結論:【2018/7/11更新】電気自動車で事故を起こしても、バッテリーはすぐに車体から切り離され、遮断されますので、車内にいる乗員も、レスキュー隊員も感電することはほとんどありません。水没時の感電リスクもほとんどなし。電気自動車はガソリン車より安全です。
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電気自動車で事故を起こしたら、電気自動車はどうなる?
日ごろ安全運転に気を付けていても、事故を起こしたり、事故にあう可能性をなくすことはできませんよね。万が一のとき、どのように対処すべきかを知っておくことは重要です。JAFのサイトによれば、当事者は以下のことを行う必要があります。
- 運転を停止し、負傷者がいれば救護を行います。病院への連絡や救急車の手配などが含まれます。
- 道路上に危険があれば、それを除去します。事故車両はそのままにせず、安全な場所に移動し、他の車両や人が二次災害に巻き込まれないよう、三角表示板を設置・発煙筒を使用するなどして危険を防止します。
- 救護と危険防止措置が終わったら、最寄りの警察署または警察官に報告します。事故発生日時、場所、死傷者の数と負傷者の負傷の程度、損壊したものと損壊の程度、交通事故にかかわる車両などの積載物、事故について取った措置を報告します。
電気自動車で事故を起こすと、エアバッグの展開と同時に高電圧回路が完全に遮断され、車は走行できなくなります。これはガソリン車などのエンジン車とは大きく異なる特性で、注意しておく必要があります。走行中に事故を起こした場合には、できる限り早く安全に路側に寄せることが重要なのです。
電気自動車のモーターは、高電圧回路からの電気の供給がないと走行できません。ではなぜ、高電圧回路は事故時に遮断されるのでしょうか?
実は、これは法律で定められているのです。日本では、道路運送車両法に基づく道路運送車両の保安基準第17条の2、別添111「電気自動車、電気式ハイブリッド自動車及び燃料電池自動車の衝突後の高電圧からの乗車人員の保護に関する技術基準(PDF)」。米国ではFMVSS 305、そしてEUではECE R12, R94, R95(注、12をクリックするとレギュレーションが読めます、94, 95は左側にナビゲーションがあります)で、乗員や救護要員の感電を防ぐことが義務付けられており、一般に売っている電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車や燃料電池車はすべてこの機能を備えています。
日本ではJNCAP、北米ではNHTSA/NCAP、EUではEuro NCAPなどが、これらの技術基準に基づき、衝突安全テストを実施し、結果を公開しています。車を購入される場合は、これらのサイトで衝突安全テストが実施されているか、またその評価は十分かを検討するのもよいと思います。
感電のリスクはある?レスキュー隊員はどうすればいい?
ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、そして電気自動車は、すべて高電圧バッテリーを搭載しています。そして、事故の衝撃がセンサーで検知されると、高電圧回路は自動的に切り離され、基本的には感電のリスクは「ほとんど」ありません。ただし、例外もあります。レスキュー隊員が車両を切断しないといけない場合、そして、車両が原型をとどめないほどの強い衝突事故などでは、回路が切り離されていても、感電のリスクがあります。
車両を切断する場合、バッテリー部分を切断することはできません。ガソリンタンクと異なり、特に電気自動車ではバッテリーが大きく車両底面に配置されていることが多いため、切断できる部分とできない部分があります。電気自動車を販売する各社は、レスキューマニュアルを公開しており、レスキュー隊員などはこれらを読んでいるはずです。
| 自動車メーカー | 車種、レスキューマニュアル |
|---|---|
| BMW | i3, i8等 |
| 三菱自動車工業 | i-MiEV、アウトランダーPHEV等 |
| 日産自動車 | リーフ、フーガハイブリッド等 |
| テスラモーターズ | モデルS等 |
| トヨタ自動車 | アクア、プリウス、ミライ等 |
もし消防隊員、レスキュー隊員の方でこれらをご覧になったことがない方は、メーカーの広報に連絡いただければ、デモンストレーションやサポートを受けることができます。
洪水や水没の場合は感電する?
