あなたの電気自動車、何kWで普通充電できますか? 愛車であるHonda eの充電性能をちゃんと知りたい!

EVの充電性能は車種によって違います。はたして、Honda eは6kWの出力で普通充電できるのか? フリーライターの篠原さんが愛車であるHonda eの普通充電性能を確かめた、体当たりのレポートをお届けします。

あなたの電気自動車、何kWで充電できますか? 愛車であるHonda eの充電性能をちゃんと知りたい!

愛車の普通充電性能を、知らなかった……!

きっかけは、EVsmartブログに寄稿した『電気自動車『Honda e』を衝動買いしてわかったこと〜自宅充電なしでBEVに乗ってみる』という記事に寄せられた「Honda eは6kW充電に対応していますか?」という質問コメントだった。

えーと、どうでしょう……。質問されて気づいたのだが、一年以上乗っているのに、これまで普通充電器の出力について考えてみたことがなかった。

私のHonda eは「野良EV」。自宅は充電設備がない集合住宅なのにEVを買ってしまったという経緯から、使うのはほとんど街中の急速充電器。普通充電はショッピングモールなどで「ちょい足し」に使うぐらいだ。つまり経験も知識も不足している、というか、購入時などに説明はなかったし、全然知ろうとしていなかった。

なんとなく普通充電の出力は3kW(200V 15A)と思い込んでいた。実際に私たちのような一般ユーザーが利用できる公共の充電器は90%以上が3kWだという。でも、家庭用を中心に6kW出力に対応した普通充電器も結構出回っているようだ。倍速で充電できるというのは、かなり便利なのではないだろうか。

どうせ自宅に設置はできないけれど、質問にはお答えしたいし、後学のためにも知っておきたい。

テスラのウォールコネクターで検証

「どうしたら試せますか?」とEVsmartプログのビジネスチャットに投げてみたら、EV通のスタッフの皆さんから続々と情報提供や協力の申し出が。ブログを運営するアユダンテの社用地下駐車場にテスラのウォールコネクターがあるそうで、「使ってもいいですよ」と安川社長も快諾。

アユダンテ駐車場のテスラウォールコネクター。

そもそもテスラのチャージャーが他社の車でも使えるということがまず驚きだった。いやぁ、知らなかった。

テスラは、スーパーチャージャーという独自の超高速充電網を整備している。この急速充電器はテスラ車しか利用できない(※編集部注/欧州ではそもそもテスラがCCS2規格の充電口を備えたりして、汎用化される可能性が高まっています)のはさすがに私も知っているが、宿泊施設や商業施設に設置されているデスティネーションチャージャーは、場所によってはテスラ車以外でも使わせてもらえるのだという。

ユーザーが自宅などに設置するウォールコネクターも、テスラでなくても利用可能。よくよく考えてみれば使えて当然かもしれない。だって、テスラのほかにもEVを持っているような複数運用で、別々に充電器を設置するのはバカバカしい。

ただし、テスラ車の充電口は独自規格なので、国産EVの普通充電に使われる規格「SAE J1772」に変換するアダプターが必要になる。テスラユーザーのなかには常備している人も多いそうだが、他車ユーザーにはまったく縁がない製品。それもしかし「アユダンテの社有品を使ってくれてOK」だという。いやほんとにありがたい。しかもEVsmartスタッフである石井光春さんがレクチャーとお手伝いを申し出てくれた。社用車のテスラ・モデル3や日産アリアを少しだけ動かしてスペースを開けてもらい、テストの準備完了。

テスラ→J1772のアダプター。

石井さんによると、ここのウォールコネクターは第二世代のもので16kWまでの利用が可能。同社では9kW程度で運用中だという。しかし16kWってほとんど急速充電のレベルなのでは。第三世代になると9.6kWまでしか出ない、とのことだが、3kWとか6kWとかを最初から超えているところがテスラっぽい。

自宅での基礎充電では、基本料金が高くなる契約アンペア数との兼ね合いなどもあるし、出力が高ければいいとも限らないが、ユーザーが選択できる幅を広くするのは製品づくりとして正しいと思う。

見事に6kWで普通充電できた!

しかし、はたしてテスラ用のコネクターはうまく作動するのか。石井さんに手伝ってもらい、ドキドキしながらHonda eの充電口に差してみる。カチッと押し込むと、充電口にある青いLEDが点滅を始めた。よしよし、無事に充電開始。あとは、これが3kWなのか6kWなのかのチェックだ。

通電を示すブルーライトが点滅!

じつはHonda eは充電されているときも電力が表示されない。通電しているワット数やアンペア数が表示される急速充電器の場合は、何kWで進行中なのかがわかるし、終了時に何kWh入ったかも表示してくれたりする。また、ホンダチャージングサービスのカードで認証利用した時には、利用時間や料金、充電量がメールで確認できる。ただ、ウォールコネクターには多くの普通充電器と同じく表示機能がないし、カードを使わないからメールも来ない。

なので測定は、充電率(SOC)を頼ることにした。あまり正確さは期待できないけれど、充電前と充電後のSOCを比べて何kWで充電されたかは計算できる。

比較のために3kWで1時間の充電量を記録。

比較するために、あちこち走行しながら別々のショッピングモールや商業ビルの普通充電器(3kW)で1時間充電を3回試してデータを取っておいた。ホンダチャージングサービスからの通知によると、3回とも1時間で2.7kWhだった。なんで3kWhじゃないの? とも思えるが1割程度はロスがあるのかも。表示されたSOCの充電前後の差は11~13%だった。ん? またこれも謎。満充電が35.5kWhのHonda eで、2.7kWhならSOCの変動量は7~8%のはずでは。むむむ……。

ま、今回は何kWで充電できるかという検証なので、この謎は先送り。今回、1時間充電させてもらって20%台の変動量があれば、6kWの倍速充電ができていると推定できる。SOC21%からスタートしたので、目指せ40%台だ。

ウォールコネクターは順調に電気を送り続けてくれる。車外であれこれ話しているうちに約30分が過ぎたので、充電量を表示させてみる。

32%。おーっ、と二人で拍手。30分で11%増、つまり1時間なら22%に相当するから、無事に倍速で充電できているようだ。

SOC35%の時点で、残り時間が3時間30分になっているのに気づく。3kWならあと8時間近くかかるはず。車体でも6kWを前提に計算しているのだろう。1時間後には、44%まで充電することができた。

なぜ、メーカーがちゃんと説明してくれないのか?

