東名300km電費検証【30】ホンダ『Super-ONE』/走りの楽しさを追求したEVの実用電費を確認

市販EVの実用的な電費(燃費)性能を確かめる「東名300km電費検証」シリーズ。第30回はホンダ『Super-ONE』の結果をお伝えします。スポーティイメージのEVとして大人気のSuper-ONEは、ベースのN-ONE e:よりもワイドなボディと太いタイヤを採用しており、電費面では不利になりそうな要素を持っています。はたしてどのような電費を記録したのでしょうか。

【インデックスページ】
計測方法や区間などについては、下記インデックスページ参照。
電気自動車の実用燃費「東名300km電費検証」INDEXページ/検証のルールと結果一覧

100km/h巡航で約194kmの航続距離性能

Super-ONEの基本的なスペックを確認します。全長3580mm、全幅1575mm、全高1615mm、ホイールベース2520mm、車重1090kgです。システム最高出力は70kW/95PSと軽の領域を超えていますが、トルクは162NmでN-ONE e:と同一です。バッテリーは29.6kWh、一充電走行距離274km(WLTP、EPA換算推計値は219km)、車両本体価格は339.02万円(税込)、国のCEV補助金は130万円(2026年8月現在)です。

今回の注目点は、軽EVのN-ONE e:をベースにスポーティーに仕立てられたSuper-ONEのそもそもの電費性能と、その数値が現状15区間中10区間でトップに君臨する日産「サクラ」の記録にどこまで迫れるか、凌駕する区間はあるのか。サクラの約1.5倍のバッテリーを活かして航続距離も1.5倍ほどの差が出るのかといったポイントです。

Super-ONEの一充電走行距離274kmを、バッテリー容量の29.6kWhで割った目標電費は9.26km/kWhになります。この数値は9km/kWhジャストのサクラを上回ります。2026年7月某日、計測日の外気温は最高35℃、電費検証に臨んだ深夜は23~26℃でした。

各区間の計測結果は下記表の通り。目標電費を上回った区間を赤太字にしています。

目標電費を超えたのは、下り勾配で電費が伸びやすい復路のBとCの2区間でした。往路のD区間が目標超えにならないのは意外でした。往復では80km/hが8km/kWh台、100km/hが6km/kWh台、120km/hが5km/kWh台と80から100の段差が大きい階段状になりました。

各巡航速度の電費は下表の通りです。「航続距離」は実測電費にバッテリー容量をかけた数値。「一充電走行距離との比率」は、274kmの一充電走行距離(目標電費)に対しての達成率です。

巡航速度別電費

各巡航速度の電費
km/kWh
航続距離
km
一充電走行距離
との比率
80km/h 8.59 254.2 93%
100km/h 6.57 194.4 71%
120km/h 5.10 150.9 55%
総合 6.47 191.4 70%
(注)80km/hの電費は、80km/hの全走行距離(97.4km)をその区間に消費した電力の合計で割って算出、100km/hと120km/h、総合の電費も同じ方法で求めています。

総合電費の6.47km/kWhで計算すると、満充電からの実質的な航続距離は約191kmになります。100km/h巡航はそれよりも少し長い約194kmでした。そして80km/h巡航はカタログスペックの一充電走行距離にあと7%の約254kmになりました。

「東名300km電費検証」企画の独自の基準として、この表の100km/h巡航と総合の達成率が90%台だと優秀、100%を超えると相当優秀な実測電費性能であると判断できます。Super-ONEはどちらも70~71%でしたので、さらなる向上を期待したい結果でした。なおサクラは83~86%でした。

巡航速度比較では、80km/hから100km/hに速度を上げると24%電費が悪化します。さらに120km/hにすると41%減になります。反対に120km/hから80km/hに下げると航続距離を約1.7倍(168%)に伸ばすことができる計算です。

速度比較

ベースの速度 比較する速度 比率
80km/h 100km/h 76%
120km/h 59%
100km/h 80km/h 131%
120km/h 78%
120km/h 80km/h 168%
100km/h 129%

優秀な検証結果を残している「サクラ」との比較

Super-ONEは登録車ですが、軽自動車のN-ONE e:をベースとしています。サクラは往路、復路、往復の計15区間のうち、9区間で単独トップ、往復のE区間のみトヨタ「bZ4X」とトップタイ記録を持っています。そのサクラと比較してみます。なお、サクラは2024年7月にGグレードの車両による計測で、車両のスペックは当時のもの、車両本体価格とCEV補助金は2026年8月現在の金額です。

