テスラ『モデル3』パフォーマンスで、東京から伊賀スーパーチャージャーで充電して京都府へ。でもスーパーチャージャー(SC)は故障で使えず、チャデモ急速充電で繋ぐことになり。あてにしていたSCが使えないと、テスラがただの電気自動車になってしまうことを痛感しました。代官山SC開設! のニュースとともにお伝えします。
代官山スーパーチャージャーがオープン
先日『最大出力250kWで急速充電~テスラのスーパーチャージャーV3が続々と開設』(2021年7月9日)という記事をお届けしたばかりですが、この記事中でも触れた代官山スーパーチャージャーがオープンしました。ここも最大出力250kWの「V3」が4台。使用できる時間は蔦屋書店(T-SITE)の営業時間内で、当面は新型コロナウイルス拡散防止策のため7:00~20:00となっています。
オフィス(三軒茶屋)から近いし、30kWhリーフでひとっ走りして写真を撮ってきました。背景には代官山らしいおしゃれな建物と緑の木立。全国各地のSCでも指折りの「絵になるSC」ではないかと思います。
区画には「TESLA PARKING」と書かれていますが、駐車場入口で誘導していたスタッフのおじさんに「満車時はスーパーチャージャーに入れるんですか?」と確認したところ、「満車ということはスーパーチャージャーの区画も満車ということなので使えません」ということでした。念のため、テスラの公式サイトを確認すると「イベント開催時や土日祝休日の正午から午後3時の間は混雑のため、他の車室が満車となった場合等、テスラ車両以外が駐車される場合がございます」と注記されていました。
そういえば、函館SCも蔦屋書店の駐車場です。私も寄稿した電気自動車専門誌『E MAGAZINE』を出版したネコパブリッシングは、蔦屋書店を母体とする
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)のグループだし。蔦屋(T-SITE)にSCはよく似合います。願わくば、チャデモとはいわないので、J1772の普通充電器も何台か併設してもらえると、リーフユーザーの私も喜びます。
伊賀スーパーチャージャーを使って京都府取材へ
さて、今日のレポートの本題は代官山ではありません。緊急事態宣言下ではありましたが、予定していた京都府城陽市への取材を、新幹線利用をやめて「開設したばかりの伊賀SC使ってモデル3で行ってみた」レポートも書いちゃおう! と思い立った次第です。
早速、EVsmartブログチーム社有車のモデル3パフォーマンスの使用予約を入れて。走行計画はシンプルに、往路の伊賀と復路の浜松SCで2回充電。日帰りで往復しちゃう算段でした。
【走行計画】
セッション1 ● 東京・三軒茶屋〜伊賀SC(約412km)/ホテルで朝食
セッション2 ● 伊賀SC〜京都府城陽市の取材先〜浜松SC(約291km)/SAで夕食
セッション3 ● 浜松SC〜東京・三軒茶屋(約232km)
距離はGoogleマップ調べ。セッション2と3はまったく問題ないですが、ポイントは東京〜伊賀SCまでの412kmです。午前3時過ぎの出発前、モデル3の「エネルギー」で確認すると、到達時の電池残量は「–」という表示、つまりカツカツで着けるかも、という感じでした。まあ「高速で90km/h 巡航を心掛ければ、5%くらいは残してなんとか到着できるだろう」と楽観予想。スタートを切りました。
400km以上をノンストップはきついので、夜明けの駿河湾沼津SAでトイレ&コーヒーブレイク。このSAの急速充電器付近は眺めがいいので、夜明けや夕暮れに立ち寄るのがお気に入りです。
新東名の120km/h区間もオートパイロットを90km/hのまま我慢して、走るほどに到達時予想残量が増えてきました。新東名もトラックが多いですが、90km/hで真ん中車線を流していると、意外とスムーズに走れます。ステアリングもオートにしていたので、自分はほぼハンドルに手を添えているだけの数時間でした。岡崎SA手前あたりでは残量予想が「10%」に。逆にV3スーパーチャージャーの底力を体験するため一桁%まで残量を減らして到着したかったので、愛知県に入るあたりからは追い越し車線を流れに乗って走りました。
伊勢湾岸道の刈谷PAでトイレ休憩。大好物の赤福を自分用のお土産に買っておこうと思ったら、まだ開店前でした。
土砂降りの中、伊賀SCは4台とも充電不可
思惑通り残量5%で、伊賀SCがある『ヒルホテル サンピア伊賀』に到着したのは午前8時過ぎ。朝っぱらから警報級のゲリラ豪雨に見舞われて土砂降りだったので、まずはホテルのフロントに立ち寄ってビニール傘をお借りしました。
6月末ごろにオープンしたばかりの伊賀SC。実は、7月のはじめから使用不可になっていました。SNSなどで「7月13日には復旧予定」という情報が流れていたので、出発前日の14日、テスラ公式サイトでも紹介されているロードサイドアシスタンスに電話して「もう故障は直ってますか?」と確認。「故障ではなくメンテナンスで、すでに完了して使える状態になっています」と回答を得ていたのですが。。。
