電気自動車とともに「ソーラーカーポート」の普及を応援したい!〜損得勘定実録レポート

駐車場に設置した屋根で太陽光発電を行うソーラーカーポートへの注目が高まっています。V2Hに対応した電気自動車や定置型蓄電池と組み合わせれば、日常の電気代を抑えつつ、災害時などへの備えにも。とはいえ、一般家庭にとって「投資に見合う」ことなのか。実際に設置したお宅を直撃してみました。

再エネの電力でEVを走らせる! クレバーな選択肢

テスラのつくばスーパーチャージャーに設置されたレポートでもご紹介した「ソーラーカーポート」。走行時にCO2を排出しない電気自動車と上手に組み合わせれば、文字通りゼロエミッションのカーライフ実現へ大きく前進できる、クレバーな選択肢といえるでしょう。

環境省も推奨しており、自家消費型のソーラーカーポート導入を支援する補助金制度などを実施したことで注目度が上昇しています。とはいえ、令和3年度に施行された環境省の補助金は地域の再エネ化やレジリエンス(災害など危機への対応力)強化促進を目的として、自治体や事業者を対象としたものでした。

「EVとソーラーカーポートを組み合わせたら最強じゃないか」とは思っても、はたして、個人宅にソーラーカーポートを設置するのは投資に見合うことなのか。実例を確認するために、一般住宅へのソーラーカーポート設置を手掛けるGCストーリー株式会社に取材を依頼。事業の責任者でもある執行役員の藤田浩光さんが新築した自宅に設置してあるということで、拝見しつつお話を伺ってきました。

4台用で発電容量は約10kWのソーラーカーポート

藤田さんのご自宅は、奇しくも、つくばスーパーチャージャーとわずか数キロしか離れていない茨城県つくば市内にありました。つくばエクスプレスの駅周辺に開発されたまだ新しい住宅地。都内に自宅がある私としては「そもそも自宅に駐車場を持つのが大変なのにカーポートって言ってもなぁ」という思いもあったのですが、藤田さんの自宅を探して走る住宅街の家々には「軒並み」と言っていいほど1~2台用の普通のカーポートが設置されていました。

取材先に到着する前から「なるほど、ソーラーカーポートが当たり前になれば、日本の再エネ普及は大きく前進するんだろうな」と実感した次第です。

新しい住宅街なのでGoogleマップで住所検索した場所は他人の家で……。少し迷った末に携帯電話で教えていただいてなんとか到着。藤田さんの自宅には、4台用の立派なソーラーカーポートが設置されていました。今回、私とともに自宅へのソーラーカーポート設置を検討中のEVsmartスタッフである石井さんも自分のモデル3で取材に参加。私のリーフ&藤田さんのマイカー(まだエンジン車)と3台停めても、まだたっぷり余裕がある広さです。

「搭載型」でパワコンの出力は9.6kW

藤田さんに伺った「ソーラーカーポートってどうなんだ?」について、ポイントごとに説明します。

ソーラーカーポートには、屋根として太陽光発電パネルを用いる「一体型」と、普通に建てた屋根の上に太陽光発電パネルを設置する「搭載型」があります。藤田さん宅のカーポートは「搭載型」。パワーコンディショナー(発電した直流の電気を系統電力と同じ交流に変換するシステム)の容量は9.6kWということです。

今まで再エネ関連のいろんな取材をしてきた経験から、住宅の屋根にこれだけの発電容量を持った太陽光発電パネルを設置するのは、条件的になかなか大変なことだと思います。もちろん、駐車場の日当たりは? といった条件は必要ですが、屋根いっぱいに発電パネルを敷き詰められるソーラーカーポートは、かなり効率の高い再エネ発電導入方法だと感じます。

一体型であれば、屋根全面で発電できて効率的だったり、裏面でも発電する高機能な太陽光発電パネルを使ってさらに効率を上げることもできます。一方、屋根の寸法が太陽光発電パネルのサイズによって決まります。藤田さん宅では、4台分のカーポートにするには一体型だとやや中途半端なサイズになってしまうことから、搭載型を選択したそうです。つまり、搭載型の方がレイアウトの自由度は高い、ということですね。

初期投資と収支はどうなんだろう?

