令和2年度第3次補正予算が国会で可決され電気自動車購入などに対する環境省と経産省の補助金が正式に決定。条件によって電気自動車購入に対して最大80万円、プラグインハイブリッド車では40万円を受給可能。さらにV2H機器などの導入への補助が加算されます。予算額には限りがあるので、今がチャンスです。
電気自動車購入への補助金が倍増
電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHEV)などのCEV(クリーンエネルギー自動車)を新車で購入する際、一定の条件を満たせば国の補助金を活用することができます。
従来実施されていて、来年度以降の継続も決まっているCEV補助金は補助金額の上限が42万円(給電機能がない車両は40万円)でしたが、令和2年度第3次補正予算で設定された環境省の補助金は車両購入への補助額が最大80万円に加えてV2H、V2L機器購入や工事費を補助。経産省の補助金では最大60万円に加えてV2H、V2L機器購入や工事費の補助が加算されます。
環境省補助金の正式な予算名は「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」、経産省補助金は「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」となります。ちなみに、従来の「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入補助金)」を所管するのも経産省です。
電気自動車をはじめとするCEVを購入するなら、環境省補助金なら従来の2倍ほど、経産省補助金でもおおむね1.5倍の補助金が受給できる「今」がチャンスといえるでしょう。いずれも補助金の対象となるのは新車購入で、中古車の購入は対象外です。また、補助金を受けて購入してから3〜4年間の処分制限期間があり、途中で譲渡や売却、廃車など行った場合は補助金を返却することになります。
補助金の執行団体は、従来のCEV補助金の執行団体でもある『次世代自動車振興センター』に決定しました。新補助金の申請受付は3月中にも始まる見込みとのこと。また、現在は令和2年度予算分の受付が終了しているCEV補助金ですが、令和3年度予算が成立次第継続となり、新規受付は4月下旬頃から始まる見込みです。
【関連サイト】
3つの補助金から条件に合わせて選択
国の補助金を併用することはできません。したがって、条件によってどれかひとつを選んで申請することになります。条件ごとに整理してみました。
| 再エネ電力に切り替える | 再エネ電力に切り替えない | |||
|---|---|---|---|---|
| 車両のみ購入 |
#### 環境省補助金
最大80万円 |
CEV補助金最大42万円 | ||
|
V2HもしくはV2L
機器を同時購入 |
#### 環境省補助金
最大80万円 + V2H/V2Lへの補助 |
#### 経産省補助金
最大60万円 + V2H/V2Lへの補助 |
※この条件別の表。日産『EV BLOG』を参考にさせていただきました。
補正予算による環境省と経産省の補助金は「令和2年(2020年)12月21日以降に新車新規登録(登録車)または新車新規検査届出(軽自動車)をされた自動車が対象」です。充放電設備/外部給電器についても「令和2年12月21日以降に発注や購入された設備が対象」となります。
V2HやV2Lへの補助については、上の表で示したように、環境省補助金が「①V2H本体価格の1/2(最大75万円)および工事費最大40万円(法人等は最大95万円)②V2L本体価格の1/3(最大50万円)」経産省補助金が「①V2H本体価格の1/2(最大75万円)および工事費最大40万円②V2L本体価格の1/3(最大50万円)」となります。
経産省補助金では充放電設備(V2H)や外部給電器(V2L)機器の同時購入が条件となっていますが、「車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両」はV2L機能が搭載されているとして補助金の対象となります。なお、電気自動車であっても外部給電機能を搭載していない輸入車やマツダ『MX-30 EV』などは対象外です。
CEV補助金には「V2HやV2Lへの補助」が含まれていませんが、別途、「外部給電器」や「V2H充放電設備」が用意(これも執行団体は次世代自動車振興センター)されています。
「再エネ100%電力調達」が条件となっている環境省補助金では、すでに再生可能エネルギー100%の電力を契約している場合も補助の対象となります。なお、オール電化住宅で夜間電力が大幅に安いなど、現在契約している電力プランによっては「再エネ100%電力」に切り替えることで毎月の電気代が大幅に増額してしまうケースがあるので注意してください。
