電気自動車の新型「フィアット500」〜2021年中の日本導入計画を発表

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が2020年10月22日、電気自動車(EV)になった新型「フィアット500」の価格と仕様を発表。同時に観音開きドアを採用した「3+1」をワールドプレミアしました。また、2021年1月には「日本にも2021年中に導入」されることが発表されました。

速報! 2021年中に日本導入を発表【2021年1月15日追記】

2021年1月14日、FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長兼CEOが、FIAT『500』の電気自動車モデルである『500e』を「2021年末までに日本市場に導入する」計画を発表したことが報じられました。

いち早くこのニュースを伝えた『レスポンス』の記事によると、ヘグストロム社長は、ジープブランドのPHEVである『レネゲード4xe』(関連記事)を日本に導入(2020年10月)したことで「ジープショールームへの来店客数は約2割増加」しているとして、電動モデル拡充への自信を示したとのことです。

FIAT『500』のEVは、EVsmartブログとしても期待しているモデルです。「いよいよ来るか!」と、FCAジャパンのプレスサイトを確認しましたが、まだ正式なリリースはありませんでした。

広報担当部署に電話で確認してみました。まず「500EVモデルを2021年中の導入を目指している」ことに間違いはありません。500のEVには、この記事でもご紹介しているように、電池容量24kWhと42kWhで複数のグレードと、観音開きドアを採用した「3+1」、カブリオレなどがラインアップされていますが、日本にどのグレードやバリエーションのモデルを導入するか、また、販売価格などは「まだまったく白紙」ということです。

急速充電は当然日本ではチャデモ対応になるでしょう。欧州の42kWhモデルはコンボ規格で85kWという高出力に対応していますが、日本導入モデルがチャデモのどのレベルの規格に対応するか、V2Hに対応するか、といったことも同様に「これから検討する段階」です。

電池容量24kWhのエントリーモデルである「ACTION」のイギリスでの価格は約272万円、EPA基準換算の推定航続距離は約161km、42kWhで最も手頃な「PASSION」は約356万円、EPA航続距離は約285kmです。容量40kWhの日産リーフで現実的なグレードである「X」が約380万円〜なので、イギリス価格よりもそんなに高くならずに発売されれば、日本でも大きな支持が広がりそうに思います。

期待して、動向に注目していきます。

(文/寄本 好則 ※追記ここまで)

英国では272万円〜というお手頃価格

(※以下、2020年10月29日公開の記事です)

FCAは今年3月6日に、FCAは本格的に電気自動車(EV)市場に参入する第3世代の「FIAT500(フィアット チンクエチェント)」を発表しました。この時のリリースでは、ローンチバージョンの「la Prima」のオンライン予約を開始するということや、性能の概要が公表されていました。

【関連記事】

イタリアの小さな人気者~新「フィアット500」が電気自動車になって世界初公開!(2020年3月9日)

それから約半年。筆者的には待ちに待ったという感じですが、グレードのラインナップと価格が公表されました。といっても欧州でのお話ですが、FCAジャパンに確認したところ、日本での導入も予定されているそうです。ただ、具体的な時期はまだ未定とのことでした。

またFCAはフィアット500の追加バージョンとして、後席ドアを観音開きにした3ドアの「3+1」を世界初公開しました。

3+1は、当面は左ハンドル市場だけでの展開になります。また当初はローンチエディションの「la Prima」だけに用意されますが、将来的にはPASSIONとICONでも選択できるようになるようです。

まずグレードですが、FCAがエントリーレベルに位置付けている「ACTION」、ミッドレンジバージョンの「PASSION」、アッパークラスの「ICON」の3種類になります。いずれもボディ形状はハッチバックです。

また3つのグレードのうちPASSIONとICONには、カブリオレもラインナップされました。やっぱりチンクエチェントにカブリオレは必須ですよね。

価格は各国で違いますが、ここでは諸経費や政府補助を含んだイギリスでの価格を紹介します。まずはエントリーモデルのACTIONが19,995ポンドです。1ポンドを136円で換算すると約272万円になります。

他のグレードもざっと並べていきます。PASSIONは23,495ポンド(約320万円)、ICONは24,995ポンド(約340万円)、3ドアのla Primaが26,995ポンド(約367万円)となっています。

イギリスでは12月に新フィアット500の予約が始まり、2021年3月にデリバリーがスタートする予定です。日本市場への導入が、今から待ち遠しくなってきました。

バッテリー容量は24kWhと42kWhの2種類

ここでちょっとイギリスのWEBサイトを見てみたところ、ON/OFFの時の音や走行時の音が聞けるようになっていました。とても可愛いサウンドなのですが、言葉では表現が難しいので、ぜひ、WEBサイトで確認してみてください。さすがイタリアというか、音にもこだわりを感じます。

THE QUIET CARESS OF THE BREEZE

イギリスのウェブサイトにリンク

さて、フィアット500の仕様に話を戻します。搭載されるバッテリーは24kWh(リリースでは23.8kWh)と42kWhの2種類で、グレードによって搭載量と急速充電の対応出力が変わります。

