e-Mobility Powerが、充電サービスアプリ「e-Mobility Powerアプリ」を全面刷新して提供を開始しました。ビジュアルや操作性を一新し、決済情報の事前登録が可能になって、ビジター充電が便利になりました。
面倒だったビジター充電の利便性が向上
2026年9月29日、高速道路SAPAなどのEV用公共充電インフラサービスを担う株式会社e-Mobility Power(eMP)がEV・PHEVユーザー向けの充電サービスアプリ「e-Mobility Powerアプリ(以下、eMPアプリ)」をリニューアルして提供を開始しました。
新しい「eMPアプリ」は「いつでも、どこでも、誰もがスムーズな充電体験」を実現することを目指し、「充電スポットを探す、充電する、決済する」をシームレスにつなぐユーザー体験を追求。アプリのビジュアルや操作性を見直し、会員・ビジターを問わず利用しやすいアプリへ刷新したとのこと。
eMPネットワークの充電器は、月額会員の充電カードで認証すれば会員料金でお得に充電できるほか、EVを発売する自動車メーカーなどと提携した充電カードでも手軽に利用できます。でも、たとえばテスラのようにeMP提携のカードを発行していないメーカーEVのオーナーなど、充電カードを保有していない人がビジターとしてeMPの急速充電器を利用する場合、その都度クレジットカード番号などの決済情報を入力する必要があって面倒なのが大きな課題になっていました。
今回のアプリ刷新に伴って、eMPでは月額基本料金0円で利用できる「ビジタープラン」を新設。アプリをインストールして決済情報を一度登録しておけば、このアプリで認証できる充電器では再入力の手間なくスムーズに充電できるように改善されました。
プレスリリースでは「2026年10月にはPay決済にも対応予定」と紹介されています。個人的に「Pay決済」っていう呼称はあまり使わないですが、いわゆるQRコードなどによる電子マネーのスマホ決済ができるようになるのでしょう。事前登録したクレジットカード決済とどちらが使いやすいかといったあたりは、改めて試してみるとして、ビジター充電が格段と便利に使えるようになったことは間違いありません。
会員とビジターの充電料金格差を理解しておこう
eMPネットワークの充電器利用に「月額無料の選択肢を作ってほしい」というのは、EVsmartブログでもかねて要望していたことであり、今回のアップデートは大歓迎。ただし、最近は新しいEVオーナーさんも増えていて、充電料金の仕組みにあまり詳しくない方もいらっしゃると思うので、留意点を少し紹介しておきます。
eMPカードで同ネットワークの充電器を利用する場合、「急速・普通併用プラン」の月額料金は4,180円(以下、価格はすべて税込)。充電の都度料金が急速充電器で「27.5円/分」、普通充電器では「3.85円/分」になります。提携カードは発行各社のプラン次第ですが、おおむねこの価格体系に準じています。
充電カードがない、もしくは「普通充電プラン(月額1,540円)」で急速充電器を利用する場合は、別途定められた「ビジター利用料金」が適用されます。
ビジター利用の場合、充電した電力量に応じた「kWh課金」と、充電した時間による「出力別時間課金」があります。これは利用者が任意に選べるものではなく、各充電器によって異なります。kWh課金は2026年4月から導入されたまだ新しい制度(関連記事)で、対象の充電スポットは高速道路で88カ所。一般道が65カ所(2026年9月25日現在)となっています。
たとえば、先ごろ新進気鋭の350kW器が国内初設置された東名高速海老名SA(上り線)も、おそらくは高速道路で89カ所目のkWh課金スポットになりました。見分け方は、充電器本体や案内看板に緑と黒の小さなステッカーが貼ってあるかどうかです。
と、細かな説明を始めると長くなるので、最重要ポイントに注目しましょう。ビジタープランの料金表を見れば一目瞭然。会員の急速充電都度料金の27.5円/分(会員料金はkWh課金のスポットでも時間課金になります)に比べて格段に高価です。eMP会員の月額料金は4,180円ですから、急速充電をある程度利用するのであれば、会員になっておくほうがコスパが高いことになります。ざっと試算してみましょう。
●高速道路の急速充電器をkWh課金で利用する場合
4,180円÷(143円-27.5円)=約36.2kWh
4,180円÷(143円-55円)=約47.5kWh