また、国の補助金を併用することはできませんが、地方自治体が個別に用意している補助や優遇制度などは併せて利用できます。補助金の執行団体でもある次世代自動車センターウェブサイトの「全国の補助事業」ページで検索できます。
電気自動車への補助金や税金などの優遇制度については『電気自動車の補助金と税金など【最新まとめ】』という記事でまとめています。
それぞれの補助金の概要
3つの国の補助金について、参照すべき情報へのリンクなどをご紹介しておきます。
環境省補助金
環境省「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」
●再エネ100%電力メニューリスト ※ページ内にリスト(PDF)へのリンクがあります。
●補助対象車両・設備の補助見込み額(PDF)
経産省補助金
経済産業省「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」
●補助対象車両・設備の補助見込み額(PDF)
CEV補助金
「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」事業
●制度の概要紹介(トップページ)
●車種(銘柄)ごとの補助金交付額(PDF)
EV/PHEV の車種別補助金額リスト
おもなEV/PHEV の車種別に、3つの制度の補助金額を一覧にまとめました。環境省、経産省補助金では「見込み」となっているので、変更となる可能性もあります。実際の補助金額については、必ず補助金の申請前に再度確認してください。
| メーカー | 車種 | グレードなど | 補助金額 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| **CEV補助金** | **環境省補助金** | **経産省補助金** | |||
| **電気自動車(BEV)** | |||||
| アウディ | e-tron | 50 quattro | 23.2万円 | 46.4万円 | 対象外 |
| Sportback 55 | 40万円 | 70.5万円 | 対象外 | ||
| ジャガー | I-PACE | 全グレード | 40万円 | 80万円 | 対象外 |
| テスラ | モデル3 | 全グレード | 40万円 | 80万円 | 対象外 |
| モデルS | 全グレード | 40万円 | 80万円 | 対象外 | |
| モデルX | 全グレード | 40万円 | 80万円 | 対象外 | |
| 日産 | リーフ(40kWh) | S/X/G | 42万円 | 73.7万円 | 55.2万円 |
| NISMO | 32万円 | 48.2万円 | 36.1万円 | ||
| AUTECH | 37.8万円 | 68.3万円 | 51.2万円 | ||
| リーフ e+ | X/G | 42万円 | 80万円 | 60万円 | |
| BMW | i3
※REX非装備 | Edition Joy+ | 32万円 | 80万円 | 対象外 |
| 他グレード | 38万円 | 80万円 | 対象外 | ||
| プジョー | e-208 | 全グレード | 40万円 | 67.2万円 | 対象外 |
| e-2008 | 全グレード | 37万円 | 57.3万円 | 対象外 | |
| DS3 | CROSSBACK E-TENSE | 全グレード | 39.6万円 | 63.6万円 | 対象外 |
| ポルシェ | Taycan | 4S(79kWh) | 34.8万円 | 64.7万円 | 対象外 |
| 他グレード | 40万円 | 65.1〜77.2万円 | 対象外 | ||
| ホンダ | Honda e | 23.6万円 | 66.2万円 | 49.6万円 | |
| Advance | 16.8万円 | 50.6万円 | 37.9万円 | ||
| マツダ | MX-30 | EV(全グレード) | 16.2万円 | 46.7万円 | 対象外 |
| メルセデス・ベンツ | EQC | 全グレード | 40万円 | 69〜73.5万円 | 対象外 |
| レクサス | UX 300e | 全グレード | 42万円 | 80万円 | 60万円 |
| 三菱 | ミニキャブMiEV | 16kWh | 17万円 | 24万円 | 18万円 |
| トヨタ | C+pod | 給電機能あり | 22万円 | 30万円 | 30万円 |
| 給電機能なし | 20万円 | 30万円 | 30万円 | ||
| FOMM | ONE | 16.6万円 | 調整中 | 対象外 | |
| **プラグインハイブリッド車(PHEV)** | |||||
| FCA | ジープ レネゲード | 全グレード | 20万円 | 39.5万円 | 対象外 |