サクラとのスペック比較

Super-ONE サクラ
全長(mm) 3580 3395
全幅(mm) 1575 1475
全高(mm) 1615 1660
車重(kg) 1090 1090
システム出力(kW/ps) 70/95 47/64
システムトルク(Nm) 162 195
バッテリー容量(kWh) 29.6 20
一充電走行距離(km) 274 180
目標電費(km/kWh) 9.26 9.00
タイヤサイズ 185/55R15 165/55R15
車両本体価格(万円、税込) 339.02 299.86
CEV補助金 130 58
実質価格 209.02 241.86

この2台で電費に影響しそうな部分を確認すると、車重は同値、前面投影面積の視点では、全幅はSuper-ONEが100mm大きくなっています。Super-ONEの1615mmの全高はシャークフィンアンテナの分でN-ONE e:(1545mm)より70mm高いとされているので、実質1545mmだとするとサクラより115mm低く、全幅の分が相殺されるとすれば、タイヤサイズで幅が20mm太いことがSuper-ONEの不利な点になりそうです。

検証はノーマルモードで行い、巡航中はアクセルを全開にすることはありませんので、モーター出力の差による影響は少ないと考えられます。価格はサクラよりも40万円ほど高いですが、130万円のCEV補助金によりSuper-ONEの方が実質価格は30万円安くなります(サクラへの補助金額は58万円)。

電費と航続距離に加えて、総合のみ一充電走行距離との比率を加えた表が下記です。

検証結果比較

車種 Super-ONE サクラ 航続距離比率
気温 23〜26℃ 21〜23℃
80km/h 電費 8.59 10.01 -1.42
航続距離 254.2 200.2 54.0 1.27
100km/h 電費 6.57 7.71 -1.14
航続距離 194.4 154.3 40.1 1.26
120km/h 電費 5.10 5.85 -0.75
航続距離 150.9 116.9 34.0 1.29
総合 電費 6.47 7.51 -1.04
航続距離 191.4 150.2 41.2 1.27
一充電走行距離との比率 70% 83% -13%

電費は全項目でサクラの方が1km/kWhほど良いけれども、バッテリーが大きい分Super-ONEの方が航続距離は40kmほど長いという結果になりました。40kmの余裕があればこの計測で最も長い区間の秦野中井ICから御殿場IC間の33.3kmも走破できるため、明確なアドバンテージになりそうですが、航続距離はサクラの1.27倍ほどでバッテリー容量の差である1.5倍には届きませんでした。

ACCとLKAの完成度はN-ONE e:から明確に向上

東名300km電費検証では、毎回同じ区間を3つの速度で定速巡航するため、巡航中は基本的にACC(アダプティブクルーズコントロール)を使用します。さらに交通量の少ない深夜に走行することで、渋滞に遭遇する可能性を極力低下させ、ブレが出ないよう留意しています。

Super-ONEのACCはステアリングホイール右スポークのスイッチで操作します。設定速度は1クリックで1km/h、長押しで10km/hごとに変わります。ただしACC速度設定上限は115km/hまで(N-ONE e:やサクラなどの軽EVと同じ)なので、120km/h巡航時はアクセルペダルを操作する必要があります。先行車との車間距離設定は左下のスイッチで4段階から選択可能です。

N-ONE e:では、ACCで先行車を追従する際、車間を詰めすぎてブレーキをかける場面が多く感じられましたが、Super-ONEではその頻度が明らかに減っており、車速調整が上手くなっているように感じました。停車時の「かっくんブレーキ」は、少し荒めの時もあれば、緩やかに止まる時もありました。

LKA(レーンキープアシスト)は、車線維持能力が高く、この検証コース中で最もきついカーブである鮎沢PA手前の300Rも難なくクリア、その後の左右連続カーブも車線を踏み外すことはありませんでしたし、N-ONE e:で気になった「車線内でのふらつき」もほぼ無いように感じました。

ドライバーがステアリングを握っているか否かは、保持警告が出やすいトルクセンサーによる判定ですが、その精度は高く警告表示はほぼ出ないので、接触センサー並みに快適だったことはN-ONE e:から引き継いだ良い点です。

スピードメーター表示とGPSによる実速度の差は3〜4km/hでした。実速度を100km/hにする場合は、メーター速度を104km/hに合わせました。

速度差と騒音

80km/h
巡航
100km/h
巡航
120km/h
巡航
メーターの速度
km/h
83 104 124
ACC走行中の
室内の静粛性 db
63〜71 65〜73 70