ちょっとややこしいですが、90kW器を会員料金の27.5円/分で利用して、30分で30kWh充電できた場合のkWh課金換算は「27.5円/kWh」になります。さらに、日産サクラのように急速充電性能が低いEVで30分に15kWh(便宜上切りのいい数字にしました)しか充電できない場合は「55円/kWh」になります。それぞれ、月間で約36.2kWh、もしくは約47.5kWhを充電すると(ご自身の車種で試算&検討してみてください)、差額分が月額料金に匹敵します。最近の充電性能が向上したEV車種であれば、30分で超えてしまう電力量(車種や充電器出力によって40~50kWhくらいは入ります)です。
●高速道路の90kW器を時間課金で利用する場合
4,180円÷(99円-27.5円)=約58.5分
時間課金の例は、90kW器を想定しました。経路充電で急速充電器を利用する機会は圧倒的に高速道路が多いはず。そして、最近は高速道路急速充電器の高出力複数口化が進み、都度料金が安い50kW以下の充電器を探すのが難しいくらいになってきていますから……。
ともあれ、月に1時間以上充電すれば、月額料金相当になります。
あとは、EVオーナーさんそれぞれのお好み次第。月額会員になるか、ビジターとしてたまに使えればよしとするのか選択してください、ということですね。
ちなみにここで、「月額料金を1/4の1,000円程度にして、会員数が4倍になるほうがみんなハッピー」という私のオピニオンを改めて繰り返しておきます。
マップ検索などのアップデートで気が付いたこと
今回のアプリ刷新では、充電スポット検索のマップやフィルタリングの機能もアップデートされました。マップ上のスポットピンに、設置されている充電器の出力や満空情報が表示されるようになったのは素敵な進化。まだ実際に使っていないのであくまでも第一印象ですが、とても見やすく使いやすくなったと感じます。
気が付いたのは大きく2つ。まず、eMPアプリのマップに表示されるのはeMPネットワークの充電スポット限定です。最近はeMP以外の充電サービス事業者による、eMPと比べて割安な料金で利用できる急速充電ネットワークも拡がっています。都度料金が高い高速道路SAPAの急速充電器を避けて、一般道に下りてから充電しようとする場合、このアプリで探すことはできません。
つまり、充電スポット検索まで「このアプリひとつでOK」というわけにはいきません。現状としては、フィルタリング機能の秀逸さなどで「EV充電エネチェンジ」アプリ、そして高速道路を使ったロングドライブの際に便利な「高速充電ナビ」アプリが、EVユーザーへのレコメンドアプリです。
2つ目に気が付いたのは、フィルタリング機能が微妙ってところです。具体的には「詳細絞り込み」のタブ選択肢の冒頭に「充電アダプタあり」という項目があります。充電アダプタといえば、テスラやフィアットのCHAdeMOアダプタ、もしくはテスラへのJ1772アダプタを思い浮かべますが、それはユーザー側が用意するものであり、私には意味がわかりませんでした。
試しにフィルタリングして検索してみたものの、地図を全国に広げてもスポットは1件も表示されませんでした。この項目の意味は、後日でもeMPに確認したいところです。
ともあれ、ビジタープランの新設とアプリのアップデートは、日本のEV利用環境の向上にとって大きな一歩。日本のEV普及はまだ始まったばかりです。eMPのサービス向上を祝福しつつ、ユーザーみんなで前進しましょう。
【追記/2026年10月2日】
記事中で触れていた「Pay決済」の概要と、検索フィルタの項目にある「充電アダプタあり」という項目について、eMPのご担当者に質問し回答をいただきました。以下、転記して紹介します。
■Pay決済について
2026年10月中に、ビジター利用料金のお支払い方法として、新たに「PayPay」と「AEON Pay」に対応する予定で、2つの決済方法の総称として「Pay決済」と表記しています。
Pay決済についても、事前に決済情報を登録しておくことで、充電の都度決済情報を入力することなく、スムーズに充電料金の支払いが完結します。
■「充電アダプタあり」のフィルタについて
海外では充電器側にアダプタが設置されている事例もあるため、将来的な機能拡張を想定して設けた項目です。
現時点で充電器側のアダプタの導入について具体的な導入計画があるものではありません。
文/寄本好則



