電気自動車の効率はガソリン車より悪い?

結論:火力発電所での効率や送電ロスなどを入れても、電気自動車はガソリンハイブリッド車より、燃料から動力への変換効率が高いんです。

ガソリン車は、燃料であるガソリンを直接エンジンで燃やし、それをそのまま動力に変換します。電気自動車は、火力発電で電気を発電する場合、燃料を燃やし、発電し、それを送電線を通して送り、電池に充電してからモーターで走行します。

一見、ガソリン車のほうがエネルギーの変換回数が少なく、効率が高そうですよね?ここでは、効率とは、1リットル当たりの燃料で走行できる距離で考えます。本当にそうでしょうか?比較してみましょう。

ガソリン車と電気自動車を同じ条件で比較するために、石油火力を使います。

※実際の日本国内での発電は、天然ガスや石炭がメインで、火力75%再エネ19%です。

サイズが同程度の車として、ガソリン車代表トヨタ プリウス(ハイブリッド車)とテスラ モデル3で比較します。

【ガソリンハイブリッド車】

プリウスのEPA燃費は56MPG。出典

※2020/11/24訂正:コメントでのご指摘があり、米国で最も高燃費のグレードPrius Ecoのデータに変更しました。

EPA燃費は、日本で使われているJC08基準やグローバルで使われている欧州WLTC、そして日本で使われている日本WLTC基準よりも厳しい基準で、実燃費に近い値が出ます。EPAはアメリカ合衆国環境保護庁の略で、米国では距離はマイル、燃料はガロンで測るので、MPGすなわち1ガロン当たり何マイル走るか、という単位を使っています。

56MPGは23.8km/lにあたります。

【電気自動車】

厳密には石油火力発電所では原油そのまままたはC重油を燃やすのですが、単純にガソリンと比較することにします。

まず石油火力発電所の効率は39%です。出典:p5

所内率4.8%というのがありますが、これは発電した電気を発電所内で使っていますよ、ということですから、本来の効率は34.2%とします。

同じ資料より、1リットルの燃料からの発熱量は41.16MJ(メガジュール)。これを電力量に換算すると11.43kWh。つまり1リットルの燃料から11.43 x 34.2% = 3.91kWhの電力を発電できます。

ここで電気は発電所を出発します。

電気は送電線を通り、送電ロスが5%発生します。出典

結果として、自宅で充電するときに使える電力量は3.91 x 0.95 = 3.71kWh。

やっと電気自動車のところまで来ました。ではこれを充電します。EPAでは電費も公開されており、この電費には充電ロスを含みます。モデル3のEPA電費は24kWh/100mi。出典

またマイルが出てきましたね。24kWh/100miとは、100マイルすなわち160.9km走行するために24kWhの充電電力量が必要ということです。これは電力量1kWh当たりに直すと、6.7km/kWhにあたります。

すなわちモデル3の原油/C重油における燃費は

6.7[km/kWh] x 3.71[kWh/l] = 24.8km/l

さてどうでしたか?

現時点で、電気自動車は、石油火力で発電しても、ガソリンハイブリッド車より4%も効率が高いということが分かりました。

※2020/11/24訂正:同上

実際にはもう少し差は大きいです。というのは、ガソリン車は原油やC重油では走行できず、エネルギーを使って原油から精製する必要があります。また電気自動車の試算では電気の輸送にかかる送電ロスを加味しましたが、ガソリンをスタンドまで届ける輸送ロスは加味していませんね。

効率が高い、ということは、1km走行させた場合の、温室効果ガスの排出もガソリンハイブリッド車のほうが、電気自動車より4%多くなるということです。

(安川 洋)

4%しか違わないのにあんな不便を強いられるEVなんか要らない。価格も高いしリセールバリューも低いし、良いとこ無し。

記事に誤りがあるので指摘して差し上げます。

ガソリン1L当たりのエネルギーで比較すると

EVは20.83km/L(熱量をガソリン1L分に換算)

ガソリンHVは23.8km/L

となるので、当記事の結論としてはガソリンHV車のほうが約14%強、燃費がよくなるという結論になりますね。

当記事の誤りの一番のポイントは、比較している燃料が違うのに、どちらも同じ1Lで比べているというところ。

EV(C重油: 1L当たり発熱量41.16MJ)

ガソリンHV車(ガソリン:1L当たり34.6MJ)

つまりEVではガソリンHV車にくらべて約1.19倍多くのエネルギーをつかっているのに、ガソリン車よりも4%しか走れる距離が伸びてないといえます。

そしてガソリン燃料についてですが、原油を精製する時に重油もガソリンも同時に精製されるようなので、ことさらガソリンだけが「エネルギーを使って製造する燃料」と言うのは適切ではないでしょう。

