自動車の二酸化炭素排出量に関する研究結果~環境に良いのは圧倒的に電気自動車~

電気自動車の方がエコだと言われているけど、製造時や発電時のCO2排出を考えたらガソリン車とそんなに変わらないのではないか? という疑問がしばしば聞かれます。EVsmartブログでも何度かこのトピックを取り上げていますが、今回はオランダのアイントホーフェン工科大学から出た研究結果をご紹介します。

本文(サマリー)の元記事(ドイツ語):Elektroautos sind deutlich besser für das Klima

研究論文は以下からダウンロードできます。(英語)

englisch_Studie EAuto versus Verbrenner_CO2(PDFファイル)

電気自動車の排出量はトータルで見てもガソリン・ディーゼル車より相当少ない

アイントホーフェン工科大学によると、電気自動車は今までに考えられていたよりも環境に良いことが分かりました。

●近年、国際的な研究で電気自動車の二酸化炭素排出バランスが問題であると繰り返し報告されています。

●これらの研究をじっくり見直した最近の研究で、電気自動車は同クラスのディーゼル車やガソリン車よりもライフサイクルにおける二酸化炭素排出バランスが相当に良いという結論が出ました。

●その他の事実として、気候保護の目標を達成するため、道路交通の状況を大幅に変え、もっと鉄道、バス、自転車を使うようにしなければなりません。

以前の研究では電気自動車の二酸化炭素排出バランスに関してはあまり芳しいものがありませんでした。研究者によってはより新しいモデルのディーゼル車から出る二酸化炭素の方が電気自動車よりも30%低い、と主張しています。ADACやÖAC の研究も似たようなもので、ディーゼル車と電気自動車から出る二酸化炭素排出量はほぼ同じである、と結論付けたのです。

間違った推測だらけの以前の研究

電気自動車vsガソリン・ディーゼル車の、ライフサイクルでの温室効果ガス排出量比較

ドイツ連邦議会の緑の党のためにアイントホーフェン工科大学は以前の研究を分析し、以下の誤解を批判しました。

●直近の研究によると、今までにバッテリー生産のエネルギー消費量を求めるために使われたデータは間違っているか古いものであることが明らかになりました。以前の推定値は半分にまで減らせます。

●バッテリー寿命を15万キロとした以前の推測は明らかに低く見積もられており、ソースや研究に裏打ちされたものではありません。実際には、50万キロもつバッテリーがあることも証明されています。アイントホーフェン工科大学は独自の計算でバッテリーの平均寿命を25万キロとしました。

●ヨーロッパ、特にドイツでのエネルギーミックスにおける二酸化炭素排出バランスは石炭火力発電からの脱却を法的に定めた後かなり良くなるでしょう。従って電気自動車に使われる電気に付随する二酸化炭素も減っていきます。以前の研究ではこの点を考慮に入れておらず、次の20年にわたり現在のお粗末なレベルの二酸化炭素排出が続くと予測していたのです。

●ほとんどの内燃機関車(乗用車)の燃料使用量は、企業の正式発表よりも40%多くなっています。電気自動車と内燃機関車の二酸化炭素バランスを計算する際に、これを考慮に入れる必要があります。

●排気ガスになる前の段階も評価に入れなければなりませんが、通常これはなされていません。比較研究はこれまで石油の採掘や輸送、精製プロセスの中で発生する二酸化炭素を無視してきました。もちろん発電に使う化石燃料に関しても同じようにせねばなりません。

電気自動車の方がかなり環境に優しい

これらの要素を考慮に入れ、アイントホーフェンの研究者は従前の研究とはかなり違う結論に達しました。ライフサイクルで見ると、似たようなタイプの車体では、ディーゼルや石油をエンジンで燃やす車よりも電気自動車の方が、二酸化炭素排出バランスが50~80%ほど良かったのです。

緑の党は、車両所有の変革を進め、電気自動車の市場進出が円滑に進むように、規制と財務面を適応させていきます。例えば自動車税の改革、新車購入の際のボーナス・マルス制の導入(※二酸化炭素排出量によってかかる税金が変わる制度)などです。環境に優しいニュー・テクノロジーのための、より良い体制を整えてのみ、環境を破壊する化石燃料の使用からの脱却ができます。環境保護の目標を達成し、交通セクターにおける相変わらず高い二酸化炭素排出レベルを抑えるには、エネルギー効率の良い電気自動車と再生可能エネルギーの普及が必須となります。

以下の表は同セグメントで似た車体のEVとICEの二酸化炭素排出量を比較したものです。(単位:g/km)

2020年トヨタ プリウス 1.8lフォルクスワーゲン e-ゴルフ(36kWh)
バッテリーを除く生産過程28 24
バッテリー生産-11
走行中14043
全体 16878(54%減)
EVがバッテリー排出量をペイオフできる走行距離28,000km
メルセデス・ベンツ C220dテスラ モデル3(75kWh)
バッテリーを除く生産過程3228
バッテリー生産-23
走行中22840
全体 26091(65%減)
EVがバッテリー排出量をペイオフできる走行距離30,000km
ブガッティ ヴェイロンポルシェ タイカンS(93kWh)
バッテリーを除く生産過程4036
バッテリー生産-28
走行中73876
全体 778140(82%減)
EVがバッテリー排出量をペイオフできる走行距離11,000km

(翻訳・文/杉田 明子)