実は、この実験と並行して寄本編集長がホンダの広報に質問してくれていて、「普通充電は6kWに対応しております」という回答を得ていた。充電性能を実証できたことになる。

急速充電ではスペック通りの充電効率がなかなか出ないHonda eだが、普通充電に限ってはなかなか高性能。しかし、オンラインカタログをチェックしても、倍速充電のことはまったく書いていない。探しに探したら、取扱説明書に「高電圧バッテリーの充電方法」という欄があって、AC200Vの普通充電で「満充電までの時間は12時間」と書かれているのを見つけた。明らかに3kWでの計算だ。倍速なら、空っぽからほぼ6時間で満充電になる。時間帯が決まっている夜間割引のことを考えても、6時間と12時間の違いは大きいはず。なぜアピールしないのだろう。

なにしろ海外ではちゃんと説明しているのだ。EVsmartスタッフのテスカスさんが見つけてくれたのだが、英語版のカタログ(アイルランド向け)にはしっかり「On Board Charger Capacity 6.6kW AC」と明記されている。国によって使用環境も販売戦略も違うのは理解できるが、EVの大切な基本性能なのだから、ぜひ日本でも丁寧な説明をお願いしたいところだ。

ちなみに、冒頭の読者の声がきっかけになって、EVsmartのEV車種紹介コーナーに「最大急速出力」と「最大普通出力」が追記されることになった。みなさん、購入を検討する際には、ぜひ普通充電の性能もチェックしてみてください。今まで全然気にしていなかった私が言うのもどうかと思うけど。

(取材・文/篠原 知存)

この記事のコメント(新着順)6件

  1. 電気技師です。完璧に我輩の手持ちジャンルですな。
    当家は10kVA契約+ソーラー発電3.5kW+蓄電池7kWh+i-MiEV(M)10.5kWh、以前HEMSで電力を確認したところ最大3kWでしたよ。

    しかし電気自動車普及にいたるには広範な電気知識が必要なんですね。電気事業法・電気工事士法・計量法・電力需給契約・停送電シーケンス・保護継電器設定・電池の化学物質・内部抵抗・Cレート…電気のエキスパートでも全把握は困難、ましてやそんな知識もない一般人に電気自動車充電のすべてがわかるとは到底思えません!!(爆)

    電気自動車普及一番の近道は、電気技師がこぞって電気自動車に乗れる環境を作ること!!ハードよりソフト、ハード使いこなせる人間がいなきゃ始まりませんよ。自身がその一人になりつつありますが孤立無援ではどうしようもないのもまた事実。

  2. うちの充電設備は6kwhの出力で設置しましたが、単純に同じ時間で倍の充電が出来ています。
    その際当然ですがブレカーのアンペアは1段階上げまして基本料金は上がりましたねー。
    ブレカーを気にしながらの生活は厳しくはないですかー?私はちょっと無理だったので業者に頼んで交換して申請もしてもらいました。

    1. たまこさん
      コメントありがとうございます!
      倍速充電は便利ですよね。
      そしてブレーカーはなるべく落ちない方がいいです(笑)
      夜間割引もどんどん廃止・縮小されているようですし、
      導入するとなると勉強することがたくさんありそうです。
      自宅充電ができない環境ですが、
      EVに乗るようになって電気についてもいろいろ学ぶことが多く、
      そうだったのか!という発見があったりして楽しいです。

  3.  Honda eは、中々優秀ですね。でも何で説明しないんだろう?もったいない。
     リーフを買い換えたとき、確か6KWはオプション設定で、結構高価で見送りました。それに自宅で充電するには当然ながら、倍の電力消費になります。現在40A契約なのですが、3KW充電でもエアコン、IHコンロ、食洗器、電子レンジ、湯沸かし器等を使う時は重なり過ぎないように注意してます。(過去何度も飛ばして、家族から顰蹙を買いました。)
    兎に角、車の性能は知っていて損はないですね。今後中古EVを選択するときの耳寄り情報になりますね。

    1. 水野友夫さま
      コメントありがとうございます!
      自宅充電ができるというだけでうらやましい限りですが、実体験を聞くとなるほど、いろいろと熟慮が必要なのですね。うちは電子レンジとオーブントースターだけでよく台所のやつを飛ばしてます(笑)充電もしてないのに……。
      6kWで運用するにはしっかり覚悟と準備が必要かもしれませんね。

  4. 篠原さま
    >>EV車種紹介コーナーに「最大急速出力」と「最大普通出力」が追記されることになった。
    BMW i3オーナーです。EV車種紹介コーナーのi3の最大普通出力が7.4kWになっていますがそれ間違っています、年式・バッテリーサイズに関わらず3kWです(7.4kWあれば本当に嬉しいのですが)。
    先程BMWカスタマーにメールで確認が取れました。
    訂正をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。車歴/アコードワゴン、BMWミニ、インサイト、ランドクルーザー、N-BOX、Honda e。バイク歴の方が長くて、いまはKTM 125 Dukeを所有。

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