EV急速充電器メーカー一覧と選び方

電気自動車やPHEVを出先で充電するのに必要な急速充電器。日本国内で販売されているメーカー一覧と、選び方をまとめてみました。

目次

EV急速充電器とは

電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)は、車の外部から電気を充電し、バッテリーに貯めた電気で走行することができます。この電気を車に充電するのに必要なものが充電器で、急速充電器・ケーブル付き普通充電器・充電ケーブル(または充電アダプター)の三種類があります。充電ケーブルは100Vや200Vのコンセントから充電するために使用する小型の充電器で、通常車の中に積んでおくものです。反対に、急速充電器やケーブル付き普通充電器は設置して使用するもので、多くは公共の場所に設置されていますが、自宅に設置することも可能です。

急速充電器にはいろいろな規格がありますが、世界では主にチャデモ、Mennekes Type 2(メネケスと読みます)、テスラスーパーチャージャー、Combo1(コンボ・ワン)、Combo2(コンボ・ツー)があります。たくさんありますね。このうちテスラスーパーチャージャー以外は全て規格化されていますが、なぜか乱立してしまっています。また、これ以外に中国はまた別の規格を使用しています。

チャデモは50kW(500V 125A)、Mennekesは70kW(500V 140A)、テスラは120kW(400V 300A/360V 333A)、Combo1/Combo2は200kW(1000V 200A)なのですが、Mennekesの70kWの規格の充電器は実際には存在せず、全く同じコネクターなのですが中身が交流の22kWタイプと43kWタイプ(こちらもほぼ存在せず)が多く設置されています。急速充電器は、ほとんどが直流(DC、ディーシーとも言います)なのですが、Mennekes Type 2だけは交流(AC、エーシー)です。さて混乱してきたと思うので表にしてみます(笑)

※コンボの正式名称はCombined Charging Systemで、CCSという略語もよく使われます。Combo 1をCCS Type 1、Combo 2をCCS Type 2と言うことも多いです。

規格名 最大出力 AC/DC 普及地域 画像 コメント マップの例(すべてではありません)
チャデモ 50kW (500V 125A) 100kW策定中 DC 日本・欧州・米国 全世界1万か所以上 CHAdeMOプラグCHAdeMOプラグ Source: Car Watch 欧州メーカーや米国メーカーはコンボ(1/2)規格に参加しているが、新設の充電器はチャデモとコンボのデュアルが多い 米国欧州
Mennekes Type 2 (AC) 22kW (400V 32A) 43kW (400V 63A) 3相AC 単相も可能(普通充電) 欧州 Mennekes Type 2Mennekes Type 2 imageSource: Mennekes 22kWには多くのEVが対応しているが、43kWに対応しているのはRenault Zoeのみ。43kW対応充電器は存在しない模様
Mennekes Type 2 DC-mid 70kW (500V 140A) DC 欧州 type2_dc ACと全く同じコネクターだが同じピンを使ってDC急速充電もできる
テスラ スーパーチャージャー 120kW (400V 300A/360V 333A) DC 米国・欧州・アジア 全世界602か所 Tesla SC プラグTesla SC プラグ Source: Michael’s Blog 一か所に複数基を設置し、602か所、3519基。コネクターが小型で、AC普通充電も兼用している。自社の車両のみに対応するため、ケーブルが非常に短い。なお欧州ではType 2コネクターを使い、独自に120kWを実現している スーパーチャージャー
Combo 1 200kW (1000V 200A) DC 米国・オーストラリア CCS Combo 1プラグCCS Combo 1プラグ Source: Electric Vehicle News 米国ではEVgoがBMWと協業して現時点で222か所に設置。今後は25都市600か所程度を目指す模様。ほとんどのステーションは24-50kW。チャデモケーブルもあるデュアルステーションが多い ChargeNow DC Fast
Combo 2 200kW (1000V 200A) DC 欧州 CCS Combo 2プラグCCS Combo 2プラグ Source: The Long Tail Pipe 欧州で1910か所。チャデモケーブル・Type 2ケーブルもあるトリプルステーションが多い Mutwin Kraus氏のCCSマップ

日本国内では、チャデモ規格の急速充電器が6300か所、テスラスーパーチャージャーが8か所設置されています。テスラモデルSを含むほとんどの電気自動車と、PHEVではアウトランダーPHEVのみがチャデモ規格に対応しており、国内での充電インフラは面的にはほぼ完成と言えますが、一か所の基数が少ないという課題は残っています。

