ドイツで開幕したフランクフルトモーターショーでフォルクスワーゲンの電気自動車『ID.3』が発表されました。それとは別に、グローバルのニュースサイトで『E-Mobility is the future』と題した気になる記事が公開されました。日本ではトヨタも6月に説明会を開いて電気自動車への向き合い方を示しましたが、フォルクスワーゲンはより具体的&現実的に、モビリティの電動化に取り組んでいる印象です。
自動車の未来はe-モビリティにある!
『ID.3』(別記事で詳しく紹介しています)が発表されたその日、フォルクスワーゲンのウェブサイトに『E-Mobility is the future』と題した記事が公開されました。はたして、フォルクスワーゲンは電気自動車とどんな風に向き合っていくのかを示す内容です。そのポイントをご紹介します。
なぜ、e-モビリティが必要なのか?
この記事は「フォルクスワーゲンは他のどの自動車メーカーよりも一貫してeモビリティを推進し続けている」そして「ID.3 を発表したフランクフルトモーターショーはモビリティの新時代の幕開けであり、e-モビリティ大衆化の始まりだ」という力強い言葉で始まります。
なぜ、e-モビリティ(自動車の電動化)が必要なのか? 地球温暖化はますます深刻になっていて、全世界の温室効果ガス排出量の14%を占める輸送部門も問題となっている。CO2排出量を削減し、クリーンで効率的な方法が「e-モビリティ」であることを明言しています。
2025年までに年間最大300万台の電気自動車を販売
電気自動車はフォルクスワーゲングループが考えるe-モビリティの中核であり、2025年までに年間最大300万台の電気自動車を製造および販売する予定。50車種の純粋な電気自動車(BEV)と、PHEVを含めて70車種以上の新しい電動モデルを市場に投入します。
魅力的なモデルを手頃な価格で市場に提供することで「電気自動車市場に世界的なブレークスルーを起こす」ことを宣言しています。
モジュラー電気駆動マトリックス(MEB)が量産の鍵
フォルクスワーゲンでは、電気自動車用の共通プラットフォームとして「モジュラー電気駆動マトリックス(The modular electric drive matrix=MEB)」を開発。今回の ID.3 から使われています。コンパクトカーからSUVまで、多様な車種の電気自動車をコストパフォーマンス高く提供するために、このMEBが重要な役割を果たします。
また、プレミアムセグメントの車種のためには、アウディやポルシェブランドで開発された「Premium Platform Electric(PPE)」が使われます。
フォルクスワーゲンでは、2028年までにMEBをベースにした最大1500万台の電気自動車を世界中で生産することを目指しています。
全世界で電動化戦略を推進
MEBによる電動化戦略は2020年までに世界3大陸の8カ所の拠点で展開。グループ内のさまざまなブランドでも取り組みを進めていきます。アウディの『e-tron』(日本未発売)やこれから発表される12車種のBEV、また先日発表されたポルシェ『Taycan』も、フォルクスワーゲングループの電動化戦略のひとつです。
電気自動車のブレークスルーはいつ起きるのか?
はたして、電気自動車普及はいつブレイクするのか。その疑問に対して、この記事ではまず「電気自動車の価格」に言及。IDシリーズの最初のモデルが市場に投入される2020年には、手頃な価格で電気自動車が手に入るようになると指摘しています。
また、電気自動車普及には充電インフラが重要である点を指摘。フォルクスワーゲングループとして充電インフラの拡張を推進し、2025年までにヨーロッパ全体で合計3万6000カ所の充電施設を構築、うち1万1000カ所はフォルクスワーゲンブランドだけが使用できる施設になることを示しています。
フォルクスワーゲングループは、欧州の急速充電ネットワークを構築するBMWグループなどとの合弁事業「IONIYTY(アイオニティ)」にも参画しています。
ノースボルト社とバッテリー生産の合弁会社を設立
フォルクスワーゲンの動きが興味深いのは、モビリティ電動化への動きが「宣言」だけ先走っているのではなく、さまざまな具体的なアクションが同時進行的に起こっている点です。
ID.3 を発表し『E-Mobility is the future』を公開したのと同じ9月9日には、スウェーデンのノースボルト社とEV用バッテリー生産の合弁会社を設立したことも発表されました。
フォルクスワーゲンとノースボルトが50/50の出資で合弁会社を設立。2020年にドイツ中部のザルツギッター(ニーダーザクセン州)で工場建設を開始します。生産開始は2023年末〜2024年初頭になる計画で、稼働当初の年間出力は16GWhが予定されています。
ID.3のメイン車種のバッテリー容量が58kWhと発表されましたから、16GWhで約27万6000台分のバッテリーを生産できることになります。かなり大規模なバッテリー工場ですね。
とはいえ「2025年にはフォルクスワーゲングループだけでも150GWh以上の年間需要がある」ということで、今回の合弁会社設立はバッテリー調達がアジア(中国)に偏りすぎないようにするための一手なのでしょう。
フォルクスワーゲンは電気自動車に本気です。電気自動車普及のブレークスルーはいつ起きるのか? その答えは……「今でしょ」ということなのかも知れません。
(寄本好則)




