ホンダの小型電気自動車「スーパーワン」が売れています。これが初めてのEVになる方や、オンリーワンのマイカーになる方も多いことでしょう。搭載するバッテリー容量は約30kWh。ちょっとしたEVの知識を理解しておくほうが、上手に使いこなせるはず。納車待ちの時間を楽しんでいただけるよう、大きなお世話の知識集をお届けします。
東京都の補助金が最大130万円に!
2026年5月22日に正式発売されたホンダの小型電気自動車「スーパーワン(Super-ONE)」が絶好調。先行予約からホンダの想定を上回る受注を集め、5月の販売実績は1,736台で全乗用車の31位にランクイン。日本国内のEV販売シェア拡大に貢献することにもなりそうです。
ホンダらしい遊び心のあるデザインや、軽自動車の制約を飛び越えて、モーターの最高出力を通常時の47kWから70kWにパワーアップする「BOOST(ブースト)モード」を搭載するなど、EVならではの魅力が支持されていると思われます。
なんといっても、国のCEV補助金(2026年6月現在)は普通乗用車最大の130万円に正式決定。車両本体価格は339万200円(価格はすべて税込)ですが、補助金額を引いた実質価格は約209万円。ベースとなった軽EVの「N-ONE e:」の上位グレードが車両本体価格約320万円でCEV補助金は58万円、実質価格は約262万円と、スーパーワンのほうが50万円以上も安くなってしまうのですから、お買い得感は抜群です。
さらに、東京都のEV購入補助金が、今日(6月9日)からの都議会で可決されれば、従来の合計最大100万円から最大130万円に増額されます。最大額を得るためには、V2H機器や太陽光発電設備を導入するなどの条件がありますが、メーカー別の補助金額でもホンダは「60万円」の最高額になっているので、その恩恵は絶大です。東京都の補助額は全国的にも別格ですが、ほかにも自治体独自のEV購入補助金を実施しているところはあるので、しっかり確認して上手に活用してください。
そろそろ、デリバリーも始まっているようです。スーパーワンが納車されたみなさま、そして注文して納車待ちのみなさま、なにはともあれEVライフへの仲間入り、おめでとうございます。
バッテリーが小さなEVを上手に使いこなすポイントは?
スーパーワンはベースとなった軽EVの「N-ONE e:」とバッテリーやモーターなどのパワートレインが同じです。搭載するバッテリー容量は29.6kWh。今どきの市販EVとしては「小さなバッテリー」です。だからこそ軽快に走れるのですが、メーターに表示される航続可能距離表示との付き合い方や充電のコツなど、理解しておくとさらにEV生活を楽しめるポイントがいくつかあります。
航続可能距離は実際に走れる距離じゃない
スーパーワンの一充電走行距離はカタログスペックで274km(WLTCモード)です。運転次第ではありますが、メーターに表示される「航続可能距離」はおおむね200km強程度であることが多いはず。でも、カタログスペック通りの航続可能距離が表示されないのは基本として知っておくべき「EVあるある」です。電費に優しい運転を続けていれば、より長い航続可能距離が表示されるようになります。
また、メーターに航続可能距離が200kmと表示されていたとして、ロングドライブ時、200km先の急速充電器を目指せるわけではありません。とくに高速道路を走る場合、おおむね150km以内の急速充電器で経路充電(ロングドライブ時、おもに急速充電器を利用して行う注ぎ足し充電)を行います。2時間弱に1回、休憩&急速充電を繋いでいくのがバッテリーが小さいEVのロングドライブであることを理解しておきましょう。
経路充電は「満タン」じゃなくてOK
経路充電と聞くと、エンジン車の給油を連想する方が多いはず。そして、給油といえば「満タン」にするのが当然だと思っている方が多いのではないでしょうか。
でも、EVの急速充電では一般的にバッテリー残量(SOC=State Of Charge)が70%、80%と高くなるほど充電速度が低下していきます。満タン、つまり100%まで充電しようとすると、とても長い時間がかかってしまいます。まず「給油≒充電は満タン」というエンジン車時代の思い込みを捨てましょう。
また、SOCはある程度下がっていた方が、急速充電のスピードは速くなります。目安としては30%以下程度、とはいえ、バッテリー残量が10%を切るようなギリギリ状態で走るのはあまりおすすめできません。ロングドライブ時の経路充電は、おおむね「20〜80%」の範囲を活用するのがスムーズです。
高速道路SAPAなどの公共用急速充電器は原則として「1回30分」というルールになっています。食事したり、しっかり休憩したい時に30分間フルに充電するのはよいとして。15分で80%に達したとか、目的地(充電器があればさらにベター)まで不安なく走れる分の充電ができたといったケースでは、途中で充電を終了して出発する選択肢も頭に入れておきましょう。
急速充電開始時は車両の電源をオフにする
車両のシステム電源がオンのまま急速充電を開始しようとすると、エラーになることがあります。急速充電の開始時は車両のシステム電源をオフにしてからケーブルを接続するのがオススメです。
充電が始まってしまえば、システムをオンにしてエアコンの効いた車内で待機するのは問題ありません。
また、雨の日に充電して大丈夫? って不安を見聞きすることがありますが、もちろん雨天時の充電はまったく問題ありません。
あと、急速充電時のエラーで多いのはケーブルがきちんと接続できていないケースです。コネクターはまっすぐ、しっかり挿すように注意しましょう。
充電後のケーブルはきちんと片付けましょう
SAPAのレストランで食事していると、30分はすぐに経ってしまいます。充電が終了しているのに充電区画にクルマを停めたままにするのはマナー違反。面倒でも、充電が終了したらすぐにEVを移動させましょう。
