フォルクスワーゲンが中国の電気自動車を支配する計画

中国の自動車市場は世界一の大きさで(ここのところ少し冷え込んではいますが)、電気自動車促進に最も積極的な政策を出しています。それゆえ、電気自動車を売ろうとしている企業はすべて、中国市場で力を持たねばなりません。フォルクスワーゲンはそこに未来を見出し、中国で最も大きな電気自動車メーカーの一つになろうとしています。10月28日のCNBCの報道を元にしたCleanTechnicaの記事を、全文翻訳でお届けします。

元記事:Volkswagen Plans To Dominate Electric Vehicle Manufacturing In China by Steve Hanley on 『CleanTechnica

世界中の工場設備を一新

VW(フォルクスワーゲン)は新しいMEB電気自動車プラットフォームを使った自動車を生産するために、世界6カ所にある製造工場の設備を一新する予定です。6つの工場の内訳はドイツに2つ、チェコに1つ、アメリカに1つ、中国に2つで、このうち中国工場の1つは仏山市にあり、中国第一汽車集団(FAW)との共同運営、もう一つは安亭鎮(上海市内)で上海汽車集団(SAIC)との共同運営になります。

VWは次の8年間で2,200万台の電気自動車を製造する予定ですが、そのうち半分が中国で作られます。中国の2つの工場だけで年間60万台の電気自動車が生産され、2025年までに中国市場で15の電気モデルを出したい考えです。一方で、テスラは年間15万台のモデル3を新しい上海の自社工場で生産する予定です。それに加えて新しいSUVモデルであるモデルYを、はっきりとした数字は決まっていないのですが、同じ工場で生産するかもしれません。

テスラは最先端テクノロジーの世界的なリーダーと目されていますが、VWは世界のサプライチェーンを通じた競争力のある価格と巨大経済規模を強みにしています。さらにVWはMEBデザインをライセンス化して他企業と共有する事により、MEBへの投資を有効活用しています。

例えば、共同契約を結んだフォードからこの先数年間で大体100億ドル(1兆880億円)の収益を得ることになります。VWの電気自動車海外生産部門役員の一人であるThomas Ulbrich氏は、最近ロイターに「フォードとVWの合意はさらなるライセンシング契約の青写真になる」と語りました。

中国での生産はすべてID.3セダンで始められると予想されるかもしれませんが、会社筋によるとSUVタイプの方が優先されるそうです。世界の他の国々と同じように、中国でもSUVタイプへの需要が爆発的に増えているのです。伝えられるところによると、元々ID. CROZZの名で知られていたID.4もこのタイプの車両で、アメリカで売られる最初のVW電気自動車はこれになるようです。

バッテリー供給の制限

電気自動車革命にはバッテリー供給が必要不可欠になります。VWグループの仕入れ部門役員であるStefan Sommer氏は、先月ロイターに「(バッテリー確保に)多くの投資をしています。しかしサムスン、CATL、LG化学、SKイノベーションのような大きな会社でも、そこまで巨額の資金を投資したがりません。市場の行き先を見ていないからです。私達はポーランドのLG、ドイツのCATLなどヨーロッパ最初のバッテリー工場を見ていますが、技術が備わった従業員の数が足りていません。全員がラーニング・カーブを通らなければいけない段階です。このせいでバッテリー供給に遅れが出るでしょう。しかし他に選択肢はないのです」と語りました。

電気自動車生産が世界中で増えるにつれ、バッテリー供給がその足枷になってきます。VWは既に500億ドル(5兆4,400億円)をこれから5年で生産される車両用バッテリーに投資しており、このバッテリーのほとんどが、中国で製造・販売される車両に搭載される予定です。

※訳者より:ご参考までに、今年VWは電気自動車生産の方向に大々的に舵を切る方向性を示しました。これからのVWが分かる良いプレゼンテーションになっています。その発表を全翻訳した記事がこちら、「フォルクスワーゲンの電気自動車「ID」プレゼンテーション全編翻訳をお届けします!」になります。是非ご一読ください。

(翻訳・文 杉田 明子)