新型日産リーフB5の長距離走破性能は? 1000kmチャレンジの結果からおすすめグレードを考える

日産がフルモデルチェンジした新型リーフのエントリーグレード「B5」で、恒例の1000kmチャレンジを実施しました。旧型リーフや上位グレードのB7と比べ、長距離移動でどの程度の走破性能を発揮するのか。各区間の電費と急速充電の結果を追いながら、B5とB7のどちらがどのようなユーザーに適しているのかを考察します。

1000kmチャレンジの前提条件など

まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下の通りです。

【走行ルート】
海老名SA下り(神奈川県)

加古川北IC(兵庫県)

海老名SA上り(神奈川県)

【走行条件】
●途中充電のための停車以外は原則ノンストップで走破する。
●車内の空調システムは常にONにして快適な状態をキープする。
●追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容。
●渋滞や充電エラー、充電待ちなど、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外。
●車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のリーフB5・18インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離との乖離なし)。

【チャレンジ使用車両概要】
●車種:日産リーフ(2026年2月発売モデル)
●グレード:B5 FWD
●装着タイヤ:ダンロップ e.SPORT MAXX(215/55R18)
●搭載バッテリー容量:55kWh
●日本WLTC航続距離:469km
●PA航続距離:332km
●最大急速充電出力:105kW
●SOC 10-80%急速充電時間:非公表(実測値:34.5分)

6回の経路充電&10時間54分で走破

ここからは、経路充電を行った走行区間ごとに充電結果や気付きなどをレポートします。

① 海老名SA下り→岡崎SA下り(90kW級急速充電器)

●走行距離:253.7km
●消費電力量:100%→9%
●平均電費:5.1km/kWh(196.1Wh/km)
●外気温:20℃→18℃
●天候:晴れ
●充電セッション:9%→39%(17分)

今回、最も重要な比較対象は、冬季に同じルートで検証したB7(78kWh)です。B7は途中4回の充電で1000kmを走破しました。B5はバッテリー容量が55kWhと小さいため充電回数が増えると予想されますが、今回は初夏の比較的温暖な条件だったことから、5回の充電で走破できると見込みました。

最初の充電地点は新東名の岡崎SAです。事前に150kW級充電器の故障情報を確認していたため、本来は通過する計画でした。しかし、手前の浜松SAではSOCが高く、次の150kW級充電器がある湾岸長島PAまで走るには不足するため、90kW級であっても岡崎SAで充電する判断となりました。

B7が真冬でも約350km先の土山SAまで無充電で走れたことを考えると、長距離走行時の余裕には明確な差があります。

② 岡崎SA下り→土山SA下り(150kW級急速充電器)

●走行距離:98.2km
●消費電力量:39%→5%
●平均電費:5.3km/kWh(188.7Wh/km)
●外気温:18℃→14℃
●天候:晴れ
●充電セッション:5%→46%(17分)

最初の150kW級急速充電器は土山SAです。B7は海老名SAから土山SAまで無充電で到達しましたが、B5は岡崎SAで17分の充電が必要でした。気温がさらに低い冬季であれば、充電時間や回数が増える可能性があります。

海老名SAから土山SAまでの平均電費は約5.2km/kWhでした。真冬のB7は4.6km/kWhだったため、B5の改善幅は約13%です。B7検証時は到着直前にわずかに速度を落としたという条件差はあるものの、タイヤのインチダウンや車両重量の軽減を考えると、B5の電費は出発前の想定ほどは伸びませんでした。

150kW級充電器では16分43秒で23.4kWh、SOC換算で40%以上を充電できました。時速100km巡航時の航続距離に換算すると約120km分です。短時間の充電でどの程度走行距離を回復できるかを示す、B5の実用的な目安になります。

③ 土山SA下り→三木SA下り(150kW級急速充電器)

●走行距離:142.2km
●消費電力量:46%→0%
●平均電費:5.8km/kWh(172.4Wh/km)
●外気温:14℃→14℃
●天候:晴れ
●充電セッション:0%→64%(31分)

折り返し地点手前の三木SAにはSOC 0%で到着しました。B7より電費が伸びず、想定以上に残量を使い切った結果です。

日産のエンジニアによると、新型リーフは表示SOCが0%になってから完全停止するまでの余力をほとんど設けていないとのことです。旧型リーフには0%表示後にも一定のバッファーがあったため、旧型から乗り換えるユーザーは、従来と同じ感覚で残量を使い切らず、余裕を持って充電した方がよいでしょう。

一方、SOC 1%の段階でも極端な出力制限は確認されず、低残量時でも走行性能は安定していました。

充電開始直後から最大105kWに達し、SOC約26%まで105kW程度を維持しました。約30分でSOC64%まで回復し、時速100km巡航換算で約223km分に相当します。B7は同じ30分で約350km以上を回復できるため、グレード選びでは満充電時の航続距離だけでなく、「1回の急速充電で何km分を取り戻せるか」も重要です。長距離移動が多い私にとっては、B7の方が明確に安心感がありました。

④ 三木SA下り→加古川北IC(折り返し)→土山SA上り(150kW級急速充電器)

●走行距離:174.7km
●消費電力量:64%→1%
●平均電費:5.2km/kWh(192.3Wh/km)
●外気温:14℃→12℃(最低9℃)
●天候:晴れ
●充電セッション:1%→56%(24分)