太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)売電単価が年々下がっている中、設置のための初期コストと、買電や自家消費による経済的メリットの収支はどうなのでしょう。

藤田さんに質問すると、仕事で使っている資料から明解な試算表を提示してくださいました。

年間発電量は立地条件などによって変わりますが、おおむね、初期コストは20年くらいで回収できるということです。発電しないカーポートはもっと安く設置できるでしょうが、当然、1円の収益も生み出すことはありません。どちらが得か? というよりは、長い目で見れば回収できる初期投資で、ゼロエミッションなカーライフを実現できる気持ちよさは、大きな魅力ではないかと思います。

天気を気にせず遊べる場所に

藤田さんがソーラーカーポートを設置したのは、自宅を新築してから1年ほど経ってからのこと。雨ざらしの駐車場だった頃と比べて、カーポートがある暮らしのメリットをいろいろ感じているそうです。

まず、夏の炎天下でもクルマに乗り込むときに暑くないこと。冬になると、霜が降りない利点があります。

また、設置したカーポートは自宅のLDK全体にも匹敵する広さがあります。今のところ常時停めているクルマは1台だけということもあって、雨でもバーベキューが楽しめるスペースとして活用できるのが「設置して良かった」と感じるポイントになっているそうです。

奥さまと、2人のお子さんと一緒のどうみても幸せそうな写真も撮らせていただきました。カーポートの梁からぶら下げているブランコは、お子さんにとってお気に入りの遊び場になっています。

社会に貢献するために成長する!

藤田さんが執行役員を務めるGCストーリーでは、『トモシエ』というブランドを立ち上げてソーラーカーポート事業(藤田さんがその責任者)を進めています。

GCストーリーの設立は2005年。もともとは屋外の看板施工や大規模な太陽光発電設備の設置やメンテナンスなどが事業の中心でしたが、2015年頃からソーラーカーポートへの問い合わせが急増。建築基準法に見合った高度な技術が必要なソーラーカーポート設置には、電飾などを含む看板施工で培ってきた技術とネットワークを活用できることから、新たなブランドを立ち上げて、本格的にソーラーカーポートを普及させていくプロジェクトを進めています。

施工実績は全国で1500件を超え、日本マーケティングリサーチ機構が2022年1月に行ったブランドイメージ調査で『戸建所有者がおすすめするソーラーカーポート販売店 No.1』などを獲得。2022年3月には、トモシエのソーラーカーポートを購⼊すると、購⼊⾦額200円(税込)につき1マイルが積算される「ANAマイレージクラブ」との連携を開始するなど、ソーラーカーポート、すなわち太陽光発電普及に向けてユニークな取り組みを広げています。

そもそも、GCストーリーの社名である「GC」には「Growth for Contribution = 貢献のための成長」という思いが込められているそうです。企業理念のメッセージには、実践するビジネスを通して関わる全ての人たちを幸せにする、幸せな社会を実現する思いを集約した「きれいごとをしようじゃないか」という言葉が掲げられています。

日本では今までなかなか大きなうねりにならなかった電気自動車に乗り替えたり、普通のカーポートよりも少し大きなコストを投じてソーラーカーポートを設置するのも、個人ができる「きれいごと」なのかも知れません。

トモシエでは、ソーラーカーポートだけでなく、定置型蓄電池やV2Hの導入もサポートしています。狭小住宅の1階に小さな駐車場スペースをくり抜いている我が家では無理ですが、駐車場敷地に余裕があって、カーポートを設置している、あるいは設置を検討している方であれば、ソーラーカーポート & EV & V2Hを導入するのは日本社会の進化にとって意義あることだと思います。

藤田さん、ありがとうございました!

(取材・文/寄本 好則)