電気自動車の実用燃費「東名300km電費検証」INDEXページ/検証のルールと結果一覧

市販電気自動車の実用的な燃費(EVの場合は「電力量消費率=電費」という)性能を確かめるシリーズ企画「東名300km電費検証」のルールと結果をまとめたインデックスページ。各社EVの検証結果をまとめていく。航続距離など詳細については、各検証結果レポートを参照していただきたい。

東名300km電費検証【INDEX】検証のルールと結果一覧

【アップデート/2024年7月20日】
※冒頭写真は新東名静岡SA(上り線)の充電スポット。

「東名300km電費検証」結果一覧

この表では、EVsmartブログで記事として紹介した検証結果(基本ルールは後述)を積み上げていく。なお、「東名300km電費検証」の実走取材については、計測条件をできるだけ一定に揃えるため、原則として烏山大輔氏が担当する。ドライバーなどが異なる場合は、記事などでその旨を明記する。

検証結果一覧表
※電費数値の単位は「km/kWh」。
※各欄上部の▼をクリックするとソート可能。※デフォルトに戻す場合は記事をリロード。

車名80km/h100km/h120km/h総合目標検証年月外気温
(℃)
記事
リンク
BYD
SEAL
RWD
8.186.925.636.777.752024/727〜29012
ヒョンデ
KONA
Casual
9.447.045.697.109.382024/725〜26011
メルセデス・ベンツ
EQE 350
4MATIC SUV
6.355.254.305.185.932024/616〜19.5010
メルセデス・ベンツ
EQS
450 +
7.496.155.506.286.492024/518〜20009
メルセデス・ベンツ
EQA
250 +
7.645.664.655.758.362024/516〜20008
BMW
i7 eDrive50
M Sport
6.114.984.355.056.172024/45.5〜8.5007
BYD
ATTO 3
7.215.574.715.668.032024/49〜17006
ボルボ
EX30
(Ultra)
6.865.264.645.458.122024/49〜13005
日産
ARIYA
B6
6.815.184.305.257.122024/34〜5004
ヒョンデ
KONA
Lounge Two-tone
6.555.484.595.438.352024/37〜9003
トヨタ
bZ4X
Z AWD
5.764.383.804.516.822024/22〜6002
BYD
DOLPHIN
(スタンダード)
6.585.384.635.428.912024/110〜13001
BYD
DOLPHIN
Long Range
6.835.184.635.418.132024/110〜13001
以前の検証結果
BMW
iX
xDrive50
7.275.714.555.645.832023/825〜26
三菱
ekクロスEV
9.116.635.106.999.002023/724〜26
BMW
iX1 xDrive30
M Sport
8.706.425.106.786.992023/624〜26
メルセデス・ベンツ
EQE
350+
7.596.195.206.356.892023/622〜23
メルセデス・ベンツ
EQS450
4MATIC SUV
6.314.983.855.075.502023/620

※電費計測は、季節、気温、天候による差はどうしてもカバーしきれないこと、また電費は実際の乗車人数や荷物の積載量によっても変わってくるため、あくまでも参考値になることを承知いただきたい。基本的には速度規制や車線規制がない状況で走行するものの、避けられない場合は適切な速度で走行し、その区間の電費については数値の補正や注記を行う。
※EVsmartブログでのシリーズ企画開始以前から筆者の烏山氏が実際に計測(ルールなどは同様)した市販EV5車種を含めた検証の結果も併記しておく。

「東名300km電費検証」の基本ルール

航続距離が気になる電気自動車の実力を確かめるため、勾配やカーブもある高速道路の一定区間で実際の電費を計測し、読者のみなさんに役立つデータや事実を導き出すためのシリーズ企画。基本的なルールをまとめておく。

【計測方法】
高速道路でACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使用し、80km/h、100km/h、120km/hの各速度で巡航した電費を計測する。ACCを使用することで、誰でも一定速走行を実現しやすく、読者の皆さんの再現性が高いデータを得られる。計測区間に入ったらすぐにACCを巡航速度に合わせ、電費をリセットして計測区間終了直前の電費を記録する。

なお、車両のメーター速度表示と実際の走行速度には差があるため、GPS(スマホアプリ)で実速度を確認しACC設定速度を調整する。そして計測は、一般車が少なく渋滞が発生する可能性の低い深夜に実施する。エアコンは23度でオート設定を基本に常時オンにする。

【計測区間】
120km/h巡航時の電費を計測するため、東名〜新東名を使用する。標高差による電費の有利不利を均すため、同じ区間を同じ速度で往復する。その区間の往復電費は、往復の距離を往路と復路で消費した電力で割って求める。

実際の制限速度を踏まえ、かつ各速度で往復の走行距離を約100kmに合わせるため、下記の5区間を設定する。つまり、東名川崎ICから新東名の新静岡IC間(約147km)を往復する検証ルートとなる。

区間名場所巡航速度距離標高差
A区間東名川崎IC
標高47m
厚木IC
標高22m
100km/h27.4km25m
B区間厚木IC
標高22m
秦野中井IC
標高107m
80km/h15.1km85m
C区間秦野中井IC
標高107m
御殿場IC
標高454m
80km/h33.6km347m
D区間御殿場IC
標高454m
駿河湾沼津SA
標高138m
100km/h23.3km316m
E区間駿河湾沼津SA
標高138m
新静岡IC
標高71m
120km/h47.8km67m

検証ルートにおける巡航速度別の区間距離は以下の通り。

●80km/h巡航区間距離:片道48.7km、往復97.4km
●100km/h巡航区間距離:片道50.7km、往復101.4km
●120km/h巡航区間距離:片道47.8km、往復95.6km

【目標電費の設定】
計測結果では、各区間で「目標電費」を達成できたかどうか確認していく。目標電費とはその車種で公表されている駆動用バッテリーの容量で、WLTC値のカタログスペックで示された一充電走行可能距離(航続可能距離)を割った数値とする。

ただし、一般的な市販EVにおけるWLTC値の航続可能距離は、エアコンを使用して高速道路を時速100kmで走行するといった実用値としては、おおむね8割程度になることが確認されていることは、EVユーザーとしては理解しておくべき。そのため、EVsmartブログで新型EVを紹介する際などは、より実用に近いとされるアメリカのEPA値、もしくはWLTC値に0.8を乗じたEPA換算推計値を紹介することを原則としている。

とはいえ、この検証はカタログスペックで示されている電費と実用電費の違いを確認するため、あえてWLTC値を基準とした目標電費を設定することとする。

●●●

まだ多くの人が抱いているであろう電気自動車の航続距離などへの不安を緩和し、正しい理解を広げていくために、EVsmartブログ編集部では実用電費の公平な情報は有意義であると考えている。購入の選択や、自らの高速道路ドライブの参考としてお役立ていただきたい。

まとめ/寄本 好則(EVsmartブログ編集長)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. 「ちなみに右スポークの下半分はオーディオソースを選択する「MODE」ボタンと選曲やラジオのチューニングなどの左右のボタンなのだが、音量の調整は左スポークにあるため、オーディオをコントロールするためには両手での操作が必要だ。レクサスUX300eも同様だったので、これがトヨタ・レクサスのステアリングホイールボタンの方程式なのだろう。」と記載がありますが、ステアリングスイッチカスタマイズ機能で左側のステアリングスイッチにオーディオコントロール出来るようにカスタマイズすれば、片手で操作が出来ます。以前の記事でもそうだったですが、変だと自分で思う「(メーカーの)方程式」は、疑って、少し調べれば自分の勘違い・思い込みかどうか確認出来、誤った記事の拡散を防ぐことが出来ると思います。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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