ZEEKR 009の日本導入を手掛けるEVベンチャー企業のフォロフライが、軽トラックタイプの商用EV「FKT」の受注を開始しました。30kWhのLFPバッテリーで一充電走行距離225km、最大積載量350kgを確保し、普通充電とCHAdeMO急速充電にも対応。ガソリン軽トラとの違いや補助金、走行コストなどをチェックします。
現状では新車で購入できる唯一のEV軽トラ
2026年9月7日、フォロフライは軽トラックタイプの商用EV「FKT(エフケーティー)」の受注を開始したと発表しました。
近年、新車で購入できるEV軽トラとしては、HW ELECTRO(HWエレクトロ)が販売してきた「ELEMO-K(エレモ・ケイ)」がありました。ただし同社は2026年8月に東京地裁から破産手続開始決定を受けており、FKTが現時点で唯一の新車購入可能なEV軽トラとなっています。また、三菱自動車は2013年1月に「ミニキャブ・ミーブ トラック」を発売しましたが、2017年に販売を終了しました。
フォロフライは2021年8月に創業したEVの企画開発などを手掛けるスタートアップ企業で、本社は京都府京都市。商用EVの開発・販売と、環境対応型インフラサービスの提供を手掛けています。代表取締役は「トミーカイラZZ」の開発に携わった小間裕康氏です。
2025年には高級ミニバンEVの「ZEEKR(ジーカー)009」の日本導入を発表するなど、ユニークで意欲的な取り組みにはEVsmartブログでも注目しており、小間社長へのインタビュー記事などを紹介してきました。
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これまでのガソリン軽トラと遜色ないスペック
FKTは、同社の出資先であるASFとの共同開発により誕生しました。フォロフライは、ASFと2025年4月に国内のEVスタートアップ企業間として初となる業務資本提携を締結したことを発表、ASFからのOEM供給と両社の共同開発により商用EVの展開を進めています。
2025年6月からは軽バンタイプの「FKV」を販売しており、FKTはこれに続く軽トラックタイプのモデルです。なお、両モデルでプラットフォームなどを流用しているのか確認したところ、「FKTはFKVがベース車両ではない。共通する部品があるが別もの」(フォロフライ広報担当)とのことです。
【フォロフライ FKV】
ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,980mmで、ホイールベースは2,430mm。車両重量は1,080kg、最大積載量は350kg、乗車定員は2名、最小回転半径は4.4mです。全長・全幅・最大積載量はガソリン軽トラと同等ですが、全高は1,980mmと一般的なガソリン軽トラよりも高くなっています。
【フォロフライ FKT】
荷台は長さ1,669mm×幅1,380mm、あおり高370mm。荷台床面の地上高は660mmで、フォロフライは「積み下ろしの高さはこれまでの軽トラックと変わらない」としています。ただし荷台長は一般的な軽トラックより約27cm短いため、長尺物を運ぶ用途には事前の確認が必要です。
FKTの走行性能は最高出力30kW(約41PS)、最大トルク120Nm。駆動方式は2WD(後輪駆動)で、タイヤサイズは145R12 LT 8PR 86/84Sです。最大トルクはガソリン軽トラの約2倍。モーター駆動ならではの太いトルクは軽トラとの相性が良さそうです。
FKTとガソリン軽トラのスペック比較
| 項目 | フォロフライ FKT |
スズキ キャリイ |
ダイハツ ハイゼット トラック |
|---|---|---|---|
| 比較対象グレード | FKT | 標準キャビン KX/KC |
標準キャビン エクストラ等 |
| 全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,980mm | 3,395×1,475×1,765mm | 3,395×1,475×1,780mm |
| ホイールベース | 2,430mm | 1,905mm | 1,900mm |
| 荷台寸法(長×幅×高) | 1,669×1,380×370mm | 1,940×1,410×290mm | 1,940×1,410×285mm |
| 荷台床面地上高 | 660mm | 650mm | 660mm |
| 最高出力 | 30kW (約41PS) |
37kW/6,200rpm (約50PS) |
34kW/5,700rpm (約46PS) |
| 最大トルク | 120Nm | 59Nm/3,500rpm | 60Nm/4,000rpm |
航続距離225kmと最大積載量350kgを実現
駆動用バッテリーは総電力量30kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)で、一充電走行距離(航続距離)は225km(WLTC相当の条件による同社テスト値)。1日の走行距離が航続可能な範囲に収まる市街地配送やエリア内巡回であれば、日中充電なしで運用できるケースがほとんどでしょう。
