ヨーロッパで電気自動車の売り上げが急増~2020年2月期~

電気自動車の売り上げがヨーロッパで飛躍的に伸びてきています。1つの理由として、地域の主だった国が2025年~2040年の間に石油・ディーゼル車の新車販売禁止に向けて動いているという背景があります。2020年2月の新車販売数に関する情報がいくつか出てきましたので、まとめてみました。

ヨーロッパで電気自動車の売り上げが急増~2020年2月期~

ノルウェーが欧州市場を牽引

飛躍的に市場を伸ばしているのがノルウェーで、BEV(純電気自動車)+PHEV(プラグインハイブリッド車)で新車販売の68.1%を占め、プラグ無しのハイブリッドを含めるとその割合は79.1%に上ります。去年の4月期には純電気自動車が全車種の売り上げトップ7を独占するなど、EV先進国として突き進んでいます。スウェーデンも新車のうち24.3%がBEV+PHEV、プラグ無しハイブリッドを合わせると36.8%になります。その他の国はまだまだスウェーデンの半分かそれ以下の数値ですが、前年比で見るとかなりの勢いで売り上げが伸びています。国ごとに見ていきましょう。

国名EVPHEVEV+PHEV [()内は2019年2月の値] 
イギリス3.2%2.5%5.7% (2.6%)
フランス5.6%2.3%7.9% (2.6%)
ドイツ3.4%3.5%6.9% (2.5%)
スウェーデン6.1%18.2%24.3% (11.8%)
ノルウェー49.7%18.4%68.1% (53%)
オランダ9.5%2.5%12% (8.2%)

※タイトル行の車種をクリックすると数値順にソートできます。

イギリス

このテーブル上では一番低い数値のBEV+PHEV=5.7%ですが、昨年同月比で倍の数値になっています。一方ディーゼル車の売り上げは昨年同月比で27%落ちて現在22%となっており、ヨーロッパ全体で見てもこれは最低レベルの数値になっています。

2020年にイギリスでは240万台の車両販売を見込んでいます。EV(電気自動車)市場が現在の5.5%~6%のシェアを守れれば年間13万~14万台のセールスになり、2019年の倍の数値になるでしょう。

国全体としては2035年からガソリン・ディーゼル車を販売禁止にする予定ですが、都市レベルで見るとロンドンでは2030年までにICE(内燃機関車)の中心地への乗り入れ禁止を発表しています。さらにオックスフォードでは今年2020年12月から、中心地の6つのストリートをゼロ・エミッション・ゾーン(ZEZ)に指定してICEの乗り入れ禁止にすることを発表しています。

フランス

実は1月に新車売り上げのうちBEV+PHEVが11%を占めていたので2月に数値を少し落としたのですが、大規模市場(200万台以上)を抱える国の中ではトップの売り上げです。

2019年のフランスでの車両販売数は220万台ほどでしたが、2020年度は200万台前後になると見られています。フランスのEV協会であるAVERE FRANCEは今年の売り上げ目標を17万台としており、これは全体の8.5%になるので、このままのペースでいけば達成可能となります。

フランスでは2040年までにICEの新車販売禁止を目指しており、パリはそれに先駆けて2030年までに禁止する方針です。

ドイツ

ヨーロッパ最大の自動車市場を持つドイツでは、2020年2月の自動車全体の売り上げが昨年同月に比べ10.8%落ちました。しかしこの損失はすべてICEのもので、EV市場は順調にセールスを伸ばし全体の6.9%、プラグ無しハイブリッド車を含めると15.9%になります。BEV対PHEVの比率が49:51になりますが、今年フォルクスワーゲンから発売されるID.3が成功し、これまでも順調なテスラ車のデリバリーが進むことも考えると数値が逆転する可能性はかなり高くなります。LMC automotiveはドイツ国内の車両販売数が去年の360万台から330万台に減ると予想しています。しかしEVへの補助金が今年見直され、車両価格4万ユーロまでのBEVに6千ユーロ(PHEVは4千5百ユーロ)、6万5千ユーロまでのBEVに5千ユーロ(PHEVは3千750ユーロ)の補助金が支払われ、この政策は2025年まで続きます(※1ユーロ=118.38円)。補助金や新しいEVモデルが続々発売されることを鑑みると、市場での割合は7%を越え、25万台の売り上げになるかもしれません。

ドイツでは2030年までにICE新車の販売禁止を目指しています。

スウェーデン

上の方でお伝えしたようにスウェーデンのBEV+PHEV市場は2020年2月期に24.3%でしたが、これは昨年同月(11.8%)比で倍以上になっています。一方でガソリン車の売り上げは24%、ディーゼル車は大きく36%の下落を見せました。