| トヨタ | プリウスPHV | 給電機能あり | 22万円 | 40万円 | 30万円 |
| 給電機能なし | 20万円 | 40万円 | 30万円 | ||
| RAV4 PHV | 全グレード | 22万円 | 40万円 | 30万円 | |
| BMW | 225xe | 全グレード | 20万円 | 35〜40万円 | 対象外 |
| 330e | 全グレード | 20万円 | 34.5万円 | 対象外 | |
| 530e | 全グレード | 20万円 | 33.4万円 | 対象外 | |
| 745e | 全グレード | 20万円 | 37.9万円 | 対象外 | |
| 745Le | 全グレード | 20万円 | 25.9万円 | 対象外 | |
| 740e | 全グレード | 20万円 | 38.9万円 | 対象外 | |
| X3 xDrive 30e | 全グレード | 20万円 | 29.7万円 | 対象外 | |
| X5 xDrive 45e | 全グレード | 20万円 | 25.2万円 | 対象外 | |
| i3(REX装備) | 全グレード | 20万円 | 40万円 | 対象外 | |
| i8 | 全グレード | 20万円 | 37.9万円 | 対象外 | |
| プジョー | 3008 | 20万円 | 40万円 | 対象外 | |
| ポルシェ | Panamera | PHEV全車 | 20万円 | 24.6〜27.3万円 | 対象外 |
| ボルボ | S60 | PHEV全車 | 20万円 | 32.3〜33.9万円 | 対象外 |
| V60 | PHEV全車 | 20万円 | 32.3〜33.9万円 | 対象外 | |
| V90 | PHEV全車 | 20万円 | 32.3〜33.9万円 | 対象外 | |
| XC40 | PHEV全車 | 20万円 | 30.6〜32.7万円 | 対象外 | |
| XC60 | PHEV全車 | 20万円 | 30.6万円 | 対象外 | |
| ホンダ | CLARITY | PHEV | 22万円 | 40万円 | 30万円 |
| 三菱 | アウトランダー PHEV | 22万円 | 38.4万円 | 28.8万円 | |
| エクリプスクロスPHEV | 22万円 | 38.4万円 | 28.8万円 | ||
| MINI | MINI Cooper S E Crossover ALL4 | 20万円 | 35〜40万円 | 対象外 | |
| メルセデス・ベンツ | C 350 e | 20万円 | 33.8〜34万円 | 対象外 | |
| GLC 350 e | 20万円 | 29.2万円 | 対象外 | ||
| E 350 e | 20万円 | 30.2万円 | 対象外 | ||
| E 350 de | 20万円 | 30.6〜31.9万円 | 対象外 | ||
| S 560 e | 20万円 | 不掲載 | 対象外 | ||
| ランドローバー | レンジローバー | PHEV全車 | 20万円 | 19.4万円 | 対象外 |
| レンジローバースポーツ(PHEV) | 20万円 | 21.7万円 | 対象外 | ||
| **燃料電池自動車(FCV)** | |||||
| トヨタ | MIRAI | 117.3万円 | 140.3万円 | 140.3万円 | |
| ホンダ | CLARITY | FUEL CELL | 210万円 | 233万円 | 233万円 |
こんなリストをうっかり思いついたことを作成途中で後悔するほど、日本でも電気自動車とプラグインハイブリッド車のバリエーションが増えてきました。メーカー、車種の並び順は、次世代自動車振興センターの補助金交付額リストを元にしています。
先日日本でも追加されたタイカンのベースグレードやクロスツーリスモなど、最新の車種はまだ掲載されていませんでした。今後、順次追加されるはずなので、購入時にディーラーで確認してください。
レンジローバーPHEVへの環境省補助金がなんだか安いとか、車種によって増額幅が微妙に違うといった謎はありますが、環境省および経産省の補助金が従来のCEV補助金よりも多いことがわかります。
すでに再エネ100%の電力契約をしている、もしくは「切り替えてもいい」という方であれば、最も有利な環境省補助金が使えます。ついでなので、私にも手が届きそうな電気自動車をピックアップして実質価格を計算してみました。
| 車両価格 | 環境省補助金額 | 実質購入金額 | 円/kWh | |
|---|---|---|---|---|
| **日産リーフ 40kWh X** | 381万9200円〜 | 73万7000円 | **308万2200円** | 約7万7000円(40) |