バッテリーはある程度の水没に耐えるように設計されており、実際多くの場合電気自動車のほうが深い水深に耐えると言われています。
テスラモデルSが深い水深で浮いてしまっているが、タイヤを空転させて脱出する
日産リーフの冠水路試験。もちろん冠水路走行は禁止されていますが、水深80cmまでテストされているそうです。
長時間水没していた場合は、バッテリー内部に浸水する可能性があります。高電圧バッテリーが水に触れると、端子間(数cm-数10cm)でショートし、ボディには電気は流れません。電気は体のように電気を流しにくいものを(例えば手から足まで)1m以上伝わるより、近くの水を介してプラスマイナス端子同士で流れることを圧倒的に好みます。ガソリン車とは異なり、バッテリーの「両方の」端子はボディから絶縁されています。そもそもボディとバッテリーはつながっていないのです。つまり結論としては、ボディを触っても、電気が来ることはほとんどありません。
さらに、高電圧バッテリーへの12Vの供給が切れると、バッテリー内のコンタクターという巨大なスイッチにより、高電圧バッテリーは車から切断されます。水没して12Vバッテリーが放電してしまう、またはコンピュータが生きているうちに異常を検出した場合、高電圧バッテリーは切り離され安全な状態になります。高電圧ケーブルにも電圧はかかりません。
メーカーが販売店へ連絡しましょう、と言っているのは、本当に念のため。例えばカッターで充電量の残っているバッテリーそのものを切ろうとしたり、12Vがかかっている状態で高電圧ケーブルを切断しようとすれば、当然感電します。これらは消防や救助隊の方々が行う操作。運転者である我々が行うことではありません。
洪水は日本だけの自然現象ではありません。米国ルイジアナ州は洪水で有名ですが、少なくとも私の知る限り、電気自動車の水没が原因での感電事故は聞いたことがありません(あれば教えてください)。
ガソリン車での事故とどっちが安全?
では、電気自動車は、高電圧バッテリーを搭載しない(ハイブリッド車ではない)ガソリン車より危険なのでしょうか?いえ、実はそれは逆なのです。
確かに感電のリスクはわずかにありますが、バッテリーは強固な金属ケースに収められており、通常の事故の範囲で感電する可能性はほとんどありません。また、各社のレスキューマニュアルには高電圧バッテリーの位置や、高電圧回路をマニュアルで切断するためのサービスプラグや切り離し用ケーブルなどが詳細に記載されています。万が一漏電(電気が、流れてはいけないところを流れて漏れる)しても、センサーですぐ遮断される仕組みになっています。
もちろん、万が一といってもリスクがゼロではありませんので、救助時において時間がない場合、レスキュー隊員の方は絶縁手袋や絶縁ゴム底安全靴を着用して救助作業することになっています。
ガソリン車ではどうでしょうか?実は、ガソリン車にはガソリンが漏れたことをチェックするセンサーはついていません。もちろん技術基準があり漏れにくい構造にはなっていますが、ガソリンタンク、燃料ポンプや燃料パイプからガソリンが漏れても、事故でこれらの部品やエンジン自体が損傷してガソリンが漏れても、ガソリンを遮断することはできません。
また、ガソリンは引火点マイナス43℃、発火点300℃の引火性液体です。そのため、ガソリンが漏れた場合、近くで火花が飛んだり火の気があればすぐ火災になってしまいます。火の気がなくても、漏れたガソリンが300℃以上の高温の部品に触れると発火してしまいますので、その結果、燃料タンクに入っているガソリンが爆発してしまう可能性があります。
Green Car Reportsの記事によれば、ノルウェーのDirectorate for Civil Protection (DSB)の安全に関するチーフエンジニア、Jostein Ween Dig氏は以下のように発言したとのことです。
No data exists to indicate that electric cars are more prone to fire than conventional vehicles. On the contrary, current statistics suggest that electric cars experience fewer fires than gasoline- and diesel-fueled vehicles. Fires in electric cars are “kinder,” since they are less explosive.
ガソリン車などの通常の車両に比べて、電気自動車が燃えやすいということを示すデータはない。反対に、現時点での統計を見る限り、ガソリン車やディーゼル車より電気自動車のほうが車両火災が少ないと考えられる。また、電気自動車の車両火災は、搭載している電池がガソリンなどの燃料より爆発性が低いため、より「穏やかな」燃え方をする。


