ボルボ ES90 & EX90 日本発売/フラッグシップは電気自動車が当たり前になる時代を象徴

ボルボが新型フラッグシップの日本発売を発表しました。7シーターSUVの「EX90」と、セダンでありながらSUVの利便を備えたクロスオーバースタイルの「ES90」です。発表会で強調されたのはボルボならではの安全への哲学や、フラッグシップとしての価格設定の合理性など。高級車は電気自動車が「当たり前」の時代になってきたことを感じます。

フラッグシップ(高級車)がEVであるのは当たり前になってきた

2026年7月8日、ボルボ・カー・ジャパンが東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」でプレス発表会を開催。流麗なフォルムが印象的なフラッグシップクロスオーバー「ES90」と、3列シートで7人乗りのフラッグシップSUV「EX90」の日本発売を発表しました。

発表会で印象的だったのは、新型フラッグシップの2車種が電気自動車であるのをことさら強調する「気負い」のような姿勢を感じなかったことでした。新型2車種の説明要素の中心は、電気自動車であることを強調するような事柄ではなく、ボルボのフラッグシップとして、この2台にこめられた安全哲学や、PHEV(プラグインハイブリッド車)の従来モデルと比べても十二分に合理的な価格設定など、プレミアムカーユーザーにとって現実的な選択肢になっていることのアピールでした。

もちろん、電気自動車であることはしっかり紹介されました。会場の入口には2車種に共通するプラットフォームのカットモデルが展示されていたし、日本法人の社長であるエドソン・イシカワ氏のプレゼンテーションでは、日本におけるボルボの販売台数のうち23.5%(5台に1台以上)がすでにEVモデルであることが説明されました。

でも、電気自動車であることを新型車種の魅力として並べ立てることはない。つまり、ボルボにとってユーザーの期待に応える新型モデルが「電気自動車である」のは、今さら気負って説明するまでもない「当然のことになっているんだなぁ」と感じた次第です。

ボルボが提案する「次世代プレミアムEV」のポイント

2台のフラッグシップに共通しているのは、ボルボへの信頼に応える「人を中心に考えた本物のプレミアムEV」であり「お客様に合った選択肢を届けること」という思いです。具体的なポイントを確認していきましょう。まず、両車の価格や基本スペックを表にしておきます。

EX90 Plus Twin Motor Ultra Twin Motor Ultra Twin Motor
Performance
予定価格 ¥11,990,000 ¥13,490,000 ¥13,990,000
バッテリー容量 106kWh 106kWh 106kWh
一充電走行距離(WLTC) 650km 650km 650km
0-100km/h加速 5.5秒 5.5秒 4.2秒
全長×全幅×全高(mm) 5,035×1,965×1,745 5,035×1,965×1,740 5,035×1,965×1,740
車両重量(kg) 2,680 2,710 2,710

ES90 Plus Single Motor
Extended Range
Ultra Single Motor
Extended Range
Ultra Twin Motor
Performance
予定価格 ¥9,790,000 ¥11,290,000 ¥12,290,000
バッテリー容量 92kWh 92kWh 106kWh
一充電走行距離(WLTC) 665km 665km 720km
0-100km/h加速 6.6秒 6.6秒 4.0秒
全長×全幅×全高(mm) 5,000×1,940×1,555 5,000×1,940×1,545 5,000×1,940×1,545
車両重量(kg) 2,625 2,665 2,665

従来のPHEVモデルと同等の価格設定を実現

両車ともにいわゆる「1000万円級」の高級車です。とはいえ、従来のフラッグシップ「S90」や「XC90」のPHEVモデルと同等の価格帯になっていて、プレミアムカーの選択肢として十分に合理的な価格設定を実現したことが説明されました。

国のCEV補助金は、ES90が28万8000円、EX90が20万8000円(ともに2026年7月現在)と、最高額の130万円とは100万円以上の差がありますが、この価格帯で「ボルボのプレミアムEVが欲しい」という方にとっては、大きな障壁にはならないだろうと思います。

ボルボの安全哲学を具現する最先端モデル

発表会では、イシカワ社長に続いてボルボ・カーズ・セーフティセンターでシニア・テクニカル・スペシャリストを務めるロッタ・ヤコブソン氏が登壇。今回の新型フラッグシップが、ボルボが伝統的に培ってきた安全への知見や技術を結集した「市場で最も安全なクルマの一つである2台」となっていることを強調しました。

車内外すべての人を守る思想で、ドライバー・アンダスタンディング・システム(視線・頭部検知)、世界初レベルのオキュパント・センシング(60GHzレーダーによる置き去り防止、子どもの呼吸レベルの微細動き検知)などを標準装備。EVならではの先進運転支援システムやアクティブセーフティを実現しています。

