内閣府が担当する「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」で「EV充電器の整備」が議題となり、電気自動車ユーザーの立場からEVsmart(アユダンテ安川社長)が課題の提示と解決に向けた提言を行いました。議事資料などは公表されています。
※冒頭写真は2019年5月、滋賀県の新名神土山SAで遭遇した充電渋滞。アウトランダーPHEVを先頭に、4台が(私は2台目)並びました。
EV用充電器の整備が規制改革の重要テーマに浮上
2022年11月11日、内閣府が担当する「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、再エネタスクフォース)」の第24回会議において「カーボンニュートラルに向けたEV普及のための充電器の整備について」が議題となりました。会議の開催に先駆けて、EVsmartブログ編集部に「EV普及を進めるための規制改革について提言を」とオファーがあり、10月まで「EVsmart」の運営会社であったアユダンテ社長の安川さんと、編集長の私が協議して課題を提示。再エネタスクフォースの運営などを担当する内閣府規制改革推進室とオンラインミーティングやメールで調整を進め、11日の議題が決まり、会議の開催となりました。
11月11日にオンラインで開催された会議の様子は、YouTubeの規制改革チャンネルにライブ配信動画がアーカイブされています。
【LIVE配信】第24回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース
EVsmartからは安川さんと私が参加。課題と解決への提言を主旨としたプレゼンテーションは、安川さんと、日本国内の充電インフラ整備を進める e-Mobility Power(eMP)の四ツ柳尚子社長が行いました。
会議には規制改革を担当する岡田直樹内閣府特命担当大臣が参加。課題解決のための規制改革に関わる、経済産業省、国土交通省、環境省、総務省、法務省といった各省庁の担当者が数多く出席していました。世界の主要先進国のなかでEV普及が遅れつつあることが指摘されている我らがニッポン。EVsmartとしては、日本でEV普及がなかなか進展しない大きな理由が、脆弱な充電インフラにあると考えており、事前の提言や会議における安川さんのプレゼンテーションは、充電環境を改善していくための具体的な内容としています。いわば、EVユーザーを代表しての提言です。関係各所のキーパーソンに直接要望や声を届けられたことで、ユーザー本位のEV用充電インフラの拡充が加速することを願います。
安川さんからの提言の要旨
再エネタスクフォースでの議論は公開することが原則となっており、今回の安川さんと四ツ柳さんのプレゼンテーション資料も再エネタスクフォースの公式サイト(記事末にリンク先を紹介)で公開されています。
興味のある方にはぜひダウンロードして読んでみていただくとして、安川さんの提言の要旨を簡潔にまとめておきます。
【経路充電】超急速充電器の拡充と適切な配置
日本国内のチャデモ規格による急速充電インフラは、最大出力50kW程度以下が大半。国際的には90kW以上の高出力、とりわけ150〜350kWの出力をもつ超急速充電器の拡充が進んでおり、日本でも今後の高性能EVの増加を勘案すると超急速充電インフラの拡充が必要です。
また、現状の日本における急速充電器=経路充電インフラは、高速道路や主要国道沿線といった「経路」以外の、利用頻度(つまりユーザーのニーズ)が高くない場所に設置されているケースも多く、改善が必要です。
経路充電インフラの適切な配置と拡充に向けて、以下のような提言を行いました。
**●経路充電スポット1カ所に最低8基の急速充電器設置を義務付ける。
●高速道路SAPAにおける設置場所、設置方法に規定を設けて改善する。
●電力の基本料金を一定期間、国が負担する。
●充電料金は電力量単位で課金する。**
さらに、高速道路SAPAに近接した好立地があるようなケースでは、急速充電器を利用するEVが一度高速道路を下りて充電、再び高速道路に戻っても余計な料金が掛からないよう、高速道路の全ICにおいて、無料で一時退出ができるようにする、という提案を行いました。
【基礎充電】集合住宅や賃貸住宅、月極駐車場への充電器拡充
分譲の集合住宅では理事会での議案化が困難であったり、賃貸住宅や月極駐車場に充電器を設置する許諾を得られないなど、EV充電インフラへの理解が拡がっていないのが、大きな課題になっています。そこで、分譲、賃貸、月極駐車場のそれぞれについて、以下のような改革を提案しました。
**●分譲住宅駐車場で充電器設置を希望する居住者がいる場合、管理組合の権限を弱めて設置を実現しやすくなるよう区分所有法などを改正する。
●賃貸住宅の入居者が自己負担で充電器設置を希望した場合、オーナーが拒否することはできないよう借地借家法を改正する。
●同様に、月極駐車場のユーザーが充電器を設置できるよう、関連法制を整備する。**
さらに、時間が足りずにオンライン会議のプレゼンテーションでは割愛されましたが、600V以上の高電圧を利用する超急速充電器の設置を容易にするための電気事業法の改正。また、充電区画をEV以外の車両が占拠したり、充電が終わったEVが放置されることを抑制するための「充電スタンド新法」を制定するよう提言しました。
eMP四ツ柳社長のプレゼン資料を含め、当日の公開資料は以下の公式サイトでPDFファイルをダウンロードすることができます。
【内閣府公式サイト】
第24回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース 会議資料
電気自動車は「乗ってみなけりゃわからない」
プレゼンテーションの冒頭、安川さんが強調したのが「電気自動車は、自分で乗ってみないと理解できない。ここに参加するみなさんには、ぜひマイカーをEVにして毎日乗ってみていただきたい」ということでした。
EVは、単純にエンジン車の利便を置き換えるものではなく、EVならではの使い勝手や利便があります。EVユーザーにとって理想的で合理的な充電環境の整備を進めるには、その立案や推進に関わる人たち自身がEVユーザーとなって理解を深める必要があるということです。
今回の再エネタスクフィースへの提言が、今後、どのような過程を経て実現に向けての作業が進んでいくのか、まだよくわからないところもありますが。EVユーザーを代表する安川さんの提言、EVsmartの声が、国の中枢に染み渡り、EVユーザー本位の充電インフラが拡充することを期待しています。
(文/寄本 好則)
