軽EVの日産サクラで、東京から白馬まで往復してきました。「日常使いにふさわしいバッテリー容量」である20kWhで、片道約270kmのロングドライブをどう走るべきなのか。EVビギナーに役立つ虎の巻レポートにしてみます。
往復ともに中央道。片道2回の急速充電で走破
7月23日〜24日、第9回 ジャパンEVラリー 2022 が長野県白馬村で開催されました。EVsmartブログ執筆陣もたくさん参加して、すでに石川温さんの Honda e での往復レポートを紹介。この後、諸星陽一さんによる三菱eKクロスEVのレポートをお届けする予定にしています。
今日は、私、寄本が走った日産サクラの往復を題材に、軽EVを注文して「初めてEVオーナーになる!」という方に役立てていただけるよう、軽EVでの「ロングドライブ時のコツと注意点」という視点の記事をまとめてみたいと思います。
ちなみに、ご縁の深い白馬には何度も電気自動車で走ったことがあり、マイカーである30kWhリーフで走ったレポートも以前紹介しています。この時は談合坂SAと八ヶ岳PAの2回充電で、東京→白馬を走破。「休憩2回じゃダメですか?」という記事にまとめました。はたして、サクラは何回の急速充電で白馬へ到達できるのでしょうか。
なにはともあれ、走行&充電記録を表にまとめました。
日産サクラ 東京=白馬 充電記録
| 月日
時間 | 場所 | 区間距離 | SOC | 充電時間
推計電力量 | 航続可能距離
(表示) |
|---|---|---|---|---|---|
| **往路** | |||||
| 7月22日
06:58 | 東京都世田谷区 | 0 | 99% | START | 143km |
| 08:20 | 中央自動車道
釈迦堂PA下り線 | 101km | 23→81% | 30分
58%/11.6kWh | 112km |
| 10:03 | 中央自動車道
諏訪湖SA下り線 | 85km | 11→75% | 30分
64%/12.8kWh | 108km |
| 13:02 | 道の駅 白馬 | 87km | 13→67% | 30分
54%/10.8kWh | 107km |
| **復路** | |||||
| 15:23 | 白馬五竜 | 0 | 78% | START | 107km |
| 17:13 | 中央自動車道
諏訪湖SA上り線 | 86km | 13→72% | 30分
59%/11.8kWh | 102km |
| 19:25 | 中央自動車道
釈迦堂PA上り線 | 85km | 20→78% | 30分
58%/11.6kWh | 131km |
| 21:55 | 東京都世田谷区 | 98km | 23% | GOAL | 40km |
往路では白馬到着後、その日の準備作業のために道の駅白馬で充電しました。充電設備がある宿に泊まったので、到着するだけであればこの充電は不要です。結果、中央自動車道を利用した往復ともに、途中での急速充電は2回で走破できました。
覚えておきたい! 軽EVロングドライブの秘訣
急速充電2回というのは、マイカーの30kWhリーフと同じです。以前、16kWhの三菱i-MiEVで4回ほど充電して同じ区間を走ったこともあったので「まあ、3回くらい経路充電するのが無難だろう」と予想していたのですが。日産サクラ、想像以上に優秀なロングドライブ性能を発揮してくれました。
というわけで、今回の記録から読み取れる、軽EV(日産サクラ&三菱eKクロスEV)で、スムーズにロングドライブを楽しむためのポイントを挙げていきましょう。
ACC(装備車なら)を活用して定速巡航を心掛ける
今回、充電2回で白馬まで走破できた最大のポイントは、1回目の充電スポットとして、談合坂SA(約62km)ではなく釈迦堂PA(約101km)まで届いたことでした。ご承知のように、中央道下り線は勾配としては上り道。正直「釈迦堂までは無理だろうな」と思っていたのですが……。
