日産リーフ30kWhで長距離実走レポート:東京〜兵庫【往路編】

電気自動車は長距離ドライブが不安、という方は少なくないでしょう。60kWh以上の大容量電池を搭載したEVであればまだしも、今回は中古車で購入した日産リーフの初代後期型で、電池容量は30kWh、高速道路で一気に走れる距離は約120km〜150km程度が目安と、かなり不自由なEVです。

さらに、GWの充電渋滞も心配。はたしてどうなることか。まずは往路編、東京(世田谷区)から兵庫県北部の但馬地方(養父市)まで約610kmを、GW初日の4月27日〜28日にかけての夜間に走行したレポートをお届けします。

今回の実走レポートで使用した日産リーフ30kWhモデルは、EVsmartブログチームに参加したことを契機に、私自身が購入したマイカーです。購入車種の検討から購入した実感なども記事にしているので、ぜひご一読ください。EVsmartブログにはベテランEVユーザーの読者も多いですが、今回の実走レポートは購入記のシリーズ記事と同様に、「電気自動車にはまだあまり詳しくないけど、購入を検討したい」と思っている方々の参考になるよう、リアルな電気自動車活用法を中心にまとめてみたいと思います。

【実録購入記シリーズ】

第一弾●『2020年まで待てない! 今、買うべき電気自動車を比較検討「コストパフォーマンス」編』

第二弾●『電気自動車購入は「中古車」が得? 候補車種の中古EVを探してみた!』

第三弾●『日産リーフの中古車を購入して確認できたいくつかの真実』

第四弾●『電気自動車購入でバッテリー劣化を気にする前に気付くべきこと〜中古車日産リーフ実録購入記のまとめ』

長距離ドライブの前には「充電計画」を確認しておこう

私は今、東京都世田谷区の三軒茶屋近くに住んでいます。兵庫県北部、但馬牛や松葉ガニが特産の但馬地方、養父市は私の郷里。今回は、東京都世田谷区〜兵庫県養父市まで約613kmを一気に走る長距離ドライブとなります。

私の日産リーフ30kWhは、中古で購入してSOC(電池残容量率の目安)は約88%。計算すると電池容量は26.4kWhです。高速道路を90km/h程度で巡航する場合、満充電からで約150km程度、途中、急速充電で80%程度まで充電した場合は、約120km程度を限度として、急速充電を繰り返しながら走ることになります。

電気自動車で長距離を走る場合、あらかじめ充電計画を立てておくことが大切です。長距離ドライブでは多くの場合高速道路を使うでしょう。全国各地のSAPAにはかなり急速充電器設置が進んでいますが、まだすべてのSAPAに必ず充電設備があるわけではありません。また、充電スポット間の距離が50kmほどもあるケースは珍しくないので、うっかり通り過ぎると電欠のピンチに見舞われたり、途中で一度高速を下りて充電場所を探さなければならなくなったりします。スムーズなドライブのためには、自分が走るルート上のどこに急速充電器があって、どこで充電すれば電池の残り残量にハラハラすることなく走り続けることができるのか、事前に確認しておくと安心です。

今回のドライブでも、出発前にいくつかの方法で充電計画を立ててみました。充電計画はGoogleマップなどでルートを決めて、一箇所ずつ充電スポットを確認していってもOKですが、スマホのアプリを使うと便利です。

『Nissan EV』アプリのルートプランナー

まず、リーフオーナーになると活用できる『Nissan EV』の「ルートプランナー」という機能で、自宅から実家までのルートと充電スポット候補を探索してみました。

探索結果は、充電回数5回。新名神で大阪を経由するルートが普通で最短距離ですが、なぜか、名古屋を過ぎてから北陸道を迂回するルートが推奨されています。

1回目の充電スポットは新東名の清水PAをチョイス。自宅から約144kmあります。満充電でスタートすれば届かない距離ではないでしょうが、あまりギリギリになるまで走りたくないので、手前の駿河湾沼津か足柄SAで充電するのが無難でしょう。その場合、充電スポット間の距離をみながら、2回目以降の充電場所を確認していくことになります。

