英国で2022年から新築の建物すべてにEV充電器の設置が義務化

英国では来年から改築中のもの一部と、新築の建物すべてに電気自動車用充電器を設置することが義務付けられます。ジョンソン首相肝入りの政策は、どのように受け止められたのでしょうか。全文翻訳記事でお届けします。

元記事:UK Will Require All New Buildings To Have EV Charging Stations Starting In 2022 by Steve Hanley on『CleanTechnica

新しい新築基準により、毎年14万5,000台の充電器が増える

英国首相は、今月初めにグラスゴーで開かれたCOP26サミットで晒した自らの醜態を挽回しようと、来年から新しく造られるすべての建物にEV充電器を設置するよう求めると、11月22日に発表しました。ガーディアン紙によると、ボリス・ジョンソン氏はこの計画が世界をリードし、新築の家やビルへの規制を強化するものだと英国産業連盟の聴衆に話しました。

スーパーやオフィスのディベロッパーには、約8年以内に販売禁止となるガソリン・ディーゼル車からの脱却を促進するため、来年から電気自動車充電ステーションの設置が義務付けられます。政府はこれにより毎年14万5,000台の新しい充電器が設置されると試算しています。また改築中で10台以上の駐車区画があるビルにもこの基準が適用されます。

2050年までに排出ゼロを目指す政府の努力目標のため、すでに4,900台の急速を含む、2万6,000台ほどの公共電気自動車充電機器が設置されました。家庭や職場を含むと充電器は合計25万台設置済みです。

転換期

英国がホストとなったCOP26から数週間後、ジョンソン氏はクリーンエネルギーの重要性を強調し、「私達はこのままではいられない」と、国が転換期に直面していることに言及しました。ビジネスリーダー達に公金だけでなく、「経済をグリーン産業革命に適応させなければならない」と呼びかけ、生産力を上げるために政府は科学やテクノロジーに集中投資し、「ゆくゆくは関与を弱めます。その後規制を緩めるなり改善するなりして、新しい自由を活用していく」としました。これがどういう意味か分かる方がいたら、コメントをください。私達には戯言に聞こえます。

政府はInnovate UKによる1億5,000万ポンド(約230億8,500万円)の貸し付けプログラムをこれから3年間で実施し、英国の中小企業が最新の研究を商品化する手助けをします。この『イノベーション・ローン』は様々なセクターが対象となり、グリーンビジネスもそこに含まれます。

水素?

グラスゴー近くにある英国最大の陸上風力発電施設における、政府が言うところの今までに類を見ない水素プロジェクトにも、940万ポンド(約14億4,670万円)の補助金が出る決定がされました。資金はWhitelee green hydrogen initiativeが同国最大の電解槽(水を水素ガスに変換する)を開発するのに使われます。水素の用途はエネルギー貯蓄と、ゼロ・カーボン燃料を取り扱う地方交通プロバイダー用となります。

CleanTechnicaは、このような水素イニシアチブに懐疑的です。水を分解するために使われる再生可能エネルギーは豊富にあるとはいえ、発電や電気自動車、建物の冷暖房システムに使われるべきと考えるからです。

反対派

ジョンソン首相のおめでたい話にすべての人が感銘を受けたわけではありません。影のビジネス大臣であるエド・ミリバンド氏は、政府が「英国自動車会社と労働者を見捨てた」と非難しました。「大臣たちはメーカー、労働者、そして一般市民を置き去りにし、生活の危機に瀕している家族のために必要なアクションを取りそこねたのです」。

「低・中所得者が電気自動車を買う手助けをし、無視されてきたエリアで充電器の設置を加速することにより、労働党はすべての人が『グリーンへの移行』から公平に恩恵を受けられるようにします」。

結論

英国がEV用充電機器を増やすというのは素晴らしいニュースです。しかし全体としては、人類が直面している気候変動の惨事に照らせばかなり弱い戦略です。『大風呂敷を広げる』のお手本のようです。これぞまさに政治的声明の定義かもしれません。熱い空気で膨らまされた、空っぽの約束です。

(翻訳・文/杉田 明子)

【EVsmartブログ編集部注】

「新築すべてにEV充電器設置を義務化」というニュースは評価しつつ、軸の見えない付け焼き刃的な政策を批判する記事となっています。ジョンソン首相やイギリス現政権への温度感は日本人にはわかりにくいので、ことに集合住宅へのEV充電器設置は日本でもぜひ義務化してほしいと思いつつ、賛辞を贈りたい施策だと思うのですが……。いずれにしても、数年後に後付けの配線工事などに掛かるコストを考えれば、日本でも今後の新築時にはEV充電設備設置を前提にしておくのが賢明だと思います。(寄本)