ヒョンデの電気自動車『IONIQ5』に1時間試乗〜配慮あふれた操作性の良さに好印象

「Hyundai House Harajuku」で、5月から受注開始予定の電気自動車『IONIQ5(アイオニック5)』に試乗してきました。EVとしての操作フィーリングを中心にチェックして、出来映えに驚嘆。さらにロングドライブや急速充電を試したいところではありますが、ますます好印象でした。

パドルでの回生コントロールが気持ちいい

2月28日、5月28日までの期間限定で開設されている「Hyundai House Harajuku」で、日本デビューをはたした新型電気自動車『IONIQ5』に試乗してきました。今回は取材用の広報車ではなく、ネットで申し込んで一般の試乗枠を確保。午前11時から1時間、原宿駅前を出発して国立競技場の脇を抜け、神宮外苑の周回道路を2周して戻ってくるコースです。

都内一般道のチョイ乗りで加速感がどうしたといった評価をするのも空しいので、今回はとくに電気自動車としてのインターフェースなど、操作性を中心にチェックしてみることにしました。

試乗のスタートは Hyundai House Harajuku 裏手のコインパーキング。周辺道路が狭いこともあり、原宿駅前を過ぎるあたりまではスタッフの方が運転してくれます。とはいえ、助手席に座っていてもメーターや液晶モニタの表示に興味しんしん。まず、表参道に出る交差点で「おお、これか!」と感じたのが、ウィンカーに連動して斜め後方死角をメーターパネルに映し出してくれる機能です。

丸くトリミングされたモニター表示がちょっとキュート。後で自分で運転してみると、大きな交差点の右左折時にはドアミラーを確認するのであまりこのモニター表示を見ることはなかったですが、人通りが多い歩道を横切る左折時など、丁寧に安全確認する際には便利だろうなと感じました。メーターパネル内の表示なので、視線移動も少なく確認できます。

原宿駅前を過ぎ、明治通りの手前でドライバーを交替。と、停車位置が歩道の植え込みに近すぎる。試乗車のドアをぶつけるのはイヤだなぁと感じていると……。スタッフの方がセンターコンソールを後ろにずらし「私が外から助手席に回りますから、ウォークスルーで運転席に移ってください」との言葉。

ありがたく、助手席から運転席へ車内移動させていただきました。EV専用プラットフォームでフラットフロアならではの便利さですね。再スタート前に、運転席回りの操作系を確認。自車周囲を確認するモニター表示は、指先でドラッグすると自車映像がグルグルして周囲の安全を確認できます。

メーター表示はとてもわかりやすかったです。

この写真は「SPORTS」モード時の表示。「ECO」「NORMAL」「SPORTS」という走行モードに合わせてグラフィックが変化。スポーツモードでは赤いアクセントが現れます。

左下にはバッテリー残量を示すSOCの%表示。その右側「Lv2」と表示されているのが回生ブレーキの強さです。回生の段階切り替えはステアリングのパドルで操作します。デフォルトは「Lv3」になっていて、5段階(0〜3 & i-PEDAL)を選択可能、「Lv0」ではコースティングとなり、「Lv3」からさらに回生を強くするとワンペダルドライブで停止までする「i-PEDAL」になります。

外苑の周回路を少し走ってみただけでも、この5段階の回生操作がかなり楽しくて便利。「i-PEDAL」で完全停止する時にもノーズダイブやガクンという衝撃はなく、とてもスムーズに停まってくれました。

手元のシンプルな操作でコースティングからワンペダルドライブまで切り替えられるのは、すごくいい感じだと思います。私の場合、マイカーのリーフに乗っていても、信号待ちの手前でわざとニュートラルに入れてコースティングを使ったりすることがあります。アクセルペダルの強弱で回生をコントロールするよりも、十分な車間距離を取った上でゆったり進む運転の方が楽だし、無駄なアクセル開閉をしなくて済むからです。最近、メルセデス・ベンツEQAなどパドル操作でコースティングを使える新型EVが登場してきたのは、いろんなメーカーが電気自動車の使い勝手を深く理解して提案してくれているのだと感じています。

「i-PEDAL」にするためだけのスイッチなどはありません。パドルで選択できるんだから、特別なボタンは必要ないでしょ? ということですね。はい、必要ないと思います。

液晶モニターでの各種設定も使いやすい

早めに拠点に戻り、液晶モニターでのいろんな設定についても確認してみました。中央の液晶モニターでいろんな設定ができますが、テスラ車のように物理的なボタンを極端に少なくしているわけではありません。

