長く初期型リーフに乗っていて「バッテリーを40kWhに交換したい」といった思いを抱く方も多いはず。横浜のオズコーポレーションが初期型リーフのバッテリーを新型リーフの40kWhや62kWhに増量する交換サービスを開始しました。1号車がナンバー取得のレポートとともに紹介します。
初期型リーフのバッテリーを40kWhや62kWhに換装
オズコーポレーションは、代表である古川治氏が1993年に創業したカー・エンジニアリング・カンパニー。なかでも、EV事業に特化したブランドである「OZ Motors(オズモーターズ)」は、ヴィンテージカーを電気自動車に改造してナンバーを取得するコンバージョンEV製作において、日本のトップカンパニーと呼べる実績と評価を積み上げています。
その古川さんが最近注力しているのが、型式が「ZE0」「AZE0」に当たる初期型リーフのバッテリーを、「ZE1」となった新型リーフの、40kWh、または62kWhのバッテリーに積み替えるプロジェクトです。
ZE0のバッテリー容量は24kWh。AZE0には24kWhと30kWhがあります。初期型リーフの新車時には24kWhモデルで「5年または10万km」、30kWhモデルでは「8年16万km」とする日産のバッテリー保証制度がありました。メーターの容量計が「8セグ」以下になったら「修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰」してくれることになっています。
でも、保証では新品バッテリーに交換してくれるわけではなく。日産によるバッテリー交換のサービス(新品バッテリー、リユースバッテリーの選択肢あり)もありますが、40kWhや62kWhといった新型リーフが搭載しているより大容量なバッテリーに交換するなんてことは不可能でした。
とはいえ、アメリカなどの他国では初期型リーフのレトロフィット、つまり、新型の大容量バッテリーへの交換サービスを提供する業者が存在していました。OZ Motors の古川さんは、ニュージーランドでZE0のバッテリー増量サービスを手掛ける「EVs Enhanced」社の機材やデバイスを導入、日本の正規代理店としてディーラー・アグリメントを締結するとともに、コンバージョンEVで積み上げた知見を活かし、日本で初めて、合法的な初期型リーフのバッテリー増量サービスをスタートさせることになったのです。
バッテリー換装の価格は40kWhで120~150万円程度
OZ Motorsではリーフのバッテリーなどを、ヴィンテージカーをEVに改造する際などに活用していることもあり、交換するZE1のバッテリーは独自ルートで入手します。改造費用などはまだ正式にアナウンスしていないものの、40kWhバッテリーへの交換で「120~150万円程度」、62kWhバッテリーへの交換は「200~250万程度」が目安になるだろうとのことでした。
換装するバッテリーは新品ではありませんが、ZE1のバッテリーは初期型(ZE0、AZE0)に比べて劣化が少なく、SOHは「最低でも80%以上」のものを使うポリシーとのこと。さらに希望があれば、新品モジュールに交換(価格は高くなりますが)することもできるそうです。バッテリーSOHの程度などに応じて、交換改造全体のコストにも「松竹梅」的な幅ができるのはやむを得ないところです。
「愛する初期型リーフを大容量バッテリーで生まれ変わらせたい!」と願うオーナーさんは、なにはともあれ OZ Motors へ、まずは公式サイトのフォームから問い合わせてみてください。
(問い合わせ内容は「カスタムオーダー車両について」を選択のこと)
【関連サイト】
交換改造1号車のナンバー取得を同行取材
OZの古川さんとは日本EVクラブの仲間でもあり。かねて「初期型リーフをレトロフィット!」の話は聞いていたので「ナンバー取得できる時はぜひ取材させて」とお願いしていました。そして「10月28日にいよいよ陸運局へ」という連絡をいただき、別件ミーティングの予定をぶっちぎって、関東運輸局神奈川運輸支局でのナンバー取得に同行してきました。
