12月の販売シェアは9%を超えて電気自動車(PHEV含む)の普及が進む中国ですが、充電インフラもかなり充実しつつあります。米メディア『CleanTechnica』から、アメリカvs中国の視点から見たEVインフラに関する記事を全文翻訳でお届けします。
元記事: China’s EV Infrastructure Massively Outclasses EV Charging Coverage In USA by Jennifer Sensiba on 『CleanTechnica』
NIOのアプリを使って中国の充電インフラをリサーチ
最近の記事で、中国の充電インフラに関する情報を募りました。中国の状況が実際に見られる充電マップが見つからなかったからです。PlugShareというアプリで世界のほとんどの地域情報が見られますが、中国に関しては真っ白なのです。
ありがたいことに、読者数人が助けてくれました。一番良かった提案は、NIOのアプリを使うことです。ただし、アプリを手に入れること自体が少し大変でしたが。大学で学び、台湾でボランティアをしたことがあるので私は中国語が少しは分かります。自分の少ない知識、NIOの中国語サイトにある英語スニペットとちょっとしたラッキーで、どうにかアンドロイド用APKファイルへのリンクを見つけ出しました。残念なことにAPKファイルは中国アプリストア専用のものでしたが、NIOアプリをインストールするのに成功しました。
テスラとは違い、NIOの車両を持っていなくてもアプリを使うことはできます。実際、アプリはサインアップしてアカウントを作ることを求めたあと、販売中の様々なモデルを見せてきます。
ページ下の車アイコンをクリックした後、マップは簡単に見つかりました。下に少しスクロールすれば、ハイライトされた地図が中途半端な中国語知識しか持たない私にもすぐに分かったのです。
アメリカにとってはショッキングな発見
中国ではGB/Tプラグに充電規格が統一されているので、NIOを含めどのメーカーも使える充電器が同じになります。テスラだけが独自の充電ステーションを持ち、他メーカーに使わせていません。よってNIOのマップに載せてある充電ステーションを見れば、中国のEVオーナーにとっての充電がどのような状況か分かるのです。
またアメリカにはテスラ、CCS(コンボ)、CHAdeMOなどがあり、規格化に関して初期に戦略的なミスをしたことも分かります。しかしこれは最も厄介な部分ではありません。
スクリーンの最下部には、私の位置情報が中国語で書かれています。そこには“アメリカ、ニューメキシコ州、ドニャアナ郡”、それから通り名が書いてあります。どの充電ステーションも、私がいる場所から何千キロと離れていると表示されます。
上のスクリーンショットは北京の充電マップです。各数字はそのエリアあるステーション数を表わしているのですが、紛らわしいことに正確ではなく、実際の半分くらいしか示されていないこともあります。マップは充電ステーションが1になるまで折りたたんでいくことができます。拡大すると、各数値に対して何十ものステーションが見え、青い数字は実際のDCFCステーションの場所と充電器の数を表します。
言い換えると、北京の充電ステーション数はアメリカの充電マップで読み込むには多すぎるくらいあるということです。私達は面白いくらい中国に充電インフラで遅れているのです。
上海も見てみましたが、結果は同じでした。拡大していくと、多くの充電スポットが見て取れました。各青色の数字が充電器の数を表わしていますが、そのすべてが最低でも60kW、多くが120か160kWの充電器となっています。灰色の円は7kWのレベル2(普通充電)ステーションで、こちらも多くあります。
何も表示されない部分は、充電器がまったくない地域というわけではありません。アプリが表示できるステーション数には限りがあるため、マップ中央のピンに近いものだけが表示されます。よって他の地域も同じように充電器はカバーしているのですが、北京のように地図上に充電器が多すぎると、すべてを表示することができないのです。
中国ではかなり西の方に行かないと充電器がカバーしていないマップを見ることができません。画像はチベット高原で最大都市の西寧周辺です。EVでそこまで行くとしたら、私のリーフの航続距離でも問題ありません。道中ほとんどのエリアで充電器は50~80kmごとに存在し、このエリアがアメリカの充電マップのように充電器密度が低くなるスタート地点となります。中国人のほとんどがここより東に住んでおり、カバー率が低くなるのも納得です。人口密度が高い場所での移動を、西部よりも優先したのです。
様々なルートを見ると、充電ステーションがない場所は西チベットと新疆ウイグル自治区の大部分となります。航続距離の長いEVであれば充電器のあるウルムチまでは辿り着けますが、今手に入るほとんどのEVでは無理でしょう。EVの欠陥のようにも聞こえるでしょうが、走る距離とルート上に充電器がまったくないことを考慮に入れねばなりません。これらの高速道路上にも充電ステーションが配置されそうですし、EVフロンティアとなりそうです。
中国でEVによって解決しようとしている最大の課題が大気汚染であることを鑑みると、人口が集中しているエリアとその中継点を必死にカバーするというのは理に敵っています。汚染が深刻でない場所は重要視されません。
このスクリーンショットから他に考えられるのが、人間が住んでいない広大なエリアが存在しており、居住区域を結ぶ数本の高速道路外では恐らくEVインフラを見ることはないだろうということです。土地の大部分が何かに利用するには起伏が激しすぎ、タクラマカン砂漠に至っては高さ20~90メートルの砂丘が日々移動しており、居住エリアに入り込み家屋を飲み込むこともあります。このエリアでやるべきことは、高速道路上で最低限のカバーをすることでしょうし、それだけでも進歩です。
まとめると、10億人が住む国で長距離旅行の際に充電器がカバーしていないエリアは辺境の限られた地域だけであり、周りに何もない辺鄙な場所でも、経路上に充電器設置をする動きは進められています。
アメリカは恥じるべき
アメリカには人口が多く旅行客も多いのにEVがたどり着けない地域が多くあり、世界一裕福な国としては2番手にEV充電カバー率で負けるとなると恥ずかしいものです。インフラをもっと充実させなければなりません。
アメリカが後れを取っている理由はおそらく2つあります。1つ目に、私達は10~15年前の時点で50年近く続く壊滅的な汚染問題を抱えていた中国に対し、EV政策を推し進めることに緊急性を感じられませんでした。また、政治的な影響が非常に強い、強固な石油産業も抱えています。化石燃料由来の多くの問題があるにも関わらず、この業界にはいまだに大量の資金が流れ込んでいます。
(市場には)そこまでEVの種類がない、という多くの言い訳を見てきましたが、ここにはジレンマがあります。たまに遠出をした際にインフラが整っていないEVを皆欲しがらず、売れないからインフラが作られなかったのです。このサイクルは壊されなければなりません。インフラを構築していくことにより、人々がEVを買うよう促すことができます。
アメリカでは中国と同じように強制的に物事を進められません。政府には制限があり、ガソリン車を奇数日、もしくは偶数日にのみ運転しろとは市民に命令できないのです。そんなことをすれば民主主義の後退に繋がり、この国の規範が終わりを迎えてしまいます。補助金の在り方でさえ議論の的となるのです。
EVが成功するのに、強制はいりません。障害を取り除くだけで良いのです。例えば化石燃料への補助金を廃止し、自由市場に解決させるのです。充電ステーションへの優遇税対策をしても良いでしょう。
唯一やってはいけないことが、現状維持です。そうやって中国にリードを許したのですから。
(翻訳・文/杉田 明子)






