日産EVオーナーズミーティングで富士山麓に175台のEVが集結/NISMO開発陣が激アツトーク

EVオーナーに広く参加を呼びかけた「日産EVオーナーズミーティング」が開催され、日産車を中心にEV175台が富士山麓に集結しました。新型リーフNISMOの開発陣も参加して、ユーザーとメーカーが交流する場にも。にぎやかで楽しかったオフ会の一日をレポートします。

アリアを中心に多彩なEVオーナーが参加

ピタッと整列したアリアが駐車場いっぱいに。ここは生産工場? と思わせるような光景が出現したのは、山梨県鳴沢村のふじてんスノーリゾート駐車場です。2026年10月4日(日)、「日産EVオーナーズミーティング」が開催されました。主催したのは日産アリアのオーナーが主体のコミュニティ「アリア・オーナーズ・クラブ・ジャパン(AOCJ)」です。メインサポーターとしてユーチューバーのEV LIFE JAPANさんが会場アナウンスの司会で奮闘し、会場を盛り上げていました。

イベントの趣旨は単純明快。EVオーナー同士で集まり、あれこれ話して一日楽しく過ごしましょう、というもの。SNSで情報交換していたAOCJメンバーが「日産アリア全国オーナーズミーティング」としてスタートさせて、今回が4回目。昨年まではアリアオーナーを中心に声をかけていましたが、今回からリーフやサクラ、e-NV200のオーナーにも参加枠を広げた上に、「日産EVに興味のある人もOK」と誰でも参加できるようにしました。

夏の終わりから続いていた長雨も一段落。標高が高い(約1280m)会場ということもあって涼しくて過ごしやすい一日に。会場になった駐車場には朝からEVが続々と訪れました。主催者によると参加したEVは計175台。アリア115台、リーフとサクラが40台以上、日産車の他にテスラ、ヒョンデ、BYD、ホンダなど他メーカーのEVが30台ほど参加したことになります。

毎年感心させられていますが、駐車場への誘導係がセンス抜群。車体先端をピタッと揃えるように整列させてくれます。おかげで写真が映えること。参加者は、カメラやスマホでさまざまなアングルからの撮影を楽しんでいました。

会場出展ブースの注目ポイントを紹介

オフ会は、同じクルマに乗っている人とトークするだけでも十分に楽しいものですが、充電インフラ企業などが、それぞれのサービスや新製品などをPRするブースも見どころです。友好グループとして、テスラオーナーズクラブジャパン(TOCJ)やヒョンデモータークラブジャパン(HMCJ)も活動をアピールしつつ、EVオーナー同士の交流を図っていました。

そんな企業や団体のブースがじつに計13ヵ所。参加したみなさんは次々に各所を巡って歩き、あちこちでトークの輪ができていました。

筆者もぐるりと一巡したので、いくつか紹介しておきます。まずはEV充電サービス会社の「ユアスタンド」。マンション、戸建て住宅、法人向けに基礎充電のサービスを提供している同社は、急速充電のサービス提供もスタートさせました。

「都営住宅が、あなたの街の急速充電スポットに」というのがキャッチフレーズ。東京都内の都営住宅のうち約80ヵ所の駐車場で、最大出力50kWの急速充電器が稼働中。利用には事前登録やアプリは不要です。スマホでQRコードをスキャンして、PayPayやクレジットカードで支払えます。特筆すべきは料金。21円/分と業界最安値の水準です(関連記事)。近所にあればリーズナブルなEV運用に役立ちそうです。

EVユーザーには充電器メーカーとして親しまれている「日東工業」は、おなじみ「Pit-2G」の後継機種「Pit-3G」をアピールしていました。かなり小型化されてスタイリッシュになった印象です。これから街で見かける機会も増えていくでしょう。

また、Pit-2Gには9.6kW対応モデルも加わったそうです。国内メーカーとして初めてJARI認証を取得して、国の充電設備補助金の対象にもなっています。9.6kWの普通充電に対応する車種はまだ少ないものの(関連記事)、将来を見越したバージョンアップは、正常進化としてうれしく感じます。

ほかにも「テンフィールズファクトリー」「新電元工業」「ニチコン」「東光高岳」「テラチャージ」「EVごはん」など、EVユーザーにはおなじみの企業や団体が並んでいて、新技術の解説や便利な活用法などを聞いて回るだけで時間はあっという間に過ぎていきました。