EVのセールスは順調ですが、ICEの売り上げダウンを受けて、車両全体の販売数は去年に比べ5.4%減っています。公的自動車連盟のBIL Swedenは、2020年のスウェーデンの自動車市場におけるEVシェアが30%になると予想しています。年間全体車両販売予測が30万~35万台なので、EVセールスは9万~10万5千台になり、単純な販売台数で比較するとノルウェーよりも数が多くなります(市場がノルウェーより大きいため)。

ノルウェー

EVの市場シェアではトップを独走しており、BEVだけで49.7%、PHEVを合わせると驚きの68.1%になります。どんどん数を減らしているガソリン車の比率は9.7%、ディーゼル車は11.2%で、全体の2割強しかありません。2019年年間を通じてのBEV+PHEV比率は59%だったのですが、今年EVの種類が増え、価格が下がる中さらに電動化の流れが進むでしょう。

ノルウェーにおけるEV市場の増加は劇的で、2013年から2018年の間に10%から50%まで延ばしています。市場サイズ自体は小さいのですがEVの占める割合が非常に高いため、各企業がEV戦略を考える際この国は無視できない存在になっています。2020年のEV販売台数は9万~10万台になると予測されています。

オランダ

BEV+PHEVの2月の割合は12%で、PHEVは昨年同月比で39%の増加を見せました。2019年度BEVはプラグインハイブリッドの93%を占めたのを考えると2020年はスロースタートを切ったようですが、また盛り返すと見られています。

ちなみにオランダでの人気BEVトップ5は、2位のフォルクスワーゲンe-ゴルフ以外日本では馴染みがないと思われる車種が占めています。1位オペル Ampera-e、3位キア Niro EV、4位ヒュンダイ Kona EV、5位スコーダ Citigo EVです。

オランダでも2030年までにICEの新車販売が禁止されますが、アムステルダムでは今年から2005年以前に作られたディーゼル車の市内への通行禁止が始まり、2030年までにPHEVを含むすべての非ゼロ・エミッション車両が市内に入れなくなります。

終わりに

今年度からゼロ・エミッション車両のみ通行可能な都市が出てくるなど、ヨーロッパは確実に脱ICEの方向で進んでいます。国産の自動車が大半を占める日本では中々多くの種類の電気自動車を見る機会がないかもしれませんが、オランダのパートで触れたように、ヨーロッパでは確実に日本以外の自動車メーカーがEV部門でしのぎを削っています。これから日本市場も変わっていくのか注目です。

【参照記事】
Netherlands February 2020 on 『EV sales
France February 2020 on 『EV sales
Netherlands February 2019 on 『EV sales
Norway February 2019 on 『EV sales
France February 2019 on 『EV sales
Germany February 2019 on 『EV sales
UK EV Market Share At 5.7% In February, Doubling Year On Year, As Diesel Sales Collapse on 『CleanTechnica
Germany’s EV Market Share Keeps Growing — Hits 6.9% In February on 『CleanTechnica
Norway Rises Above 68% Plug-In Vehicle Market Share In February! on 『CleanTechnica
France Nudges 8% EV Market Share In February — Best Of The Big Markets on 『CleanTechnica
Sweden’s EV Market Share = 24%! (Petrol & Diesel Continue To Melt) on 『CleanTechnica
All-Electric Car Sales In UK Doubled Again In February 2019 on 『INSIDE EVs

(文/杉田 明子)


One thought on “ヨーロッパで電気自動車の売り上げが急増~2020年2月期~”

  1. なるほど西欧のEV化には都市部のエンジン車出入禁止が絡んでますね。
    それ以上に北欧の意識の高さには驚かされますが!!…考えてみれば氷河が溶け出し海面上昇で影響を喰らいやすい地域だから環境変化を嫌っているのも判りますよ。
    日本も北欧並みに大気汚染などの影響はあるはずですよ。それにつけても春の病をを花粉のせいにしている政府や医者のリテラシーの低さよ!!(爆)
    もっと国民各々がリテラシー(自ら情報収集して分析し各人ナリの回答を出す)能力を上げないと日本は衰退まっしぐらですよ!?…30年前に聞いた前世紀末の悪魔的音楽でも散々触れられていた内容であり我輩はその歌詞に秘められた内容を今も覚えてますが、警告という意味では筋が通ってますよ。

    …もう日本の政府やマスコミの発言は信用できなくなりました。まだ海外メディアや研究機関のほうが信用できるじゃないですか!?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です