電気自動車は本当にエコ?エコじゃない?

大変、面白い記事で読ませて頂きました。

プリウスのCO2排出量に疑問があります。

カタログ値ですとZVW51で最大値で62g/kmとなっておりますが、

これは虚偽ととらえているのでしょうか?

私は工学系のはっきり言ってしまえば、TOYOTA系列の触媒、

所謂、排気ガスに関する所属の端くれなのですが、

先方の割り出した結果とあまりにもかけ離れていたので、

結果に関して、ご教授願えると幸いです。

toshi_A様、コメント・ご質問ありがとうございます。62g/kmというのは、おそらくZVW51(最新型のプリウスA/Sグレード)の、JC08燃費37.2km/lを基準にして、1lのガソリンを燃焼させると2320gのCO2が発生しますから、2320[g-CO2]/37.2[km/l] = 62g-CO2/kmという計算で算出された数字だと思います。この基準で語るなら、新型リーフe+のJC08基準交流電力量消費率125Wh/kmをベースに計算する必要があります。そうすると、リーフは東京電力617g-CO2/kWhに対し、617[g-CO2/kWh]x0.125[kWh/km]=77g-CO2/kmとなります。

では当サイトで標準的に使用している米国EPA基準で見てみましょう。

まずプリウスですが52MPG(miles per gallon)ですから22.1km/hとなります。すなわち2320/22.1=105g-CO2/kmですね。リーフe+は31kWh/100miですから617[g-CO2/kWh]x31[kWh/100mi]/1.609/100=119g-CO2/kmとなります。

※どちらの電力消費率の数字(125Wh/kmも31kWh/100mi)も、コンセントからの数字になります。

どちらのケースもわずかにプリウスのほうがリーフより良いですね。当サイトでは実燃費を使って概算を出しています。そのため、多少数字のずれはありますが、どうしても電気自動車のほうが実燃費と燃費基準での値の乖離が少なくなる傾向にありますので、実燃費を使うと少し電気自動車のほうがCO2排出量は少なく見える傾向にあります。

当サイトでは、一つの科学的基準である日本のJC08カタログ基準を使用していません。その理由は、あまりにも低速走行が多く、現実のユーザーの体感値との乖離が多くて、まったく参考にならないからです。特に電気自動車のことを調べているユーザー様にとっては、「長距離を走れるかどうか」すなわちある程度高速道路での走行をベースに考えており、高速走行の評価をほとんど行っていないJC08基準を使う意味がないのです。

CO2どうこうを置いておいても、エネルギー効率などからEVの方が良かろう、というのはもっともな話なんだけど、そもそも、車を減らせばこういう問題は無くなるわけで・・・

そういった、より高次なレベルでの解決策を模索する方向性が見えないのが日本のダメなところに思う。

欧州はEV推進どうこう以前に、電車などの公共交通を中心に据えた都市システムを再構築しているのだが、日本はなぜこういう大局的な見方ができないのか不思議。

工学者の端くれ様、コメントありがとうございます。日本は公共交通が進んでいる方だと思います。地方都市で電車を走らせてもご存知のように赤字がかさみ、消費者の負担になってしまうというジレンマもありますね。

車を減らすのは税金をかけるくらいしかいい方法はないように思います。まあそれだと経済に対して悪影響がありますので(消費を押さえれば経済は縮小)、結局CO2とか省燃費みたいな話になっちゃうわけです。。

「自動車に関しては、購入するときの価格、維持費、そして燃料代(電気代)ですよね。この記事では、これらは対象から外します。」とありますが、これを対象外としたのでは議論にならないと思います。例えば、電気自動車のバッテリーは非常に高価で希少な金属類が使われていますが、これらを材料化するときに半端でないエネルギーが使われているはずです。走行時のエネルギー消費・CO2排出量ということでなく、車を生産して走らせる、寿命が来たので廃棄する、のサイクル全体で考えるべきと思います。現時点に至っては、この記事よりももっと精密な議論が必要なのではないでしょうか?

化学のおじさん様、コメントありがとうございます!

