電気自動車のテスラってバッテリーは上がるの?

電気自動車というと、一定期間乗ったことのない方には、電池にまつわる不安が結構あるように思います。バッテリー上がり、電欠、レッカー移動など。この記事ではこれらの不安について解説します。

電気自動車テスラでは、ガス欠に相当する言葉として電欠があります。バッテリーに蓄えられている電気を全部使い切ってしまって電欠すると、ガソリン車と同様に当然走行できなくなります。実はテスラモデルS・モデルXの場合、バッテリーは走行用と補機用の2つ搭載されていて、どちらも「上がる」可能性があるのです。

目次

  1. 走行用バッテリーと補機用バッテリー
  2. 走行用バッテリーが上がる?
  3. 電欠を防ぐには
  4. 万が一の場合のレッカー移動

走行用バッテリーと補機用バッテリー

走行用バッテリーは高電圧バッテリーとも呼ばれ、大電力を使用する電気自動車では、通常300V~400V程度の高い電圧のバッテリーが使われます。電力P = 電圧V x 電流Iの公式の通り、バッテリーの電圧が低いと同じ電力を取り出すにも電流が多く必要になり、結果として電池が発熱したり、車内配線に太い配線が必要になったり、充電ケーブルが太く重くなってしまうのです。高電圧バッテリーおよび高電圧の配線は車内で完全に絶縁されており、さらにコンピュータが24時間、漏電がないか監視しています。万が一の事故などの際に大きな衝撃、または僅かでも漏電が発生すると、車載コンピュータによりすぐコンタクターという切断装置に指令が行き、高電圧バッテリーは遮断されて乗員の安全を守ります。そのため、電気自動車は大きな事故の際にはバッテリー・モーター・トランスミッション・ドライブシャフト・タイヤ等に問題がなくても、すぐに走行できなくなります。通常の走行においては、走行用バッテリーから先ほどのコンタクターを経由して電気を供給し、インバーターという電子部品が、バッテリーの直流からモーターを駆動できる交流に変換して車を走らせます。

車が駐車中は、高電圧バッテリーはコンタクターにより遮断されています。そのため、駐車中に例えばスマートキーでドアロックを開け閉めしたり、パワーウィンドウを動かしたり、車内のオーディオなどアクセサリー類を動作させるためには、別のバッテリーすなわち補機用バッテリーが必要となります。テスラモデルS・モデルXでは通常の12V鉛蓄電池が使われています。ガソリン車と異なり、電気自動車にはエンジンがありませんから、オルタネーター(エンジンの回転から発電して補機用バッテリーを充電する発電機)もファンベルト(エンジンの回転をオルタネーター等に伝えるベルト)もありません。代わりに、補機用バッテリーの容量も車載コンピューターが監視し、充電容量が低下すると駐車中であっても自動的にコンタクターをONにし、DC-DCコンバーターを経由して補機用バッテリーを高電圧バッテリーから充電します。DC-DCコンバーターとは、本来は簡単に電圧を変えられない直流の電気の電圧を変換する装置で、高電圧バッテリーの300V~400Vを12V前後まで落とします。電気自動車の仕組みについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

補機用バッテリーはいうなれば車が勝手に管理しますから、基本的には、我々は走行用バッテリーさえ空にしないようにすればいいわけですね。電気自動車においては、補機用バッテリーが上がることはほとんどありません。

走行用バッテリーが上がる?

走行用バッテリーが上がる、すなわち電欠したらどうすればよいのでしょうか?

ちょっと待ってください。皆さんは、ガソリン車に乗っていて、ガス欠したことってありますか?
ほとんどの方はないと思います。なぜガス欠しないのですか?それは、ガソリンが減ってきたら給油するからですよね。電気自動車は毎晩充電します。翌日の朝には一定の走行可能距離が毎日確保されているわけです。その上で、電池=走行用バッテリーが減ってきたら出先で充電します。
そうです。ほとんどの方は電欠なんかしないのです。でもスマホみたいに残量10%から急に0%になって「落ちちゃう」ことは?最近の電気自動車では、車載コンピュータのソフトウェアやBMS=バッテリー管理システムが改良され、走行用バッテリーの残量の予測が正確になってきています。そのため、電気自動車のバッテリー残量を100%信頼することはガソリン車と同様に危険ですが、ある程度信じて運転することができます。例を見てみましょう。

SOC 0%表示
SOC 0%表示
これは2018年2月5日の私のテスラモデルXのダッシュボードで、ちょうど充電器のある駐車場に到着した時点のものです。左側にいっぱい数字が出ていますが、左下に「0% 6℃」と表示されていますよね。これは車外の気温が6℃で走行用バッテリーの残量は0%(!!)であることを意味します。その左の冷凍庫のマークは、バッテリーが冷えていて、本来のパフォーマンスを発揮できないため、早めに充電して欲しいことを車が主張しているマークです。
画面右側のオレンジの折れ線グラフは過去10km分の消費電力で、燃費計のようなものです。グラフの上と右下は黄色の点線が表示されていますが、これは現在バッテリーがほぼ空のため、放電を制限し、またバッテリー温度が低いため、充電も制限していることを意味します。放電すなわち加速のために使えるパワーは100kW弱(この車はフルパワーで500kW以上を出すことができます)、逆の充電すなわち回生ブレーキは20kW程度に制限されています。

