フォルクスワーゲンのEV『ID.4』で雪道ロングドライブ/改めて冬のEVを体感【吉田由美】

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カーライフエッセイストの吉田由美さんが、フォルクスワーゲンが日本で唯一販売している電気自動車『ID.4』で雪道をロングドライブ。冬のEVってどうなの? をリアルに体感したレポートです。

注ぎ足し充電しながら女神湖を目指しました

EV化を宣言しつつも、なかなか日本に量産車のBEVが導入されなかったフォルクスワーゲンですが、この度、国内導入第一弾!クーペスタイルのSUV電気自動車である『ID.4』が導入されました!

私自身、ID.4には年末年始も試乗していましたが、この車はスタッドレスタイヤの装着車。せっかくなら雪道を走りたかったー! ということで、1月下旬に開催された某国産メーカーの長野県内での試乗会へID.4で行くことに。

横浜の自宅から片道約220㎞。時間にして約3時間。試乗車は上位グレードの「Pro Launch Edition」なので77kWhの大容量バッテリーに204馬力(150kW)、310Nmのモーターを搭載し、航続距離はWLTCモードで561㎞。普通に考えれば余裕で往復できる航続距離です。

とはいえ、メインは高速道路の走行となり、中央道で長野方面に行くルートはアップダウンが多く、しかもアップ方向が多め。さらに一般道に降りてからも山登り。しかも寒い場所に行くし、この日は歴史的な大寒波がやってきているので暖房もシートヒーターもフル稼働が予想されます。

自宅を出発する前日、横浜の日産本社にある最大90kWの高出力急速充電器で充電をして、自宅を出発する時点では電池容量は95%、航続可能距離表示は372㎞でした。やっぱり往復無充電はこの時点で無理そうですね。休憩がてら注ぎ足し充電しながら走ることに決めました。

高速走行はいたって普通。ミシュランのX-ICE SNOW SUV の20インチスタッドレスタイヤがしっかりと路面を捉え、かつ高速走行時の安定性もコーナーの安定感もあるため、スタッドレスタイヤということを忘れてしまいます。

充電スポットのカタチには工夫が必要かも

中央自動車道の諏訪南インターチェンジで降りるため、手前の八ヶ岳PAで充電を行うことに。設置されていたのは最大出力50kWの急速充電器。30分で22.4kWh充電できたものの、回復した電池残量は33%で、走行可能距離134㎞でした。まだ時間に余裕があり、幸いほかに充電器を使うEVもいなかったので、念のためさらに30分追加で充電して電池残量95%、走行可能距離311㎞にしておきました。

この時、気になったのが、EVでも車種によって充電口の場所がバラバラなこと。また、SAPAによって充電区画の形もバラバラで、さらに充電ケーブルの長さもいろいろです。今回充電した八ヶ岳PAは駐車区画の左側に急速充電器が設置されていました。でも、ID.4の充電口はボディ右側後方で、長いケーブルを引き回すのは大変で、届くかどうかわからないし。結局、逆向きに駐車して充電口を急速充電器側にして充電することにしたのでした。今回は駐車場が空いていたので特に問題ではありませんが、万が一混雑していたり、充電待ちの車がある場合には危ないし、困りますね。

充電し始めた時には雪はまだちらちら舞っている程度でした。しかし次第に吹雪になって。高速道路走行中には反対側車線で大きな除雪車が4台ほど、ダイナミックに並んで一気に除雪する場面にも遭遇しました。確かに反対側車線は長い下り坂。夕方でさらに気温が下がると積もった雪が凍る恐れもあり、大変危険。それにしても、こういう時でも素早く対応してくれるのはドライバーとしてとてもありがたいことです。

そのころには私が走行する下り線にも雪が積もり、しかも降り方は激しくなるばかり。一般道に降りてからはさらに雪は激しくなって猛吹雪。高速を下りて走るのは田畑が広がる場所なので地吹雪が吹き荒れて、ホワイトアウト。先進安全装備のカメラも役にはたちません。

雪道の上り坂でも走りに不安は感じませんでした

しかもこの先はさらに山を登るので、進行方向側から風が吹き付けて向かい風となり、余計に前が見えず。標識も見えにくいし。ただ、ライトはかなり明るいため、街灯の無い道でも明るく照らしてくれるのは嬉しいですね。しかし、雪道走行は慎重に。途中、一度だけタイヤが滑ってアンダーステアが出てしまい、焦った場面がありましたが、ヒヤッとしたのはその時ぐらい。その先はさらに慎重に走ったせいもあり、全く心配になるシーンはありませんでした。

雪質も気温が低く、湿度が低いせいでさらさらとしていたこともあり、舗装路と同じように路面を掴んでくれるため安定感抜群。その後も女神湖へはほぼ全線登り勾配ですが、この寒さでは暖房を止めるわけにもいかず、シートヒーターとステアリングヒーターが大活躍。宿泊するホテルへは、最後に急な坂を上らなければなりませんが、それも全く心配なし。というわけで、リアモーター、リアドライブのID.4でも、雪道は特に問題はありません。

ちなみにこの時の気温は-8度。翌日の天気予報では最低気温が-17℃。毎年、女神湖には来ますが、さすがにそんな気温を体験したことはありません。夜中はワイパーを立てておこうか迷いましたが、風が強いため、倒れたり折れたりする危険があるため、普通に駐車。ウォッシャー液が凍らないか心配でしたけど。

朝、起きたら車体は雪に覆われていました。エアコンを起動しても、車内は暖まってもエンジンがないため車体までは暖まりにくく、車体に積もった雪がなかなか解けません。ちなみに外気温は-17度。車外のカメラやセンサーに雪が付着してしまったため、運転支援機能もほとんど無効となっていました。

お昼ぐらいに試乗会が終わって、帰る時間になってもボディについた雪はほとんどそのまま。そして都内に戻る前にちょっとだけ寄り道して近くに移住した友人宅へ。そのあとはほとんど山下りとなりますが、日中は天気が良くて公道は舗装路面が出ている場所もあれば、雪が解けてシャーベット状になっている路面もあったりして。日陰では凍結している場所もあるため、路面状況は目まぐるしく変わりますが、さらに慎重に走行したため、特に不安になる場面はありませんでした。

40kWの急速充電で「もっと充電したい!」を実感

この後は都内へ向かい、ID.4の広報車を返却に行きますが、少し航続距離が足りない感じだったので、中央高速道路の石川PAで充電をすることに。充電開始前の残量は14%、航続距離58㎞。しかし、ここの急速充電器の出力は40kWです。30分の充電ではわずか34%になって、航続距離も142㎞に増えただけ。30分充電しても100km走行分の充電ができないのは厳しいですね。しかし、返却時間も迫っていたのでこのまま向かいました。

ちなみにこの「ID.4」で驚くのは、スタータースイッチが無いこと。私が運転席に座った瞬間にスタートOKの状態になり、まさに人間スタータースイッチ。最初は少し違和感があるのですが、慣れると便利。

夕方16時過ぎに都内に到着しましたが。この時間でもタイヤハウス内やフロントガラスの端には雪が残っていました。

というわけで、雪道ドライブ自体には不安や問題はなし。しかし雪のエリアに入る際にはできるだけ多くの充電をし、余裕のある電気の残量を確保しておくことが、ドライバーの心にも、安全運転にとっても大切だということが実感できました。

ちなみに3日間の総走行距離は407㎞。充電は3回。60.6kWhの充電でした。

取材・文/吉田 由美