電気自動車購入の「CEV補助金」解説/EV普及に向け予算額さらに拡充【2024年最新版】

経済産業省から令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」について、2024年4月1日以降の車種別補助金額が公表されました。新たな評価基準が導入されるなどの変化があるものの、予算額は1291億円に拡充。EVをはじめとするクリーンエネルギー自動車普及拡大を目指しています。

【2024年3月20日更新】

※この記事は制度の更新などに合わせて随時更新しています。

CEV補助金とは?

脱炭素社会実現に向けて、日本では2035年までに乗用車の新車販売で「電動車100%」にすることを目指しています。この「電動車」には外部充電ができないハイブリッド車も含まれますが、モビリティの脱炭素化を効果的に進めるにはバッテリーEV(BEV)を中心とした電気自動車の普及拡大が大切です。

とはいえ、ことに小型車などにおいて、従来のエンジン車に比べてEVなどの次世代自動車は車両価格が高い傾向があります。そのため、国ではEVを中心とした車種の新車購入時に活用できる「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の制度を実施して次世代車の普及を後押ししています。

CEV補助金では、EVをはじめ、軽EV、外部充電可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)、水素燃料電池自動車(FCEV)の新車購入に対して、以下の金額を上限として補助金を設定しています。

CEV補助金上限額(2024年3月現在)

上限額
EV85万円
軽EV55万円
PHEV55万円
FCEV255万円

これは「上限額」であって、今年から新たに設定された「評価基準」によって各車種を採点し、6段階の補助金額が設定されます。今までは、おもに型式登録と給電機能の有無による違いがある程度だったので、かなり複雑になりました。

評価基準の概要と、得点による補助金額についても簡単な表にしておきます。

評価項目と配点

評価項目評価基準の概要配点
車両性能(車種ごと)省エネ法トップランナー制度の対象車か? 電費性能、など40
充電インフラ整備(企業ごと)OEMが運営する公共用充電器の口数など40
整備の体制 / 質の確保

(車種ごと)・(企業ごと)

整備拠点数など40
整備人材の育成

(企業ごと)

整備人材育成に関する取組など20
サイバーセキュリティへの対応

(車種ごと)

車両のサイバーセキュリティに関する取組20
ライフサイクル全体での

持続可能性の確保

(企業ごと)

ライフサイクル全体の持続可能性の確保に関する取組20
自動車の活用を通じた

他分野への貢献

(車種ごと)・(企業ごと)

外部給電機能の有無(車種ごと)

自治体と提携している災害連携協定など(企業ごと)

20
合計点200

得点による補助金額の段階

得点EV軽EVPHEVFCEV
130〜85万円55万円55万円(差額の2/3)

×100%

100〜12965万円
85〜9945万円45万円45万円×80%
70〜8435万円35万円35万円×60%
55〜6925万円25万円25万円×40%
〜5415万円15万円15万円×20%

新たな評価基準は、ユーザーの立場からすると「わかりにくくなった」と感じます。2024年3月19日には、この評価に基づいた車種別の補助金額が発表されました。詳細は記事の末尾で紹介します。

CEV補助金の申請方法など

CEV補助金の仕組みや申請方法などは、年度ごとに見直され更新されています。申請先となる執行団体も毎年入札を経て決定されますが、制度開設当初からずっと一般社団法人次世代自動車振興センター(NEV)が受託しており、「令和5年度補正予算 CEV補助金の車両補助額」もNEVの公式サイトで発表されています。2024年4月1日以降の補助金についても、NEVへ申請することになります。

【関連ページ】

次世代自動車振興センター公式サイト

申請についての留意事項

CEV補助金は個人でも法人でも申請可能。申請の手続きは、オンライン申請と紙申請を選択できます。申請から交付決定、実際の交付までは各数カ月程度の時間が掛かります。

また、補助金を受けて購入した車両は原則として4年間の保有義務が生じます。保有義務期間内に該当車両を処分する場合、残存期間などから算出する金額を返納する必要があるので留意しましょう。

補助金申請について不安やわからない点がある場合は、新車を購入するディーラーなどに相談してみるのがいいでしょう。

CEV補助金が交付されるのは新車購入のみ

CEV補助金が利用できるのは、対象車種の新車購入時に限定されています。中古車の購入時には活用できません。

また、緑ナンバーや軽規格の黒ナンバーなどの事業用車両(商用車)は対象外です。ただし、事業用のEVなどへの補助金については環境省の「商用車の電動化促進事業」(国土交通省・経済産業省連携事業)で別の補助金が用意されています。

地方自治体によってさらなる補助金も!