チャデモ急速充電器なら全て同じか、というとそうでもありません。「出力」というものがあるのです。出力はkW(キロワット)で表します。通常、急速充電器は最大のアンペア数というものを持っており、これが出力と密接に関係しています。EVsmartではkW表示を採用しています。

出力アンペア数
50kW125A
44kW107A(日産など)

110A(ハセテックなど)

40kW100A
30kW75A(東光高岳など)

60A(ニチコンなど)

25kW65A(ハセテックなど)

50A(ニチコンなど)

20kW50A(東光高岳など)

40A(ニチコンなど)

さて、実際に急速充電をする場合は、急速充電器を車に接続しますが、そうすると車は急速充電器から来た直流をそのままバッテリーに直結します。このとき、急速充電器はバッテリーの電圧に合わせて電力を供給しますが、電池は空のとき電圧が低く、満充電になると電圧は高くなります。例えばテスラモデルS 85kWhを例に取ると、電池が空のときは345Vくらい、満充電では403Vくらいまで変化します。充電を開始すると、50kW 125Aの充電器では、345V 125Aすなわち43kWで充電が開始され、充電が進むにつれ電圧が上がりますので出力も上がってだんだんと50kWに近づいていきます。しかし、今度はリチウムイオン電池の制約で、充電できる電流の上限がだんだん下がってきてしまうのです。すなわち出力は上がった後低下し、充電速度はどんどん遅くなります。

モデルS 85kWhを例にとると、おおよそ容量の75%まで充電されると、125Aでは充電できなくなり、どんどんアンペア数は下がっていきます。75%ではおおよそ391Vなので48.9kWをピークに下がり、80%では395V 110Aで43.5kW、満充電近辺では403V 4A程度ですからたったの1.6kWになってしまうのです。ほとんどの電気自動車では、80%までの充電が高速にできるので、急速充電時は80%までを推奨しているのですね。ちなみにリーフ24kWhモデルでは、同じ50kWの急速充電器で充電した場合、最初はもちろん125Aで80%になると50Aまで下がり、おおよそ20kWでの充電となります。アウトランダーPHEV(バッテリー12kWh)の場合、バッテリーが空でも20kWでの充電となります。

ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、つまり、電池の容量が大きければ大きいほど、「ハイパワーで」「長時間」充電でき、短時間でより多くの電力量をバッテリーに充電できます。車によって30分間の充電で走行できる距離が大きく異なるのは、燃費のせいだけじゃなかったのですね。例えば日産リーフ24kWhでは50kW30分で80%充電した場合、104km前後。新型の30kWhモデルでは136km前後。テスラモデルSでは50kW30分で112km、120kW30分では220km前後走れるのです(モデルSでは30分充電しても80%にはなりません)。今後、電池の大きな長距離EVが増えると、充電インフラもハイパワーなものが必要とされることがお分かりいただけるかと思います。

EV急速充電器メーカーの一覧

チャデモ規格に対応している急速充電器メーカーを一覧にしてみました。データは2016年2月18日現在、急速充電器を販売しているメーカーのみとなっています。日産自動車製の急速充電器はすでに生産を終了していますので掲載していません。