ついでに、輸送におけるガソリン燃料のロスも考えてみます。ガソリン等を運ぶタンクローリーは大型のもので20000Lを一度に運べるようです。またこのタンクローリーを走らせるための燃料タンクは300L(三菱ふそうの大型トラックを参考)とのことです。多く見積もって、仮に20000Lを運ぶために300Lを使うとしたとき、ガソリン輸送に伴う損失率は最大で1.5%となります。(タンクローリーは軽油で走っているので、もっとエネルギーを消費しているともいえますが、そもそも大型トラックが満タンから空になるまで走るほどの長距離を毎回毎回運んでいるとは考えにくいので、誤差の範囲としてこの場では考慮しません。)

ガソリン輸送の損失率を考慮して、上記ガソリン燃費の23.8km/Lに98.5%をかけても23.44km/Lとなり、依然としてEVの20.83km/L(熱量ガソリン換算)よりも燃費が勝っていると言えます。

どちらもガソリンで計算してません?この記事では。

火力発電の燃料は石油だけではないのではないか

安川様

EV車とガソリン車の燃費比較について、興味深く拝読しました。

燃費比較はネットで調べてもいろいろありますが、殆どEV車に優位性をあげています。

私はEV車でなくプリウスPHVを使用しています。今までは単純にガソリンより電気の方が

有利であると信じていました。 ところが先月契約している充電サービス会社(トヨタコネクティッド社 EV・PHV充電サポート)より利用料金改定通知が届きました。

23年4月1日から適用ですが4倍もの爆謄です。

従来 従量プラン 基本料金 なし

        急速充電  16.5円/分

改定後 急速・普通充電プランA 基本料金 1,650円/月

                 急速充電   66円/分

この料金で充電料金とガソリンを比較しました。

一充電走行距離(満充電)に相当するガソリン料金 337円/61.4㎞

一高速充電料金 (80%充電-走行距離50㎞として) 1,056円/15分

                     (ガソリン車と同じ61.4㎞走行に換算) 1,297円/61.4㎞

外部充電の方が約3.8倍になります。 (家庭充電ならば187円/㎞となり割安)

これはPHV車でのstudyですが、EV車でも同等の結果になると思います。

充電カードは各種ありますが、トヨタだけが爆謄した訳ではなく各社ほぼ同じ結果

になるでしょう。

これではEV車は長距離運転にはダメで、半充電距離での使用しかできないことになる。

この結果からEV車をどのように位置づけると考えますかご意見をお聞きしたい。

(尚上記のSTUDYはエクセルにまとめているので、必要ならばお送りします。)

安川様

(誤記がありましたので訂正します。)

EV車とガソリン車の燃費比較について、興味深く拝読しました。

燃費比較はネットで調べてもいろいろありますが、殆どEV車に優位性をあげています。

私はEV車でなくプリウスPHVを使用しています。今までは単純にガソリンより電気の方が

有利であると信じていました。 ところが先月契約している充電サービス会社(トヨタコネクティッド社 EV・PHV充電サポート)より利用料金改定通知が届きました。

23年4月1日から適用ですが4倍もの爆謄です。

従来 従量プラン 基本料金 なし

        急速充電  16.5円/分

改定後 急速・普通充電プランA 基本料金 1,650円/月

               急速充電   66円/分

この料金で充電料金とガソリンを比較しました。

一充電走行距離(満充電)に相当するガソリン料金 337円/61.4㎞

一高速充電料金 (80%充電-走行距離50㎞として) 1,056円/15分

(ガソリン車と同じ61.4㎞走行に換算) 1,297円/61.4㎞

外部充電の方が約3.8倍になります。 (家庭充電ならば187円/1充電(6.47kW)

となり割安)。

これはPHV車でのstudyですが、EV車でも同等の結果になると思います。

充電カードは各種ありますが、トヨタだけが爆謄した訳ではなく各社ほぼ同じ

結果になるでしょう。

これではEV車は長距離運転にはダメで、半充電距離での使用しかできないことになる。

この結果からEV車をどのように位置づけると考えますかご意見をお聞きしたい。

(尚上記のSTUDYはエクセルにまとめているので、必要ならばお送りします。)

高嶋莞爾さん

両方ガソリンではありませんよ。

「厳密には石油火力発電所では原油そのまままたはC重油を燃やすのですが、単純にガソリンと比較することにします。」

というのは

「厳密には石油火力発電所では原油そのまままたはC重油を燃やすので『本来ガソリンとは発熱量が違うのですが』、単純にガソリンと比較することにします。」

という意味のようです。

安川さん、

一番気になるのは生産時のCO2排出が無視できないくらい多い(ガソリン車の1.5倍)で寿命の3割超なのに走行時の排出量が例え10%違ってもまだハイブリッド車の方が優位だと考えたのですが。https://earthene.com/media/695