いずれにしても、この「ルートプランナー」は、途中の充電場所をアレンジしたり、適当な検索ワードで目的地を探すのがやや苦手。オリジナルの充電計画を立てるには少し不便なので、おおまかに「5回くらいの充電で届くな」ということと、ルートの高低差(電気自動車でのドライブでは高低差が思いのほか重要です)を頭に刻み込んでおきます。

『EVsmart』アプリで「ルート上の充電スポット」を検索

ルート上の充電スポットを確認して、選択肢を頭に入れておくためには『EVsmart』の「メニュー」→「ルート上の充電スポットを検索する」機能が便利です。

このように、詳細な絞り込みを活用して、高速道路上の急速充電スポットだけを表示させることができます。ルート検索のロジックがどうなっているのかはよくわかりませんが、EVsmartでは、東名〜新東名〜新名神〜舞鶴若狭自動車道を経由する、通常の最短ルートが表示されました。

さきほどの探索結果で「遠いな」と感じた1回目の充電スポット、清水PAの手前には、駿河湾沼津SA、足柄SA、そして中井PA下り線で充電できることがわかります。

ちなみに、中井PAは下り線のみ、隣接する鮎沢PAは上り線だけに急速充電器があります。といった充電スポット情報を、頭に入れていけることが事前に充電計画を立てるメリットのひとつです。実際のドライブ時、渋滞や充電器の混雑状況、休憩の必要などを考慮して、ドライブ計画をアレンジするのに役立ちます。

さらに、『EVsmart』では車種などに応じてドライブ&充電計画を提案してくれるアプリのアップデートを進行中。試しにβ版で検索してみました。

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割と余裕を残して短時間の充電を繰り返し、充電回数は8回になっています。もろもろの情報を吟味して、以下のように充電計画を立てました。

【往路充電スポット計画】

自宅(東京都世田谷区)

↓ 112km

1回目/新東名_駿河湾沼津SA

(状況を見ながら中井PAか足柄SAでもOK)

↓ 117km

2回目/新東名_浜松SA

↓ 111km

3回目/伊勢湾岸自動車道_湾岸長島PA

↓ 110km

4回目/名神高速道路_桂川PA

↓ 92km

5回目/舞鶴若狭自動車道_西紀SA

↓ 72km

実家(兵庫県養父市)

少し余裕をもって、100〜120kmごとに急速充電していく計画です。実際は、どこで何回充電することになるのか。出発は10連休初日である4月27日の夕方です。それなりに、道路と充電器の渋滞は覚悟して、状況をみながらアレンジしつつ走りたいと思います。

概ね、計画通りに走りきることができました

それでは、実際の走行レポートを始めます。出発前には、自宅ガレージの普通充電で満充電。車載のカーナビでルート設定すると、距離は615kmと表示されました。

【出発】17:10ごろ

念のため、スマホのマップで駿河湾沼津SAをセット。EVsmartで急速充電器が故障したりしていないことを確認しました。

1回目【新東名_駿河湾沼津SA下り線】18:50

30%、4セグ残して駿河湾沼津に到着。残り航続距離は68kmで、清水PAまでは約32kmなので走ろうと思えば届きますが、ちょうど夕暮れ時で、駿河湾沼津SAからの景色がきれいなはずなので、予定通りここで1回目の充電にしました。

期待通り、トワイライトブルーに染まった景色を楽しみながら充電。いきなりですが、隣のEVスペースに、普通のパジェロが停まっていました。EV以外が停まっていて充電&待機スペースに入れない時の「やれやれ」感。EVユーザーでない方にはわからないのでしょうが、ルールは守って欲しいものです。

コーヒー買ってトイレに行って、犬を散歩させてたら、90%以上入ってました。4分残して充電停止。19時18分にスタートしました。

2回目【新東名_浜松SA下り線】20:48

19%、2セグを残して浜松SAに到着。途中、新東名の120km制限試行区間があったので、少し飛ばし気味に走ってしまいました。

と、ここでいきなりの充電待ちです。実は、浜松SAに到着する5kmほど手前で、この新型リーフが抜いていくのに気が付いていました。浜松はスルーしてくれることを願っていたのですが、残念ながらバッティング。次の岡崎SAまでは約63kmあって、私の残容量では届きません。