巡航時の車内の最大騒音(スマホアプリで測定)は、どの速度でも70dB以上でした。サクラも70〜71dBでした。Super-ONEはサクラよりも20mm幅が広いタイヤを履いていますが、静粛性のデメリットは最低限に抑えられていると思います。

速度により騒音の質は異なります。80km/hではタイヤのパターンノイズに占められ、ほぼ意識しない風切音が、120km/hになると騒音の8割を占めるようなイメージでした。

30分で16.776kWhを充電

充電結果


※「外気温」は車内メーター表示の温度。
※「充電時最大出力」は、車両もしくは充電器で確認できた数値。
※「航続距離表示」は、エアコンオフ時に確認。
※「充電器表示充電電力量」は充電器に表示、もしくはアプリなどに通知された電力量。表示がない場合は不明としています。

Super-ONEの急速充電能力は出力50kWに対応しており、「充電残量警告灯が点灯から、充電量80%までの時間」を約30分としています。充電残量警告灯はSOC 15%で点灯しました。そしてSOC 15%から駿河湾沼津SA下りの150kW器の30分の充電で16.776kWhをチャージして、SOCは65%増えてジャスト80%とホンダの発表通りになりました。

この充電量により航続可能距離は130km増えました。120km/h巡航を終えた駿河湾沼津SA上りの90kW器での充電では、SOCは63%回復して99kmの増加になりました。充電量はさほど変わりませんが、直前の電費によって航続可能距離表示が左右されることが分かります。

最大出力50kWの充電器でもSOC 60%をチャージできました。この3回の充電によるSOC増加分の5%の差は、充電開始時のSOCが15%から23%の違いがあったためと思われます。Super-ONEは出力50kW以上の充電器であれば、いずれも同程度の充電結果になると考えられます。そのため、150kW器などの高出力充電器は、その出力を十分に活かせる車両に譲ることで、より多くのEVユーザーが円滑に充電できるケースもあると思います。

Super-ONE専用のタイヤ・ホイール

Super-ONEのタイヤサイズは前後ともに185/55R15 82Vで、メーカーはヨコハマ、商品名はADVAN FLEVA V701です。このタイヤは、ADVANブランドの中で「楽しいハンドリング」を謳ったもので、Super-ONEにぴったりな特性だと思います。

ホイールには、力強い4本ダブルスポーク調の15インチアルミホイールを採用。シティ・ターボIIを想起させるブリスターフェンダーとの組み合わせにより、Super-ONEのワイドなスタンスをより印象的に見せています。

航続距離では測れないSuper-ONEの価値

冒頭の注目点の答え合わせをすると、サクラの記録を塗り替えられた区間はなく、航続可能距離も1.27倍と1.5倍までは届きませんでした。ホンダの発表通りの充電ができたとしても30分のチャージで回復できる航続距離は130kmほどであるため、長距離移動には向かないクルマだと考えます。

ただし、Super-ONEの価値はロングドライブ性能ではありません。今回の試乗車のボディカラーであるブーストバイオレット・パールやチャージイエローのビビッドな色に、シティ・ターボIIのファンを唸らせる外装デザインと専用フロントシート、ブーストモードの爽快な加速と仮想エンジンサウンドなどがあることです。

クルマ好きはもちろん、クルマに興味のない人にも「なんかこのクルマ、カッコイイね」や「EVなのに面白いね」と思わせる魅力が詰まっています。しかもそれがN-ONE e:のe: Lをベースとした場合、プラス20万円で手に入るのです。コンパクトなBEVは街乗り車として最適で、そこにこれだけの個性があるSuper-ONEはセカンドカーやサードカーにもぴったりではないでしょうか?

Super-ONEの車両本体価格は339.02万円で、V2Hにも対応しているため、29.6kWhの駆動用バッテリーを住宅用蓄電池として活用できます。30kWhクラスの家庭用据置型蓄電池は、製品や工事内容によるものの約350〜600万円になると考えられるため、蓄電池としての価値も見逃せません。ホンダ純正の「Honda V2H Stand」(本体価格110万円・税込)もHonda Carsで購入できます。

V2Hに対しても国は補助金を用意しており、本体は税抜購入費の1/2以内(上限75万円)、個人宅などの設置工事費は上限55万円です。Honda V2H Standの場合、本体に最大50万円、工事費に最大55万円、合わせて最大105万円の補助を受けられる可能性があります。

