2020年6月8日、トヨタが『RAV4 PHV』の日本発売を発表しました。価格は469万円〜。搭載する電池容量は18.1kWhで、急速充電には非対応です。RAV4ブランド最上級モデルとして「充電できる電動車の新基準」となるのではと思わせる数々の魅力をまとって新発売。はたして、日本でヒットするのか注目です。
ハイブリッドモデルに80万円分の魅力をてんこ盛り
いよいよ、トヨタがメーカーとして2車種目のプラグインハイブリッド車となる『RAV4 PHV』の日本での発売を発表しました。車両本体価格は、エントリーモデルと位置付けられている「G」で469万円から。R19のタイヤホイールやハンズフリーパワーバックドアなどを備えた上級仕様の「BLACK TONE」が539万円です。ハイブリッド車の4WD「G」グレードが約389万円ですから、同じGグレードで比べると普通のハイブリッドよりも80万円高くなっています。
とはいえ、発売を知らせるリリースでも真っ先に強調されていたのが、「システム最高出力225kW(306PS)が放つ圧倒的な加速性能(0-100km/h加速6.0秒)」という最上級モデルにふさわしい動力性能です。値段なりの価値を提供してくれる1台に仕上がっていると考えていいでしょう。
無充電&無給油で約1300km走行可能
昨年11月、『トヨタRAV4 PRIME(PHV)は急速充電に対応するのか?』と題した記事では、RAV4 PHV が搭載する電池容量について「11kWh+α」と予想しましたが、発表されたスペックによると駆動用バッテリーの総電力量は18.1kWhです。
参考までに、当面のライバルになると思われる車種と、いろいろ比較してみました。
RAV4 PHV とライバルたちの比較表
| 車名 | 価格 | 電池容量 | 価格/kWh | EV航続距離
(WLTC) | EV航続距離
(EPA換算) | 電費 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| トヨタ
RAV4 PHV G | ¥4,690,000 | 18.1kWh | 26万円 | 95km | 84.7km | 4.7km/kWh |
| 三菱
OUTLANDER PHEV G | 約¥4,310,000 | 13.8kWh | 31万円 | 57.6km | 51.4km | 3.7km/kWh |
| BMW
225xe iPerformance アクティブツアラー | ¥5,480,000 | 10.9kWh | 50万円 | 49.1km | 43.8km | 4.4km/kWh |
| VOLVO
V60 T6 Twin Engine AWD | 約¥6,710,000 | 11.9kWh | 56万円 | 48.2km | 42.8km | 3.6km/kWh |
「価格/kWh」は、電動車としてのコストパフォーマンスの目安とするための勝手な指標。電費は「EPA換算のEV航続距離/電池容量」で計算しています。ちなみに、EPA換算の航続距離はカタログスペックのWLTC値を「1.121」で割って算出しています。本来、「1.121」はWLTPに対しての指数なので、日本独自基準であるWLTCでは少々眉唾になりますが、あくまでも参考値としてお考えください。
ミドルサイズのSUVで、エンジンも搭載してて重くなっていることを考えると、EPA換算値で「4.7km/kWh」という電費は、さすがトヨタ! というべき性能ではないでしょうか。電池残量20%程度の余裕をみても、フル充電から70km程度はEVとして走行できるので、日常的にはほぼBEV気分で乗ることができますね。燃料タンクの容量は55ℓ。WLTCのハイブリッド走行燃費は22.2km/ℓで、EV走行距離と合わせると1300kmほどは無充電&無給油で走行可能。この安心感は、電気だけで走るBEVに対する明確なアドバンテージといえそうです。自宅ガレージに充電設備がある都市部のユーザーであれば、タンクのガソリンはなかなか減らないのではないかと思います。
急速充電には非対応。外部給電機能は標準装備
EVsmartブログとして、EVユーザー目線での注目ポイントは、充電方法が普通充電だけの対応。つまり、急速充電には非対応となった点です。トヨタのプラグインハイブリッド車として先行して発売された『プリウスPHV』は、オプションで急速充電対応を備えていましたが、より大容量電池を搭載した RAV4 PHV では、「PHVならではの走りの楽しさ」をアピールしつつ、プラグインハイブリッド車に急速充電は不要、という欧州車などと同様の提案が盛り込まれたということになります。
一方で、「PHVならではの利便性の追求」として、最大1,500W(AC100V)の外部給電機能は標準装備。ラゲッジスペースにアクセサリーコンセントを備えているほか、プリウスPHV では急速充電機能とセットでオプション設定だった、普通充電インレットに差し込んで電気を取り出す『ヴィークルパワーコネクター』が標準で付属しています。
電池に蓄えた電力だけを使う「EV給電モード」と、バッテリー残量が少なくなるとエンジンを始動する「HV給電モード」という2種類の給電モードがあり、災害時などの非常用電源としてはもちろん、アウトドアレジャーの際にも便利に活用できます。
また、バッテリーに負担がかかる急速充電は行わないものの、バッテリーの温度管理システムは搭載。「エアコン冷媒の活用」で高温時に冷却し、冬場の充電時には自動で駆動用バッテリーの温度を上げる「駆動用バッテリー専用ヒーター」を備えています。
月販目標台数は300台とやや控えめ?
高い動力性能や走破性に加え、運転支援やコネクテッドサービスなどはトヨタの最新車種ならではの充実ぶり。拠点ガレージに普通充電設備を設置できる環境さえあれば、「EV食わず嫌い」だった人にも安心して選択できる電動車です。
たっぷりの電池容量や圧巻の動力性能に加えて、急速充電不要の提案や外部給電機能が充実しているあたり、いろいろと素晴らしい! 「ニッポンの電動車」としての新基準になるのでは、とさえ感じます。
トヨタのリリースによると、月販目標台数は300台と意外なほどに控えめです。2019年度、RAV4の国内販売台数は71,539台で車種別12位となかなかの人気ぶり。コロナ禍で販売台数が落ち込んでいるであろう2020年5月、ほぼ500万円超えのランドクルーザーが1000台以上売れてます。はたして、RAV4 PHV は日本の市場でヒットするのか。日本での電動車普及を応援する気持ちとしては、月間300台なんていわず、もっともっと売れて欲しい。期待して注目したいと思います。
(文/寄本 好則)




