シトロエン『Ë-C4 ELECTRIC』を日本発売〜個性派電気自動車の選択肢が拡大

グループPSAジャパンがシトロエン『NEW C4』とともに、そのEVモデルとなる『NEW Ë-C4 ELECTRIC』を日本でも発売することを発表しました。バッテリー容量は50kWh。すでに発売されているプジョー『e-2008』や『e-208』、DSの『DS 3 CROSSBACK E-TENSE』と同じ「eCMP」と呼ばれる電気自動車用プラットフォームを採用しています。

伝統のCセグメントハッチバックモデルが復活

2022年1月7日、グループPSAジャパンが、シトロエンの伝統であるCセグメントハッチバックの復活となる『NEW C4』とともに、そのEVモデルとなる『NEW Ë-C4 ELECTRIC』を、1月22日から日本でも発売することを発表しました。『Ë-C4』はすでに欧州で発売されていて、2020年6月の発表時には日本導入への期待を込めた記事をお届けしています。

日本におけるシトロエンブランドとしては、『C5 AIRCROSS SUV PLUG-IN HYBRID』に続く電動化モデルで、日本で初めてのBEVとなります。

「DS」や「2CV」などに代表される個性的なデザインや装備で日本にもファンが多いシトロエン。今回のニューモデルには、シトロエンの独創的技術として伝説ともいえる「ハイドロニューマチックサスペンションの現代的解釈」とする「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」によって優れた乗り心地を追求するなど、シトロエンのDNAを色濃く受け継いだ電気自動車になっているようです。

電気自動車用プラットフォーム「eCMP」を採用

今回、『NEW Ë-C4 ELECTRIC』とともにエンジンモデルの『NEW C4』が発表されました。これは、グループPSAとしてエンジン車から100%電気自動車まで共通してCMP(Common Modular Platform)と呼ばれるプラットフォームを採用しているからこそのこと。電気自動車用のプラットフォームは「eCMP」とも呼ばれてます。

グループ内の別ブランドですでに日本発売されている電気自動車である、プジョー『e-2008』や『e-208』、DSの『DS 3 CROSSBACK E-TENSE』も同様に「eCMP」が採用されており、50kWhのバッテリー容量などパワートレインのハードウェアは共通です。

各車種のスペックを確認しておきます。

Ë-C4 ELECTRICe-2008e-208DS3 E-TENSE
全長×全幅×全高(mm)4375×1800×15304305×1770×15504055×1745×1445

(GTの全高は1465)

4120×1790×1550
ホイールベース(mm)2665261025402560
総電力量50kWh50kWh50kWh50kWh
最高出力100kW100kW100kW100kW
最大トルク260Nm260Nm260Nm260Nm
駆動方式前輪駆動前輪駆動前輪駆動前輪駆動
一充電航続距離(WLTC)405km360km380km320km(欧州WLTP)
EPA推計約311km約296km約303km約285km
価格(税込)4,803,000円〜

※6/1より値上げ

4,679,000円~4,255,000円~5,420,000円〜
※車両価格は2022年4月26日現在の情報です。

総電力量をはじめとする動力系のスペックが共通していることがわかります。一方で、3サイズやホイールベースは車種ごとにそれぞれ。e-208がひときわコンパクトなハッチバックで、あとの3車種はいずれもCセグメントのSUVやハッチバックであることは似ていますが、個性や乗り味は異なるパッケージングがなされていることが伺えます。

充電性能については、出力6kWまでの普通充電に対応。急速充電は「CHAdeMO規格(約80%充電に約50分)に対応」と説明されています。「急速充電器では満充電に近づくにつれてバッテリー保護のために速度が調整されるため約80%充電を目安として表現」しているとのことで、今ひとつ出力の想定などが明確ではありませんが、確認したところ、e-208などと同様に最大50kW対応となっているそうです。

他車種に比べて一充電航続距離が延びているのは、動力やエアコンなどの制御が改善されているためとのこと。電動化へのチャレンジで先行しているグループPSAならではの着実な進化と言えるでしょう。

グループPSAからのプレスリリースでは、エンジンモデルとともにBEVモデルをラインナップすることについて「パワートレイン:ガソリン、ディーゼル、電気。どれでもご自由に」と見出しを付けて説明されています。電気自動車というカテゴリーで考えても、今回のË-C4 ELECTRICのデビューによって、日本でも「シトロエン、プジョー、DS。どれでもご自由に」というラインナップが揃ったことになります。一歩一歩ではありますが、日本で買える電気自動車の選択肢が広がりつつあるということですね。

フランス本国のシトロエンには、超小型EVの『ami』や、商用車EVなども販売されています。グループPSAが属するステランティスとして考えれば、フィアットやアルファロメオ、ジープなど今後の電動化に期待したいブランドが並んでいます。次はどんな新型電気自動車が日本に導入されるのか、楽しみに待ちたいと思います。

共通プラットフォームが今後のEV開発のポイントになる

共通プラットフォームについてもう少し説明しておくと、グループPSAではB/Cセグメント車用の「eCMP」に加えて、Dセグメント以上ではフロントモーターもしくはリアモーター4×4のPHEV用として「EMP2」という共通プラットフォームを開発。2025年までにはグループPSAのすべてのモデルがなんらかの電動化パワートレインを搭載することを目指しています。こうした電動車開発効率化の動きはグループPSAに限ったことではありません。

フォルクスワーゲンは電気自動車用プラットフォームである「MEB(modular electric drive matrix)」を開発して「ID.」シリーズを展開。フォードにもMEBを提供することを示しています。また、アメリカのGMもグローバルEVプラットフォームと次世代バッテリー「Ultium(アルティアム)」を開発し、多彩でパワフルなEV車種展開を標榜しています。

2030年までに30車種のEV発売を表明したトヨタでも、「e-TNGA」という車両開発手法に基づくEV専用プラットフォームを開発。bZシリーズ第一弾の『bZ4X』に採用したことを発表しました。今後、「e-TNGA」がどのような車種バリエーションに発展していくのか、その内容は未発表なのでまだよくわかりませんが、今から8年という短期間で30車種ものEVを発売するためには、共通プラットフォームを活用して、スポーツカーから商用車まで、多彩な車種を開発することが不可欠だろうと思われます。

ソニーがEV新会社設立というニュースも流れています。シトロエン Ë-C4 ELECTRIC という個性的電気自動車の日本登場を祝いつつ、今から5年、10年後、世の中にどんなEVが登場してくれているのか楽しみです。

(文/寄本 好則)