CEV補助金は、いわゆる「国の補助金」ですが、地方自治体によっては独自のEV購入補助金の制度を設けています。

たとえば東京都の場合、「ZEV車両購入補助金」としてEVの場合は個人対象で最大45万円、さらに一定の条件を満たす車両には最大10万円の加算額が補助されます。さらに、東京都のなかでも江東区では国や都の補助金とは別に、一律10万円の補助金が用意されていたりもします。

地方自治体の補助金の条件や申請方法などは、各自治体のウェブサイトなどで確認してください。NEVの公式サイトにも「地方自治体の支援制度」をまとめたページがあるので参考にしてください。

令和5年度補正の予算額は1291億円

NEVの公式サイトによると、CEV補助金の制度が始まったのは1998年だったとのこと。EVの車種が拡大した2020年以降は、例年着実に予算額を増やしてきています。昨年度は、令和4年度補正予算で700億円、令和5年度当初予算200億円で合計900億円の予算が用意されました。

今年度は、令和5年度補正だけで1291億円に予算が拡充されています。さらなるEV普及の拡大に向けて、より魅力的なEV車種の登場に期待したいところです。

ベンチャーやインポーターに補助金の壁

最後に、車種ごとの補助金額を表にして紹介しておきます。各車の「定価」は、NEV(経産省)発表のメーカー希望小売価格(税抜)で、各車種の最低価格をピックアップしました。日産リーフの「S」グレードや、FIAT 500eの「Pop」など、それを買う個人はいないでしょ(もしくは購入できない)、というグレードは除外しています。

全体を見渡して際立つのが、「トヨタや日産は満額の85万円が多い」ことに対して、「ボルボやBYD、ヒョンデといったEVシフトに意欲的なブランドの輸入車が35〜45万円程度」になっていることです。

また、軽や貨物をみると、日産や三菱の軽EVが55万円の満額に対して、FOMMやHW ELECTRO、アパテックモーターズといったベンチャー企業のEVは15万円。これから飛躍を目指すベンチャーにとって、補助金額という高い壁が増えてしまった印象でもあります。

一方で、国内メーカーの車種はオプション価格が大きく上乗せされるケースが多いこともあり、40〜50万円という補助金額のハンディキャプがあったとしても、補助金を引いた実質価格を冷静に眺めてみると、トヨタや日産のEVラインナップに対して、ほぼワンプライスで充実装備のボルボEX30や、BYDのATTO3、DOLPHIN、ヒョンデのIONIQ 5やKONAといった車種が十二分な価格競争力を維持していることもわかります。EVとしての魅力を考えても、意欲的な輸入メーカーが補助金で有利な国内メーカーを凌駕している一面もあります。

補助金制度の恩恵を活かし、国内メーカー各社にはさらに魅力的で買いやすい車種の開発と発売を期待したいところです。

また、こうした制度は更新されながら進化していくものと心得ています。今後、さらにユーザーにもわかりやすく納得感の高い仕組みになることを期待しています。

2024年4月1日以降の車種別補助金額(電気自動車)

ブランド車名定価〜

(円 ※1)

補助金額

(万円)

実質価格

(円)

