千葉県松戸市の友田雅宏さん、妙子さんご夫妻は、2019年6月にテスラモデルSを中古で購入。自宅太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度)が2020年3月で終了するのに備え、パナソニックの最新充電器のシステムを導入し、太陽光の電力を電気自動車に賢く蓄える環境を構築しました。輸入車でも太陽光発電と連携可能な『AIソーラーチャージ』対応の充電器とは? 導入の経緯などをインタビューしてきました。
テスラなのに発電と連携が可能なの?
FIT終了に向けて、ニチコンが『トライブリッド蓄電システム』に対応するV2H機器を発売するなど、太陽光発電と電気自動車の連携が注目されています。友田さんご夫妻の決断も、2009年に新築した自宅太陽光発電のFITが終了、今まで48円/kWhだった売電価格が10円程度になってしまうことがきっかけでした。
とはいえ、友田さんが購入した電気自動車はテスラモデルS。V2H機器はニチコンなど数社から発売されていますが、テスラをはじめとする輸入車には非対応であることが明示されています。
では、友田さんはどのように「太陽光発電ー電気自動車」の連携を実現したのでしょうか。まず、その製品から紹介しましょう。
EV・PHEV充電器
ELSEEV hekia S Mode3(Panasonic)
2019年9月に発売された家庭用普通充電器の最新モデル。従来の出力3kWはもちろん、6kW充電(車両側が非対応のケースもあり)にも対応。次に紹介するHEMS(Home Energy Management System)機器の『AiSEG(アイセグ)2』と連携することで、翌日の天気予報などから発電量を予測して電気自動車への充電を自動的に制御する『AI ソーラーチャージ』を行うことが可能。
【商品情報】
HEMS機器
AiSEG2(Panasonic)
IoTやAIを活用して、電気自動車普通充電器のほか、エアコンやエコキュート、各種センサーなどさまざまな家電機器を制御。電気使用量などをモニターすることができ、家庭で使うエネルギーを効果的に節約するためのシステムです。分電盤など含めたシステムで導入します。ELSEEV(エルシーヴ)の連携対応機種とAiSEG2をセットで導入することで、自宅太陽光発電によるゼロエミッションな電力を電気自動車に賢く充電することができます。
【商品情報】
充電用機器のコストは40万円程度でした
友田さんが導入した充電機器に掛かったコスト。まず、充電器のELSEEVは出力6kWでAiSEG連携タイプの希望小売価格は22万円(税別)。HEMS機器のAiSEG2のシステムも約20万円程度で「合計で40万円程度」だったそうです。
輸入車でも連携OKのポイントは、普通充電口を使うから
ニチコンなどのV2H機器はテスラには対応していないのに、なぜ友田さんのお宅のシステムではOKなのか。ポイントは、ELSEEVが普通充電器であって、充電口の規格は「IEC62196-2 Type1」(=J1772)に準拠。つまり、急速充電口で繋いだ場合のCHAdeMOプロトコルという壁がないから、だと思われます。ただしV2H機器とは違い、モデルSに蓄えた電力を停電時などの自家消費に使うことはできません。
テスラの各車種はもちろん、BMW i3 やジャガー I-PACE、フォルクスワーゲン e-Golf などのオーナーで「自宅太陽光発電で充電したいけど、V2H機器が非対応で困っていた」という方も多いのではないでしょうか。友田さん自身、取材時は自宅充電器を設置したばかり。また、FIT終了までには数か月あり、現状ではモデルSに充電するより売電するほうが合理的ということで、まだ本格的な運用はしていないものの「人柱になって有効活用してみます」という心意気を聞かせてくれました。
ちなみに、設置されている充電器のロットナンバーは「190820-01」番。単純に解読してみると、2019年8月20日に生産された1号機、と思われます。工事の業者さんも「たぶん日本初の設置例じゃないかな」と興味しんしんだったそうです。
ちなみに、モデルSの電気を自家消費できないこともあり、友田さんは今「DIYで蓄電池を試作中」とのこと。起業して一般販売することも検討しているそうです。興味のある方は「Twitterから連絡してください」(雅宏さん)
掲載ありがとうございます!今後どんな感じでAIソーラーチャージが機能するかも、データが出しだいご協力いたします皆様の参考になれば幸いです https://t.co/p9P097TZ5Z
— TeslaAndSolarLife (@and_tesla) November 15, 2019
エコ生活は起きたら顔を洗うのと同じこと
ともあれ、モデルSと最新のAI普通充電システムを導入したことで、もともと太陽光発電を行っていた友田さんのお宅では、電気自動車をゼロエミッションで活用するための環境が整ったことになります。はたして、友田さんご夫妻は、どんな思いで、どのようにして現在のライフスタイルを作り上げてきたのでしょうか。
エネルギー(電力)自給率は100%以上
友田さんが現在のお住まいを新築したのは前述のように2009年のこと。まだ、東日本大震災が起きる前です。でも、プランニングの当初から太陽光発電を導入することは決め、屋根の勾配は日当たりの良い「南流れ」にして、発電に十分な面積が取れるよう、設計者に要望したそうです。
