く電力を消費しました。

まとめ

今回の出張のまとめです。総走行距離は754.5km、これには6/2の名古屋市内というか愛知県内での走行を含みます。総消費電力は173.8kWh、30円/kWhで計算すると電気代は5214円でした。平均電費は230Wh/km(4.35km/kWh)で、標準値229をわずかに下回りました。往路は218だったので、復路がかなり足を引っ張っていることが分かります。

これはよく東名路線を走行される方ならお分かりかと思いますが、深夜時間帯は、道路が空いているようでいて、実際には低速で走行するトラックがかなり多く、流れが昼間より悪いことに起因するものだと思います。今回の場合、往路の所要時間が3時間35分で途中休憩なし。復路は3時間51分ですが休憩兼充電を20分含んでいますので、実質の所要時間は3時間31分と、平均速度は少し速くなっています。

浜松スーパーチャージャーでの充電記録
浜松スーパーチャージャーでの充電記録

コストをもう少し細かく見てみましょう。
今回かかった電気代の5214円で、リッター120円のガソリンは43.45リッター買うことができます。それで754.5km走行できたわけですから、ガソリン車に換算すると、往復での燃費は17.3km/l相当となります。クロカン・SUV 燃費ランキングによれば、この実燃費はSUVではトヨタC-HR、マツダCX-3、ホンダヴェゼルに続く4位。まあまあですね。実際には、ウェスティンナゴヤキャッスルでの普通充電料金2.5円/分とJPタワーでの充電料金500円/30分(駐車料込み)がプラスになるはずで、さらに帰りの浜松スーパーチャージャーでの24.99kWhは無料ですからその分を調整しないといけません。表にしてみましょう。

項目タイプ充電量(kWh)時間支払った料金
ウェスティンナゴヤキャッスル普通充電20.26kWh7:451162.5
JPタワー名古屋50kW急速充電57.51kWh1:331500
浜松スーパーチャージャー120kW急速充電24.99kWh0:140
自宅充電等71.04kWh
(トータルから減算)
2131.2
173.8kWh4793.7

結果としては電気代は5214円ではなく、4794円だったというわけですね。もうちょっと安く上がったということになります。普通充電のコストは非常に高いのですが、寝てる間に充電できるので時間的効率が高い。スーパーチャージャーは無料なのでもちろんその分はそのまま低コストに貢献。そしてJPタワーは非常にお買い得な充電料金が設定されている、ということになりますでしょうか。これで再度正しいガソリン車換算燃費を計算してみると、ガソリンリッター120円として、18.8km/lという数字になりました。

この記事のコメント(新着順)10件

  1. Yasukawa様
    早速ご見解をお聞かせいただきましてありがとうございます。
    また、色々お調べ頂きまして恐縮です。
    はい、25万でアップグレードできるようです。
    私も充電時、テスラのスーパーチャージャーは、90%充電でも直前出力が落ちてきますが、50kwの急速充電の場合、100%充電でも満充電の直前出力は落ちることなく、100A 出ています。
    なので、大丈夫だとは思うのですが・・・。
    はい、買取保証をしていますので、テスラに問い合わせてみます。
    ありがとうございました。
    PS.メールありがとうございます。

    1. ナンチャン様、なんと100%充電で最後が100A=40kWも出ているのですか!それなら毎日満充電しても問題なさそうですねぇ。

  2. Yasukawa様
    お世話になります。興味深く拝見しています。
    また、EVsmartもいつも利用させていただいています。ありがとうございます。
    私はS60を昨年末に納車です。
    最近気づいたのですが、60は75のバッテリーを積んでいるらしいのです。
    と、いうことは・・・。
    通常は90%充電がバッテリーの劣化を防ぐと推奨されていますが、
    75の90%は67.5なので、満充電でもいいと思うのですが、どう思われますか?
    ご見解をお聞かせいただければ有り難いです。
    よろしくお願いいたします。
    PS.
    テスラのオーナーズクラブのようなものがあるのでしょうか?
    もし、あればご紹介もお願いいたします。

    1. ナンチャン様、コメントありがとうございます!最初のころのS60は60kWhのバッテリーを搭載していたようなのですが、最近のS60は75kWhモデルみたいですね。確か、My Teslaの画面のどこかに75kWhのバッテリーへのアップグレードが表示されているのではないでしょうか?
      http://insideevs.com/tesla-now-offers-model-s-60-kwh-75-kwh-upgrade-2000/
      今までの調査で75kWhバッテリー搭載のS60では、15kWh分の余裕分は上の部分に「主に」割り当てられているとされています。
      https://www.youtube.com/watch?v=doQ5mH2q-1o
      この動画を見ると、モデルXではありますが、75kWhバッテリーを搭載したS60の場合、100%まで充電する場合も28kWのパワーで充電していることが分かります。比較対象として一番古い85kWhのタイプのスーパーチャージャーの記録を見てみると、
      https://www.youtube.com/watch?v=B3wOq6WbNoI
      90%がだいたい標準値360kmで、その時の充電電力が31kW。バッテリーの容量が違いますので簡単に比較ができないのですが(75kWhバッテリーの車を100%まで急速充電したときの記録が見つからないんです)、28kWということはおおよそ80%から90%の間くらいではないか、と推測することができます。ただ保証の問題もあるかと思いますので、テスラに確認されてもよいのではないでしょうか?
      >テスラのオーナーズクラブ
      メール差し上げます。

