2019年8月27日、日本の充電器ネットワーク最大手「NCS」は同社のニュースリリースで同社を「解消」することを発表しました。続いてNCSを構成する東京電力HDと中部電力も同様の発表を行いました。新たに設立される「株式会社e-Mobility Power」への事業承継が理由とのことですが、いま分かっていることをまとめてみます。
「合同会社日本充電サービス(NCS)」が8月27日に同社サイト上で発表したニュースリリースによると、今年10月1日に設立される予定の「株式会社e-Mobility Power」への事業承継のため、NCSは解消されます。現時点では解消の時期・継承の時期や内容などの詳細はまだ明らかにされていませんが、今後同社サイトに発表されるとしています。
同様の内容は、NCSを構成する電力大手である「東京電力ホールディングス株式会社(東京電力HD、代表執行役社長:小早川智明、本社:東京都千代田区)」と「中部電力(代表取締役社長:勝野哲、本社:名古屋市東区)」の公式サイトにもそれぞれ発表されました。
NCSは解消の方向に動き出したとは言っても、NCSが現在提供している充電サービスや、NCSと充電器設置事業者との間の取引に関しては、「全く変更は無い」とも付け加えています。
NCSは、充電ネットワークサービスを統合してより利便性の高いサービスを構築することをめざして、2014年5月に結成されました。同社は、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、三菱自動車工業株式会社の自動車メーカー4社が出資して設立。のちに株式会社日本政策投資銀行、東京電力エナジーパートナー株式会社、中部電力株式会社が出資した会社です。
(編集部注 ※ 設立時に7社が出資という説明になっていたのを修正しました/2021年7月7日)
急速充電の日本でのスタンダードであり、世界で初めて普及した「CHAdeMO」方式は、NCSがこれまで開発・運用を担当してきました。世界の主要な充電器メーカーがCHAdeMOのメンバーになり、2019年現在、およそ50のメーカーがCHAdeMOの充電器を製品化していて、世界69か国にこの規格の急速充電器が設置され、18,000基あまりの急速充電器が世界のEV・PHEVユーザーに利用されている現状があります。
ところで、新たに設立される「e-Mobility Power」の公式発表されている概要を見てみると、
| 会社名 | 株式会社e-Mobility Power(株式会社イーモビリティパワー) |
|---|---|
| 英名 | e-Mobility Power co.,Inc. |
| 所在地 | 東京都港区(予定) |
| 代表者 | 代表取締役社長:四ツ柳尚子(予定) |
| 設立日 | 2019年10月1日(予定) |
| 出資金 | 50億円(内訳:東京電力HDが60%、中部電力が40%) |
というように、自動車会社の名前は入っていません。日産、三菱、トヨタの関与はどうなってしまうのでしょうか。今後のニュースリリースが待たれます。
東京電力HDのリリース文には以下のように書かれています:
「これまで電気事業で培ってきた工事・保守・メンテナンス技術や電力インフラの運用ノウハウに加えて、東京電力HDが自動車メーカーと進めてきた急速充電方式CHAdeMOの開発・国際標準化の知見なども活かし、『いつでも、どこでも、誰もが、リーズナブルに充電できるサービス』の実現に向けて邁進してまいります。また、日本充電サービスが、現在運営している充電ネットワーク事業の承継を目指してまいります。東京電力HDおよび中部電力は、引き続き、運輸部門の電化促進を通じて低炭素社会の実現に貢献するとともに、災害発生時のBCP対策や再生可能エネルギーの更なる活用をご提案することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。」
つまり、「充電ネットワークの主導権は今後は電力会社が取るぞ」という宣言なのでしょうか。中国企業との連携も伝えられている「次世代CHAdeMO(現状の50kWではなく、150kWや350kWというような超急速充電規格)」の開発に向けて、電力会社が表に出て行くという意思表示とも受け取れますね。
いずれにせよ、これ以上詳しいことは、まだ分かりません。また、9/15(日)に神奈川県箱根町で開かれる「EVOCカンファレンス」には、
** CHAdeMO協議会 会長 姉川尚史氏プレゼン
「これからの急速充電について(仮題)」**
が予定されているので、当日どのようなお話しをされるかからも目が離せなくなりました。姉川氏は東電に長年お勤めの方なので。
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筆者が聞き回ったなかからは、「自動車会社はこれまでのようには入って来ないのではないか」とか、「既存のNCS充電器は、今後『どこ』に加わるか、選択(判断)することになるのでは」といった憶測も聞こえてきました。我々EVユーザーとしては気になることばかりです。EVsmartブログでは、関係者へのインタビューも含め、目下取材に動いています。何か分かり次第、随時お伝えしてまいります。
(箱守知己)