この日、出発前からモデル3のナビには「Post B のみ使用可」の案内。ロードサイドアシスタンスへの電話確認を信用して「表示が更新されていないのだろう」と思っていました。でも、傘をお借りする際にホテルのフロントの方からも「業者からは奥から2番目だけは使えると聞いています」と伺って、あらら、やっぱり1台しか使えないんだと残念に思いつつ、なにはともあれ、とっとと充電を開始して、ホテルのレストランで朝食を! と小さな傘が役に立たないほどの雨に打たれながらポートにプラグを挿したのですが。。。
使えるはずのポスト1Bはこの表示からの、充電不可。
あとの3台はこの表示で、充電不可。
結局、4台とも全滅。スーパーチャージャーは使えないことがわかりました。
ここで慌ててもSCが復活することはありません。まあ、駐車場にはユアスタンド認証の普通充電器もあるし、数km以内にチャデモの急速充電スポットもいくつかあります。とにかく、予定通りホテルで朝食をいただくことにしました。受け付け終了時間ギリギリでしたが、なんとか「ご用意できますよ」と受け入れていただき、とても美味しい朝食でした。食後のコーヒーなどもセルフサービスのフリードリンク。雨が弱まるのを待ちながら、しばしまったりくつろぎました。
ユアスタンドの普通充電も試してみた
ゲリラ豪雨も過ぎ去って、朝食にも大満足。復路の浜松SCまでの約300km分は、京都府城陽市の取材先へ向かいつつ、どこかのチャデモで急速充電することになります。その前に、せっかくなのでユアスタンド認証のウォールコネクター(普通充電)を試してみることにしました。
SCと並んで4台設置されている普通充電器。デスティネーションチャージャーにも使われているテスラ純正の『ウォールコネクター』ですが、ここに設置されているやつのプラグはいわゆる「J1772」規格。リーフなどテスラ以外のEVでも使用可能です。チャージャー側のプラグを挿すところの穴ぼこもちゃんとJ1772仕様になっているので、たとえば、テスラユーザー以外の人もこれを購入して自宅に設置できないのかなと、後でロードサイドアシスタンスに電話で確認したら「市販はしていない」ということでした。
ポールのステッカーに記されている手順に従って、ユアスタンドのアプリをスマホにインストールしてクレジットカードを登録。なんと、普通充電器ですが8kWの出力でした。
13分充電して、料金は57円。アプリで確認すると、使用料金は264円/1時間。アプリで予約もできる仕組みです。集合住宅への充電器設置事例で何度も取材&紹介しているユアスタンドのアプリですが、自分で使うのは初体験でした。
SC故障を補うチャデモQCは都合4回
細かくレポートしようと思えばいろいろエピソードもあるのですが、無駄に長くなるので端的に。伊賀SCが使えず、復路の浜松SCへ辿り着くために行ったチャデモ急速充電は、以下の4回でした。
●イオン伊賀上野店【約20分】(EVsmart情報ページ)
ホテルから2km弱。50kW器だ、と喜んだのですが……。
充電器保護のため、30kWに出力制限中。取材先へ向かう途中の道の駅に50kW器があることが確認できたので、約20分で停止して先へ進みます。
●道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村【約20分×2回】(EVsmart情報ページ)
20kWとか30kW器が多い道の駅に50kW器。もしや、と思いつつ到着すると案の定、昨年『ZESP3の方に速報〜JFEの蓄電池内蔵型急速充電器は19分で止めましょう』と題した記事でレポートしたJFEの蓄電式のヤツでした。
20分を経過する頃合いに戻って見ていると、今回もやっぱり22分くらいで自動停止。ZESP3のひとコマ(10分単位)を浪費してしまいました。この時点でSOC(電池残量)は46%。取材先の城陽市から浜松SCまで到達するためには70%くらいにしておく心づもりだったので、もう1回どこかで充電するにしても少し足りない。待っているEVもなかったので、さらに20分(今度は20分になるのを待って手動で止めました)おかわり充電させてもらいました。
道の駅の抹茶ソフトが美味しかったです。SAPAや道の駅によく立ち寄るので、各地のソフトクリームや特産品を堪能できるのは、スーパーチャージャーが使えない電気自動車(私も個人的には30kWhリーフユーザーなので)ならではの楽しみのひとつ、でもあります。
と、ソフトの売店に茶畑を背景にした「写真スポット」の案内が。売店スタッフのお姉さんに「このスポットはどこに?」と尋ねると「そこです」という返事。
このパネルにソフトを近づけて撮ると、こんな感じで茶畑背景な写真になる、という暇つぶしネタでした。
●名神高速道路 草津PA 上り線【30分×1回】(EVsmart情報ページ)
草津第1PA(上り線)の急速充電器は、新電元の90kW器から2本出しで2台が充電できるようになっています。隣は空いていたので、充電器の性能的には最大出力90kWを独り占めも可能なのですが、スーパーチャージャーなら最大250kWのV3パワーを満喫できるモデル3も、アダプターを介したチャデモQCの最大受入可能出力は50kWです。
