日産リーフNISMOで晩秋の草津温泉へ往復〜電池容量40kWhで感じる「不満」とは?

電池容量40kWhの日産リーフNISMOで、東京=草津温泉(群馬県)を往復しました。行程は片道約180km。一充電航続距離は250km以上なので、途中の充電は気にせず走れるはずですが、はたして実際はどうなのか。どんな「不満」を感じたのかをテーマにレポートします。

リーフNISMOの魅力とは

日産リーフNISMOは、2018年12月に私がマイカーEVを購入する際に、中古リーフと最後まで迷った1台です。500kmを超えるようなロングドライブ時、急速充電を繰り返すと電池温度が上昇して出力制限がかかりやすい課題がどうしても気になったのと、いろいろ考えた末に「150万円で150km」を最優先の購入条件に定めて中古のAZE0(30kWh)リーフにしたのですが、今でも、40kWhのリーフNISMOはいろんな意味でバランスが良い、魅力的なモデルだと思っています。

リーフNISMOの新車価格は429万4400円(税込)。オプションのプロパイロットを装着し、特別塗装色のガーネットレッドとスーパーブラックのツートン(税込8万2500円)を選んでみた見積額は437万6900円でした。一充電航続距離の関係で、XやGといったモデルのCEV補助金額が42万円に対してNISMOは32万円になりますが、今、日本で買える電気自動車のなかでは現実的かつ魅力的なコストパフォーマンスを備えたモデルだと思っています。中古車を調べてみると、200万円台後半の価格帯でした。

エアロパーツを装着した精悍な外観や、赤をアクセントにしたインテリアに加えて、ステアリングやサスペンション、ブレーキなどの性能をスポーティにチューンアップ。電気自動車の場合、同じモーターを使っていてもコントローラーのセッティングで走りは別モノになるので、通常のリーフに比べて俊敏な加速や小気味いいスポーツドライブが楽しめるNISMO専用のモードにセットされているのが、個人的にはとても好ましいポイントです。

今回のプチ長距離ドライブでも、タイトなコーナーが連続する山道でキュンキュン走れる楽しさを満喫できました。キュンキュン走ると電費は少々落ちますが、個人的に「あまり電費ばかりを気にしてもなぁ」と思っているところもあって、正直、気持ちよさが優ります。私自身、プロドライバーのようにクルマの走りを評価するアンテナは装備してないですが、毎日の食事にちょっと値段は高くても美味しいお米を選ぶ、リーフNISMOはそんなクルマであることを実感できました。

40kWhの電池容量や、WLTCで281km(このモデルのEPA値は不明ですが、推計すると230km弱程度でしょう)の航続距離も、私は「これで十分」だと思っています。電池をたくさん積めば距離はもっと走れますけど、その分高くなるし重くなる。今回実際に長距離を走ってみて、今後、大衆的な電気自動車の車種を増やしていくことを考えると、40kWh程度というのはベストバランスの電池容量ではないか、とすら感じました。

では、東京=草津を往復してどうだったのか、また、何を不満に感じたか、電池残量を中心にレポートしていきましょう。

出発前、自宅ガレージの200Vで充電してSOCは100%、航続可能距離は257kmでした。草津温泉までの距離は約180km。途中、別件取材で少し立ち寄り先がありますが、ざっくり200kmくらいで到着できるでしょうから、算数としては十分に無充電で行けるでしょ? という距離です。でも、草津と東京の標高差およそ1000mを考えると「ちょっとヤバイかな」という距離でもあります。さて、どうなるでしょう。

約132km走って、伊香保の水沢うどんのお店で昼食。SOC27%で、航続可能距離62kmの表示です。草津までの距離は約55km。水沢の標高は500mくらいでしょうか。草津まではまだ500mくらい上りなので、やはり無充電ではちょっと届かないかな、という感じです。

こういう店に普通充電器があればいいのに

水沢うどんは観光グルメとしても有名なので、この日も平日であるにも関わらず大きなお店の広い駐車場はほぼ満車。とても賑わっていました。一応、駐車場をぐるりと確認してEVsmartで検索もしてみたのですが、この店はもちろん、水沢周辺に充電設備を備えたうどん屋さんはありませんでした。