  3. 大変素早く、また多くのアドバイスありがとうございます。参考とさせていただきます。

  4. 早速のお応えありがとうございます。アダプティプクルーズですね。失礼しました。ではオートステアリングは高速道路上で作動しない半径とかはやはり設定はあるのですか?スバルのアイサイトは何00R迄とか、最新のメルセデスのEクラスは速度とカーブの横Gを見て減速して曲がる行くと聞きました。以前テスラXの試乗で115キロで設定でかなりのRをそのまま曲がっていきました。テスラのオートパイロットにも横G計算のプログラムはあるのでしょうかねと疑問が浮かびました。もしご存じならお教えください。
    尚、私が知っているテスラXの構造上の不備はファルコンウイングドアの開閉センサーです。
    ファルコンウイングの開閉センサーは運転席、助手席側の前側ドアが広く開く場所では、後部が狭くとも開くスペースがあるとファルコンウイングドア側も感知すると前側のセンサーの値でガバッと広く開き柱に強く接触しました。一番初期のモデルXですがアップデートすみらしいです。今後のモデルXは直ると思うとセールスが言ってましたが完璧ではないので驚きました。必ずしも車の側面に対峙する面がフラットであるとは限らない我が家の駐車場のような場所ではセンサーを過信する事は危険だと驚きと同時に強く感じました。柱の黄色コーナーカバーは結構激しくめくれ上がり、我が家の柱だから良かったがあれが他人の車や人間だったら思うとゾッとしました。ご参考までにお知らせします。

    1. 9月にオーナー様、コメントありがとうございます。
      >オートステアリングは高速道路上で作動しない半径

      どうでしょうね?私はそんなに超高速では(汗 試しておりませんので分かりませんが、例えば東京の方でしたら、東名高速下り線の箱根近辺の300Rくらいは普通に白線の中間をトレースできていました。コーナーがきつい場合には、ある程度自動的に減速もしていると思います。

      >助手席側の前側ドアが広く開く場所では、後部が狭くとも開くスペースがあるとファルコンウイングドア側も感知すると前側のセンサーの値でガバッと広く開き

      これは仕様です。おそらく納車のときに説明があると思いますが、ファルコンウィングドア(FWDと略しますね)には、距離センサーと接触センサーがあります。FWDのセンサー部分は、運転席側及び助手席側にある距離センサーと、車体上部中央にある高さセンサーの三つのセンサーに加え、各FWDの下部の接触センサー左右二か所、それから過負荷を検知するセンサーで構成されています。距離を測って開ける場合、自分でドアを押して開ける場合には自然と運転席または助手席側に立つので問題ないのですが、車内からまたはリモコンキーを使って開ける場合には、FWDの左右を良く確認してから開けることをお勧めします。また自分が車外にいて、FWDに何かがぶつかりそうな場合は、一番簡単なのはFWD最下部の黒いプラスチック部品の部分を軽く手でタッチする方法です。ここには接触センサーが入っていますので、接触を検知するとすぐFWDは停止します。
      ご自宅では慣れると思いますのでまず大丈夫になると思いますが、おっしゃるように運転席助手席側が広くFWD後方横が狭いような駐車場では、運転席助手席側に何か安全なものを置いたほうがいいかも知れませんね。
      逆に、運転席や助手席には自動ドアがついていますが、そちらはFWD側のセンサーを使用しています。
      ※6/7編集: センサー位置に間違いがあったので訂正

      それ以外にFWDで気を付けるのは、人を乗せ降ろしする際に後ろから来る歩行者、自転車、車などです。ドアが上に開くことに慣れている方は少ないのと、バイクやトラックなどはドアの高さより高い可能性がありますので、開いたドアにぶつかる可能性もあります。私は、車道では運転者がFWDを開け閉めするという米国風のルールにしています。

  5. すいません。9月まで納車待ちの者です。X100Dです。いつも愉しく読ましていただいてます。名古屋の者もなのでお尋ねしたいのです。オートパイロットは70キロ制限で解除されるようでがすが、アダイブクルーズも解除されるのでしょうか?何キロで解除されてしまうのですか?セールスに聞けば分かることですが実際にお使いになっているユーザーの使い勝手感のようなものが知りたくてメールさせていただきました。よろしくお願いします。

    1. 9月にオーナー様、コメントありがとうございます!いえいえ、質問は大歓迎ですよ。あまり双方向にやり取りできるブログも少ないですしね。
      まずオートパイロット自体は、試したことはありませんが(汗、145km/hまで設定が可能です。ただし、これは高速道路などの道路をGPSで判定していて、そこに限られています。それ以外の道路では速度制限に合わせてオートパイロットの制限速度が設定されています。今回70km/hにされてしまったのは、新東名のその区間だけまだ正しい設定がされていないのだと思います。テスラにはこの件は多くの方から報告が行っているでしょうから、そのうち正しく145km/h制限になると思います。一般道では50km/h制限などもあります。一般道でもオートパイロットを使用することはできますが、一応推奨はされていません。信号とかは見てくれないですしね。
      あとオートパイロットが解除されるのではなく、実際には、70km/hにだんだん減速していってしまう、ということなのです。新東名で70km/hで走行するのは危険なので、解除せざるを得ません。もちろん、アダプティブクルーズコントロール(テスラではTACCと呼んでいます)は好きな速度に設定可能です。

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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