中島様、コメントありがとうございます!また休日を挟み、返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
>こんないわゆる「たら、れば」の理由をEV擁護派は本気で言っているのだろうか?
石炭火力発電比率を下げたり、コネクテッド化を進めて電気自動車の電力消費を分散させることは、「タラレバ」ではなく、日本が国として進めている温室効果ガス排出低減のために、必ずやらなければならないことです。ご存知のように、発電方式の中で最も石炭火力は1kWhあたりのCO2排出が多く(専門家は排出係数と呼んでいます)、今後減らしていくことは中国・日本を含め、京都議定書を批准しているすべての国が目指しています。批准していないほんのわずかの国の一つ、米国ですら、石炭火力は減らしていっています。
https://www.reuters.com/article/us-usa-coal-kemp/u-s-power-producers-coal-consumption-falls-to-35-year-low-kemp-idUSKCN1M61ZX
>しかしテスラモデルSには661kgものアルミニウムが使われているという。
>このテスラモデルsに使われるアルミは精錬とそれに伴う電力使用によって10トン以上の炭酸ガスが排出される。
>ちなみにe-ゴルフの使用するアルミニウムの量は129kgだという。
>テスラモデルSは大型の乗用車であるが、5倍ものアルミ使用量は、言い訳できない量だ。
大きなプレミアムスポーツセダン(性能を重視する車)と、小型の普及価格帯の車を比較してアルミの使用量を取りざたすることは、二酸化炭素の排出量にどう関係があるのでしょうか?
下記の資料を見るとアルミ1kgを製錬するために必要な電力量は14,000kWhであるとされています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jilm/65/2/65_66/_pdf
そしてe-ゴルフと同等の普及クラスの車両、テスラモデル3は200kgと言われています。
>更にモデルSやモデルXの電費の悪さもあり、恐らくモデルS モデルXは、乗用車の高で最も炭酸ガス排出が多い車だろう。
これは100%間違っていますよ。
仮に米国EPAの燃費データと、日本の排出係数のデータを使って試算してみましょう。
https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=41193&id=40880
テスラモデルS 100Dと、パワーの少ないレクサスLS500h AWDです。
モデルS 100D:311kW
LS500h AWD:264kW
テスラはこれから33kWh/100マイルですから、テスラの電費は205Wh/kmとなります(米国EPA基準)。同じ基準でレクサスは26MPGですから11.1km/l。日本のCO2排出係数は
https://www.fepc.or.jp/environment/warming/kyouka/index.html
516g-CO2/kWh、ガソリン1lのCO2排出は2320gですから、
テスラモデルS 100D:1km走行あたり205Wh / 1000 x 516 = 106g-CO2/km
レクサスLS500h AWD:1km走行あたり2320 / 11.1 = 209g-CO2/km
レクサスのほうが、1km走行あたり2倍弱のCO2を排出することが分かります。これは実燃費で計算するともっと差が広がります。レクサスにもアルミニウムは多く使われています(エンジン及びトランクフードやフェンダー、ドアパネル)し、バッテリー製造にかかる電力に関しては、自動車メーカーは再生可能エネルギー由来の電力でバッテリー製造を進めていますので、例えばテスラの場合2019年末には、モデル3のバッテリー製造はCO2排出が著しく低いものになります。
中島様が見落としていると思われる最大の点は、電気自動車では、アルミボディは使わないこともできますし、バッテリーの製造時CO2排出は再生可能エネルギーにすることもでき、実際にメーカーはそれを目指しつつある、ということです。
>モデル3とてボンネットやドアにアルミニウムを使った比較的アルミ使用量の多い車である。
上記でお話ししたように、モデル3のアルミ使用量は約200kgです。
>更にマツダは今年中に2~3割効率向上させたエンジンを搭載したマツダ3を販売するなど従来は無理と思われていた内燃機関の効率向上
効率を向上させる、と言ったときに、燃費向上、と言っていないことに注目してください。効率と言えば普通は燃費のことだと思いますよね?電気自動車の世界では、効率というのは電費のことと考える方が多いと思います。化石燃料車では、エンジン単体の、特定の回転数でエンジンを回した時のピークの効率、のことを効率と言っているのです。つまりどういうことかというと、効率の低いところもあり、通常のドライビングサイクル(例えば米国EPAが規定しているような)においては、そこまで効率は上げられないのです。
また、日本国の運輸部門における二酸化炭素排出削減目標は、2-3割の向上では達成できません。達成できないと分かっているのであれば、そこに短期的な投資は必要なケースもあるでしょうが、長期的な投資をする経営者はいないと思います。
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/jidousha_shinjidai/pdf/001_01_00.pdf
P7、日本では2015年に59g-CO2/km→2030年に41g-CO2/km(注、JC08基準)まで減らすことを目標としています。これは確実に30%の削減が必要ということで、逆に言うと今20km/lの車が、28.8km/lにならないといけないということを意味します。ちなみに欧州で車を売るためには、もっともっと排出を減らさないと売ることができず、現にフィアットグループなどは2019年より、排出に関して罰金が発生しています。
https://blog.evsmart.net/ev-news/fca-to-pay-tesla-for-eu-co2/
ちなみに前出のレクサスLS500hは
https://www.lexus.co.uk/car-models/ls/prices-and-specifications/#
約36MPG(ここでのGはImerial Gallon)なので12.7km/l(WLTP基準)、CO2排出は183g-CO2/kmとなり、来年2020年の基準値95g-CO2/kmの2倍近い値になっています。もちろん欧州規制はメーカー単位でやればいいわけなのですが、LS500hを1台売ると、この車の1/4の排出のミニカーを1台売らない限り罰金となるわけで、いかに今の欧州規制が化石燃料車にとっては現実味がないかを示しています。
https://blog.evsmart.net/ev-news/eu-parliament-co2-40p-by-2030/