ちょっと仕事を片付けていたらあっという間に30分が経過して、70%まで回復。浜松SCには残34%で到着できる表示になりました。
SC故障を補うチャデモQCは都合4回
412km無充電完走を目指した往路と違い、電池には余裕の走り。浜松には残量26%で18時30分ごろ到着。SCの脇の階段を数段上ると、そこはもう浜松サービスエリアです。フードコートでオムハヤシの夕食をいただき、トイレに行ってコーヒータイム。
40分ほどの充電時間で92%まで回復。東京には38%残して到着できる表示になりました。新東名の120km区間が延びてた(浜松あたりから御殿場の手前までほぼ全線が120km制限になってて驚きました)恩恵を満喫しつつ、午後9時40分、自宅には残34%で帰着できました。
もし、伊賀SCが故障していなければ、朝食をいただきながら100%近くまで充電。その後はチャデモで何度も充電する面倒なことは抜きにして、この浜松SCで2回目の充電して終わり、だったのです。
いかに、テスラのスーパーチャージャーがありがたいインフラであるか、理解いただけるのではないでしょうか。また、今回のように計画していたSCが故障していると、いかにモデル3でも、日産リーフをはじめとする普通の電気自動車と同様に「1回30分でおおむね100km走る分ずつ」しか補給できないチャデモ急速充電を繰り返す、ちょっと不自由な自動車に成り下がるという当たり前のことを実感できる行程となりました。
逆に言うと、大容量電池を搭載した高級輸入EVのほとんどの車種で、チャデモ急速充電の最大出力が50kWに制限されているのが、いかにもったいないことか。また、日産リーフe+が最大70kW程度で充電できるといっても、草津PAの90kW器のような高出力なチャデモ急速充電器がほとんど設置されていないこと。さらに、24kWhリーフ時代に広がった1カ所1台設置や30分ルールが変わらないことの不合理さを痛感します。
大容量&高出力だけが正義じゃないけど
念のために説明しておくと、私自身は、現在のテスラのように大容量電池を搭載したEVと高出力のスーパーチャージャー網を用意して、ガソリン車の利便をそのまま、あるいはそれ以上の快適さで置き換えようとすることばかりが正義だとは思っていません。
個人的には電池容量は40〜50kWhで十分。この容量で90kWの急速充電にきちんと対応(すぐに加熱で制限掛かったりしないように)してくれれば、QCの出力も90kW程度でさほどの不満はないだろうと思っています。30分ルールは、1カ所ごとの設置台数を増やして撤廃すべきだと思いますが、当面はやむを得ないのかな、と思います。
要するに、意思とバリエーション。テスラは自ら打ち出した電気自動車の魅力を高めるために、自社インフラであるスーパーチャージャーやデスティネーションチャージャー網の整備を進めています。一方、チャデモに依存するそのほかの自動車メーカーや行政などに、日本にどんな電気自動車社会構築を目指すのかという「意思」が見えないのが、どうにもじれったく感じます。
30kWh台のシティコミューターで軽快な走りを楽しむのも正しいし、100kWh級の電池搭載車で500kmを一気に駆け抜けるEVもあっていいでしょう。急速充電インフラには、バリエーションさまざまなライフスタイルを志向するEVユーザーを支えるだけの、性能や制度が求められてくるということなのだと思います。
日本の充電インフラ構築の責を、e-Mobility Powerだけに背負ってもらうのも、少し違う気がします。充電インフラのあり方はEVの性能とも深く関わるので、テスラのように自動車メーカーが一定の「意思」を示し、ユーザーへの責任を果たしていくべきでしょう。
と、考えを進めていくと、やはり日本ではトヨタが電気自動車に本気になって、充電インフラの整備にも関与してくれるようにならないと変わっていかないのかなぁ、と、ちょっと絶望的な気持ちにも包まれる長距離日帰りドライブなのでした。
ヒルホテル サンピア伊賀のフロントの方に感謝!
オープン早々トラブルが続く伊賀SC。設置されているヒルホテル サンピア伊賀のフロントの方(お名前も伺いませんでしたが)には、傘をお借りしたり、時間ぎりぎりで朝食が用意できるか確認していただいたり、お世話になりました。「SC使える?」といった問い合わせの電話が入ることも多いそうです。モデル3は私個人の所有ではないですが、僭越ながらテスラユーザーを代表して感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
復路の車中、ハンズフリーでロードサイドアシスタンスに電話して、「SCが使えるかどうかの情報発信はぜひ正確にしてほしい」ことと「ヒルホテル サンピア伊賀に事情を説明したほうがいいですよ」と進言させていただきました。
テスラとスーパーチャージャーが、ますます魅力的になっていくことを期待しています。
【追記/2021年7月18日】
伊賀スーパーチャージャー。ロードサイドアシスタンスご担当者との電話では、7月20日ごろの復旧を見込んで原因調査と調整を進めていく、ということでした。早めの無事復旧を祈ります。
(取材・文/寄本 好則)
