例えば、電気自動車のバッテリーは非常に高価で希少な金属類が使われていますが、これらを材料化するときに半端でないエネルギーが使われているはずです。

当記事では車を入手して以降の、温室効果ガス排出に絞って計算を進めていますが、これ以上のいわゆるすべての原材料の製造にまで戻っての温室効果ガスを計算することは、ライフサイクル・アセスメントと呼ばれています。ライフサイクルでの排出にはもちろん本記事での計算のように、購入してからの排出も含まれますので、大型セダンやSUVのような車両においては、どうやっても電気自動車より排出を少なくすることはできません。

問題は小型車で、この場合のライフサイクルでの排出には、電池の製造時排出が大きなファクターを占めています。この排出の元は、電池を製造するのに必要な電力に由来する排出だとされています。詳細は、様々な前提をおいて計算している論文が多く出ていますので、そちらをご覧ください。

そしてそれらの論文でいつも前提に置かれているのが、電力由来の排出が、火力発電を中心とする比較的汚い発電ミックスです。しかし現実には、電池メーカーは温室効果ガスを削減するため、再生可能エネルギーによる発電などを活用して、製造時排出をかなり低減しています。ご存知のとおり、これは毎年減少していくもので、例えばテスラは2019年末までに、米国ギガファクトリーでの電池製造における電力をすべて再生可能エネルギー化すると発言しています。

このような電力でバッテリーを製造する場合、小型電気自動車の排出はライフサイクルで見ても、同等サイズのガソリン車より少なくなるのです。これらは変動していく前提により大きく計算結果が変動することと、近い将来には同じ結果となることが明確なため、当記事では詳細には計算していません。

なお多くのメディアや既存自動車メーカーは、誤って、電気自動車の製造時排出がずっと高いままであるかのような情報を流しています。これは誤りなだけではなく、事実を誤認させようとする意図があると考えて良いでしょう。

内燃機関側では境界潤滑の新理論CCSCモデルが登場しているようです。さらにエンジンは進化するでしょう。

トライボファン 様、コメントありがとうございます。どんどん進化するのは素晴らしいことだと思います。

ただ世界が目指しているのは、例えを挙げて申し上げるなら、CO2排出を半分にするというようなことです。電気自動車であれば、再生可能エネルギー発電比率を上げていくことで(究極的には購入後の排出はゼロも可能)達成が可能なのですが、内燃機関では燃費を二倍にすることはどうしても不可能です。これが、各自動車メーカーが電気自動車に舵を切っている理由です。

CO2排出の話ではないのですが、もし世界中がEV化を進めたらリチウム等のバッテリーを構成する材料の価格が上昇し、電気自動車が自動車を必要とする一般消費者が買えるような値段にならない可能性とかも出てくるのでは?そういった問題も含めて、EV化は問題点だらけだと思います。劣化したリチウムイオン電池を低コストで再生出来る技術があればいいんですけど…そういうのってあります?

dabio様、コメントありがとうございます!リチウムの埋蔵量は結構あって、生産量も増加する一方です。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-07-28/the-lithium-mine-buildup-is-outpacing-the-electric-car-boom

リチウムの埋蔵量

https://www.statista.com/statistics/268790/countries-with-the-largest-lithium-reserves-worldwide/

リチウムの生産量

https://www.statista.com/statistics/606684/world-production-of-lithium/

埋蔵量はおそらく採掘会社が掘り出す鉱石の重量の単位で、生産量はリチウム金属としての量なので単純比較はできないと思いますが、今後ナトリウムを使うことも視野に入ってくること、リチウムのリサイクルも可能であること(現在はコストが高いので行われていません)から、需要には問題がなさそうに思います。どっちかというとニッケルのほうが足りなくなりそうな。

EV化は問題点だらけ

それ以外にどのような問題点があるのでしょうかね。化石燃料車は化石燃料車で、石油を採掘し続ける必要があるわけなんですが、石油は、リチウムなどより政情的に不安定な国に依存しているようにも思えます。

CCSCモデルは工学の暗部を抉り出している。実は、機械の摺動部の耐久面圧は材料強度の1/1000。その回答を今までの学者ははぐらかしてきたきらいがある。なのでトライボロジー分野における境界潤滑問題(トライボロジー)は諸説乱立していて収拾がついていないとある大学の先生に聞きました。しかし機械の設計を根底から覆す可能性があるなら地球環境の保全の重要技術の一つではないでしょうか。

CCSCモデルを探していたら「材料物理数学再武装」というのが見つかりました。なかなか分からない工業製品の安全率の決定の仕方、正規分布がなぜできるのか?鋳造工学でのクボりノフの式の導出、疲労強度の破壊力学と転位論の組み合わせ方、鉄鋼材料の熱処理でみかけるTTT曲線、トライボロジーにおけるペトロフとクーロン則の組み合わせ方、などなど。工学の学理を俯瞰した形で人工知能の原理に迫るというのは参考になりました。

非常に勉強になりました。

既出でしたらすみません。

電気自動車の製造工程で掛かるエネルギーが莫大と聞いたことがあります。(ガソリン車と違って)

是非、こちらの計算も見てみたいです!