800Vアーキテクチャーを採用

EVとして特長的なポイントとしては、両モデルともに「800Vアーキテクチャー」を採用したことです。現状、一般的な市販EVのバッテリーは総電圧が400V程度のシステムになっています。それを、800V程度へと高電圧化することで多くのメリットが得られます。

代表的なメリットは急速充電が速くできること。電力(P)= 電圧(V)× 電流(I)ですから、電圧が400Vから800Vへと倍になれば、同じ電力(充電器の出力)を得るための電流は半分になります。電流値の大きさは発熱などの要因になるため、800Vアーキテクチャーのほうが高出力の急速充電に有利になるということです。ほかに、発熱損失を減らせるため、EVとしての効率や性能が向上するメリットもあります。

日本国内でも、もうすぐ東名高速の海老名SAに「最大350kW」の超急速充電器が設置されることになっていますが、「350kW」という出力は利用するEV側が800Vアーキテクチャーなどの高電圧であることが前提です。2026年の現状として、日本国内で市販されているEVで800Vアーキテクチャーを採用しているのは、ヒョンデ「IONIQ 5」やアウディ「e-tron GT」、ポルシェ「タイカン」などの数車種(BYD シーライオン7は600Vシステムを採用)のみ。実際に350kW器をはじめとする高電圧対応の充電インフラが増えてきたときに、ES90とEX90はその恩恵を享受できる数少ない車種のひとつとなります。

ちなみに、発表会で技術関連のプレゼンテーションも行ったボルボ・カー・ジャパンのプロダクト・マネージャー、畑山真一郎氏に確認すると、400Vシステムを前提とした既存のチャデモ規格急速充電網における新型2車種の急速充電性能は「最大120kW程度ですが、高出力を長時間維持できる特長がある」とのことでした。このあたりは、実際の長距離試乗でその利便性を確認したいところです。

進化するSDVとしての価値を向上

もう一点、これもEVならではのメリットを活かしたポイントとして注目したいのが、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)としての実力が向上したことです。具体的には、ボルボ独自の高性能コアコンピューティングシステム(HuginCore、NVIDIA DRIVE AGX Orinなど)を採用。NVIDIAの254TOPS演算能力などがインフォテインメントのレスポンス向上やAI安全機能を実現。もちろん、OTA(無線アップデート)により、購入後も安全性、性能、利便性が継続的に向上します。

HuginCoreなどによって実現される先進的SDVとしての価値は、ボルボとしてまずはフラッグシップの2台に搭載。今後登場するさまざまな車種にも展開されていくことになるのだと思います。

ボルボらしい魅力的なEVラインナップ拡大と進化に期待

ボルボが掲げていた「2030年までにピュアな電気自動車(EV)を100%にする」という目標は、2024年に若干修正されました(関連記事)。とはいえ、根本的なEVシフトへのビジョンが変わったわけではありません。EX90、ES90というフラッグシップは、ボルボがEVシフトに本気であることを示す象徴的なモデルです。

実は、EX90、ES90は両車とも、欧州などではすでに先行して発売されていたモデルです。EV普及が遅れている日本では、より手頃でコンパクトな車種によるEVへの興味喚起拡大に注力するため「EX30」が導入されました。でも、フラッグシップの2車が発売されたことで、日本におけるボルボのEVシフトはますます加速していくことになります。

欧州ではすでに、ミドルクラスの「EX60」もデビューしています。今後は日本でも、ボルボらしい魅力的な電気自動車のラインナップが拡大&進化していくことを期待しています。

取材・文/寄本好則

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ボルボも新しい時代に向かっている感じがして良いですね。

現状の充電インフラで、800V(IONIC 5の使用しているYouTubeを見て)のEVは、いつ充電しても効率が良いような感じがします。いつ継ぎ足し充電しても良いと思うようなEVは、航続距離が長いEVより欲しいと感じます。

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EX90をショールームで拝見した。スペックよりも車体はコンパクトに見える。車内外、これみよがしな高級感とは違うスカンジナビアデザインのセンスの良さを感じた。車高が高く、室内高もあり、床から座面までの高さも充分に確保されているようで、従来型EVにありがちな欠点を克服しながらも全体のデザインを崩さずに調和の取れたパッケージに仕上がっている様に感じた。走りが楽しみではあるが、車重の重さがもたらす負の部分も気になるところ。高級車だから重厚なのは正義なのかもしれないが、環境面を考えるとそこはまだ大きな課題だと思う。

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