こういうところのグラフには発電時の排出量を計算に入れてないものを使うことでごまかしています。この記事ではその逆で電池の生産時の排出量を計算に入れないことでごまかしているように思います。ちなみにガソリン車は鉄くずになるので廃棄・リサイクルが簡単ですが、EVの電池は取り扱い注意なのでは処理が大変で電気含むエネルギーが必要だと考えます。

あと、人口が10%減るからEVによる電力10%増に対応するために新しく発電施設を建てる必要はないと考えていたと思いますが、発電施設は自分の体調管理はやってくれないので、24年に渡る修理と点検は必要になりますよ?それなら、減らせるだけ発電所は減らした方がいいと思います。

EV化で維持費が安くなるのは当然です。税金の大きな差ということがありますから。ガソリンは半分以上(計算によっては6割近く)が税金です。これに対し電気は16%、移動に使うエネルギーの値段が安くならなければおかしいです。しかし、この記事でも「質量」のことは無視して比較していますよね。車重が重ければエネルギーは余計に必要になる。普通のガソリン車セダンが1.6〜1.7tだとして、BEVは2t超えますから。SUV化もバッテリー収納場所確保と相まってのことですから。

おっしゃるとおり、自分で発電できれば理想的ですが、発電効率もまだまだ低いですね。BEVもバッテリー重量が軽くならないと「効率」の利点は生かせないかと。

発電所の材料生産(セメント、鉄など)、建設、廃棄までのエネルギーを考えるとどうなんでしょうか?発電所は発電前に既にエネルギーをかなり消費していると思えますが?

石油も採掘、プラント製造、建設、精製、廃棄まで考える必要があるかと思いますが?

コロロン様、コメントありがとうございます!

そうですね、ライフサイクルで見ると、というやつですね。そうすると今度は単純に使う油の量だけで比較はできなくなります。

炭素の排出量は、炭素の由来が化石燃料であるために、一つの効率のバロメーターとして使えると考えられます。この考えに同意されるかどうかは別として、

https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/

ライフサイクルで見ると、やはり電気自動車のほうが排出は少なくなるのですね。よろしければ記事もご覧ください。

低圧受電では配電損失は7%程度で考えるべきです。平均5%は一般家庭では不可能です。

参考 https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/040_05_00.pdf 4ページより。

これは電力計までの損失なので、ここからさらに家庭内配線で多少ロスが増えると思います。

電気屋 様、コメントありがとうございます。一般家庭での充電に限ればそう考えるのは正しいですね。実際には、急速充電は高圧が使われますし、大きなマンション等でも高圧受電になっています。

基本的な計算方法や結論には大きな問題がなく、また石油の輸送部分に関するロスは除いていますので(石油を運ぶと輸送車両の燃料が減る)、分かりやすくするために平均値を使用しています。

実際の電費は気温の影響を受け、高温、低温環境下ではかなり落ちます。定量的な資料は見つけられなかったですが、体感的には満充電300km走るものが200kmになることも。ガソリンも暖気時に燃費が悪いですがせいぜい数分間、数パーセントの悪化です。この差を加味すると電気自動車の4%の優位性はふっとび、20から30%ガソリン車に優位性が出るのではないでしょうか。

takiase様、コメントありがとうございます。

確かに気温が低い場合、電気自動車の電費は暖房に使うためのエネルギーが必要になるため、効率が悪化します。今回は米国環境保護庁EPAの基準を用いて計算しましたので、暖房にかかる効率はいれていません。そのため、日本の真冬を想定して比較すると、恐らく今回の例では、暖房を含めた効率ではハイブリッド車のほうが高くなると思います。

しかし、それは本質ではありません。

逆にハイブリッド車は夏は冷房により効率が低下します。バッテリーの残量がいったん数キロ走行して空になれば、ガソリン発電機は常時エンジンに負荷をかけて発電し続けなければ、電動エアコンを駆動できません。また標高の高い地域ではハイブリッド車は空気が薄くなるため、効率が数%低下します。

さらに、今回は最もガソリン車に有利なように、小型車を選択しているのです。モデル3の、C重油でのEPA燃費はおおよそ24.8km/Lであると計算しましたが、以下の車で比較してみてください。

https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=44073&id=44438&id=45018

モデル3 24.8km/L

プリウスE 23.8km/L(モデル3より小さく、かつ空力に最適化された車両)