談合坂に差し掛かるあたりでSOC(電池残量)はまだ50%ほどあって、ナビに表示される残量予想でも釈迦堂まで到達できることが示されていたので、一気に走ってしまうことにしました。
今回、全ルートを通じて、プロパイロットのACCを制限速度にセットして走りました。つまり、中央道では80km/h巡航したことが功を奏しました。欲張って90km/hにセットしていたら、談合坂で充電が必要となり、そうすると次は双葉SAか八ヶ岳PAで2回目。さらに梓川SAか一般道に下りてからの大町あたりで3回目の急速充電が必要だったと思います。
今回、80km巡航としたことで、東京→釈迦堂PAまで、上り勾配のルートにも関わらず約101kmを77%、つまり15.4kWh(約6.6km/kWh)で走ることができました。軽EVでスムーズに長距離を走るためには、制限速度を守った定速巡航がハッピーです。
ちなみに、復路の釈迦堂PA→東京までは、20kmほどの渋滞に巻き込まれて、相模湖以降は流れに乗って走ったものの、98kmを11kWh(約8.9km/kWh)で走破できました。
80〜100kmごとの急速充電計画を立てる
さらに表を確認すると、今回の長距離ドライブでは80〜100km程度で急速充電を繋いでいることがわかります。充電スポット到着時のSOCは11〜20%程度なので、これ以上の無理は禁物。
今回は走り慣れたルートで急速充電器があるSAPAも頭に入っているので事前の充電計画は立てませんでした。でも、軽EVを購入して電気自動車ライフを始める方には、EVsmartなどの充電スポット検索アプリを活用して、80kmごとを目安に、充電計画を立ててから長距離ドライブに挑むことをオススメします。EVsmart アプリであればスマホの場合、右下に表示されるメニューから「経路検索v2」を選ぶと、目的地までの充電プランを提案してくれるので便利です。
※車種選択に、まだサクラやeKクロスEVが追加されていません(納車が本格化するまでに急いで追加するようアプリチームに提案しておきます)。便宜上、両車種ともに「日産リーフ 24kWh」に設定して検索してみてください。
最大出力40~50kW以下の急速充電器を使う場合、大容量バッテリーを搭載したEVでも、1回30分の急速充電で補充できる電力はおおむね15~20kWh程度です。電費が5km/kWhであれば、走れる距離は75~100km程度。サクラはバッテリー容量が小さいので「最初の一歩」こそは短いし、急速充電性能は最大30kWに抑えられていますが、電費性能が優れていることもあり、1回の急速充電で走れる距離は大容量電池の高級EVと大差はありません。
電池残量「20〜80%」を活用して走る
サクラ(以下、eKクロスEVも同様です)の場合、SOCが20%を切るとバッテリー残量低下の警告が出て、予測航続可能距離が20kmを下回るとメーターの予測距離表示が消えます。充電スポットまでの距離が把握できていれば、警告が出たりメーターの航続可能距離表示が消えても慌てる必要はありません。でも、EVビギナーの方であればなおさら、ちょっとドキドキしますよね。
また、サクラの急速充電性能は最大30kW。充電中にSOCが50%を超えると出力が制限され始め、70%を超えるとさらに制限が強まります。つまり、急速充電で80%以上、もしくは満充電にしようとするのは、あまり効率がいい方法とはいえません。
SOC20%(推定残量4kWh)〜80%(16kWh)まで、30分の充電で10〜12kWh程度を注ぎ足しながら走るのが、サクラのロングドライブ時には最も効率よくスムーズに走るコツであることを覚えておくといいでしょう。つまり、電費を7km/kWhと仮定すると、12kWh分=約84kmごとに急速充電を繋いでいくイメージです。