設置した太陽光発電パネルの出力は5.5kW。設置業者と相談の上、発電効率に優れたサンヨー(当時)製のパネルを選びました。予想していた発電量は年間5000kWh程度。性能にこだわったおかげで、設置当初の数年間は想定を上回る年間6000kWh程を発電してくれました。
10年近く経過して、ここ数年の発電量は年間5000kWh程度で落ち着いています。ご自宅の年間消費電力も5000kWh弱なので、事実上の「エネルギー自給率100%以上」をすでに達成できています。
テスラ モデルS を購入したポイント
実は、住まいを新築した当時にも、電気自動車を購入して太陽光発電で充電したいという思いはもっていたそうです。
当時、24kWhだった日産リーフに試乗もしました。ところが「私たちはドライブが大好きなんですが、湯河原まで行ってみたら思っていた以上に大変」(妙子さん)だったために購入は断念。FIT期間中は電気自動車に充電するより売電したほうが合理的でもあることから「FITが終わる頃にまた考えよう。その頃にはもっといい電気自動車も出ているだろう」ということになりました。
10年が経ち、ついに「その頃」がやってきました。もともとスカイラインを乗り継ぐなど日産派だった友田さん。電池容量が増えたリーフにも再度試乗してみました。
「私たち夫婦は身長差が大きくて、妻も運転するのですが、リーフには『e+』でも電動シートの設定がありません。スカイラインには、インテリジェントキーに登録しておくと運転する人に合わせて自動でシートポジションを調整してくれる機能があったけど、当然それもできない。実質400万円もするクルマとしては、インテリアが物足りないなと感じたんです」(雅宏さん)
また、妙子さんがセダン好きということもあり、「セダンでEVを探すとなると、テスラ一択だった」(雅宏さん)のです。
予算は、充電設備を含めて700万円が限度と設定。モデルSの中古車とまだ日本発売開始前だったモデル3で迷ったものの「モデルSでAP2(オートパイロット装備のバージョン)以上」という条件に合ったクルマとの出会いが訪れて、今年6月に購入! という決断に至りました。モデルSが納車されるのと、モデル3の受注が開始されるのが、ほぼ同じだったそうです。
パナソニックの充電器にしたポイント
モデルSを購入して、いよいよ自宅の充電設備を選択する段階で、友田さんが見つけたのが新しい『ELSEEV』の「AIチャージ」の情報でした。システム全体の出費額は40万円程度。テスラのウォールコネクターを設置しても「10万円ほどは掛かる」ので、差額は30万円程度です。
でも、『ELSEEV』と『AiSEG2』のシステムであれば他の家電とも連携して省エネルギーが実現できること。また、ウォールコネクターではテスラ車しか充電できませんが、J1772規格対応の充電器なら、リーフなどほかのEVに乗った友人が遊びに訪れた際に充電することもできるし、自身が次に購入するEVがテスラ以外になっても使い続けることができると考えて選択しました。
エコロジーなライフスタイルを実践しているポイント
こうしてゼロエミッションのカーライフ環境を手にした友田さん。
そもそも、2009年当時にコストを掛けて太陽光発電を設置するあたり「もともと環境保全に対する意識が高いんですね」とお尋ねすると……。実は、ご主人の雅宏さんは「もともとはあまり環境のことなんて考えていなかった」のですが、奥さまの妙子さんが「社会活動に熱心だった両親の影響か、エコロジーなライフスタイルは当然のことだと思っていて」ということで、太陽光発電の設置もあまり迷うことなく決めたそうです。
ペットボトルなどゴミの分別は「朝起きたら顔を洗って歯を磨くのと同じ」くらい当たり前のこと。生ゴミは畑に入れて堆肥に使うなどの工夫をしてて「うちから出るゴミの量はほんとに少ないんですよ」(妙子さん)ってことらしいです。素晴らしい!
本領発揮は来年3月のFIT終了以降
今回のモデルS&充電設備導入で、雅宏さんが目指したのは「FIT終了後、売電するだけでなく余剰電力で電気自動車に充電してゼロエミッションなカーライフを実現したい」ということでした。
太陽光発電を設置する際には、細かくシミュレーションして「12〜13年で元が取れる」計算でした。でも、深夜料金が安い電力契約なので、今回の充電設備については「充電することで得られる売電との差額はせいぜい数円程度。たとえば1kWh@4円として、年間に2000kWh充電しても8000円、10年掛かって8万円ですから元が取れないことはわかっています。でも、ゼロエミッションを実現するための投資として価値がある」と思っています。
今はまだFIT期間が終わっていないので、AIチャージの実力をフル活用はしていません。
ひとつだけ気になっているのが「6kW充電の設定にしていると、太陽光発電の出力で足りない分を買ってきて、あくまでも6kWで充電してしまうこと。ソフトの設定でなんとかなりそうな気もするので、太陽光発電の余剰分だけを充電してくれるよう、改良されるといいですね」という点です。
来年の春を迎える頃、FITが終了した友田さんのお宅でどんなゼロエミッション生活が実現しているのか、また改めてレポートさせていただきたいと思っています。
友田さん、ありがとうございました!
(文/寄本 好則)