メーカー名 読み 機種名(最大出力機種) 出力 入力 最大電流 寸法(幅x高さx奥行) 課金対応 価格(最大/最小出力機種) 見かける場所
NEC えぬいーしー NQVC500M3-1 50kW/44kW 3相AC200V 50kW: 125A 44kW: 110A(未確認) 830x1650x550 300万/300万 イオン
NTTファシリティーズ えぬてぃてぃふぁしりてぃーず FSQC-50-1-S 50kW/40kW/30kW/20kW 3相AC200V 50kW: 125A 40kW: 100A 30kW: 75A 20kW: 50A 550x1700x800 240万/160万
菊水電子工業 きくすいでんしこうぎょう Milla-E50 50kW/42kW/20kW 3相AC200V 50kW: 125A 42kW: 105A 20kW: 50A 50kW/42kW: 550x1500x620 20kW: 550x1480x350 200万/150万 道の駅
九電テクノシステムズ きゅうでんてくのしすてむず KRCS-50-2 50kW/25kWx2 3相AC200V 50kW: 125A 25kW: 62A スタンド部: 280x1780x260 電源部: 830x1650x550 363万
キューヘン(PDF) きゅーへん QC30S 30kW QC30Dは2台シリーズ充電可 3相AC200V 75A 350x1620x450 255万
サイカワ(PDF) さいかわ EDS-11-D10 (移動型) 10kW DC324V 80A(蓄電池) 20A 960x550x1200 × 630万
GSユアサ じーえすゆあさ EVC-50KA 50kW/30kW/20kW 3相AC200V 50kW: 125A 30kW: 75A 20kW: 50A 50kW: 950x1600x700 30kW/20kW: 700x1400x650 320万/145万 イオン
JFEテクノス じぇーえふいーてくのす RAPIDAS-R 50kW 3相AC200V 125A 1100x2050x790 490万 道の駅・高速道路SAPA
新電元 しんでんげん SDQC-50-S 50kW/30kW/20kW 50kW/20kW: 3相AC200V 30kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V 50kW: 125A 30kW: 75A 20kW: 50A 550x1700x800 282万/170万
シンフォニアテクノロジー しんふぉにあてくのろじー IEC-120-1A 44kW 3相AC200V 110A(未確認) 充電スタンド: 441x2050x310 電源盤: 945x1676x644 230万 道の駅
高砂製作所 たかさごせいさくしょ TQVC500M3 50kW/44kW/20kW 3相AC200V 50kW: 125A 44kW: 125A 20kW: 62A 830x1650x550 180万/180万 市役所等
デルタ電子 でるたでんし DCJ503J5A 50kW/46kW/30kW 3相AC200V 50kW: 125A 46kW: 115A 30kW: 75A 900x1700x600 250万/220万
デンゲン でんげん DEV-10KW (移動型) 10kW 3相AC200V 25A 662x1067x746 × 200万
東光高岳 とうこうたかおか HFR1-50B4 50kW/40kW/30kW/20kW/10kW 50kW/40kW: 3相AC200V 30kW/20kW/10kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V 50kW: 125A 40kW: 100A 30kW: 75A 20kW: 50A 10kW: 25A 50kW/40kW/30kW: 1080×1695×460 20kW/10kW: 822×1790×450 180万/140万 高速道路SAPA
ニチコン にちこん NQC-A502(E) 50kW/30kW/20kW/10kW 50kW/30kW/10kW: 3相AC200V 20kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V 50kW: 100A 30kW: 60A 20kW: 40A 10kW: 20A 50kW: 350x1565x880 30kW/20kW: 350x1565x595 10kW: 600x650x350 220万/140万 道の駅・ホテル
日鉄住金テックスエンジ にってつじゅうきんてっくすえんじ EV-50 50kW/30kW/20kW 50kW: 3相AC200V 30kW/20kW: 単相AC200V 50kW: 125A 30kW: 60A 20kW: 40A 50kW: 700x1700x730 30kW/20kW: 675x1650x775 235万/170万
ハセテック はせてっく QC03-3P3W 44kW/25kW 44kW: 3相AC200V 25kW: 単相AC200V 44kW: 110A 25kW: 65A 700x1850x790 210万/180万 道の駅・ローソン・三菱販社
日立製作所 ひたちせいさくしょ HIQC-JP45 45kW/30kW 3相AC200V 45kW: 112A(未確認) 30kW: 75A(未確認) 1045x1800x715 225万/225万

EV急速充電器の選び方(設置者向け)

急速充電器を設置される事業者の方は、いろいろな目的をお持ちだと思います。一番多いのは企業であればCSRや企業イメージ向上のため、公共団体等であれば低炭素社会を目指すためなどではないでしょうか。次に、多少なりとも電気自動車・PHEVユーザーの集客・利便性向上になれば、というものもあると思います。

この「集客」というところに注目してみると、当然使いにくい急速充電器は設置しても利用する人がいないため、意味がない、とも言えます。もし設置者の方で、(EV/PHEVの台数はまだ少ないので)わずかながらではありますが集客に興味のある方はぜひお読みください。