さらに、SOCが50%を超えると急速充電の出力が制限されることを逆手に取って、たとえば50kmごとに15〜20分ほどの急速充電を繋いでいく方法もあります。私の場合、たとえば「新東名3ストップ作戦」と呼んで、旧型リーフなどバッテリー容量が大きくないEVで新東名を走る際、駿河湾沼津、静岡、浜松と、15分程度を目安に短時間×3回の急速充電を繰り返して走る(120km/h制限区間も流れに乗って走れる)のを好みます。電池冷却が弱点のリーフでこれをやると熱制御が入って充電出力が上がらなくなったりすることもあるのですが、サクラはバッテリー冷却システムを備えているので大丈夫(試してないので推定ですけど)です。
20kW器でも56kW器でも充電量は大差なし
次に注目して欲しいのが、往路、最大出力56kWの急速充電器を使った釈迦堂PA(下り)と、最大25kWの道の駅白馬での充電量です。充電器のスペックは倍以上ですが、ともに30分間の急速充電で、釈迦堂PAでは「58%/11.6kWh」、道の駅白馬では「54%/10.8kWh」と、大差ないことがわかります。
理由は簡単。サクラのほうが急速充電を受け入れられる出力を30kWに抑えているから、ですね。しかも、SOC50%まで、最大の30kWで充電できるゾーンを超えるとさらに制御が入るので、20kW器でも56kW器でも充電の出力はほぼ同じになります。
ということは……。たとえば、東名の海老名SAの場合、90kWの高出力器と44kW出力の急速充電器が並んで設置されています。これが、両方とも空いていたとしてあなたはどちらの充電器を使いますか?
もちろん、空いていればどちらを使ってもいいんですけど。充電中に高出力対応のEVが入ってきてなんとなく気まずい思いをしないようにするためにも、サクラ(軽EV)ユーザーとしては44kW器を優先して使うのがオススメです。
さらなるSAPAの急速充電器拡充を求めましょう!
今回利用した釈迦堂PAの急速充電器は2021年度に新設されたもの。しかも、最大出力56kWで、2台が同時充電可能な新型器です。談合坂をスルーできたのは、釈迦堂に急速充電器が新設されたおかげです。
とはいえ、復路の諏訪湖SAではEVラリーに参加していたEVが重複して、私はほぼ30分待ち。さらに私の次に来た方は1時間近く充電待ちをすることになってしまいました。e-Mobility PowerやNEXCO各社がEV充電インフラ拡充に取り組んでいることは承知しています。でも、なかなか増えていかないのが現状でもあります。一日も早く、ことに高速道路SAPAへの網羅と複数台設置を進めていただくよう、みんなで一緒にさらなる声を上げていきましょう。
あと、泊まりの旅に出かける場合、電気自動車用の充電設備がある宿を選ぶのも大切です。
3ナンバー以上に「荷物が積める!」便利さに感嘆
今回、日産サクラはジャパンEVラリー白馬で実施した「最新EV・PHEV試乗会」の試乗車として、日産の広報車をお借りしました。試乗車、といいつつ、EVラリーのスタッフでもある私が運転して白馬まで往復したので、私を含めて大きめの男性2名が乗って、後部座席は倒して荷物満載状態での往復でした。
にも関わらず、標高約700mほどの白馬村までの往路で約7km弱/kWh、復路は約8km強/kWhという電費性能が素晴らしいことを実感できました。
さらに、感嘆したのが「荷物がいっぱい積めること」です。ほかのスタッフが運転するクルマと分担して荷物を運んだのですが、とくに復路は、サクラにどんどん積めるので、うっかり全部の荷物を積んでしまうところでした。世田谷区内の日本EVクラブ事務所に到着したら、積んだ荷物を自分ひとりで下ろさなくちゃいけない! ってことに気付いて、適当なところでハッチを閉じましたけど。2名乗車であれば、いろんな遊びにも便利に使える軽EVであることが実感できました。
というわけで、軽EVでのロングドライブ。ちょっとしたコツさえ抑えておけば、恐るるに足らず! です。i-MiEVオーナーなど、読者のみなさんには電池の小さなEVを長年活用し続けている猛者も多いはず。ほかにもこんな秘訣があるぞ、とか。ぜひ、コメントでご教示ください。
(取材・文/寄本 好則)