待ち時間を確認するために、充電中の表示を見ると。。。残り27分、すでに80%近く入っていて、出力電流は86Aしか流れていません。正直、くぅうううっ! という気分ではありますが、ま、しょうがありません。この新型リーフオーナーのご夫婦は、食事でもされていたのでしょう。最後まできっちり充電していきました。

充電を始めてフードコートで食事。充電待ちの時間ロスがあったので、20分弱、80%を超えたところで停止して、次の湾岸長島を目指すことにしました。距離は割とギリギリですが、届きそうになかったら手前の刈谷PAなど充電場所の選択肢はあります。21時40分ごろ再スタート。

3回目【伊勢湾岸自動車道_湾岸長島PA下り線】23:02

23時過ぎに湾岸長島PA到着。残量11%1セグで、航続距離表示も消えてしまいましたが、このあたりはほぼ平地走行だし、刈谷PAをパスする時に想定した通りに走れた感じで、不安感はありませんでした。

が、今度はアウトランダーPHEVが充電中でした。充電器の残り時間表示を確認すると、すでに80%くらい入っていて、残り約15分、出力電流は21A(出力としては7kW弱)しか流れていませんでした。実際、出力40kW以上の急速充電器(湾岸長島PAは50kW)はアウトランダーやプリウスのPHEVにはオーバースペックなので、高速道路のSAPAには中速充電器(出力10〜20kW)も併設して「PHEVはこちら!」的なルールを設定してくれるといいのにな、と思います。ま、それよりも、50kWの複数台設置が火急の課題ではありますが。

ともあれ、待つこと10分程度でアウトランダーは少し早めに充電終了。「ありがとうございます」と声を掛けて充電開始。この日何度目かの犬の散歩をさせてたら、25分ほどで97%まで入ってました。さすが50kWです。23時45分、再スタート。予定通り、次は桂川PAを目指します。

が、ここで気になったのがメーターの左端、バッテリー温度計です。夜間走行、しかもこの日は外気温が4度とか5度と表示されていてやたらに寒く(うっかり薄着で出てきたので、エアコンは26〜28度設定で走ってました)、あまり警戒していなかったのですが、3回の急速充電で9セグまで上昇しています。

バッテリー温度計が11〜12セグになると、急速充電が遅くなったり、走行時も出力制限がかかってスロー走行しかできなくなります。新型リーフ40kWでも話題になっている、電池冷却システムを搭載していないリーフ最大の弱点です。

バッテリー温度計と実際の温度の関係は、マニュアルにも記載されていなかったので、このリーフを購入した際、カスタマーセンターに電話して確認しました。

初代リーフのバッテリー温度計の目盛りと温度

目盛り温度
0セグー25℃以下
1セグー25~ー21.2℃
2セグー20~ー11℃
3セグー16~1℃
4セグー5~12℃
5セグ5~23℃
6セグ18~35℃
7セグ29~40℃
8セグ35~45℃
9セグ41~49℃
10セグ47~53℃
11セグ53~57℃
12セグ57℃以上

今、9セグということは41〜49度。11セグの基準である53度以上になると、急速充電が急速ではなくなってしまいます。予定している急速充電はあと2回。さらに夜が更ける最後の充電で速度が低下するのは、ちょっと勘弁してほしいところです。はたして、無事に5回の急速充電をすることができるのか。航続距離よりも、バッテリー温度が気になるドライブになりました。

4回目【名神高速_桂川PA下り線】01:11

バッテリー温度が少しでも下がりやすいよう、オートクルーズの設定速度を85km程度に抑え、午前1時過ぎに桂川PA到着。残量は31%、4セグでした。

深夜の小さなPAは、なんとも寂しい雰囲気ですね。次の充電予定地、西紀SAまでは上り気味とはいえ100km足らず。15分ほどで80%を超えたので「なんとかこれで行けるだろう」と予測して充電停止。1時27分ごろ再スタートしました。