ここで詳しい方はお気づきになったかも知れません。「テスラってバッテリーヒーター付いてるんじゃなかったっけ?」そうです。しかし、このくらいバッテリーが空のとき、通常のモードのまま走行すると、バッテリーヒーターが早い段階で作動してしまい、より早く航続距離が減少してしまいます。そのため、バッテリーヒーターを限界まで作動させない設定の「レンジモード」に切り替えてあるのです。レンジモードでも、気温が氷点下を大きく下回ると、電池がいかに空に近かろうがバッテリーの保護のために、走行中であればバッテリーヒーターが作動します。

航続距離残1km表示
航続距離残1km表示
こちらは同じ画面ですが、残量表示を%表示から標準値表示というものに切り替えた表示となります。%表示との違いは、0%=0kmですが、100%はその時の走行用バッテリーの劣化状態から、走行できる距離を表示するものとなります。基本的には、%表示と標準値表示は線形すなわち○倍の関係になっています。テスラのBMSでは、%表示も標準値表示も基本的には同じ。エアコンを入れようが、暖房を入れようが、急な坂を登ろうが、残量表示の値が急に変化することはありません。
標準値ではあと1km!危なかったですね。でもこれができる、というところに注目してください。ここまでギリギリをやる必要はないのですが、普通に残30km(約7%)とかまで使うのは「絶対安全」なのです。

電欠を防ぐには

電気自動車での電欠を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?

基本的には、毎日充電していれば、スマホと同じで一日の途中で電欠になることはありません。可能性があるとすれば、充電をし忘れる、または遠出する際にきちんと計画していないということが考えられますね。

充電のし忘れを防ぐには、いくつかの方法があります。スマホも充電するのを忘れる方がいらっしゃると思いますが、そういう方のためにモバイルバッテリーがあります。残念ながら電気自動車はバッテリーが大きすぎてモバイルバッテリーは使えませんから、充電を忘れないようにお知らせしてくれるソフトを使うのが便利です。テスラではTeslaFiというWebサービスまたはDashboard for Tesla(Android専用)・Remote S(iOS専用)などのアプリが充電リマインダー機能を持っています。例えば、家に着いているのに夜9時を回っても充電が開始されておらず、電池残量が80%未満だと通知する、みたいな設定が可能です。

遠出のときに充電が足りなくなりそう!そういうことはあり得ます。その場合、いかに早く計画を立てるかが重要となります。30kmを切ったらすぐ安全な場所に停車して、次の充電の計画を立てるようにしましょう。高速道路を走行している場合は、50kmを切ったら次のSAPAに入って車を停め、充電器の設置されているSAPAで充電するのかそれとも高速道路を降りて下道の充電スタンドを利用するのか検討しましょう。

冬場、気温が低いとき、向かい風が強いとき、標高の高いところに移動するとき、積雪のあるときはすべて、要注意です。普段走行しているルートならギリギリも狙えると思いますが、初めて走行するルートの場合はかなり余裕を持たせる必要があります。「残30kmを切るかもしれないな」と思ったら、まず制限速度を守り(=新東名などでは流れより遅くなります)、行程の半分くらいまで走行してみましょう。電気を節約するコツは、とにかく速度を抑えることです。半分くらいまで行ってもまだ不安がある場合は、諦めて充電スタンドを探したほうが安全です。あとちょっと、なら、セミトレーラーや大型バスなどの自車より幅の広い車両の後ろを、車間距離を一定に保ってついていくことで、10%くらいなら節約できたりします。F1のスリップストリームみたいなものですが、ドラフティングと呼ばれます。車間距離を短くすればするほどドラフティングの効果は高くなりますが、安全性が損なわれますので車間距離はある程度開けましょう。
半分くらいまで来て、もう大丈夫そうだな、と思ったら流れに合わせて走行して大丈夫です。くれぐれも、逆にしないようにしてください!最初流れに合わせて走行し、残量が少なくなってから速度を落としても間に合わない可能性があります。

万が一の場合のレッカー移動

それでも電欠したら?電欠すると、電気自動車はテスラに限らず、ガソリン車と同様急速に速度が落ちます。できる限り安全に路肩に寄せ、車外には出ず、救援を呼びましょう。レッカーは最寄りの急速充電スタンドまでで大丈夫です。念のため24時間営業で、かつ評判のよいスタンドを選びましょう。多くの自動車保険にはレッカーサービスが無料で付帯されていますし、自動車メーカーの提供する充電カードにも付帯されていますので、それらを利用しましょう。
テスラは特に車重が重いので、基本的に後輪をドリー(小さい車輪付きの台車)に載せて牽引する方法はNGです。ローダー(積載車)を依頼しましょう。

上河内SA下りの急速充電器
上河内SA下りの急速充電器。奥は突き当たりのため、ここにローダーで車を下ろすのは難しい
最寄りの急速充電スタンドに着いた時に、どうやって充電するかを確認しておきましょう。ローダーで電欠場所から最寄りの急速充電スタンドにたどり着けば、必ず充電できるわけではありません。ローダーから車を降ろしたら、車はある向きに降ろされます。その位置で、急速充電器からのケーブルが届きそうか、レッカーのドライバーさんと一緒に確認してください。EVsmartにも口コミで急速充電器の実際の設置場所の様子の写真が多数アップされていますので、それらを参考にしましょう。急速充電器が奥まった場所に設置されていたり、充電器の周りにいろいろな構造物がある場合、車をうまく急速充電器の近くに「良い向きで」降ろせないことがあります。そのような場合は多少遠くても、レッカーで近づきやすい急速充電スタンドを選択しましょう。

最近はディーゼル発電機と急速充電器や、大きなバッテリーと急速充電器を搭載した車両がレスキュー用として活躍しています。しかし配備はほとんどされていないのが実情です。買う方はいらっしゃらないと思いますが(汗、以下にご紹介しておきます(企業名50音順)。


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