フィアット500の仕様と価格

※価格は登録料等の初期費用を含む。※EPA換算推計値=WLTP/1.121

ACTIONPASSIONICONla Prima
**動力性能**
最大出力70kW87kW
最大トルク220Nm
0-100km/h加速9.5秒9秒
最高速度(制限)135km/h150km/h
**バッテリー**
総容量23.8kWh42kWh
急速充電受入可能出力50kW85kW
普通充電3kWまたは11kW
**航続可能距離**
WLTP180km320km
EPA換算推計値約161km約285km
**価格**
ハッチバック19995ポンド(約272万円)23495ポンド(約320万円)24995ポンド(約340万円)26995ポンド(約367万円)
カブリオレ26145ポンド(約356万円)27645ポンド(約376万円)29995ポンド(約408万円)

航続距離は24kWhのACTIONがWLTPで180km以上、高速道路を走らず市街地だけの移動だと240km以上とアナウンスされています。42kWhバージョンでは、WLTPで320km、市街地だけだと460kmになります。

バッテリー搭載量を抑えたバージョンを用意したのは、カーシェアを使い慣れたミレニアル世代をユーザーに想定しているからだそうです。フィアットが考えるシティーユースの小型EVは、1日の平均走行距離が50km程度で、都市の中心部を移動する人たちのための車です。

この考え方は、1990年代にカリフォルニア州の市場にEVを市場に投入したGMやホンダ、トヨタらが共有していたものと同じです。今でもホンダは、大量のバッテリーを搭載するのは重量物を運んでいるのと同じだとして、「ホンダe」を35.5kWhにしています。この割り切りは好感を持てます。新型500の小容量バージョンが200万円台というのはかなり魅力的です。はたして、日本ではどうなるでしょうか。

【関連記事】

東京モーターショー2019で日本初登場『Honda e』の「質感」を確かめてみた(2019年10月23日)

運転モードは、以前にもお伝えしたとおり、「ノーマル」「レンジ」「シェルパ」の3種類で、「レンジ」の場合は1ペダルで加減速の操作が可能です。

特徴的なのは「シェルパ」で、バッテリーの残量が少なくなった時に電気の消費量を最小限に抑えて、ナビで設定した最寄りの充電施設に確実に到達できるよう車の機能をコントロールします。

フィアットのV2Gプロジェクトに対応

内装のグレードによる大きな違いは、情報を表示するインフォテインメントシステムが、ACTIONではスマートフォンを使用するのに対し、PASSIONでは7インチのタッチスクリーン、ICONでは10.25インチのタッチスクリーンになる事です。個人的にはスマホを使えるのはとても便利な気がします。

またフィアット500は、小型車では珍しくレベル2の自動運転が可能です。フィアットとしては、Aセグメントで初めてのレベル2対応車になっています。

興味深いのは、内燃機関の車からEVに切り替えを検討しているユーザーに対して、「Fiat GOeLIVE」というスマホ用アプリを用意していることです。リリースによれば、今使っている車からフィアット500に切り替えたときに、経済、環境の面でどういう違いが出てくるかをシミュレーションできるそうです。

このアプリでフィアット500の予約もできるので、EVを買おうかどうか迷っている人の背中を押すことになるかもしれません。

さて、フィアット500のリリースでは最後に、FCAがV2Gのプロジェクトを開始したことを強調しています。このV2Gプロジェクトは、エネルギーのストレージやマイクログリッド、分散型エネルギーソリューションの技術を持つフランスの「Engie Eps」と、イタリアの送電網を管理する「Terna」をパートナーにし、フィアット500などを生産するミラフィオーリを拠点に実施する予定です。

FCAはミラフィオーリの工場に大規模なソーラーパネルを設置するとともに、2021年末までに最大700台のフィアット500をグリッドに接続できるようにし、電力網の安定化や二酸化炭素排出量の抑制を目指すそうです。パートナーのEngie Epsのリリースによれば、ソーラーパネルにより年間6500MWhのエネルギーを生産可能で、2100トンの二酸化炭素を相殺できるとしています。

【Engie Epsリリース】

The Vehicle-to-grid pilot project has been inaugurated at Mirafiori

ということは、もしかするとフィアット500はいずれ、欧州の家庭でのV2Gにも対応するようになるのかもしれません。リリースに書かれているのは工場での大規模プロジェクトについてのみですが、グリッド連携できる機能を装備しているのなら、家庭でも同じことができるのではないかな、と思えます。

また、今の日本への輸入車はチャデモ対応してもV2Hは非対応ですが、フィアット500がチャデモでV2H対応可能な初めての輸入電気自動車となるといいなと思います。

このへんは個人の推測というか希望的観測ですが、フィアット500への期待値がさらに一段階、高くなりました。早く日本に入ってきてほしいなあと強く願う、秋晴れの空の下です。

(文/木野 龍逸)