使いやすい急速充電器というのは人によって多少異なりますが、以下のようなものです。

  • 50kW以上であること。40kWの急速充電器ではリーフも30分で80%まで充電できないばかりか、20kWの充電器では1時間以上かかります。2016年にGMがバッテリー容量60kWh以上と想定されるBOLTを販売開始、テスラも60kWh以上のモデル3を2018年に投入するため、国内でも2018年には60kWhが普通に走行するようになります。日産リーフも再度モデルチェンジするでしょう。
  • 一か所に複数基設置されていること。仮にピーク時に1時間に3台が来るような環境で、1台当たり30分間充電すると、アーランB式の計算により、1基では60%の確率で充電がバッティングしてしまいます。2基なら充電待ちが発生する確率は31%、3基なら13%です。
  • ケーブルが届くよう設置されていること。リーフはフロント中央、アウトランダーPHEVとBMW i3はリア右、アイミーブとテスラモデルSはリア左、ミニキャブミーブはボディ中央左、BMW X5 xDrive 40e/225xe/330eはフロント左と、各社充電口はバラバラの位置にあります。車をどちら向きに駐車させ、ケーブルをどちら方向に伸ばして充電させるのか、よく検討しましょう。
  • 24時間充電可能であること。急速充電には時間がかかります。30分の間に営業時間を超えてしまったら?面倒なことを利用者に押し付けず、いつでも利用できるように運用しましょう。
  • 受付が必要ないこと。無料でも有料でも、受付が必要な場合、利用開始時に5分は無駄になってしまいます。利用終了時に鍵を返すなどの手続きも非常に評判が悪いものの一つです。
  • 互換性が高いこと。急速充電器メーカーには様々な会社がありますが、あまり各社の電気自動車/PHEVでテストしていないメーカーもあります。急速充電器の見積を取る際に、充電できる車両の一覧を取得しましょう。一部しか掲載がないメーカーはできる限り避け、設置後の利用者とのトラブルを避けるため、互換性に自信のあるメーカーの製品を採用しましょう。
  • サービス体制がしっかりしていること。急速充電器は、案外壊れやすいです。特にプラグ部分を壊してしまうケースが多いそうです。故障した場合にどのくらいで修理してくれるのか、その場合の費用などをあらかじめ確認しておきましょう。また人気の少ないところでは防犯カメラを設置するなどして、乱暴な扱いやいたずらを未然に防ぎましょう。

EV急速充電器の選び方(利用者向け)

アウトランダーPHEVの方は、急速充電器は20kW以上であればどれでも充電速度は一緒です。あまり選び方のようなものはなく、どれでもよいとも言えるでしょう。電動車両サポートカードのベーシックプランなら、三菱ディーラー以外でも日産ディーラーでさえなければ30分360円。20分くらいでかなり充電速度が落ちますので、金額が気になる方は空から充電開始し、20分で切り上げることをお勧めします。20分なら240円ですよ!20分充電の場合50×70%=35km走行することができ、ガソリン1リッターを110円とすると、35 / 240 x 110 = リッター16km相当になります。30分充電しちゃうと、50×80%=40km走行できて360円なので、40 / 360 x 110 = リッター12km相当になってしまいます。

リーフの方は、急速充電器は40kW以上を選ぶのがよいでしょう。20kW-30kWの急速充電器はたくさんありますが、それらでは時間の無駄です。ZESP(日産ゼロ・エミッションサポートプログラム)のライトプランでは、日産ディーラーでの充電が無料となっていますが、それ以外の急速充電器では結構なコストがかかることが多いです。全体の約半数を占めるNCS加盟充電器では、30分1500円という体系になっているのですが、例えば同じ30分でも、新型リーフ30kWhで50kWなら136km分=1kmあたり11円(@110/lでリッター10km相当)、20kWでは約半分として68km分=1kmあたり22円(リッター5km相当)となってしまいます。日産ディーラー以外の急速充電器を頻繁に使う方は、スタンダードプランに加入したほうが良さそうです。

モデルSなど、バッテリーの大きな電気自動車の場合、長時間の充電をするなら急速は50kWのみを選ぶのがよいでしょう。44kWでも、50kWなら45分で済むところを51分かかってしまいますし、40kWでは56分かかってしまいます。大阪や神戸を通過する場合など、スーパーチャージャーが近隣にあると、回り道してまでスーパーチャージャーを使うべきかどうかは悩みどころです。例えばバッテリーがちょうど空になったと仮定して、80%まで回復させる場合、スーパーチャージャーではおおよそ50分かかります。50kWでは1時間21分。その差は31分になります。賢くスーパーチャージャーを使って、計30分程度の回り道ならそちらのほうが結果的に早く充電ができるということになりますね。大阪も神戸もスーパーチャージャーは4基設置なので、基本的に待ちが発生する可能性も非常に低いです。