この後走った新名神の高槻〜神戸JCTの新しい区間。トンネルの中で緑の帯が流れていくのがキレイでした。おそらく、トンネル内での大型車の速度低下防止の演出だと思います。オートクルーズ90km設定で走っていると、ほぼ同じ速度で緑の帯が流れていく(緩やかに追いついていく)感じでした。新しい道は、やっぱり気持ちいいですね。復路では、この区間に新設された宝塚北SAに寄ってみたいと思います。

5回目【舞鶴若狭自動車道_西紀SA下り線】02:40

いくつかの山越えをクリアして、残量11%、1セグで最後の充電予定地である西紀PAに到着。舞鶴若狭自動車道はまだ比較的新しい道で、開通した時には帰省が便利になって喜んだものです。エンジン車時代には、気持ちよくかっとんでいましたが、電気自動車で走ると助手席の妻が「なんだか笑っちゃうくらい」というオートクルーズ90〜95km巡航です。

アルファロメオでは、一定の区間をできるだけ速く駆け抜けることが楽しかったものですが、電気自動車に乗っていると、今回のように「計画した充電量で想定通り走りきる」ことが楽しくなります。

この西紀SAは、帰省時に何度も利用したことがあります。下り線の名物は、泳ぎ&踊りたこ焼きや、神戸牛の名店である三田屋のコロッケ、あとベーカリーの黒豆パンも美味しいです。が、丑三つ時の到着では売店やベーカリーはやっていません。

東京からの帰省時の往復は深夜に走ることが多く、御在所SA上り線で赤福を食べたいのに閉店してる時間だぁ、っていうのもいつものこと。今回、復路では少々の渋滞は覚悟して、昼間、かたぎの時間に走ろうかな、と思います。

長距離ドライブ最後の充電。実家には200Vコンセントはないので、少し余裕を残して到着できるよう、犬と遊びながら30分充電。85%まで入りました。バッテリー温度は10セグまで上がったけど、もう大丈夫。午前3時10分ごろ、実家を目指して再スタートです。

【到着】04:15

午前4時15分、39%、5セグを残して兵庫県養父市の実家に到着しました。充電回数5回、充電待ちは2回で約40分、総所要時間は11時間10分でした。夜間走行したおかげか、心配した渋滞もまったくといっていいほどなく、スムーズに走りきることができました。

600kmで11時間は「やっぱり時間掛かるな」と感じる方もいるでしょうが、2010年ごろ16kWhのi-MiEVで走ったときには、まだ東名&名神でも急速充電スポットが途切れる場所があり、高速から下りたり乗ったりしつつ、16時間以上のドライブになりました。30kWhリーフで、SAをいくつか飛ばしながら走れるのは、相対的にとても快適になった印象です。

もちろん、途中1〜2回の充電、もしくは無充電で走れる方が便利で快適なのは当然ですが、こんな長距離を走るのは年に数回程度のこと。個人的には「これも一興」とゲーム感覚で楽しめる範疇です。

ともあれ、到着して驚いたのは外気温が2度だったこと。もう4月も終わろうかというのに、実家の弟に聞くと、この日は霰だか雹まで降ったそうです。東京を出るときに天気予報を見ておらず、無警戒な薄着で出てきてしまったので、走行中、エアコンは26〜28度と、いつもよりかなり高めでフル稼働。27日が7.1km/kWh、28日が6.7km/kWhと、電費が伸びなかったのがちょっと残念。90km巡航を心がけたので、8km近くはいってほしかったんですけどね。

30kWhリーフでの長距離疑似ドライブ、やや長文になってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか。電池容量が小さい電気自動車でのロングドライブの実感を、良くも悪くも、少しでも理解していただけたら幸いです。

次回は、復路編をお届けします。高速道路の急速充電スポットでは、往路同様、いろんなことが起こります。お楽しみに!

(寄本好則)