電気自動車の充電インフラは急速充電ばかりが注目されがちですけど、実は、こうした立ち寄り先に200Vの普通充電器があると便利です。トイレの洗浄便座のように、観光施設などには「電気自動車の普通充電設備がどっさりあって当たり前」という世の中になってくれることを望みます。

SOC12%、航続可能距離29kmで、道の駅『八ッ場(やんば)ふるさと館』に到着です。ここから草津温泉(最終目的地は湯畑観光駐車場)までは約17km。微妙だなぁという残量ですが、無理しても意味ないし、道の駅の急速充電器(20kW)が空いていたので、八ッ場ダムの写真を撮影する間、20分ほど充電しました。

SOC28%、距離68kmに回復。草津到着には十分です。最大出力20kWの急速、いや中速充電器なので、40kWhリーフの弱点である電池温度もまったく問題ありません。

SOC14%、航続可能距離表示29kmで草津温泉の湯畑観光駐車場に到着しました。道の駅からはSOCにして14%消費。充電前のSOCは12%だったので、無充電にこだわっていたら2%足りずに電欠の危機でした。

旅館に必ず複数台の普通充電設備があればいいのに

実は、宿泊した旅館の指定駐車場はこの湯畑観光駐車場ではなく西の河原公園駐車場でした。でも、そっちは充電設備がありません。温泉街手前の道の駅『草津運動公園』には44kWhの急速充電器がありますが、旅館に宿泊するのですから駐車場でじんわり満充電にしておきたい。旅館の方にも「そろそろ充電設備を」とお願いしておきました。

湯畑観光駐車場は、15時〜翌朝10時までの駐車料金が800円。10時〜15時までは最初の120分が500円で以降30分100円です。今回、私は16時前から翌朝まで駐車したので、料金は800円。指定駐車場ではなかったので、旅館宿泊者の割引などはありませんでした。

この駐車場の充電設備は200Vの電気自動車用コンセントが2区画です。ケーブルはないので、車載の充電ケーブルを持参する必要があります。充電料金は無料。ただし、充電区画は電気自動車専用とはされていないので、エンジン車が停まっていてもどうしようもありません。

復路はきっと、無充電で大丈夫

それにしても、草津はやっぱりいいですねぇ。私は旅雑誌を作っていたこともあるので全国各地の温泉を結構泊まり歩いてますが、草津のお湯は体感的に日本一です。プライベートでも、子どもが小さい頃は大阪屋とか中沢ビレッジに何度も通いました。でも、今回は10年ぶりくらいの草津の湯。別件取材はそれなりにこなしつつ、一泊のなかで温泉には4回入り、満喫しました。

駐車場で満充電。航続可能距離が224kmと東京出発時の257kmよりも少ないのは、前日、上りルートを走った影響です。トリップメーターで確認すると前日の走行距離は192km。今日はほぼまっすぐ東京へ戻るだけなので、無充電で帰れるはずです。

帰途、改めて八ッ場ダムを訪問。何というか、ごついです。発電所はまだ工事中でした。真新しい資料館もオープンしてました。ダム湖に水没して新しい温泉街になった川原湯温泉は訪問できませんでしたけど。いろんな意味で必見の新スポットですね。今度は川原湯にも来たいなと思いましたが、ここまで来るならやっぱり草津に泊まっちゃうだろうな。

あと、遅めのランチは『あおぞら』という焼肉ファミレスでいただきました。道沿いにいっぱい看板があり気になって選んだ店ですが、平日の14時近くなのに2組ほど順番待ちしたほどの大人気。群馬の方にはおなじみの店なんでしょうか。お手頃な値段で美味しいランチでした。

帰りの関越自動車道は電池のことは気にせず快走。練馬で下りた時点でSOC33%、航続距離表示は86kmでした。

SOC26%、航続距離表示69kmで三軒茶屋の自宅に到着。草津からの走行距離は191kmだったので、ざっくり算数すると一充電で260kmくらいは走れたことになります。往路は足りなかった電池が、復路は26%の余裕を残して到着できる。これが標高差トリックですね。

というわけで、「やっぱり、マイカーEVの電池容量は40kWhで十分満足だぁ」という思いを深くしたプチ長距離ドライブとなったのでした。不満を感じたのは、食事スポットや宿の駐車場に充電設備がなかったこと。これから日本もEV普及を進めていくために、とても大切なポイントだと思います。

(取材・文/寄本 好則)