モニター下には、エアコンの温度や風量調節をはじめ、周辺確認のカメラマークや「MEDIA」「NAV」「MAP」といったボタンが並んでいます。使用頻度の高い機能の大枠はこのボタンで選び、モニターで細かく設定できるといった仕組みです。

「CLIMATE」って何だ? と不思議に思ってボタンを押してみると、空調やシートヒーターなどを設定する画面が現れました。

その下の「WARMER」は、シートヒーターなどを調節する画面を呼び出すボタンでした。IONIQ5には、シートヒーターだけでなく、暑い時にシートに送風して冷やしてくれるシートベンチレーション(クーラー)も全グレードに標準装備されています。この日は春めいた晴天で暖かかったので少しベンチレーションを使ってみると、お尻がスースーして寒かったのですぐに止めちゃいましたけど。

各種設定のメニュー画面は、モニターを指先でドラッグするだけでも呼び出せます。物理ボタンの選択や配置、表示や設定できることの内容など、全体として「EVをしっかり理解して上手に作り込んだシステム」という印象です。

一点、プレス発表の際にも気になったのがメーター表示の基調色。白基調はフレッシュな印象で良いのですが、夜間は眩しいんじゃない? と感じてましたが、ちゃんと「ブラックテーマ」も選択できるようになっていました。明るい時間帯はホワイトテーマ、暗くなったらブラックテーマに切り替わるよう設定することも可能です。

電動シートの快適さも秀逸でした

カタログなどでも強調されているのが「リラクゼーションコンフォートシート」です。試乗したグレードでは運転席と助手席には膝下を支えてくれるレッグレストを装備。もちろん電動で調整可能です。

これが、助手席側の電動シート調整スイッチ。左側下段が前後やシートの高さを調整するボタンで、中央の縦型ボタンは背もたれ角度。右側の丸いヤツがランバーサポートの調整ボタンです。

左側の上段に2つ並んだボタンの左側がレッグレストの調整、その右側がワンタッチで背もたれを倒し、レッグレストを上げたリラクゼーションモードにするためのボタンです。充電待ちの際など、便利かも知れません。

試乗した「Lounge AWD」グレードでは、後席シートも電動で前後の調整が可能。前に動かしてもレッグスペースは十分で、荷室を広くすることができます。操作系のインターフェース同様、居心地の良さもしっかり考えて作り込まれている印象です。

ただし、私が個人的に「ターゲットかな」と考えている58kWhのベースグレードでは、助手席シートは電動ではなくレッグレストはなし、後席の電動スライドシートも設定されていません。AWDじゃなくてもいいや、とするなら、バッテリー容量72.6kWhで前後席電動シートフル装備の「Lounge」というグレードの価格は549万円〜で、ベースグレードの479万円〜とは70万円差。悩ましいところです。

あと、プレス発表時には気が付かなかったのですが、給電口の蓋がピクセルマークを押すとフワリと開く電動でした。

閉じるときは内側の CLOSE ボタンを押します。給電口の蓋が電動なのは、私が今まで乗った中ではテスラ車やタイカン、アウディe-tron GT(充電は体験してないですけど)くらいだったかと思います。樹脂製の内蓋はちょっとカジュアルですが、もしIONIQ5を購入したら、新型EVオーナーとしてちょっとうれしいポイントではないかと思います。

試乗を終えて帰ろうとすると、カタログとお土産までいただいてしまいました。

さらに、私の直後の試乗枠をEVsmartブログに記事を書いている木野さんが予約していたので、後席に同乗させてもらいました。ビジョンルーフを開けて走ると、いや、開けなくても広々とした後席空間、快適でした。

また、2枠の試乗それぞれの同乗スタッフや、ショールームの「IONIQ 5 Driving Theater」で説明してくれたスタッフの方たちが、かなり細部までEVやIONIQ5について学んでいて、質問に即答してくださる(回生の制御とか「本国に確認中」というお題もありました)あたりにも、ヒョンデがIONIQ5、そして日本でのEV普及に本気で取り組もうとしている姿勢を感じます。今回の試乗はEVsmartブログの取材でもあることをお伝えした試乗スタッフの方が「いつも読んでます」と言ってくれたのもうれしい出来事でした。

ともあれ、IONIQ5、試乗してみて好印象が深まりました。東京と神奈川では、エニカ(Anyca)のカーシェアも始まりました。EVsmartブログでは、さらに試乗を重ね、急速充電やV2Lなどについてもレポートしていく計画です。お楽しみに!

(取材・文/寄本 好則)