| **日産リーフ e+ X** | 441万1000円〜 | 80万円 | **361万1000円** | 約5万8200円(62) |
| **テスラ モデル3 SR+** | 429万円〜 | 80万円 | **349万円** | 約6万3500円(55) |
| **テスラ モデル3 LR** | 499万円〜 | 80万円 | **419万円** | 約5万5900円(75) |
| **プジョー e-208 GT** | 426万円〜 | 67.2万円 | **358万8000円** | 約7万1800円(50) |
| **プジョー e-2008 GT** | 470万円〜 | 57.3万円 | **412万7000円** | 約8万2500円(50) |
| **Honda e Advance** | 495万円 | 50.6万円 | **444万4000円** | 約12万5200円(35.5) |
| **マツダ MX-30 EV BASIC SET** | 458万7000円 | 46.7万円 | **412万円** | 約11万6000円(35.5) |
もっと廉価グレードがある車種もありますが、「私が選ぶなら」を基準にチョイスしました。モデル3やリーフのお買い得感が強烈ですね。逆に、もともとの価格設定が高い割に航続距離が短い(補助金額の算定基準でもあります) Honda e やマツダ MX-30 EV は、ますます厳しい、感じになります。
【追記】一度記事を公開してから、「お買い得感」が伝わりにくいなと感じ、「円/kWh」の欄を追加しました。実質購入価格を()で記したバッテリー容量で割った、いわば「車両のkWh単価」です。
日産アリアには新補助金は使えない可能性が高い
新しい補助金は「令和2年度第3次補正予算」で組まれた制度です。環境省補助金の予算額は80億円、経産省補助金の予算額は37億円。まずは単年度の措置ですから、予算を使い切ったら終了します。たとえば、月間1000台の購入者が平均100万円の補助金給付を受けるとすると、「1000台×100万円=10億円」なので、環境省予算は8カ月分程度となります。昨年12月21日以降の登録であればこの補助金に申請できるので、ざっくり1月からだとすると、環境省補助金が使えるのは8月まで。今年後半の発売とされている日産アリアの購入が始まる頃には、すでに終了しているだろうな、というイメージです。
「新補助金」が予算切れになっても、従来からの制度であるCEV補助金は使えるはず(電動車乗り換えが大ブームになればそっちの予算まで枯渇する可能性がないとはいえません)です。
電気自動車=外部給電装置になることを望む
今回の新補助金のポイントは、再生可能エネルギー普及を意図して「環境省」が補助金制度を策定したことといえるでしょう。自動車の電動化シフトは電力の再エネシフトとともに進めてこそ価値が高まります。できれば来年度以降もこうした施策が継続し、さらに進展することに期待しています。
経産省補助金では、電気自動車(およびPHEV)の「外部給電機能」がクローズアップされました。私は手作り改造EVと三菱アウトランダーPHEVで東京から青森県の大間まで、キャンプを繰り返しながら旅をしたことがありまして、その際、ニチコンから可搬型外部給電器の『パワームーバー』をお借りして、電気に困らないアウトドアライフを経験しました。お湯はティファールの電気ケトルですぐ沸くし、料理はおもにホットプレート。ガスや炭火を扱うのに比べ、とても楽ちんで快適でした。ボンベのガスとかガソリンを燃やすランタンをうかつに触るとひどいヤケドをしちゃいますが、LEDランタンなら安心です。
パワームーバーは1500W×3系統の電気を取り出せるので、消費電力が大きいホットプレートと電気ケトルを同時に使っても問題ありません。さらに、お湯を沸かしてコーヒーをドリップしたり、携帯電話やランタン、PCなどの充電をするくらいなら、アウトランダーPHEVが標準装備しているAC100V1500Wのコンセントがすごく便利でした。
自宅の系統電力と連携させるV2H機器はもちろんのこと、パワームーバーをはじめとする外部給電機器も高価です。かねてからあちこちで言ったり書いたりしていることではありますが、電気自動車にはすべからくACコンセントが装備され、電気自動車=外部給電装置になるといいのになと思います。日産がリーフを「走る蓄電池」と呼ぶのなら、せめて純正で10万円くらいで買える外部給電装置(※)を出すとか、オプションでもいいからコンセント装備の選択肢を用意してほしいと感じます。
(※)2012年に発売された三菱の『MiEV power BOX』は約15万円。残念ながらリーフなど他メーカーの車種では使えません。
そして、これもまた長年何度も言い続けていることですが、できればメイドインジャパンで、お手頃で魅力ある電気自動車の選択肢がますます増えていくことを願っています。
(取材・文/寄本 好則)

