マツダが電気自動車『MAZDA MX-30 EV MODEL』を日本発売〜販売計画は年間500台

マツダが初めての量産電気自動車となる『MAZDA MX-30 EV MODEL』を日本でも発売することを発表しました。バッテリー容量は35.5kWhで、航続距離は実用に近いEPA基準換算推計値で約178km。国内での販売計画台数は年間500台としています。

クロスオーバーSUVで価格は451万円〜

2021年1月28日、マツダが初めての量産電気自動車である『MAZDA MX-30 EV MODEL』を日本国内向けに発売することを発表しました。グレードはおもに装備の違いで3種類。価格はそれぞれ以下のように設定されています。

**『EV』 451万円〜

『EV BASIC SET』 458万7000円〜

『EV HIGHEST SET』 495万円〜**

いずれも駆動方式は1モーターの前輪駆動(2WD)となっています。

日本国内向けに先行発売されたエンジン(マイルドハイブリッド)モデルは、ベースグレードの2WDが242万円〜なので、完全な電気自動車モデルは約200万円ほど高価な設定となっています。また、先行発売されている欧州での価格がおおよそ400万円前後ですから、日本国内向けは欧州よりも高価な設定となったようです。

【関連ページ】

『MAZDA MX-30 EV MODEL』車種サイト

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搭載するバッテリー容量は35.5kWh

搭載するバッテリー容量も全グレード共通で、35.5kWhです。これは、昨年発売された『Honda e』と同じ容量です。そういえば、価格も欧州との価格差含め、Honda eとぴったり同じ(451〜495万円)ですね。ホンダとマツダで話し合ったわけではないと思いますが、ちょっと不思議ではあります。

お出かけ意欲をくすぐるクロスオーバーSUVでありながら、バッテリー容量がやや控えめになっているのは、「LCA評価によるCO2排出量を抑えることと、買い物や通勤など、日常生活でのお客様の実用的な使用環境に見合った走行距離を考慮」した結果としています。

LCA評価というのは、LCA=Life Cycle Assessment(ライフサイクルアセスメント)を意味しており、原料の調達から製造、製品の利用から廃棄に至るまで、ライフサイクル全体の環境負荷を評価する考え方です。やみくもに大容量化を目指すのではなく適切な大きさの電池を搭載して、環境負荷を軽減する電気自動車のメリットを最大化しようという考え方には賛同できます。ただし、LCA評価については一概にマツダの主張が正しいというわけではありません。LCAにも関わる「Well To Wheel (WtW)」理論について検証した記事があるので、興味がある方はご参照ください。

ともあれ、控えめのバッテリー容量ということもあり、一充電航続距離は日本版WLTCモードで256km。昨年先行発売されている欧州WLTP基準(複合)では200km。より実用に近いアメリカのEPA基準に換算すると約178km程度となります。

充電については、急速充電(DC)はチャデモ規格で最大出力50kWに対応。普通充電(AC)は最大入力6.6kWに対応しています。自社販売店網への充電インフラ設置や、充電カード(会員制度など)については、今回の発表ではとくに言及されていませんでした。

リリースの中で、急速充電時などバッテリー温度が上昇した際にバッテリーを冷却する『冷媒冷却システム』を採用し、気温が高い条件下でもバッテリーの状態をベストに保ち、熱による劣化を抑制することが説明されているのが印象的でした。孤軍奮闘、国産EVの地平を切り開いてきた日産リーフ最大の弱点はバッテリー冷却(温度管理)システムを搭載していないこと。Honda eもそうですが、満を持して登場する国産EVにはバッテリー冷却システムが当然の装備となりつつあるようです。

年間500台という計画はあまりに切ない

と、ここまで、なんだか筆が重いことにお気づきでしょうか。待ちに待った国産EVの新車種が日本デビュー。EV普及を応援するEVsmartブログとしてはもっと弾んだ論調の記事を書きたいところなのですが、「あちゃあ」って感じで気分が暗転してしまった理由があります。

販売計画台数として発表されたのが、「500台(国内・年間)」だったことです。

Honda eの「年間1000台」にもびっくりしましたが、その半分。12カ月で割ると月間42台弱の販売計画ということになります。

ちなみに、第一期が数日で完売、第二期の受注を受け付けていたHonda eですが、1月28日現在、その第二期もすでに受注停止になっています。 2020年度分は限定135台で抽選という冗談みたいな新発売となったレクサス初の電気自動車『UX300e』もすでに年度内の商談受付は停止中。価格設定を含め、国産EVについては「売れない」というよりも「売らない」状況から抜け出していないことを痛感せざるを得ません。

電気自動車が高いのはリチウムイオン電池が高いから、電気自動車はメーカーが儲からないからといった声が聞こえてきそうですが、テスラは電池を改良しつつコストを下げて黒字を出しているし、お隣の中国では100万円台前半で実質200km以上の航続距離をもつ大衆車EVが続々と登場しつつあります。高い技術力をもつはずの日本の自動車メーカーが、いつまでも「売らない」電気自動車でお茶を濁すのはいかがなものか、というのが正直な思いです。

1月28日に発売されたMX-30 EV MODELが、どのくらいで受注停止になるのか楽しみです。

一方で、MX-30 EV MODEL日本発売のリリースでは「2050年時点のカーボンニュートラル実現へのチャレンジに向けて」開発したことが強調されて、「わたしらしく生きる」方々を応援するサイトと銘打って『持続可能な社会を目指して MAZDA SUSTAINABILITY』という特設サイトをMX-30 EV MODEL日本発売に合わせてローンチしたことが紹介されていました。

つまり、SDGsやサステナビリティが必須の課題となっているグローバル企業として、MX-30 EV MODELの日本発売はこうした特設サイト開設と同じようなCSR、あるいは企業広告という位置付けなのかな、と思ってしまいます。

そういえば、電気自動車の売上統計を紹介する『EV Sales』によると、欧州でのMX-30 EV MODEL、2020年11月に2640台で19位に初登場ランクイン(統計は20位まで発表)しましたが、12月はランキングから姿を消しました。

(文/寄本 好則)