ロケットニュース24さんに、「電気自動車は今は買い時ではない / ガソリン車のほうが圧倒的にいい理由とは」というコラムがありました。電気自動車ユーザーおよびファンの私としては、おそらく電気自動車に一定期間乗ったことがないと思われるコラム筆者の方に、軽く反論したいと思います。電気自動車やPHEVを巡っては、事実を曲げた間違った情報や、悪い面だけを取り上げた一方的な報道や記事が見受けられるように私は感じていますが、それらを事実に基づいて訂正していくこともこのブログの役割だと思っています。
目次
充電費用が高額になって来ている?
元コラムでは遠出したときの充電にかかるコストと、車両価格の差を比較されているようですが、これらはよくある間違いです。
道路交通センサスのトリップ長分布データを見ると、A点からB点まで移動することを1トリップとした場合、100km未満の距離の移動は平成17年度で107,930(千トリップ/日)、100km以上の距離の移動は675(千トリップ/日)。100km以上の距離を移動するシナリオは、0.6%(トリップ)です。
すなわち、1日に2回外出するとして、1年間に365×2=730回外出したとすると、そのうち100km以上なのは、あくまで統計上の値ですが4.5回となります。0.6%のシナリオを取り出して、「充電費用が高額」と語っていることになりますね。電気自動車は家または職場等の、常置場所で充電するのが当たり前です。前回の電気自動車のコストに関連する記事の一番下でトヨタのプリウスと日産のリーフの年間の燃料費を比較していますが、常置場所で充電できれば、リーフのほうがプリウスより燃料費は安くなります。深夜電力とかは関係ありません。
さらに元コラムでは日産ノートとリーフを比較していますが、ノートは5ナンバー(室内長2065mm x 幅1390mm x 高さ1255mm)、リーフは3ナンバー(室内長2080mm x 幅1460mm x 高さ1185mm)で、リーフのほうが車格が上です。もともと車格が上の車は当然高額になりますよね。同等の車格で比較するなら、3ナンバーのプリウスあたりと比較すべきかと思います。
充電に時間がかかる?
電気自動車のバッテリーを、カラから満タンまで充電したら、おそらくコラムの通り時間がかかるでしょう。しかし、私のテスラモデルSの毎日の充電時間は30分未満です。多くの電気自動車ユーザーの方の充電時間は、毎日1時間以下ではないでしょうか?電気自動車はバッテリーを空にするまで乗ることは遠出以外の時はなく、毎日の充電はほんの少しで済みます。もともと仕組みが違う乗り物を、古い概念で評価するのはちょっと無理がありますね。
遠出の時は確かに急速充電器の混雑が問題となる可能性はあります。ただ、現時点でもすでに日本国内で3000基以上の急速充電器が稼働しており、その数は毎日増加しています。高速道路の充電器は混雑状況が見られるものもありますので、それを見て混雑している場合には、近隣の充電器を使ってもよいでしょう。
さらに、元のコラムでは、テスラモーターズという電気自動車のイノベーションについても全く触れていませんね。テスラは自社専用のスーパーチャージャーという急速充電設備を、日本全国(現時点で3か所、2015年末までに32か所)に配置する予定を発表しています。このスーパーチャージャーは30分間で270km走行分の電力を充電できるもので、トイレ+コーヒー休憩くらいで十分な充電ができるだけでなく、1か所に最低4基ずつ設置されているため、待ちもほとんどありません。米国では10基以上設置されている箇所もあります。
私個人も、すでに電気自動車で4000km以上走行していますが、未だに、人に急速充電器の順番を譲ったことはありますが、充電待ちは経験したことがありません。
その他のデメリット?
冷暖房による走行可能距離の低下、充電器渋滞、雨ざらしの充電が元コラムでは指摘されています。実際に、バッテリーの容量の小さい現行の電気自動車では、冷暖房で走行可能距離が低下します。特に電気自動車では、ガソリン車のように無駄に熱を社外に捨てていないため、暖房には電力が必要で、走行可能距離への影響は大きいです。ただ、参考までに、世界で最も電気自動車が普及しているノルウェーは寒い国ですが、2014年前半時点で新車販売の12.9%が電気自動車になっています。走行可能距離が低下したところで日常生活に困らないケースもあるということですね。ちなみに、テスラモーターズは走行可能距離のシミュレータを公開していますので、実際に暖房をONにしたりOFFにしたり、冷房したり、高速道路で120km/h出してみたり(実際にはダメですよ!)してみてください。
充電器渋滞は、上のセクションでも触れましたが、外での充電が少なく、かつ充電器は増加し、テスラなどの新規参入会社が1か所に4基も設置してきている状況を考えて、今後一般的になるとは思えないです。
雨ざらしについては確かに一理あります。最近は充電器の上に屋根を付けてくださっているケースも多いですが、今後新設の充電器には屋根はぜひお願いしたいです。でもガソリンスタンドだって屋根ないところはありますよね?
電気自動車とPHEVにはメリットもあります
確かに現在販売されている電気自動車は、テスラモデルSを除いて遠出の多い方にはあまり向いていません。モデルSですら、多少の充電計画は必要です。遠出の多い方には、ガソリン車やハイブリッド車、PHEVがよいでしょう。しかし、電気自動車はPHEVは基本はモーターで走る乗り物です。エンジンで走るのではないのです。そのため、低速でもパワーがあり乗りやすく、かつ走行はスムーズで(ガクガクしません)、騒音をほとんど出しません。「低速パワー・スムーズ・静音」のメリットを感じる方、または自動車のコストパフォーマンスが気になる方であれば、「今」電気自動車やPHEVを検討の対象にしても良いのではないでしょうか。