Shimazaki様、コメントありがとうございます!

https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/

こちらで計算しています。よろしければご覧ください。

こんにちは

このようなものをみて

https://www.youtube.com/watch?v=dCWoHJreaMQ

ここにきました。

それでなんですが

石炭やLNGが計算の分母に入ってるのでしょうか?

二酸化炭素を減らそう = エコ だとしたら

石油依存率だけではでは無いようなきがします。

私の読解力がなく石炭もLNGもその他二酸化炭素を

排出する発電を計算に含んでいた場合はすみません。

通りすがりのふみや 様、コメントありがとうございます。

はい、各発電方式による、排出量を計算して集計しています。計算過程も記事中で公開していますので、ぜひ、ご自身の目で検算されてください。

「エコ」という時、エコノミーなのかエコロジーなのかで意味が全然違います。

環境にうるさい人が、この辺をほとんど気にしないのはホントに面白いです。

エコノミーは安いってことですが、本気でエコロジーをやると間違いなく高く付きます。

ハイブリッドシステムはマジでエコロジーです。だから高い。

電気自動車はエコノミーです。エンジンも駆動系も必要ないので、間違いなくハイブリッドより安くできます。

でもそれ以上に問題なのは、蓄電池というモノの性質です。

どんな電池にも内部抵抗というものがあり、充電する時は内部抵抗分電圧を加えなくてはなりません。

逆に放電する時は、内部抵抗分出力電圧は下がります。

つまり、充電時100の電気を入れても、放電時絶対に100出てきません。

時々「いやいや100%近く出るよ」と言う人が居ますが、その場合電流しか計算してません。

電力は電圧×電流です。充電時と放電時では電圧が変わるんです!騙されない様に!

要は、たとえリチウムイオン電池でも、100電気を突っ込んでもいいトコ87出て来るか…古くなればこれも下がります。

だから、電気を充電して使うって事は、黙って13%の電気を捨てる事です。

大容量のNaS電池なら、25%は行くでしょう。内部温度が300℃ある電池が効率よかったらびっくりです。

環境にうるさい人、是非ここを知って下さい。

そうすれば、「再生可能エネルギーを、充電して使おう!」なんて能天気な事は言えなくなるはずです。

再生可能エネルギーだけで行くなら、電気が出て来た時にすぐ使う、出てこない時は電気は使わないという考え方に変えないとダメなんです。

今まで通り、好きな時に好きなだけ使うなんて有り得ません。仙人にならないと…

環境大好きなそこのあなた。できますか?

環境と聞いたら泥棒と思え 様、コメントありがとうございます。

当記事における電気自動車の電費は、コンセントからで考えています。つまりご指摘の充電ロスも含んだ数値となっています。

電気を捨てる、などという極端な言い方は科学的ではないと思います。そんなこといったら、ガソリンエンジンは熱として、ガソリンを捨てながら走行するのでしょうか?損失は損失として、しっかり定義し、比較するのが正しい科学的態度かと思います。

こんにちは。

こんにちは。

素晴らしい記事ありがとうございます。

EVはバッテリーの自然放電の他にバッテリーの温度管理でも結構な電力を使いますね。特に高温低温環境で駐車中の消費電力は無視できません。EVは走らなくても電力を使い続けるわけです。

EVの台数が増えると「あまり使われないEV」の台数もどんどん増えます。これは社会全体で相当の環境負荷になるのではと愚行しております。

のぶ 様、コメントありがとうございます!

特に高温低温環境で駐車中の消費電力は無視できません。

そうですね、40℃以上の高温時はバッテリーをそのままにするわけにはいかないので、停車中でも冷却が入ります。低温時は-30℃くらいまでは、バッテリーヒーターは入りません。すなわち、駐車中の消費電力は無視できるくらい小さいです。