カローラHEV 22.4km/L(本来モデル3の競合車両)

レクサスRX 450h AWD 12.9km/L(SUV)

モデルY LR AWD 21.3km/L(SUV)

大型セダンでも比較します。

https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=44862&id=45014

レクサスLS 500h AWD 10.6km/L

モデルS 21.3km/L

大型セダンのモデルSの電費が、SUVのモデルYの電費とほぼ同等であることに注目してください。電気自動車は非常に効率が高く、大型化し重量が増えてもあまり電費が悪化しないのです。モデルSは背が低いので、その分が貢献しています。

これらの比較において、動力性能は電気自動車のほうがはるかに上となります。

このように、なかなか公平に比較することは難しいものです。しかし、車種をいろいろ比較してみると一目瞭然ですね。

さらに、今回はこれを、発電所の中では最も効率が悪い、石油火力で比較していることに注目してください。現在石油火力は発電所としてはほとんど使われておらず、遥かに高効率のLNG火力や石炭火力、原子力、再エネが使われています。例えば再エネであれば、そもそもエネルギー源は自然なのですから、比較にならないこともお分かりいただけるかと思います。極論すれば、自宅に太陽光パネルがあれば、車が廃車になるまで0円で20万キロでも30万キロでも走行できるのです。

いや、実質燃費が本質でしょー。

暖房を使ったり、スピードを出したりすると電気自動車は安定性に欠けます。

さる 様、コメントありがとうございます。

暖房を使ったり、スピードを出したりすると電気自動車は安定性に欠けます

実質燃費は実際に運転してみると、おっしゃる理由により、全く使い物にならないです。例えば山頂まで登って、あと1kmと表示されていても、下り坂なら10km走行できます。

もしガソリン車で下り坂を下りまくって、燃料がFULLと表示されていて、急な坂に差し掛かったらEMPTY表示に変わったらどう思われますか?

電気が高効率なのはミニ四駆で立証済みかな。

エンジン、ハイブリッドで高効率な走行は出来そうにないですし。

ただ、充電に時間かかりますし、バッテリー損傷時の爆破的な発火とか、充電場所とか・・・今は課題多いので実用的ではないですね。

masa様、コメントありがとうございます!

>充電に時間かかります

確かにガソリンを入れるよりは時間が長いのですが、実は私は、ガソリン車も何十万キロか乗ってきて、電気自動車も乗っているわけです。その上で、ガソリン車でガソリン入れるより、電気自動車のほうが充電が面倒くさくないと感じているのですよね。その理由は簡単です。

ガソリンは私の場合、月に4回給油していました。結果、毎回5分、計20分、ロスが発生していたわけです。また私の場合は自宅の近くのスタンドが夜8時までのため、朝、会社の近くのスタンドで入れるしかなく、その場合待ち時間が発生することおありました。

電気自動車にしてからは、自宅で毎朝ケーブルを抜き、帰宅したらケーブルを挿すだけ。充電回数は休日も含めて30回となりましたが、一回当たり抜き差しに5秒しかかからないため、5x2x30=300秒、すなわち月に5分しかかかっていないのです。月に1-2回の遠出の際も充電しなくて済むことが多く、充電したとしても、食事や休憩の時に充電するため、結局ガソリンほど時間がかかりません。

>バッテリー損傷時の爆破的な発火

電気自動車でバッテリーが損傷しても、火災にまでなることは少ないですし、バッテリーが損傷するほど事故の規模が大きいと、ガソリン車でも燃料パイプや燃料タンク等が損傷する可能性があり、車両火災のリスクがあります。先日、名古屋でバスが横転して炎上する火災が報告されていますが、追突した乗用車も燃えていることにお気づきですか?ガソリン車も、車両火災のリスクはあります。

https://www.autoinsuranceez.com/gas-vs-electric-car-fires/

AutoinsuranceEZという米国の自動車保険比較サイトのデータ分析によれば、米国公的機関のデータを使って計算すると、電気自動車のほうがガソリン車より車両火災のリスクが低いということが分かっています。

>充電場所とか

外出した時に利用できる充電スタンド数では、まだまだガソリンスタンドには及びませんが、24時間営業だけに絞り込んでみると、ガソリンスタンド数より、急速充電スタンド数のほうが多いです。

さらに、電気自動車は自宅で24時間365日いつでも充電できるというのも便利です。

>今は課題多いので実用的ではない

そんなことないですよ。電気自動車の販売台数は年々急増し、

https://www.ev-volumes.com/wp-content/uploads/2022/02/WW-K-12-2021.png

例えば2020→2021年では倍増しています(日本では約3倍です)。