7月末にはBYDから「RACCO」がデビューし、スズキの「eSky」も発表されました。2022年以降で考えると軽乗用EVはサクラとその兄弟車の「ekクロス EV」の独壇場でしたが、ホンダ、BYD、スズキなどが選択肢を広げてくれています。自宅で充電できれば街乗り用のセカンドカーとしてこんなに便利な乗り物はないでしょう。日本でEV普及が一気に加速するティッピングポイント(大きな変化が一気に進み始める転換点)を生むのは、軽EVかもしれません。

主要スペック

ホンダ
Super-ONE
車両型式 ZAA-JG6
全長(mm) 3580
全幅(mm) 1575
全高(mm) 1615
ホイールベース(mm) 2520
トレッド(前後、mm) 1345
最低地上高(mm) 140
車両重量(kg) 1090
前軸重(kg) 650
後軸重(kg) 440
前後重量配分 60:40
乗車定員(人) 4
最小回転半径(m) 5.2
交流電力消費率(WLTC、Wh/km) 114
一充電走行距離(WLTC、km) 274
EPA換算推計値(km) 219
電費(目標電費、km/kWh) 9.26
バッテリー総電力量(kWh) 29.6
急速充電性能(kW) 50
普通充電性能(kW) 6
V2X対応 V2H、V2L
モーター数 1
駆動方式 FWD
ワンペダルドライブ あり(シティモード)
モーター型式 MCF7
モーター種類 交流同期電動機
モーター出力(kW/ps) 70/95
モータートルク(Nm/kgm) 162/16.5
フロントサスペンション マクファーソン
リアサスペンション 車軸式
フロントブレーキ ディスク
リアブレーキ リーディング・トレーリング
タイヤサイズ(前後) 185/55R15 82V
タイヤメーカー・銘柄 ヨコハマ・ADVAN FLEVA V701
荷室容量(L) 155-611
フランク(L) なし
車両本体価格 (万円、A) 339.02
CEV補助金 (万円、B) 130
実質価格(万円、A - B) 209.02
※車両重量は車検証に記載の値

取材・文/烏山大輔

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思ったより電費が良さげですね。さすがホンダです。ADASもこの半年+αほどの間で大きく向上したのはすごいと思います。N-ONE e:の夏/秋の電費がまた出てきたら、ベース車とも比較できそうです。

これほどまでの軽Ev(とSuper-ONEなど小型EV)市場の活気を見て気になるのは、ダイハツだけは完全自社開発の軽乗用EVを出していないそしてどのように出てくるかということです。2月に3社共同のe-ハイゼットカーゴを出しただけです。商用です。3社共同です。スズキですら、eSKYを発表しました。皆さん御存知の通りダイハツの宿敵はスズキです。黙っていられるわけがないと思うのですが・・・・。いつになったら出すのでしょうかね。サクラにN-ONE e:、eSKYなどみなワゴンタイプ(N-ONE e:だけ少し背が低い)ですがダイハツはムーヴをフルモデルチェンジしてスライドドアにしました。なのでムーヴEVはあまり可能性としては低いと思います(RACCOがスライドドアですが、戦って勝てる気がしません、無謀です)。ミライースEVでも過去のソニカを復活させてでもいいので自社開発してほしいところです。特にソニカevなら値段は高くなるかもしれませんがサクラの上質さに真っ向勝負できます。このままでは軽EV大戦に敗北する気がします。私はダイハツの底力を信じています。

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ADASがN-One e:よりよくなっているということが、とても良いかなと思います、が、OTAでアップデートでN-One e:も同じようになるのなら次の購入候補に躍り出ます。ラッコのほうがOTAできるとの話ですがこの辺りも変わるのかは気になるところ、とはいえ完全停止ワンペダルの方が優先順位が高いですが。

急速充電性能は充電カーブの方が気になります。150kW充電器必要とは言えLFPのバッテリー搭載のラッコ、もしくはeSKYのLFPというのが気になるところです。どのタイミングで充電しても効率良いというのが素晴らしいですね。

私は軽自動車にはEVが最高だとは思っていますが、EVは軽自動車以下のサイズからとは思っていなくて、「日本では」ではなく、世界でも普及に必要なのはコンパクトなEVだと思っています。日本国内だけのために車やCHAdeMOなどの開発にコストをかけけるのではなく、世界で売れるコンパクトなもの、最近欧州でコンパクトカーの規格ができたはずですが、そこでも売れるようなEVの開発に力を入れて海外でも売れるようなものに力を入れてほしいです。

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高速道路は、無駄な加速と減速を極力減らし、自分のペースに近い、スムーズに走る運転の上手いトラックなどの大きめの車の後ろにADASで張り付いています汗

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