普通自動車
アウディe-tron9,727,273369,367,273
アウディe-tron GT quattro13,581,8183013,281,818
アウディQ45,800,000655,150,000
アウディQ89,990,909369,630,909
アウディRS e-tron GT17,263,6363616,903,636
ジャガーI-PACE11,318,1821211,198,182
シトロエンE-C45,044,091454,594,091
スバルSOLTERRA5,700,000655,050,000
テスラモデル3 RWD5,102,728654,452,728
テスラモデル3 ロングレンジ5,926,364855,076,364
テスラモデル3 パフォーマンス6,368,728655,718,728
テスラモデルY5,124,546654,474,546
テスラモデルS11,790,0005211,270,000
テスラモデルX13,153,6375212,633,637
トヨタbZ4X5,000,000854,150,000
日産アリア5,991,000855,141,000
日産リーフ(※2)3,710,000852,860,000
BMWi4 eDrive6,345,455655,695,455
BMWi5 eDrive9,981,818529,461,818
BMWi7 eDrive14,527,2735214,007,273
BMWiX xDrive9,981,818529,461,818
BMWiX1 xDrive6,527,273655,877,273
BMWiX3 8,381,818657,731,818
BYDDOLPHIN3,300,000352,950,000
BYDATTO 34,000,000353,650,000
ヒョンデKONA Casual3,630,000353,280,000
ヒョンデKONA(他グレード)4,110,000453,660,000
ヒョンデIONIQ 5(ベースグレード)4,354,546354,004,546
ヒョンデIONIQ 5(他グレード)4,718,182454,268,182
フォルクスワーゲンID.4 Lite4,674,545454,224,545
フォルクスワーゲンID.4 Pro5,898,182655,248,182
プジョーe-2084,267,273453,817,273
プジョーe-20084,691,818454,241,818
ポルシェTaycan12,945,4552012,745,455
ボルボEX305,081,818454,631,818
ボルボC40 Ultimate Twin Motor6,900,000356,550,000
ボルボC40(他グレード)6,354,545455,904,545
ボルボXC40 Ultimate Twin Motor6,718,182356,368,182
ボルボXC40(他グレード)6,172,727455,722,727
ホンダHonda e4,500,000653,850,000
マツダMAZDA MX-30 EV MODEL4,100,000653,450,000
メルセデス・ベンツEQA5,818,182655,168,182
メルセデス・ベンツEQB7,472,728656,822,728
メルセデス・ベンツEQC(※3)9,009,091528,489,091
メルセデス・ベンツEQC(※3)8,136,364657,486,364
メルセデス・ベンツEQE11,372,7285210,852,728
メルセデス・ベンツEQS(※3)13,627,2735213,107,273
メルセデス・ベンツEQS(※3)14,209,0916813,529,091
レクサスRZ300e7,454,545856,604,545
レクサスRZ 450e version L8,000,000857,150,000
ロールスロイススペクター43,636,3645243,116,364
小型・軽自動車
アパテックモーターズOHKUMA1,990,000151,840,000
アバルトアバルト500e5,590,909555,040,909
FIAT500e(※4)5,027,273554,477,273
FOMMFOMM ONE2,500,000152,350,000
GLMMiMoS1,940,000151,790,000
日産サクラ(※5)2,317,000551,767,000
三菱eKクロス EV(※6)2,315,000551,765,000
普通貨物・小型貨物・軽貨物
ASFASF2.02,370,000451,920,000
HW ELECTROELEMO2,940,000152,790,000
ELEMO-K2,430,000152,280,000
日産クリッパーEV2,605,000552,055,000
三菱MINICAB EV2,210,000551,660,000
三菱ミニキャブ・ミーブ2,210,000551,660,000
(※1)定価は経産省発表資料に掲載のメーカー希望小売価格(税抜)の各車種最低価格。

メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の車両については、0.8を乗じた補助額を記載している

(※2)日産リーフの最低価格は「X」グレードを記載。
(※3)メルセデス・ベンツ「EQC」「EQS」はグレード(類別番号)によって補助金額の違いがあります。
(※4)FIAT 500eは「Icon」グレードを記載。
(※5)日産サクラの最低価格は「X」グレードを記載。
(※6)三菱eKクロスEVの最低価格は「G」グレードを記載。

文/寄本 好則