また、充電ケーブルをきちんと片付けておらず、駐車区画にはみ出しているのを目にすることがしばしばあります。これも、悲しいマナー違反。充電が終わったら、ケーブルはきちんと片付けましょう。充電器によって違いはありますが、ケーブルを収納するためのフックを備えている機種もあります。長いケーブルは地面の泥で汚れていることがあるので、ドアポケットなどに手袋やお手拭きタオルを用意しておくのがオススメです。
自宅の充電設備はぜひ設置しましょう
自宅ガレージに充電設備があるとないではEV生活の快適さはまったく変わります。EVを買ったけど充電設備設置を迷っているといった相談を受けたこともありますが、これはもう問答無用。戸建てなど、自身の判断で充電設備設置を決められるのであれば、ぜひ設置するべきです。
自宅に設置する充電設備には、以下のような選択肢があります。
●EV用200Vコンセント
車載ケーブルなどを使って充電。もっとも安上がり。出力は約3kW(200V×15A)。
●EV用充電器
ケーブルを備えた専用充電器。機器だけで20万円程度かかるけど、便利で高出力(6〜8kW程度)。
●V2H機器
EVの電気を家庭で使ったり、太陽光発電でEVを充電できるV2H(Vehicle to Home)機器。急速充電口からEVに充電(出力はおおむね6kW)できる。
V2H機器の設置はもとより、EVコンセント設置にも国の補助金が出るようになりました。次世代自動車振興センター(NEV)の公式サイトなどで確認して、上手に活用してください。
集合住宅にお住まいの方の場合、基礎充電設備設置のハードルは上がります。とはいえ、すでにEV充電設備を導入したマンションなどを取材すると、キーパーソンとなる方がいるかどうかが大切であることを実感します。ご自身がキーパーソンになるのは大変だとは思いますが、まずは、何か動いてみてはいかがでしょうか。
日常の充電は80%上限にしておくのがオススメ
スーパーワンが搭載している三元系といわれるリチウムイオン電池には、満充電、つまりSOC100%で放置すると劣化が進みやすい特性があります。日常的な普通充電の際には、上限を「80%」程度にしておくのがオススメです。
スーパーワンの場合、搭載しているバッテリーの総電力量29.6kWhに対して実際にユーザーが使用できるのはおおむね24kWh程度とされていて、いわゆる「バッファ」が多めにとってあるので100%充電にしても問題ないとも聞きますが、日常的に「100%」にする必要はないですよね。とはいえ、残量30%以下で急な遠出が必要になったりすると焦るので、私の場合「50%を切ったら80%まで充電」をルーティンにしてマイカーEVを運用しています。
充電スポット検索アプリを活用
車載ナビや専用アプリでもある程度の情報を得ることはできるでしょうが、経路充電や目的地充電(出かけた先の宿泊施設やレジャー施設で充電すること)のスポットを探すには、あらかじめスマホに充電スポット検索アプリをインストールしておくと便利です。
いろんなアプリがありますが、必須&オススメは次の2つです。
●EV充電エネチェンジ
多彩なフィルタリング機能が便利。
●高速充電ナビ
全国の高速道路のEV充電器を路線別に表示。満空情報などもリアルタイムで確認できる。
外充電が多いなら e-Mobility Power の充電カードを作っておく
ホンダは独自に「Honda Charge」というサービスを展開していて、充電器予約や、ケーブルを挿すだけで認証課金が行われる「プラグアンドチャージ」を可能にしています。が、対応する充電スポットはまだ多くありません。
自宅での基礎充電だけで十分という方もいるでしょうが、週に1回くらいは遠出を楽しみたいという場合は、全国の高速道路SAPAなどにEV急速充電器を展開している e-Mobility Power(eMP)の充電カードを作っておくのがオススメです。
eMPの充電器はカードなしの「ビジター利用」もできますが、充電料金が高く、利用手順がややこしいのが現状(関連記事)です。「急速・普通併用プラン」で月額料金は4,180円(税込)とちょっとお高めではありますが、高速道路の90kW器で1時間(30分を2回)くらい充電すれば都度料金の差額で元が取れます。
急速充電の受け入れ最大出力は50kW
スーパーワンの急速充電性能は、最大50kWです。高速道路に多い90kW器(ビジター料金は99円/分)や150kW器(121円/分)を使っても、50kW以上の出力で充電はできないことを理解しておきましょう。
経済的なのはビジター料金が「77円/分」の50kW器を利用することですが、最近、高速道路上の急速充電器は90kW以上が中心になっています。
場合によっては、高速道路を下りてから一般道沿線にある50kW器(一般道のビジター料金は55円/分)を利用する手もあります。また、パワーエックスやフラッシュなど、従量課金(分ではなく充電したkWhに応じた課金)の急速充電器も増えてきています。
日本のEV充電インフラなどは発展途上。ある程度の情報収集に気を配り、賢く活用してください。
BOOSTモードの楽しみ方を教えてください
スーパーワン、そして搭載されているBOOSTモードの楽しさは、私自身、EVsmartブログ著者陣の篠原さんと一緒にサーキット試乗会で体感(関連記事)しました。ボタンひとつで最高出力が47kWから70kWにパワーアップされるのも、EVならではの大きな魅力だと思います。今後、公道での長距離試乗などの機会を楽しみにしています。
とはいえ、最高出力と電費がトレードオフの関係となるのは当然のこと。はたして、晴れてスーパーワンのオーナーとなった方々が、どんなシーンで、どのようにBOOSTモードを活用するのか興味しんしんです。ぜひ、コメントなどで教えてください。
スーパーワンでEV仲間になったみなさま、みんなで一緒にEVライフを楽しみましょう!
文/寄本好則



