WattEVが大型電気トラック用太陽光充電ステーションの建設に着手〜EVトラック新ビジネスも提供

米国カリフォルニア州で、WattEVが大型電気トラック用充電ステーションの建設に着手しました。社はTaaSという新しい形の自動車事業も手掛けています。『CleanTechnica』が報じた記事を、全文翻訳でお届けします。

WattEVが大型電気トラック用太陽光充電ステーションの建設に着手〜EVトラック新ビジネスも提供

元記事:WattEV To Break Ground On Solar Charging Station For Heavy-Duty Trucks by Steve Hanley on 『CleanTechnica

カリフォルニアに本社のあるWattEVは来月、州内初の大型トラック(最大車両総重量8万ポンド≒36トン)専用太陽光充電ステーションの建設に着手します。場所はベーカーズフィールドで、5MWの太陽光パネルと、中古バッテリーパックを使った蓄電機器も設置されます。

同社ホームページには、「WattEVは米国トラック交通網のゼロ排出化を誰も予想できない速さで加速します。革新的なビジネスとテクノロジーを用いて、インフラとデータドリブンのワークフローを構築し、トラック運転車と車両管理者にかかるコストを最小限にします。私達のゴールは、現在の予想を超える1万2,000台の大型電気トラックを、2030年までにカリフォルニアで走らせることです」と書かれています。

ベーカーズフィールドの工事には2年かかります。手始めに1,000万ドル(約11億1,880万円)をかけてトータル4MWのトラック用充電器を12台設置しますが、このうち500万ドル(約5億5,939万円)はカリフォルニア州エネルギー委員会からの補助金が充てられます。プロジェクトにはこの他にサンホアキン・バレーAPCD、中央カリフォルニア喘息協力会、グリーンロッツ、パワー・エレクトロニクスなどが参画しています。

110エーカーある敷地には、最終的に3,000万ドル(約33億5,361万円)で40台の充電器と25MWの太陽光蓄電が設置され、充電容量は40MWになります。ドライバーは出力が250kW、350kW、1MWの充電器から選ぶことができ、PV Magazineによると1MWの機器は、30分でクラス8トラクターに航続距離515km相当分を充電できます。

ベーカーズフィールドの現場はAmazonフルフィルメント・センターから約1.6km、ウォールマートの流通センターから約19kmに位置しています。WattEVはベーカーズフィールドに加え、サンバーナーディーノやガーデナにも似たようなプロジェクトを展開する計画を立てていると報じられています。両施設は、海外からの物資が到着し、近隣の倉庫や流通センターに運ぶ際の拠点となるロサンゼルス港やロングビーチ港のために使われます。

トランスポーテーション・アズ・ア・サービス(Transportation As A Service)

WattEVの事業は充電ステーションだけに留まりません。

コアのビジネスは、大型トラック用にトランスポーテーション・アズ・ア・サービス(TaaS:車両を自分で所有・管理することなく利用できるようにする)ネットワークを運営することです。ネットワークは自前のものか、他社所有ものであれば管理するサービスを提供します。WattEVでは50台のテスラ・セミと、6台のボルボ・VNR エレクトリック クラス8トラックを注文済みです。

VNRには264kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載されており、航続距離は241km、70分で80%まで充電されます。同社はシステム全体で1GWの充電能力と、2030年までに1万2,000台のトラックを管理下に置きたいと話しています。WattEVのTaaSモデルについては、下の動画をご覧ください。

WattEVはTaaS用で初の電気トラック群の契約書をTTSIと取り交わしました。カリフォルニア港から各方面へ物資を運ぶ16台のトラックです。TTSIはWattEVのトラック、充電インフラ、EV管理サービスを利用します。

港からの物資は、通常大きな音を立てるディーゼルトラックによってエンドユーザーまで運ばれます。WattEVは重量トラックから汚染ゼロの電気モデルへの転換を南カリフォルニアでリードし、充電に太陽光を利用して仕事ができるようにします。地球にとって良いニュースです。特にゴールデン・ステイトの主要道路沿いに住む人にとって、電気トラックへのシフトはいくら速くても速すぎることはないのです。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 大型トラックはEV化できないと言われてきたので驚きました。
    バッテリーを運んでるだけになると聞いたことが有ります。
    やればできるんですね。
    できないという話はEVになると困る人達の戯言だったのか。

    路面給電できれば更に良いですね。

    ドライバーが減ってきてるので自動化の努力も必要でしょうね。

    1. たぶんトラックの電動車化は事故防止・人手不足・自動運転・低排ガス・省エネの側面が大きいですよ!?もともと日本には石油危機を契機に制定されてエネルギー使用合理化に関する法律(省エネルギー法)があり、エネルギー管理士は電気のみならず石油使用量も減らさねばならない、しかも石油より電気のほうがエネルギー単位が低いので有利(計算係数で判明する)、など。
      いろんな国家資格を受験してインフラ関連の法律を網羅した人のほうが正確に話せるかもしれませんよ!?

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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