充電は普通充電(AC:J1772規格)と急速充電(DC:CHAdeMO規格)の両方に対応。フォロフライ公表値では、満充電までの所要時間が6kWの普通充電で約5時間、CHAdeMO急速充電で約1時間としています。
30kWhのバッテリーは軽トラとしては大きく重量増が積載量に影響しないかとも思われますが、最大積載量は軽トラックの最大である350kgとなっています。
装備てんこもりで「使える軽トラ」
安全装備は、前方だけでなく後方にも対応した衝突被害軽減ブレーキをはじめ、車線逸脱警報機能、ESC(電子式横滑り防止装置)、障害物警報機能(前方・後方)、バックカメラ、坂道発進サポート機能、運転席・助手席SRSエアバッグなどを標準で備えます。
このほか前方車両発進通知機能、超音波センサー(フロント/リア)、プリテンショナー機能付きの3点式シートベルト、EDR(イベント・データ・レコーダー)、ABS、衝撃吸収ボディ、歩行者被害軽減ボディ、高電圧遮断システム、低速車両接近通報装置、後退時警報音、車速連動オートドアロックも備わります。
快適装備としては、TFT液晶マルチインフォメーションディスプレイ、センターディスプレイ、エアコン、リモコンキー・プッシュスタートシステム、運転席・助手席パワーウィンドウ、運転席シートヒーター(座面のみ)を装備します。
さらに、ウインカー・電動格納機能付き大型ドアミラー、LEDヘッドランプ、車載通信端末(コネクテッド・サービス)も備えています。
また、AC100V電源をキャビン内に標準装備し、電動工具や投光器などを現場でそのまま使えます。加えて、USB電源ポートを2か所に設けています。EVの長所である「V2L」にまで対応し、軽トラとしては「てんこもり」と言っていい充実の装備です。
気になる価格と補助金は?
FKTはモノグレード(グレード設定なし)で、用品オプションは運転席・助手席フロアマットと充電ケーブル程度というシンプルな構成です。これとは別に、荷台へ専用の荷箱を架装した「FKT-B(エフケーティー・ビー)」も用意されており、詳細は別途案内するとしています。
FKTの車両本体価格は、オープン価格と発表されています。実際の購入価格がいくらになるのか、フォロフライ広報へ問い合わせたところ「フリート販売(まとまった台数を購入する顧客)時は、購入台数によって価格が変動するためオープン価格とさせていただいている。実質購入負担額は、事業用(黒ナンバー)で国の補助金を使った場合で200万円程度から」とのことでした。
FKTは事業用での購入時に一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)が執行する「令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(トラック)」の制度を活用でき、事業用の補助基準額は最大87万3,000円と案内されています。また、一般社団法人次世代自動車振興センター(NEV)が執行団体となっているCEV補助金は、FKVと同額の15万円と発表されています(両補助金ともに2026年9月現在。予算上限に達すると受付終了)。
また、一部の自治体が制定するEV購入補助金についてFKTが対象となっているところがあり、例えば東京都では自家用(黄ナンバー)で最大20万円(予算上限に達すると受付終了)となっているとのことでした。
条件次第で走行コストは3円/km以下に!
フォロフライによれば、1kmあたりの走行コストは約2.7~3円に抑えられ、レギュラーガソリンの軽トラックのおよそ10円/kmに対し、その費用は約4分の1、年間1万2,500km(1日50km×年250日)を走る車両であれば、燃料費だけで年間9万円以上の削減が見込めるとしています。
ちなみに、走行コストの試算条件はレギュラーガソリン170.1円/L(2026年8月時点の全国平均)・燃料消費率16.5km/L(WLTC)、夜間電力単価20円/kWh(関西電力エリアの事業者向け夜間時間帯別プランを想定)、FKTの電費7.5km/kWh(カタログ値)による同社試算値となっています。
念のため、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金目安単価の「31円/kWh」で計算しても、走行コストは約4.1円/kmで、ガソリンの半額以下になります。
4WDモデルの追加にも期待したい
軽トラックはラストワンマイル配送や自治体の公用車、農業、施設管理など、地域の暮らしと産業を支える車両として全国で幅広く使われています。毎日決まったエリアを走る業務に対応する1台として、EV軽トラ「FKT」は走行コストの削減や、走行時の排出ガスや騒音の低減に貢献してくれそうです。
また、地方ではガソリンスタンドの減少が課題となっています。事業所などで夜間充電できる環境を整えれば、給油所まで出向く必要がなくなることも、EV軽トラのメリットのひとつといえるでしょう。
軽トラは4WDの需要が高いですが、FKTは2WDのみの設定です。今後、4WDが追加される可能性があるか、フォロフライ広報担当に尋ねたところ、回答を控えさせていただくとのこと。今後の販売動向や購入検討者の声が4WDラインナップ追加に繋がるのでしょうか。今後に期待したいところです。
取材・文/宇野智