山陽道の加古川北IC(兵庫県)で折り返し、土山SA上りに戻りました。下り線と同じく150kW級急速充電器があるため、B5の充電性能を最大限引き出せます。

ただし、この区間も想定より電費が伸びず、SOC1%での到着となりました。深夜帯に外気温が最低9℃まで下がったことが、電費悪化の一因と考えられます。

ここでは24分、SOC 56%で充電を終了しました。B5はSOC 55%前後から充電出力が大きく低下するため、効率のよい領域を使い切った段階で出発する判断です。急速充電は必ずしも30分間続ける必要はありません。次の目的地や自宅までの距離に応じて、必要な電力量だけを充電する方が、総移動時間を短縮できます。

⑤ 土山SA上り→浜松SA上り(150kW級急速充電器)

●走行距離:159.3km
●消費電力量:56%→3%
●平均電費:5.5km/kWh(181.8Wh/km)
●外気温:11℃→16℃
●天候:晴れ
●充電セッション:3%→42%(20分)

浜松SAは上下線とも最大8台が同時充電できる、新東名の主要な充電拠点です。ただし、B5の最大性能を引き出せる150kW級急速充電器は1基(2口)のみで、利用状況によっては90kW級を選ばざるを得ません。

B5は車両側の最大受入出力が105kWのため、90kW級と150kW級の差は、SOC10~80%の充電時間で約5.5分にとどまります。一方、最大150kWに対応するB7では約14分の差が生じます。高出力器の増設は、とくにB7の長距離性能を実際の移動時間へ結びつけるうえで重要です。

⑥ 浜松SA上り→清水PA上り(150kW級急速充電器)

●走行距離:85.5km
●消費電力量:42%→4%
●平均電費:4.3km/kWh(232.6Wh/km)
●外気温:15℃→16℃
●天候:晴れ
●充電セッション:4%→41%(16分)

清水PAにも150kW級急速充電器があります。浜松SAから清水PAまでの区間は制限速度120km/hの区間が多く、平均電費は4.3km/kWhまで低下しました。ここでは海老名SAまで到達するのに必要な分だけ、16分間充電しています。

今回はタイムトライアルのため清水PAで追加充電しましたが、通常の長距離移動であれば、浜松SAでSOC80%程度まで充電することで、そのまま海老名SAまで走り切れます。充電回数を減らす運用も十分可能です。

⑦ 清水PA上り→海老名SA上り(ゴール)

●1000kmチャレンジ総走行距離:1000km
●全行程平均電費:5.2km/kWh(192.3Wh/km)

海老名SA到着直前に1000kmを達成し、最終的な到着SOCは5%でした。タイムトライアルでは、最後の充電量を必要最小限に抑えることが総所要時間の短縮につながります。今回は各区間の消費量を見ながら、最終区間まで大きな余剰を残さず走り切ることができました。

所要時間はB7と1時間ほどの違い

総所要時間は10時間54分でした。過去の1000kmチャレンジと比べて突出した速さではありませんが、興味深い比較対象となるのはB7です。B7の検証は真冬に行われ、それでも10時間7分を記録しました。B5と同等の気温条件であれば、B7は10時間を切る可能性が高く、両グレードの差はおおむね1時間に達すると考えられます。

この差は、1回30分の急速充電で回復できる航続距離の差が積み重なったものです。B5とB7を選ぶ際は、カタログ航続距離だけでなく、長距離移動時の充電回数と総移動時間も判断材料になります。

途中1回程度の急速充電で済む移動が中心なら、B5でも実用上の不足は小さいでしょう。一方、往復1000km級の移動が多い人、あるいは自宅や職場に基礎充電環境を確保できない人には、1回あたりの回復航続距離が長く、充電回数も抑えられるB7が適しています。

新型リーフB5は、55kWh級のバッテリーを搭載するEVとして、1000kmを10時間54分で走り切る優れた長距離性能を示しました。ただし、18インチタイヤと軽い車両重量から期待したほど、B7に対する明確な電費優位は確認できませんでした。B5の弱点は走行効率そのものよりも、バッテリー容量が小さいことで、1回の充電で回復できる距離が短くなり、長距離ほど充電回数と時間の差が広がる点にあります。

今後確認したいのは、B7と同じ真冬の条件でB5がどこまで性能を維持できるかです。低温下でも期待以上の電費と充電性能を保てれば、価格差を考慮してB5を勧めやすくなります。逆に冬季の電費低下が大きければ、数十万円を上乗せしてでもB7の大容量バッテリーを選ぶ価値が高まります。

今後は、直近で投入がアナウンスされたNISMOグレードの走行性能に加え、雪国ユーザーに向けたAWD仕様の展開にも期待したいところです。国内ではトヨタbZ4Xとの販売競争も激しく、新型リーフがどの程度シェアを伸ばせるかにも注目しています。

なお、新型リーフのCEV補助金は2027年以降、現行の129万円から100万円へ減額される予定です。購入を検討している場合は、制度の最新情報と登録時期を確認したうえで、年内登録が可能かを早めに販売店へ相談するなど、購入準備を進めるのがいいかもしれません。

取材・文/高橋優(EVネイティブ※YouTubeチャンネル

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