今回、改造された新生リーフのベース車は、2013年初度登録のAZE0。本来のバッテリー容量は24kWhのいわゆる初期型中期モデルです。これを、OZ でストックしていたZE1(e+)の62kWhバッテリーに換装。車検証の型式は「AZE0改」として、晴れてナンバー取得に成功したのです。
陸運局へ行く前には、OZのオフィスで古川さんにインタビュー。もともと24kWhだったバッテリーを62kWhに交換すると、車両重量が「170kgくらいは」重くなるそうで、自社で事前測定などを行った上で「車重が規定に収まるかどうかを少し心配している」とのことでした。検査ラインでの軸重測定の際には、車内に置いてあった古川さんのバッグも私が持って下りて計測台へ。無事に合格となったのでした。
検査ラインに入る前、確認した航続距離表示はなんと「388km」。見慣れたAZE0のメーターに表示された航続距離とは思えない数字でした。さすが62kWhです。とはいえ、大きな車重増加はドライブフィールの軽快さがややスポイルされるところもあって。古川さんの実感としても「初期型リーフと40kWhバッテリーの組み合わせがベストバランスかも知れない」ということでした。40kWhの場合、満充電からの航続距離表示は250〜280km程度になると思われます。
長年、初期型リーフを愛し続けてきたものの、バッテリー劣化で航続距離が減り、買い替えを検討したいけど「新型EVは高級車ばかりで買えるクルマがなかなかない」といった方にとって、新型リーフの中古車よりも安い、もしくは同等の価格で40kWhや62kWhへのレトロフィットは、かなり魅力的な選択肢になるのではないでしょうか。
ただし、40kWhでも車重が100kg程度は重くなります。また、日産では勝手なバッテリー交換など当然認めていないので、交換したらバッテリーなどへの保証は使えなくなるのでご留意ください。OZ Motorsでは、改造した車両の動作については責任持って面倒を見てくれますが、交換したバッテリーの容量保証はしない、ということでした。
自分で改造、は無理なので止めましょう
ちなみに、10年ほど前までは「自分でエンジン車をEVに改造してナンバー取得」するムーブメントがありました。でも、現在は改造EVに搭載するバッテリーの安全基準が厳格化されたりして、素人による手作り改造EVのナンバー取得はほぼ不可能になっています。まして、今回紹介したバッテリー換装に不可欠な、バッテリーとコントローラーのマッチングを行うノウハウなどは素人が手を出せるレベルではありません。決して「自分でやってみるか」なんてことはしないでくださいね。最悪、直流の400Vに感電して死にます。
ところで、古川さんといえば、私がEVsmartブログの編集長になったばかりの頃『日産リーフの中古車を購入して確認できたいくつかの真実』という記事で、中古リーフのSOHを測定してくれた様子を報告したことがあります。今回も、全ての手続きを終えてナンバープレート交付を待つ20分ほどの間を利用して「SOHみておきましょう」と、私のセグ欠けリーフを測定してくれたのですが……。
「79.89%」というちょっと切ない結果でした。11セグになった時の記事で紹介したように、10セグになるSOHの目安が「78.75%」なので、さらにセグ欠けして10セグになるのは目前です。今年の12月には購入して2回目、車歴としては7年目の車検だし。いっそ、古川さんに40kWhへのレトロフィットをお願いするかと、今、真剣に悩み中です。
OZ Motosでは、持ち込み初期型リーフの電池増量改造サービスをローンチするのに加え、増量済み初期型リーフの完成車販売や、リーフ以外のEV中古車の販売にも手を広げることを計画中とのこと。「EVの知見をもった中古車販売店が、横浜にもあっていいですよね」と古川さん。
今回の取り組みについて、「コンバートEVのほか、レトロフィットによるバッテリーアップグレードサービスというカーアフターサービスとして、環境対策に積極的なカスタマイズメニューを今後も増やしていきたい。本格的なEVならではのソフトウェアとハードウェアのカスタマイズで『新しいEVとの付き合い方と楽しみ方』をこれからも提案していきたい」と古川さん。OZ Motorsのさらなる飛躍に期待です。
(取材・文/寄本 好則)