面白かったのが、旅を記録する無料ウェブアプリ「TabiNori」を紹介していたアリアオーナーの石野光仁さん。昨年5月にアリアに乗り始め、旅の記録を整理したくなり、IT技術者という本職をいかしてアプリを開発。個人でブースを構えていました。

AIと立てた計画が旅のしおりに。出かけたら、そのまま日記に変身。家族で写真を共有できたりもします。個人的にハマッたのが「制覇マップ」。チェックインした都道府県や市区町村を一覧できます。これは楽しそう。「ゴルフのラウンドとスコアも管理できます。いずれは国道をどれぐらい制覇したか、なども記録できると楽しいかもしれませんね」(石野さん)。機能の拡大やスマホアプリの公開も準備中だそうです。

「リーフNISMO」開発者のスペシャルトーク

会場の中央には、発売されたばかりの「リーフNISMO」が展示され、スペシャルイベントとして日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)で車両の開発を担当した饗庭貴博さん、森田充儀さん、成富健一郎さんの3人がNISMOブランドについてのトークを繰り広げました。

「NISMOで目指しているのは、アクセルを踏めば瞬時に加速してくれて、ワインディングでぐいぐい曲がっていくクルマであること。一方で、高速道路をクルージングするときは、すーっとグライダーを操縦しているような気持ちよさもある。そういう価値観です」(成富さん)

「空気抵抗を減らしてダウンフォースを出すという、じつは相反することをすごく高いレベルで実現しているのがNISMOのデザイン。この車もベースモデルのリーフから、Cd値(空気抵抗係数)をコンマ1も悪化させずにダウンフォースを出してます」(森田さん)

書くと切りがないのでこれぐらいにしますが、興味深い話が続出。質疑応答タイムでも参加者からの質問に真摯な言葉で、率直に回答しているのが印象的でした。開発陣と直接、これほど正直に言葉を交わせるというのは、貴重すぎる体験です。愛車にサインをもらっている人もいました。

同じNISMOでもガソリン車とEVでは違う

登壇した森田さん(NMCカスタマイズデザイン部長)が「同じNISMOでもガソリン車とEVでは違いがある」と話していたのが興味深かったので、トーク後にあらためて質問してみました。どう違うのでしょうか。

「EVオーナーは、新しいものを試してみようという冒険心があったり、いろいろな意味でスマートな視点を持っている。ライフスタイルも従来のICE車(ガソリン車)ユーザーとは異なる。だからNISMOというレーシング由来のデザイン作法を再定義しました」

NISMOロードカーの性能を象徴するのは車体裾のレッドライン。森田さんによると、デザインの原点はレーシングカーの空力処理だそうです。GTマシンなどはダウンフォースを得るためにボディ底面がフラットボトムになっています。その姿に倣って、NISMOロードカーは車体前後左右の突出している部分を「お客様に約束する確かな性能のシンボルとして赤くしてきた」といいます。ただ、「生まれも育ちも違う電動NISMOに、ICE車だけだった時代のレーシングカーの姿を当てはめるのは無理がある」と考えたとのこと。

そこで「NISMOレッド」にも変更が加わりました。バンパーや車体の先端部を赤く塗るのではなくて、細めのラインが内側から覗くような表現になっています。「アルテリア・マグマ」と呼んでていて、内に秘めた情熱が滲み出したイメージだそうです。

「スマートで紳士的だけれど、すごいエネルギーを秘めていて、いろんなことがわかっている。そういう二面性を表現したかった。EVは簡単にモードチェンジができるじゃないですか。過激な加速も楽しめるし、静かで快適な走りもできる。電動NISMOならではのデザインは、まだ道半ばで、もっと突き詰めていけると思いますが、開発者としても刺激的で良い学びになっています」(森田さん)

最前線で活躍するベテランデザイナーの話もまた、刺激的で学びにあふれています。スポーツタイプのEVは、どんな進化を遂げていくのでしょう。あれこれ想像させてもらうことができました。

会場では、テスラやヒョンデを含めたEVオーナーズクラブ代表によるクロストークや大抽選会なども行われ、EVオフ会の楽しさを詰め込んだ一日となったのでした。

取材・文/篠原知存

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